[過去ログ] アニメキャラ・バトルロワイアル2nd 作品投下スレ1 (716レス)
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645: 2007/09/24(月) 23:22:21 ID:HcVQeXLQ(7/9)調 AAS

646: 『英霊と台風』 ◆10fcvoEbko 2007/09/24(月) 23:22:23 ID:PTlS25TI(5/10)調 AAS
「あぁ!また紙か!?え〜、モノレール…高速道路…こりゃオレ達のいるとこの地図だな!」
「ホントですか!見せてください!一体どこまで行ったら僕達はこの乗り物から降りることができるのか…」
心底心配で堪らないというように顔だけでうなだれるヴァッシュ。
「ちっ…!仕方ねぇ。オラ今度こそしっかり見ろ!」
ランサーは無理やり身を乗り出しヴァッシュの鼻先に地図を突き付けた。
「どぉもぉ!ってまた近ぶぇぇっくしょい!」
はためく地図に鼻先を刺激されたヴァッシュは盛大なくしゃみで地図を吹き飛ばした。
猛烈な風に巻き上げられた地図は瞬く間に二人の遥か後方へと消え去った。
「馬鹿野郎ぉっ!」
「ごめんなさいぃっ!」
顔を白くして謝るヴァッシュ。ランサ−は憎々しげにちっと呟くと元の態勢に戻った。
「次っ!!」
気を取り直してデイパックの探索を続ける。
647: 2007/09/24(月) 23:22:54 ID:fE8YsBnF(2/6)調 AAS
       
648: 2007/09/24(月) 23:23:02 ID:Y0pUHdOy(1)調 AAS
 
649: 2007/09/24(月) 23:23:27 ID:17cKm9g3(26/30)調 AAS

650: 『英霊と台風』 ◆10fcvoEbko 2007/09/24(月) 23:23:38 ID:PTlS25TI(6/10)調 AAS
「あぁ!?今度は紙じゃ」
「見せてくださぁぁぁい!」
「絶対に見せねぇっ!!」
我慢の限界を越えたランサーが叫んだ。怒りに任せて車体をよじのぼりヴァッシュの腕を掴む。
「ひっ!」
「いい加減にしろ!テメェさっきからオレの」
そこでモノレールの車体がガクンと大きく揺れた。
路線がカーブに差し掛かったのである。突然発生した遠心力という新たな力に、ランサ−はまだしも体を真っ直ぐ伸ばした状態のヴァッシュは全く抵抗できない。
結果、振り回されたヴァッシュの体はランサーをモノレールの車体から叩き落と
していた。
「へ?」
猛烈な風に巻き上げられたランサーは瞬く間にヴァッシュの遥か後方へと消え去った。
651: 2007/09/24(月) 23:24:12 ID:0KOdYw8P(4/6)調 AAS

652: 2007/09/24(月) 23:24:14 ID:fE8YsBnF(3/6)調 AAS
       
653: 2007/09/24(月) 23:24:16 ID:HcVQeXLQ(8/9)調 AAS

654: 2007/09/24(月) 23:24:18 ID:ouN6Cfds(11/12)調 AAS
 
655: 2007/09/24(月) 23:25:27 ID:/KVZk+dR(6/8)調 AAS
       
656: 2007/09/24(月) 23:25:40 ID:0KOdYw8P(5/6)調 AAS

657: 2007/09/24(月) 23:27:41 ID:MM0ZUptr(3/3)調 AAS

658: 『英霊と台風』 ◆10fcvoEbko 2007/09/24(月) 23:28:03 ID:PTlS25TI(7/10)調 AAS
「馬っ鹿野郎おおぉぉぉぉぉぉお!?」
「ごめんなさああぁぁぁぁぁぁい!?」
顔面蒼白で謝るヴァッシュにこれ以上ない程目を見開いたまま落ちていくランサー。やがて遠くに小さく水柱が挙がるのが見えた。
(な、何かうまいこと風に乗って水の上に落ちれたみたいだし…死んでない、死んでないよねぇあの人ぉ!?)
ヴァッシュはただがくがく震えながらさっきまでランサ−がいた場所でしがみ付いていることしかできなかった。

