[過去ログ] アニメキャラ・バトルロワイアル2nd 作品投下スレ4 (388レス)
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153: Gentleman  ◆bsSjhtXYP2 2007/10/18(木) 10:22:49 ID:OTWEkYez(1/9)調 AAS
 病院の薬品保管庫の中で、ムスカは椅子に座り、頬に手を当て机に肘を立てながらうつらうつらと舟を漕いでいた。
彼がここに入った理由は簡単だ。病室より人に見つかり難い病院の奥でなら、休息を取れると思えたからだ。
戴宗との戦いは彼に多大な疲労を与え、それにともなう睡魔を誘発していた。
故に彼の体は休息を訴え、夢の中へと意識を誘っていた。
ああ、眠い。このまま放送のことなど忘れて寝入ってしまおうか?
ムスカはそんなことを思いつつ、睡眠欲へと溺れようとしていた。
だからだったのかもしれない。
力を抜いた体は逆に感覚が鋭敏化し、ムスカの耳にとある音が聞えた。
いったいなんの音か?
ムスカは意識を半場覚醒させ、耳をすませる。
その音は風きり音だった。何かが風を斬るような速さでこちらの方に近づいてきている音だった。
そして、ムスカはその音に聞き覚えがあった。
あいつだ。あの男だ。自分をコケにし、膝を尽かせた無礼な男だ! 自分の背後に立ったときあの音が聞えたのだ!
意識を完全に覚醒させ、冷や汗をながしながらムスカはそう確信する。
どうするか? まずそれを考えた。
おそらく自分の逃走を知り、病院内を探し回っている最中なのだろう。隠れれば見つからないかもしれない。
几帳面な男には見えない。ならば、雑に探し回っていても不思議ではないのだ。
だが、今の自分が武器を持っていると相手は気付いていないはずだ。
今が屈辱を晴らす最大のチャンスであることを考えれば仕掛けるべきだろう。

しかし、銃一丁であんな化け物を倒せるのだろうか?

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
154: Gentleman  ◆bsSjhtXYP2 2007/10/18(木) 10:24:33 ID:OTWEkYez(2/9)調 AAS
 朝日が昇る中、今だ暗闇が支配する病院内を梁山泊の九大天王の一人、神行太保・戴宗は駆けていた。
理由は至極簡単。何処かへと逃げ出した眼鏡の男を捕まえるためだ。
自分の迂闊な行動でこれ以上犠牲者を出したとあっては、あの世に先に逝った仲間達や弟分である鉄牛にすら笑われてしまうだろう。

「さて、いってぇどこに消えた?」

戴宗は意識を集中させ、辺りの気配を探る。
そして、彼の鋭敏な知覚は男の気配を察知した。それと同時に自身を狙う強烈な殺気も。

「いやがったか!」

戴宗は叫び、その場から飛び跳ねる。その瞬間彼が一瞬前まで走っていた場所に轟音と共に、隕石が直撃したかのような大穴が空いた。
床に鮮やかに着地し、殺気の放たれた方向に目を向ける。
そこには吹き飛ばされ破砕したドアだったと思われるものの残骸と、扉を失った入り口から現れた眼鏡の男がいた。
いつのまにか銃らしき物を手に入れている。かなりの破壊力だ。おそらく自身の捻り出せる力より数段上の力は持っているだろう。
どうやらあの男はよほど運に恵まれているらしい。
こちらは本と鏡の欠片以外は、死体と一緒に拾った剣とナイフしかないと言うのに、
あちらは自分の力を無力化したばかりか、電気を発する葛篭や銃などの武器を簡単に手に入れてしまう。

「死ね!?」

男は憎悪を隠そうともせず、戴宗の頭上に向かって何かを投げつける。
投げつけられた物を確認するまもなく、戴宗は後ろに向かって飛び跳ねた。
ムスカの放った弾丸がビンに当たり、中に入っていた液体が床に飛び散る。
液体が床一面に広がり、油が煮立つ音と共に辺りにうっすらと白い煙が立ち込める。
酸だ。敵は硫酸か何かを投げつけるつもりだったのだ。
だがこのような手に戴宗は引っかかるわけでもなく既に退避済みである。

