[過去ログ] ★仝 ゲーセンで起きたちょっといい話スレ 第2章 仝★ (1001レス)
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28(5): 流浪の民 02/02/26 17:23 ID:0h/nQM99(2/8)調 AAS
書け書けばかりじゃあまりに無責任なので、つなぎで一つ書かせていただきます。
俺が単車で事故ったのは高2の冬。左足を骨折、病院送り。なんとか3年に進級したものの、
夏に左足が腐って再入院。そのまま入退院を繰り返し、結果、休学、そして留年決定。
また冬が来た。
この年代の男ってのは、付いてこれない奴は平気で置き去りにする残酷なところがあって、
スポーツ不可どころか、松葉杖だから外出するにも難儀する俺は、どんどん友人から
相手にされなくなった。そのうえ留年が決定したから余計に孤独感を味わうことになった。
同級生は進学だ、就職だ、浪人だ、卒業旅行だとわいわいやっていても俺はカヤの外。
高校以外での付き合いは単車つながりだから、乗れない奴は敬遠される。
外出が億劫になってゲーセンに行きたくても気力が湧かない。
もちろんゲーセンまで歩いていく体力も無い。
そんなこんなで自宅で無聊をかこっていた1月のこと。
中学時代の同級生で別の高校に通っていたS氏が訪ねてきた。単車仲間でもあるS氏は
すでに進学を決め、高校も卒業式までは出席しなくてもOK、暇をもてあましていたようだ。
「単車で来たの?」
と俺が聞くと、徒歩という答え。十代の単車乗りならわかってもらえると思うが、
どこへ行くにも単車に乗って行かないと気が済まないもの。そんな奴がなんで歩きで?
「あのさ、おまえサンダーストームって上手かったよな」
S氏が突然こんなことを言い出した。
29(5): 流浪の民 02/02/26 17:24 ID:0h/nQM99(3/8)調 AAS
(28のつづき)
『サンダーストーム』、確かに好きだがクリアしたことが一度もなかったゲームだ。
どちらかというと、ゲームの内容よりもオープニングのデモ画面が好きだった。
音楽・画像共に秀逸だったからだ。上手くはないが好きだった。
「あれってさ、5面を湖川友謙が作画監督したんだって。でも、俺じゃそこまで
行けねえんだよ。その面、俺に見せてくれよ」
S氏は簡単に言うが、俺自身も見たことがなかった。S氏にそう告げても納得しない。
「とにかく今からゲーセン行こうぜ」
有無を言わさずS氏は俺を外に連れ出した。久しぶりに見た外の景色は眩しかった。
足に付けた装具をガチャガチャ言わせながら松葉杖をついて歩く俺。歩調を合わせるS氏。
途中で何度か休みながら二人してゆっくりとゲーセンに向かった。途中、街中で
奇異な視線を向けられた(俺の格好が格好だったから)が、かまわず歩いた。俺は
「なんで俺なんか誘うんだろ? ゲーセンに誘う奴なんて他にいくらでもいるだろうに」
と思った。とは言うものの、久しぶりのゲーセンに俺は心ときめいた。
『サンダーストーム』はあった。立ちゲー用の筐体だった。
立ちゲーはちとつらいな、と思ったが、S氏の期待に添う為、即コイン投入、立ちプレイ。
結果、3面も行かずに爆死。数ヶ月に及ぶブランクでパターンを忘れていることや、
集中力が続かないせいもあったが、正直なところ、これが俺の実力だった。
言い訳すると、右足一本でふらつきながらゲームするなんて正気の沙汰じゃない。
「なんだよ、お前、もっと上手くなかったっけか?」
S氏は勝手なことを言っている。連コインする気力はすでに俺にはなかった。
「ああ疲れた。これでSもあきらめるだろう」と思っていた。
30(6): 流浪の民 02/02/26 17:25 ID:0h/nQM99(4/8)調 AAS
(29のつづき)
数日後、S氏が家にやってきた。
「おい、ゲーセン行こうぜ」
……またかよ。