【G-4 あたりのモノレールの屋根(疾走中)1日目 深夜】
【ヴァッシュ・ザ・スタンピード@トライガン】
[状態]:がくがくぶるぶる
[装備]:なし
[道具]:支給品一式 不明支給品1〜3
[思考・状況]基本:絶対に殺し合いを止めさせる
1.やめて止めてやめて止めてやめて止めて…
2.止まったらすぐ降りる。
3.あの人生きてるよね…?
※参加時期はウルフウッドと知り合って(本編9話)以降ということ意外不明です。
659: 2007/09/24(月) 23:28:04 ID:/KVZk+dR(7/8)調 AAS
 
660: 2007/09/24(月) 23:28:57 ID:HcVQeXLQ(9/9)調 AAS
支援一線
661: 2007/09/24(月) 23:29:03 ID:17cKm9g3(27/30)調 AAS

662: 2007/09/24(月) 23:29:10 ID:ouN6Cfds(12/12)調 AAS
 
663: 『英霊と台風』 ◆10fcvoEbko 2007/09/24(月) 23:29:20 ID:PTlS25TI(8/10)調 AAS
「ちくしょう…ひでぇ目に遭った…」
何とか地面との激突を避け岸に泳ぎついたランサ−は肩で息をしながら地面に倒れこんだ。
少し体が動かしにくかった気はしたが別にこの程度の水泳でそこまで疲れた訳ではない。何かもっとかこう精神的な何かが原因である。
「あの野郎…今度会ったらただじゃおかねぇ」
普段そこまで根に持つことはない、それどころかどちらかと言えばサッパリした性格であるはずのランサーだったがさすがこの状況では怒りがおさまらない。
そんなランサーの目の前にまるで贈り物とでも言うかのようにヒラヒラと一枚の紙が舞い降りた。
「ん…?」
何気なく手にとってそれを見る。
そこに書かれていたのはWANTEDの文字と賞金の額を示すのであろう11桁の数字。
そして真ん中にでかでかと描かれている能天気な笑顔は紛れもなくさっき自分を海に突き落とした男だった。
「……」
ランサーは苦々しい思いで、それでも平静を保ちながら流れ飛んできたヴァッシュの手配書に目を通す。
しかし、備考として書かれたある一文に目を通したときランサーは手配書を握り潰し堪りかねたように叫んでいた。
「何が平和主義者だ!ヴァッシュ・ザ・スタンピードォッ!」
664: 2007/09/24(月) 23:29:50 ID:R1Vm6ul6(1/2)調 AAS

665: 2007/09/24(月) 23:30:04 ID:/KVZk+dR(8/8)調 AAS
 
666: 2007/09/24(月) 23:30:10 ID:fE8YsBnF(4/6)調 AAS
     
667: 2007/09/24(月) 23:30:13 ID:0KOdYw8P(6/6)調 AAS

668: 2007/09/24(月) 23:30:51 ID:17cKm9g3(28/30)調 AAS

669: 『英霊と台風』 ◆10fcvoEbko 2007/09/24(月) 23:31:04 ID:PTlS25TI(9/10)調 AAS
【F-3南東端の岸  1日目 深夜】
【ランサー@Fate/stay night】
[状態]:疲労(小) 精神的疲労(小) 
[装備]:なし
[道具]:支給品一式(地図と名簿を除く)不明支給品1〜3 ヴァッシュの手配書(一枚)
[思考・状況]1.とりあえず一人でゆっくり支給品を確認する。
※参加時期は本編での死後。そのため言峰の令呪は無効化しています。

【ヴァッシュ・ザ・スタンピードの手配書について】
G-2から飛ばされた中の一枚。写真や賞金額の他、多少ヴァッシュについての説明が書かれている。

『モノレールについて』
バトルロワイアル開始と同時にG-2の駅を出発しました。一駅間の移動は5分〜10分。
中は無人で操作は全て機械が行っています。
跨座式モノレールの形についてはこちらを参照
外部リンク:ja.wikipedia.org
670: ◆10fcvoEbko 2007/09/24(月) 23:33:12 ID:PTlS25TI(10/10)調 AAS
以上で投下終了です。
多数の支援ありがとうございました。
671: 2007/09/24(月) 23:59:53 ID:KrQWDLDf(1)調 AAS
 
