[過去ﾛｸﾞ] 【必勝不敗】能代工業 十八冠目【V58】 (442ﾚｽ)
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28: 2012/11/20(火) 16:20:32.46 ID:??? AAS
骨壺を掴み、振り上げた。
渾身の力を込めて、壺ごと海に放り投げる。
空中で骨の粉が飛び散り、風に舞って海に消えていった。
（ ･∀･）「魚が好きだっただろう。生まれ変わるなら、魚になるといい」
好きといっても、刺身が好きというのなら、少し違うかとも思った。
岩礁から腰を上げたとき、下半身がすっかり海水で濡れていた。
手で絞ると、足下に海水がぼたぼたと落ちた。
29: 2012/11/20(火) 16:21:03.49 ID:??? AAS
一際大きい波が岩礁に乗り上げた。
突然の出来事であったが、割れる水の壁を冷静に眺めていた。
目はいいのだ。
刀を抜き、振り上げるまで、躊躇や迷いはなかった。
縦に割れた波は、モララーを避けるように岩礁を叩いた。
積み上げてきたものは無くなったが、かえって剣が軽くなったように感じる。
（ ･∀･）「薬屋の、ドクオか」
波の音に掻き消されそうなほど、それは小さな呟きだった。
十五輪「海」 終わり
30: 2012/11/20(火) 16:22:05.01 ID:??? AAS
ドクオは店に入ってきた者に挨拶をしたが、その者は棚に並んだ薬には目も暮れず、
真っ直ぐに店の奥へ進んでいった。
(；'A`)「お客さん？」
男は構わず廊下を進んでいく。
ある部屋で立ち止まると、障子を勢いよく開けた。
部屋の中にいた男が、酒をあおりながら薄く笑った。
（ ´_ゝ`）「よく来たな」
着流しをはだけさせ、大きくあぐらをかいて座っていた兄者は、
目線だけで座ることを促した。
31: 2012/11/20(火) 16:22:47.22 ID:??? AAS
（ ･∀･）「昼間から、酒か。人斬りに品性が無いというのは同じだな」
（ ´_ゝ`）「まあ、否定はせんよ」
モララーは、兄者の正面ではなく、横に置かれた座布団の一つに腰を下ろした。
兄者とは対照的に、座っているときでも姿勢は崩さなかった。
（ ･∀･）「座布団がもう一つあるが、誰か来るのか？」
（ ´_ゝ`）「さあ？ そいつに訊いてくれ」
兄者が顎で指したのは、障子戸の前でもじもじしているドクオだ。
32: 2012/11/20(火) 16:23:24.37 ID:??? AAS
(；'A`)「今日来るかはわかりませんよ。でも声はおかけしたんで」
（ ´_ゝ`）「だそうだ」
（ ･∀･）「強いのか？」
('A`)「た、たぶん」
軽くドクオを睨むモララーから逃げるように、お茶を出しますとだけ言って
ドクオは部屋から駆けていった。
（ ´_ゝ`）「来ないかと思ってた。お坊ちゃんには厳しい相手だからな。五百両が惜しくなったか？」
33: 2012/11/20(火) 16:23:56.28 ID:??? AAS
（ ･∀･）「約束だ」
（ ´_ゝ`）「何？」
（ ･∀･）「約束があるんだ。俺が夜猿を斬ると言った。だから斬る」
（ ´_ゝ`）「ふうん」
兄者はモララーの発する、数日前とは異なる剣気に気がついていた。
何が変わったのかはわからないが、一種の覚悟は感じた。
（ ´_ゝ`）「夜猿と会ったことはあるか？」
34: 2012/11/20(火) 16:24:28.11 ID:??? AA×
35: 2012/11/20(火) 16:25:05.87 ID:??? AAS
（ ･∀･）「勝てる当てはあるのか？」
（ ´_ゝ`）「ドクオが連れてくるもう一人の男次第だな」
兄者が酒を勧めてきたが、モララーは断った。
ちょうどそのとき、廊下を走る音が聞こえ、ドクオが顔を出した。
(；'A`)「来てくれましたよ。例の人」
すぐには返事をせずに、兄者はまた酒をあおる。
（ ´_ゝ`）「下らん奴だったら、お前ごと斬り捨てるからな」
(；'A`)「そ、そんなあ。勘弁して下さいよ旦那」
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