「もう終わりか?」

戴宗は男に問いかける。

「さあな?」

だが男はうっすらと見るものを苛立たせる笑みを浮かべたまま、余裕とも取れる表情で答えた。
155: Gentleman  ◆bsSjhtXYP2 2007/10/18(木) 10:25:54 ID:OTWEkYez(3/9)調 AAS
いったい何を考えているのか?
戴宗はそれを考える。罠があるのか、それともハッタリなのか?
だが関係ない。罠があろうとなかろうと力づくで食い千切るまで。
今やるべきことは、あのにやけた顔面に一撃を加えることだ。

「ハァ!」

掛け声と共に地を蹴り噴射拳を併用し疾走。
男が弾丸を何発も連射する。
だがそれらの凶弾を戴宗は紙一重で全て回避しながら、酸の海を飛び越え男に向かって真直ぐに突撃する。
あたらなければどうということもない。
男の目では戴宗の体を捕らえることは不可能だ。
弾丸の威力は尋常ではなくても、男の銃の腕前は精々B級エキスパート程度でしかない。

だがムスカも自分の弾丸が当たるとは思ってはいなかった。

突然に戴宗の足が滑った。

「なんだと!?」

戴宗の心が驚愕に染まる。目の前で眼鏡の男のにやけ顔がさらに深まった。
そして戴宗は理解する。今までの男の行動はこのための布石だと、油か何かの液体を地面にばら撒き
自分を滑らすことが目的なのだと。床を溶かし煙を出す酸はこのためのカモフラージュだったのだ。
勝利を確信した男の銃が、自分の心臓に狙いをつける。あの威力を防ぐ手段は自分は持ってはいない。
横に滑った体では男の狙いを外せない。ならば、避けずに受け止めるのみ。
戴宗はデイパッグの中に右手を入れる。求めるものは奇妙な形をした剣。
剣士ではないものの、拾った剣を大業物だと理解していた戴宗はそれで弾丸を受け止められると確信していた。

ムスカの銃口が戴宗の心臓に垂直を結び、戴宗がエアを取り出す。
戴宗は乖離剣・エアを振るい、同時にムスカが引き金を引いた。
エアの軌跡と弾丸の軌道が交差する。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
156: Gentleman  ◆bsSjhtXYP2 2007/10/18(木) 10:28:40 ID:OTWEkYez(4/9)調 AAS
 アニタ・キングは死んだ。