672: 2007/09/25(火) 00:00:54 ID:fE8YsBnF(5/6)調 AAS
           
673: 2007/09/25(火) 00:01:42 ID:0JlIc8H/(1/5)調 AAS
   
674: 汝は〜なりや? ◆FbVNUaeKtI 2007/09/25(火) 00:01:48 ID:cszWwmT0(8/8)調 AAS
(何故、私はこんな所に居る?)
それが最初に浮かんだ疑問だった。
彼は大陸横断特急フライング・プッシーフットに乗り、ニューヨークへと向かっていたはずだった。
しかし、食堂車に黒い服の男達や白い服の男等が銃を手に表れ、近くに居たカップルに床に伏せさせられた直後。
彼――チェスワフ・メイエルは自分が大きな広間に立っている事に気がついたのだった。
最初は汽車を占拠した黒服、もしくは白服の男達によって乗客全員がこの場所に拉致されたのだと考えた。
だが、その後に大広間で起こった出来事を見て、彼は少し考えを改める事になる。
ロージェノムと名乗る男の登場と殺し合いを行うという宣言。
更にはそれに反抗しようと瞬時に鎧を纏った男が行った攻撃と彼の末路。
そして、その後の大広間から今現在彼が居る場所への一瞬にしての移動。
それ等は明らかに200年以上を生きる錬金術師であるチェスの持ち得る、あらゆる知識の外にあるものだった。
もちろん、彼は自分が全知全能だとは思っていないし、あれらの能力者をありえないと否定する気も無い。
そもそも彼自身が世界の絶対たる摂理から“悪魔”の助力により逃れた存在なのだ、
あのような特異な力を持つ者が複数存在していても、なんら不思議な事は無かった。

(しかし、殺し合いとは……私が不死者だと知りながら言っているのか?)
薄暗い部屋の中、冷たい床に座り込み立ち並ぶ棚に背を預けながらチェスはそう考える。
不死者。悪魔のもたらした未知の薬によって世界の理から外れた者達。
それらはその名が表すとおり、老いる事を知らず死という終焉を迎える事はない。
例えば、おそらくは薬屋の店舗なのであろうこの部屋の中には、無数の薬品が詰まった棚が所狭しと並べられている。
だがしかし、殺し合いの場では貴重なそれらは彼には必要の無い物なのだ。
何故ならば彼は撃たれようが、焼かれようが、切り刻まれようが死を迎えることが出来ないのだから。
それどころか、その身が例え灰になろうとも元の姿を取り戻すのに、そう時間は掛からないだろう。
ある特定の方法を取らない限り、不死者を滅ぼす事は不可能なのだ。
その様な殺し合いという目的を根底から覆しかねない存在を、あの男は問題ないとばかりに参加させている。
(考えられる事は三つ)
一つはロージェノムが不死者という存在を知らないという可能性。
ただし、あの時殺された鎧の男の素性を知っているような口振りからして確立はかなり低い。
次は不死者としての能力自体に何かの工作が施されている可能性。
こればかりは試してみないと解らないので、
支給されたでナイフ(というには大きすぎる刃物)で掌を深く傷つけてみたが、結果は常時と余り変わらなかった。
無論もっと大きな傷、例えば死に瀕するような重傷の場合は結果が変わる可能性もあるが、今のところは保留で構わないだろう。
そして最後は自分以外の不死者がこの場に存在するという可能性である。
確かに不死者を通常の方法で殺す事は出来ない。
だが、不死者同士ならば『喰う』という行為で相手をこの世から消滅させる事が可能なのだ。
方法は簡単だ。対象の頭に右手を乗せ『喰いたい』と願う。
ただそれだけで不死者が一人消え、そいつの記憶を受け継いだ不死者一人だけが残る。
それこそが彼等、錬金術師達が不死になった際に悪魔に授けられた唯一の死の方法だった。
675: 2007/09/25(火) 00:03:17 ID:fE8YsBnF(6/6)調 AAS
                