ゲーセンに行く。プレイ。爆死。またS氏が家に来る。ゲーセンに行く。プレイ。爆死。
またまたS氏が(以下略
そんな日々が繰り返され、最初のうちこそいやいやゲーセンに向かっていた俺だったが、S氏が連れまわすおかげで体力もつき、ついでに段々意識が変わってきた。
『ここまできたら5面なんて小せえ。ラストまで見せてやらぁ』
ついに5面に到達、S氏は感慨深そうに画面を眺めているが、こっちはそれどころじゃない。
5面を越え、喜ぶ間もなく6面のハリアーに瞬殺される。
「おお、すげえや。ついに見れたな、湖川の作画面。ついでにラストまで見せてくれや」
望むところだった。その日から俺の特訓が始まった。今考えると非常に馬鹿っぽいが、
男は愚行に命を賭けるもの。通院したおりに『サンダーストーム』が置いてあるゲーセンを
見つけ、時間と資金が許すまでプレイした。はたから見たら、松葉杖の男が
鬼気迫る表情でゲームしている姿というのはかなりアレである。でも関係ない。
31(5): 流浪の民 02/02/26 17:28 ID:0h/nQM99(5/8)調 AAS
(30のつづき)
時すでに3月。俺達にはもう時間がいくらも残っていなかった。4月からS氏は進学、
俺は二度目の高校3年だ。修行を繰り返して、何度かこっそり最終面をクリアし、
自信をつけていた俺は、S氏を初めて自分から誘った。
「今日こそ『サンダーストーム』のエンディングを見せてやる」
二人でゲーセンに足を運び、S氏を横にコイン投入。ノーミスで5面を楽に越え、
8面の洞窟ではS氏の力を借り(その機械だけか、他もそうだったのかわからないが、
洞窟の中でMi−24ハインドと対峙するとき、ミサイル発射即墜落、というポイントが
あった。そこだけは機銃のみで切り抜けねばならなかったので、S氏が機銃ボタンを押す、
というお約束が二人の間にあった)、9面までノーミス。ついにラストの10面である。
どういう面だったかすでに記憶も定かでないが、やたらと左右上下に動きまわりながら
グランドキャニオン(?)を縫うように進んで、大要塞をぶっ壊したのを覚えている。
クリアした瞬間に二人で「ウッシャーッ!!」と片腕を突き上げて雄叫びを上げた。
初のノーミスクリアを達成した瞬間だった。熱い、熱いぜ、俺たち。
数ヶ月後、左足の傷も癒え、俺は徐々に歩けるようになった。
そして、あれからすでに12年が経った今、一応、普通に歩ける。
関係ないが、いや、関係なくないかもしれないが、今、俺の右足が左足より太いのは
怪我のせいだけではなく、S氏のおかげでもあると思っている。
32(5): 流浪の民 02/02/26 17:30 ID:0h/nQM99(6/8)調 AAS
(28−31 後日談)
その後、通いつめていたゲーセンから『サンダーストーム』は撤去され、
その後に入ったのが『ロードブラスター』だった。ヘリの後が車とは……。
再びS氏と通いつめたが、最終面をクリアする前に撤去された。
いつ行っても即プレイが可能だったので、不人気だったことがわかる。ひょっとしたら
この二台は俺しかプレイしていなかったのかもしれない(いや、それはないか……)。
後年、サターンソフトとして『サンダーストーム』『ロードブラスター』が二枚組みで
発売されたとき、即買った。『サンダーストーム』は、今に至ってもオープニングを見ただけ。
『ロードブラスター』はサターンで初めてクリアした。
あの日、装具をガチャガチャ言わせながらプレイした日々が、
10年の時空を超えて、感動と共に甦ってきた。が、これはまた別の話だな。
ところで『サンダーストーム』は、主人公が戦闘ヘリでテロリストをやっつけるという
設定だったと思うのだが、どう考えても主人公のほうがテロリストに見えて仕方が無い。
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