それはいったい何故か? 客観的に見れば、剣の暴走によりその見を切り刻まれたからである。
剣の暴走という死に方は事実だ。 だが真実は少し違う。
アニタ・キングの本当の死因、それは彼女の持つ強大な資質が剣を通したために発動し、押しつぶされたからだ。
ジェントルメンという老人がかつて存在していた。
彼は50万年ほど古より存在し、イギリスを中心として古代から現代において、老死に至るまで世界を支配し続けた最高権力者。
だが、その多種多様な人格に異能や能力を持つ人類を権力だけで支配はできない。
その答えは単純、全人類の力を扱いやすいように彼自身が制御したからだ。
気の長くなるような永い時をかけて、ジェントルメンは人類に多種多様な固定観念を植え付けていった。
人は螺旋力を持たない、空を飛べない、水中で息ができない、火で炙られれば皮膚は焼ける、100年程で命は尽きる、錬金術など理解できない、
魔術等はフィクションでしかない、肉体を変態させることはできない、視線だけで他人を支配できない、生命を生き返らすことはできない、
無から武器を生み出せない、物の怪を召還できない、炎や雷に衝撃波といった力を放出できない、悪魔を呼び出し契約などできない、
ただの蹴りでビルを持ち上げられない、気功など体得できない、紙を意のままに操れない、鳥が口から光を吐き出すことなど夢物語だ。
故に人は人であるしかなかった。
さらにジェントルメンが作り上げた大英図書館や大英博物館が正史以外の歴史を内包することにより、真実はジェントルメンの定めたものとなった。
故に人は、ジェントルメンの物語の住人でしかなかった。
だがあるとき、そんな中からルールを破る者たちが現れた。俗に言う異能者達である。
そして、その中のもっとも代表的な者達を挙げるとするならば、ジェントルメン自身が作り上げた組織が多数保有する紙使いが有名であろう。
紙使い、それは紙を自分の意のままに操る異能を持つ人間。その大半は本という存在を愛しており、
周囲の人間も本を愛するからこそ紙を使えると思っていた。
だがそれは違う。本が好きなだけで紙を操れるなら世界中の大半は紙使いになれるだろう。
紙使いである彼女ら彼らは本を読むうちに知ったのだ。
紙は自分の意のままに操れると。紙は信じれば答えてくれると。
そうやって異能者達は、ジェントルメンの作った現実という名のルールを破っていったのだ。
アニタ・キングはそんな異能者達の中でも、強大な力を持つ紙使いの遺伝子を掛け合わせて作られた少女だ。
D・Nの精子とY・Rの卵子によって、この世に生れ落ちた彼女は7歳という異例の若さで紙を扱えるようになるほどの資質を持つに至った。
157: Gentleman  ◆bsSjhtXYP2 2007/10/18(木) 10:29:51 ID:OTWEkYez(5/9)調 AAS
ジュニア死亡と大英図書館に認知された際はジェントルメンを復活させる候補にも選ばれたほどだ。
現代になるとジェントルメンは急速に老い、その強大な力も弱くなり老死した。
だが老死する以前から、彼に再び寿命と力を取り戻させる計画が大英図書館の手によって発足していた。
それがジェントルメン再生計画である。その計画は彼の精神から肉体における全てを7冊の本に纏め上げ、別人へとコピーするといった内容であった。
コピー先は誰でもいいというわけではなく、強い資質や器を持つ人間が必要ではあったが、
ジュニアやアニタといった優秀な素材があったために、その問題は解決していた。
後は素材が成熟するまで多少の時間が必要ではあり、ジェントルメン復活は問題なく行なわれるはずであったが、
大英図書館の保有するエージェントであるザ・ペーパーの暴走により計画は頓挫し、再計画を余儀なくされることとなった。
それほどの力を持つジェントルメンの支配から抜け出し、その器にも選ばれた少女である。
人間が紙を元々操れる力を持つことを知っていた以上は、魔術を操れる道具から人間は元々魔術を使えることを知ることができてもおかしくなかった。
そう、アニタが乖離剣・エアを扱えたのは紙使いとしての能力が一種の魔術回路として機能したからでもなく。
はたまた、螺旋王がこの実験によって探し出そうとしている新たな螺旋力を生み出しているからでもない。
気付いたからだ。人間は元々魔術を使えるということに。現代の人間がそのことを知らないのは、知ることができていないということに。
それほどの資質を持つアニタの力は、剣の巻き起こす力がアニタを切り刻んだように、剣に何の影響も与えていないはずがなかった。
剣の持ち主であるギルガメッシュすらも一見すれば全くの無傷としかいえない状態を保ってはいたが、
その実はアニタの引き出した出力と制御ミスに耐え切れず金属疲労に似た現象を引き起こしていたのだ。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
158: Gentleman  ◆bsSjhtXYP2 2007/10/18(木) 10:31:47 ID:OTWEkYez(6/9)調 AAS
 エアの軌跡と弾丸の軌道が交差した瞬間、エアは戴宗の目の前で飴細工のように粉々に砕けた。
金属疲労に似た現象が起こり、折れる一歩手前の剣だったのだ。
この結果は想像に難くない。

「なっ!?」

しかし戴宗にとっては予想外の事態であったために彼は驚いた。
だが彼には、驚く暇も事態に対処する暇もなかった。
エアが粉々に砕けた瞬間、弾丸が心臓の前にある左胸に直撃していたのだから。

「ぐぅぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁあぁぁ!!」

戴宗は弾丸を喰らい後ろへと数m吹き飛ばされた。デイパッグとエアの柄が彼の体を離れる。
デイパッグは軽い音を立てて地へと落ち、エアの柄は甲高い音を立てて地面に激突し崩壊した。
戴宗の体は床を激しくすべり壁に追突し、動かなくなった。
ムスカは恐る恐る、仰向けに倒れ動かなくなった戴宗を数分眺める。
だが、彼はいくら待っても動かなかった。

「ハッハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」

ロムスカ・パロ・ウル・ラピュタの勝利の高笑いが、死者を侮辱する哄笑が病院内に響き渡る。
ひとしきり笑い終えたあと、ムスカは戴宗のデイパッグを拾い上げ、今だ薄暗さを残す廊下を移動し始めた。
恐怖の象徴が逝った今、彼に恐れるものなど何もない。