676: 2007/09/25(火) 00:03:21 ID:qf6HhZnA(6/6)調 AAS
 
677: 2007/09/25(火) 00:03:27 ID:B6iD+hxT(1/2)調 AAS
 
678: 2007/09/25(火) 00:03:30 ID:17cKm9g3(29/30)調 AAS

679: 2007/09/25(火) 00:03:51 ID:BPzw6pCs(1/6)調 AAS
 
680: 汝は〜なりや? ◆FbVNUaeKtI 2007/09/25(火) 00:04:05 ID:CXh4BjpZ(1/6)調 AAS
(この中で可能性が高いとすれば三つ目か)
そう思案しながら、チェスはデイバッグの中に入っていた参加者名簿を見つめる。
彼にとっては幸運な事に、名簿の中には彼の知る200年前の錬金術師達の名は無い。
だが、ここに来る直前まで彼が耳にしていた名前が三つ、まるで代わりの様に記されていた。
アイザック・ディアン、ジャグジー・スプロット、ミリア・ハーヴァント。
この殺し合いが始まるまで、フライング・プッシーフットの食堂車で一緒だった三人。
そして、あの三人を含む乗客達数十人のいた食堂車内で、彼は偽名を名乗る事に失敗していた。
不死者同士では偽名を名乗ることが出来ない。それが悪魔の定めた不死者間でのルールだ。
つまり、あの乗客の中の誰かが不死者である事はほぼ確定している。
(この三人の内の誰か……もしかすると三人全員が、不死者かも知れないという事か)
もちろん、三人とも一般人の可能性もあるし、彼等以外の誰かが不死者の可能性もある。
だが注意するに越した事が無いだろう。
他の不死者に喰われて自らの記憶を覗かれるのは、チェスにとって、とても耐えられるものではなかった。

「さて……そろそろ行くとするか」
やがて、小さく呟きながら立ち上がると、チェスは手早く支給品等をデイバッグに仕舞った。
そして、おもむろに近場の棚へと目を向けると、そこに並ぶ多数の薬品を物色し始める。
確かに彼にとってこれらの薬品は必要の無い物だが、それでも何かに使える物は回収しておこうと考えたのだ。
そして、数種類の薬品を鞄に詰め終えたチェスが店の入り口へ目を向けるのと同時、そこにあったドアが店内へと向けて押し開けられる。
そこには一人の少女が立っていた。年の頃は十代後半といった所だろうか?
橙を基調とした服を身に着けたその少女は、こちらを見て驚いたような表情をしながらも、すぐに右腕をチェスへと向けてくる。
彼女の右手に握られた小形の拳銃は、真っ直ぐにチェスの体を狙っていた。
「動くな。お前の名前とこの殺し合いに乗る気なのかどうか……それから、お前の持っている力についてを教えてもらおうか?」
「お、お願いだから殺さないで!」
内心の動揺を押し隠し、チェスは怯えた表情で懇願する。
(こいつ、まさか私の事について何か知っているのか!?)
一瞬浮かんだその考えを即座に否定する。
彼女の口から出たのはあくまでも力という単語であり、チェス自身の能力に直結する固有名詞などではない。
おそらくは支給された武器の事を言っているか、単なるハッタリなのだろうと思いながらも、
チェスは念の為本名ではなく、名簿で自身の近くにあった名前を名乗っておく事にした。
「ぼ、僕はドモン・カッシュ。人を殺したり、なんてしないし……持っている武器も、変なナイフが一本だけだよ……」
そう言いながら、手にしていたデイバッグをゆっくりと下ろす。
少女は床へと完全に下ろされた黒い鞄をチラリと一瞥した後、チェスへと向けて再び口を開いた。
「支給された武器の話じゃない。お前自身、何か特殊な能力を持っていたりするんじゃないのか?」
(どういう事だ? この女、不死者ではないようだが。
 鎧の男の力を見て警戒しているのかとも思ったが、それにしては何らかの確信を持っているような……)
素早く思考を巡らせながらもチェスはおずおずと首を横に振り、少女の言葉に返答する。
しばらくの沈黙の後。「そうか」と呟くように言いながら、少女はゆっくりと銃を下ろした。
「手荒な真似をしてすまなかったな。私は玖我なつきだ」
軽く頭を下げながら、少女は自身の名を名乗る。
彼女が手にしていた銃は、いつの間にか姿を消していた。
681: 2007/09/25(火) 00:04:52 ID:XAV59T1X(1/3)調 AAS
 