「これは私に逆らった報いなのだよ。さようなら名も知らぬ東洋人」

最後にそういい残しムスカは戴宗を残し、その場を後にした。
薬臭い倉庫など神がいるべき場所ではない。目指すは病院内のどこかにあるVIPルーム。そこで休息を取るのだ。

そして、そこには砕けた剣と胸を撃たれた男と幾つもの破壊痕だけが残された。
神を名乗る男が生き続ける限り、この光景は幾度となく繰り返されるであろう。
159: Gentleman  ◆bsSjhtXYP2 2007/10/18(木) 10:33:41 ID:OTWEkYez(7/9)調 AA×

160: Gentleman  ◆bsSjhtXYP2 2007/10/18(木) 10:36:45 ID:OTWEkYez(8/9)調 AAS
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 神行太保・戴宗の体は放置されていた。心臓の上にある部分の衣服は激しく破れ、ダブルキャノンの威力を物語っていた。
ダブルキャノンの一撃は彼の周囲にある破壊痕から分かるとおり、人間など当ればひとたまりもない。
故に生存することなど不可能だ。なんらかの防御手段を用いなければ。

「ガハッ! ゲホッ!」

突然に、死んだと思われた戴宗は血を吐きながら咳きをした。
ムスカが去るまで本当に心臓は停止していた。
なんとか蘇生できたのは普段から絶やさぬ鍛錬の成果と、過酷な任務に就き磨かれた精神力故であった。
だが、それらだけでは彼の復活はありえないことだ。分厚い鉄板を胸に仕込んでいたとしても、簡単に彼の胸を貫通しているはずだからだ。
戴宗は起き上がり、壁にもたれかかりつつ自分の懐から何かを取り出した。足元に、弾頭が平らになった弾丸が転がる。
取り出した物、それは本だった。丁寧な装飾がされているわけでもなければ、タイトルがついているわけでもない茶色い分厚い本だった。
唯一表紙には6つの点を結ぶように六角形が刻まれており、中央に7つ目の点が刻まれていた。
その本が『涼宮ハルヒの憂鬱全巻セット』、『魔鏡の欠片』に続く戴宗の最後の支給品だった。
戴宗はその分厚い本を弾除け代わりにするつもりで懐に忍ばせたのだ。

「……傷一つ……ついて……いないとは……ねぇ」

戴宗は喋りずらそうに文句を言う。さすがの彼も心臓に多大な衝撃を受けたとあっては疲弊するのは当然であった。
だが、これ以上は文句を言わない。本が自身の心臓を守らなければ死んでいたことを理解していたからだ。
とはいえ、大砲の弾丸に匹敵する弾に耐えられる本など戴宗の理解の範疇外ではあったが。
しかし、ここにザ・ペーパーと呼ばれるエージェントがいれば、この事態を納得しただろう。
なぜならその本は、ジェントルメンを7分割した内の一冊である『全てを見通す眼の書』なのだから。
強大な力を持つジェントルメンそのものと言えるその本は、簡単には破壊できない。

「……さて、どうす……っかなぁ?」

戴宗は懐に本を戻しながらそう呟く。彼自身はとてつもない倦怠感と疲労感に包まれていた。
ゆえに休息を取る事を選ぶ。強敵との戦いに備えるために、今は失った体力の回復をするべきだ。
戴宗はとりあえずムスカから離れることにした。
死を恐れるわけではないが、この体では返り討ちが関の山でしかない。
まだ十傑集も残っているのだ。せめて殺し合いに乗った連中に対し、相打ちぐらいには持っていきたい。
せめて一子報いるまでは死んでも死にきれない。
161: Gentleman  ◆bsSjhtXYP2 2007/10/18(木) 10:38:41 ID:OTWEkYez(9/9)調 AAS
【D-6/総合病院内/1日目/早朝(放送数十分前)】
【神行太保・戴宗@ジャイアントロボ THE ANIMATION -地球が静止する日-】
[状態]:疲労、心臓に多大な衝撃
[装備]:全てを見通す眼の書@R.O.D(シリーズ)
[道具]:無し
[思考]:
 基本:不義は見逃さず。悪は成敗する
 1.眼鏡の男から離れ、傷ついた体を休めたい。
 2.どこかで酒を調達したい。
 3.菫川ねねねを捜し、少女(アニタ)との関連性を探ってみる。
 4.死んでいた少年(エド)の身内や仲間を探してみる。
 最終:螺旋王ロージェノムを打倒し、元の世界へと帰還する
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