682: 汝は〜なりや? ◆FbVNUaeKtI 2007/09/25(火) 00:05:37 ID:CXh4BjpZ(2/6)調 AA×

683: 2007/09/25(火) 00:06:10 ID:BPzw6pCs(2/6)調 AAS
  
684: 2007/09/25(火) 00:06:21 ID:17cKm9g3(30/30)調 AAS

685: 2007/09/25(火) 00:06:23 ID:R1Vm6ul6(2/2)調 AAS

686: 2007/09/25(火) 00:06:43 ID:XAV59T1X(2/3)調 AAS
 
687: 汝は〜なりや? ◆FbVNUaeKtI 2007/09/25(火) 00:06:56 ID:CXh4BjpZ(3/6)調 AAS
(何故、私はこんな所に居る?)
それが最初に浮かんだ疑問だった。
媛星の脅威が去り、黒曜の君が倒れた事によって、彼女達は平穏を手に入れたはずだった。
だが、彼女――玖我なつきは何時の間にか、殺し合いという馬鹿げた状況の中に居た。
大広間から飛ばされた先――薄暗い路地裏で、なつきは自身がエレメントやチャイルドが出せるか否かを確認する。
幾人もの人間を集め、枷を負わせ、命を奪い合えと扇動する。
こんな地獄のような状況で、彼女がある程度冷静で居られたのは、やはり似た様な経験をした事があるからであろう。
一番地によって風華学園へと集められたHiME達による、蝕の祭と呼ばれる戦い。
賭ける物は自分では無く、大切に思っている人物の命だという違いはあるものの、根本的な部分では似ているように思えた。
(いや……むしろ、この殺し合いとやらはあの祭を模した物なのかも知れないな)
チャイルドであるデュランが出てこずエレメントのみが出せる事を確認して、なつきは漆黒色の空を見上げる。
もちろん、空の上にあの赤い星の姿は見えなかった。
続けて手元にあった鞄を開けて、なつきは支給品や名簿を確認する。
名簿には見知った名前が自分以外に三つ記されていた。
鴇羽舞衣と藤乃静留、結城奈緒の三人だ。
(はやく、三人と合流しなければな)
名簿に続けて支給品を確認しながら彼女は思う。
舞衣はおそらく蝕の祭の時と同じように、この殺し合いを止めようとしているはずだ。
静留もあの時なつきの説得を受け入れてくれたのだ、殺し合いには乗らないと信じたい。
結城だって蝕の祭の時とは違い、率先して人を殺したりなどはしないだろう。
この三人と協力すれば、きっとここからの脱出も容易になるだろう。
「しかし、ここに居る私の知り合いは全員HiMEという事か……」
そして、あの大広間でロージェノムに逆らい首輪を爆破された男。
瞬時に鎧のような物を装着し、大火力の武器を放つというまるでTVの変身ヒーローか何かのようなその力。
(だが、HiMEの能力と似たような物と考えればあるいは……)
そんな事を考えながら、なつきは確認し終えた支給品を手早く鞄に仕舞い込む。
それから、周囲を見渡して人影が無い事を確認しながら、路地裏から抜け出すべく歩き始めた。
688: 2007/09/25(火) 00:07:48 ID:/622+3yn(1/4)調 AAS

689: 2007/09/25(火) 00:08:11 ID:TIK4SdxO(1/4)調 AAS

690: 2007/09/25(火) 00:08:19 ID:0JlIc8H/(2/5)調 AAS
  
691: 2007/09/25(火) 00:08:22 ID:n330Gvof(1)調 AAS
 
692: 汝は〜なりや? ◆FbVNUaeKtI 2007/09/25(火) 00:08:22 ID:CXh4BjpZ(4/6)調 AAS
路地の出口を目指しながら、彼女は再び思案する。
突如出現する鎧はエレメントと同じような物と考えれば理解できるし、大火力自体も舞衣のチャイルドであるカグツチという前例がある。
もちろん、あの男が鎧を着用するためには何らかの道具が必要な様だったり、そもそもHiME能力者は女性のみなどの違いはあるが、
HiMEの力と鎧の男の力は似ている部分が多々存在していると考えてもいい。
ロージェノムの言葉を信じるならば、ここには鎧の男と同じような能力を持った者があと二人は存在する事になる。
つまり、この殺し合いには高次物質化能力とそれに順ずる能力を持った参加者が7人は存在しているという事だ。
そしてロージェノムの口にした耳慣れない言葉、螺旋力。
あの男は優秀な個体、優秀な螺旋遺伝子を求めていると言った。この殺し合いがその選別のための実験だと……
おそらく、螺旋遺伝子とは螺旋力とやらを持った遺伝子といったような感じの意味合いだろう。
(だとすると、ここに居る人間の全員がその螺旋力という力を持っているという事になるのか……?)
そして自身の力を省みると、行き当たる心当たりは一つしかない。
「つまり、ここに集められた連中は全員、HiMEの能力のようなものを持っているという事か」
そう考えると、この殺し合いがHiME同士の戦いをモデルにした物だという仮説にもリアリティーが出てくる。
おそらくロージェノムは、特殊能力を持つ者たちを互いに争い合わせる事で蝕の祭のような状況を生み出そうとしているのだろう。
なつきが心中でそう結論付ける頃には、すでに路地の出口は目前へと迫っていた。

路地裏から顔を出したなつきが見たものは、道沿いにいくつかの店舗が並ぶ比較的大きな通りだった。
周囲を素早く見渡して犬の子一匹居ない事を確認した後、なつきはすぐ正面にある店舗へと目を向ける。
「薬局か」
それはドラッグストアのような大きな物ではなく、個人経営なのであろう小さな物だった。
包帯やその他の薬等使える物があるかもしれないと考えながら、なつきは店内へと続く小さな扉を押し開ける。
そこにはすでに先客が居た。年の頃は十代前半か、それ以下だろうか?
黒いデイバッグを持った少年が、少し驚いたような表情でこちらを見つめている。
なつきは自らのエレメントを具現化させると、目の目の少年へと銃口を向けながら素早く店内を観察した。
(棚がいくつか空になっているな……それなりに冷静な上に、少し頭が回るようだな)
「動くな。お前の名前とこの殺し合いに乗る気なのかどうか……それから、お前の持っている力についてを教えてもらおうか?」
「お、お願いだから殺さないで!」
怯えた表情を見せる少年に銃を突きつけながら、彼に質問をする。
銃に恐怖を覚え懇願する彼の様子は、その姿の通り年端もいかない子供そのままだったが、なつきは銃を下ろそうとはしなかった。
(私の推論が正しいなら、こいつも何かしらの能力を持っているはずだ……
 それに、アリッサ・シアーズや凪、理事長の例もある。子供という見た目だけで判断するのは早計か)
「ぼ、僕はドモン・カッシュ。人を殺したり、なんてしないし……持っている武器も、変なナイフが一本だけだよ……」
そう言いながら少年は手にしていた鞄をゆっくりと下ろす。
なつきはその鞄を一瞥しながら、ドモンと名乗った少年に再び同じ質問を投げかけた。
「支給された武器の話じゃない。お前自身、何か特殊な能力を持っていたりするんじゃないのか?」
繰り返された質問に、ドモンはおずおずと首を横に振る。
(やはり、本当の事は言わないか……それとも本当に?)
とりあえず、今は保留しておくかと考えながら、小さく「そうか」と返答し銃を下ろす。
そしてエレメントを消しながら、なつきは軽く頭を下げ謝罪と自己紹介の言葉を口にした。
「手荒な真似をしてすまなかったな。私は玖我なつきだ」
693: 2007/09/25(火) 00:09:38 ID:0JlIc8H/(3/5)調 AAS
  
694: 汝は〜なりや? ◆FbVNUaeKtI 2007/09/25(火) 00:09:35 ID:CXh4BjpZ(5/6)調 AA×

695: 2007/09/25(火) 00:09:43 ID:XAV59T1X(3/3)調 AAS
 
696: 2007/09/25(火) 00:10:56 ID:/622+3yn(2/4)調 AAS

697: 2007/09/25(火) 00:13:28 ID:CXh4BjpZ(6/6)調 AAS

698: いきなりは変われない ◆h8c9tcxOcc 2007/09/25(火) 00:23:51 ID:DtIeRnZG(1/3)調 AAS
G-3エリア、空港内。
明かりの落ちたロビーに、雲に隠された弱々しい月明りだけが差し込んでいる。
そのだだっ広い空間の真ん中にぽつんと置かれた、ウレタン入りの柔い長椅子に腰かけ、こなたは身震いをしていた。
鞄を脇へ放りだし、貧乏揺すりをつづける脚をごしごしと擦る。やがて震えは全身におよんだ。
腰を折り、自分の体を両腕で抱きしめる。それでも、震えは止まりそうにない。
たったいま起こったことが、頭から離れなかった。あの部屋で見た、自らの目を疑ってしまうような光景が。

まず、衣装の完成度がすばらしい。
小手先の技術だけで作れる代物ではない。途方もなく深い愛とこだわりをひしひしと感じた。
何の衣装なのか思い出せないのが惜しいが、俳優との一体感も相乗効果をなし、見事としかいいようがない出来だった。
そして常軌を逸した派手な演出。生身の人間が一瞬にして特撮ヒーロー姿に変身、悪の親玉と
決死の激闘を繰り広げたのち、はるか十数メートル後方の壁まで吹き飛び、挙げ句に首まで刎ねとばされるという壮大さ。
壁に叩きつけたのがダミーとのすりかえをする為だったのは見てのとおりだが、いつすりかえられたのかはいよいよ見抜けなかった。
さらにボルテッカのエフェクトは、こちらまで巻き込まれるのではないかと感じるほどの鳥肌ものであったし、充実の三分間であった。
しいて難癖をつけるとすれば、悪役がヒーローに変身アイテムを寄越すシナリオに露骨なヤラセを感じてしまうことくらいか。
参加者もコスプレをした者がほとんどだし、ブレードら出演者の他にもいくらかのサクラは紛れているのだろうけれども、
それを差し引いたとしてもあの臨場感はそうそうお目にかかれるものではない。
特撮もなかなか捨てたものではないと、自他ともに認める二次元の信奉者はかすかな浮気心を抱いた。
そのうえこれから本編が始まると思うと、期待で震えもくるというものである。

ようするに、こなたはあの出来事を『演出』と捉え、同時に『ゲーム』を手の込んだサバイバルゲームと考えたわけである。
699: 2007/09/25(火) 00:25:41 ID:TIK4SdxO(2/4)調 AAS

700: 2007/09/25(火) 00:25:59 ID:/622+3yn(3/4)調 AAS

701: 2007/09/25(火) 00:26:15 ID:BPzw6pCs(3/6)調 AAS
 
702: いきなりは変われない ◆h8c9tcxOcc 2007/09/25(火) 00:26:11 ID:DtIeRnZG(2/3)調 AAS
ひととおり批評を済ませたところで感激の身震いも収まり、思い出したように鞄を拾い上げる。
中には、活動するにあたり最低限必要と思われるアイテムが詰められていた。
地図によれば、舞台はかなり広範囲におよんでいるし、食料は二、三日分はあるだろうか。
つまり参加者は、この広大な土地を縦横無尽に歩き回り、三日そこらはぶっ通しで『ゲーム』に興じることになる。
相当巨大なスポンサーのついた催しであることを、あらためて認識させられる。
次いで取り出した名簿を見て、失笑する。胡散臭い名前が軒を並べるなかに、よく知る名があったのだ。
柊かがみに柊つかさ。そして従妹のゆたかの三人。
顔ぶれにやや違和感を覚え、ああ、みゆきさんだけ居ないのかと一人合点した。
なんだか“らしい”なと思ってまた噴き出してしまったのだが、このことは口外無用としておく。
それから、簡易照明器具を除けた先にあったのは、『ゲーム』の主役といって差し支えないアイテム、エアガンだった。
嬉々としてこれを取り上げ、まじまじと眺めてみる。
重さといい弾薬部分の精巧さといい、異様にリアルな造りである。
オープニングであれほどの演出をやってのける団体なら、このくらいのディテールは当然かもしれないが。
とはいえ、こういうものは、実用性を重視するのがユーザーフレンドリーではないのか。
不要なところのリアリティに力を注ぐ姿勢はかなり独り善がりに感じられる。ここは大きな減点といえた。
703: 2007/09/25(火) 00:28:00 ID:TIK4SdxO(3/4)調 AAS

704: 2007/09/25(火) 00:28:03 ID:/622+3yn(4/4)調 AAS

705: 2007/09/25(火) 00:28:05 ID:JdqTvlaD(1)調 AAS

706: 2007/09/25(火) 00:28:21 ID:BPzw6pCs(4/6)調 AAS
 
707: いきなりは変われない ◆h8c9tcxOcc 2007/09/25(火) 00:28:53 ID:DtIeRnZG(3/3)調 AAS
試射に適当な的がないかと見回していると、真後ろあたりからがしょん、がしょんという奇妙な音が聞こえてきた。
こなたはすぐさま、椅子の陰に身をひそめた。膝をぶつけた拍子に鞄が倒れ、中身が少しこぼれてしまう。
がしょん、がしょん。均等な、ややゆったりとしたペースで、音はだんだんと大きくなった。
細心の注意を払いながら、背もたれの上に顔を目の高さまで出して様子をうかがう。
右手のほうに、甲冑のコスプレをした大男の姿が見えた。いや、フルフェイスの兜を着けているので性別までは判断できないか。
靴底に金属部分を付けて雰囲気を出そうとしているのだろうが、足音はどこか軽薄で、安っぽい印象が否めない。
甲冑はほぼまっすぐ、向かって左のほうへと歩みを進めていく。椅子との距離は八メートルといったところか。
エアガンのグリップを握り締め、音をたてないよう慎重に標的へと向ける。
余裕を見せ付けるために、頭部を撃ってやろうか。この距離なら、砲身に癖さえなければ確実に狙えるつもりだ。
仮に外したとしても相手はあの動きづらそうな衣装、充分逃げおおせる自信はある。
とはいえ、最初の一歩を踏み外せば気分も盛り下がるし、もしかしたら他の参加者に告げ口をされて危機に陥る可能性もある。
的も大きいことだし、ここは無難にボディを狙っておくべきか。やりそびれた試し撃ちも兼ねて。
ここまでコンマ三秒で考えたのち、照準を合わせて引き金を引く。
708: 2007/09/25(火) 00:29:54 ID:TIK4SdxO(4/4)調 AAS

709: 2007/09/25(火) 00:29:59 ID:BPzw6pCs(5/6)調 AAS
 
710: 2007/09/25(火) 00:31:47 ID:0JlIc8H/(4/5)調 AAS
  
711: 2007/09/25(火) 00:33:39 ID:B6iD+hxT(2/2)調 AAS
 
712: 2007/09/25(火) 00:33:45 ID:BPzw6pCs(6/6)調 AAS
 
713: 2007/09/25(火) 00:34:57 ID:nDR0rRbs(1)調 AAS
次スレ
2chスレ:anichara
714: 2007/09/25(火) 00:47:29 ID:MHIuwf0Y(1/2)調 AA×

715
(1): 2007/09/25(火) 00:52:06 ID:MHIuwf0Y(2/2)調 AAS
誤爆失礼
716: 2007/09/25(火) 01:00:21 ID:0JlIc8H/(5/5)調 AAS
>>715
!?
1-
スレ情報 赤レス抽出 画像レス抽出 歴の未読スレ

ぬこの手 ぬこTOP 0.187s*