[過去ログ] モララーのビデオ棚in801板57 (502レス)
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462: オリジ 掃除屋 1/4 2010/05/10(月) 21:34:51 ID:ba2rMHZQ0(1/3)調 AAS
微ファンタジー的。えろ要素は残念ながらない。申し訳ない。
死ネタ。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
どうせ長くは生きられん。男はそう言って低く笑った。暗殺者が大往生なんざ、笑えねえ
冗談だ。そう続けたものだから、暗殺者心得なのかと思ってしまった。言葉通りだったのだ。
眠れなくなった、ぽつりと彼は呟い た。手酷く抱けとのリクエストに従ったあとのこと
だ。どろどろに汚れて疲弊しても、眠りは彼を休ませてくれなくなったのだと。その時はさ
して問題に感じなかった。じいさん連中に扱き使われるな、そう不満げに漏らした彼の目は
静かだったからだ。今思えばあそこにあったのは諦観だった。
次に彼に会ったのは数週間の後だった。ぞっとした。泪袋を赤黒く染めて、淀んだ視線を
寄越して男は力なく笑った。あんた、呆然と零れた呟きに彼は言葉を返さなかった。
彼はもう仕事をとらなくなった。集中力を要する仕事だ。悪夢ばかりとはいえ眠りは必要
だった。散々に彼を扱き使って、上層部の老人たちは彼を捨てた。彼はそれを嘆かなかった。
当たり前だ、殺されなかっただけありがたいね。いっそ仕事で失敗した方が、と彼の未熟な
弟子は漏らして、はっと恥じるように俯いた。日頃生意気な彼女が、実は深く師匠を愛して
いるのだと知っている。かつて一度、彼が死にかけたとき、彼女は迷わず己の全てを差し出
そうとした。血も臓器も何もかも使っていいから、彼を助けてと。しかし血液型があわなか
ったためにそれは叶えられなかった。彼女は今でもあのときのことを憎んでいる。差し出せ
たにも関わらず、血の一滴すら与えようとしなかった男、と蔑むあの目。その男と愛する師
匠が恋仲などと、彼女は長い間認めようとはしなかった。あの嫉妬の視線は存外に心地いい
ものだった。彼女の、唯一少女らしい部分だった。
遺伝性の病なのだという。四十までに発病しなきゃ勝ちだった、と彼は笑った。ギリギリ
で負けちまったな。
「そんな顔するんじゃねぇよ、まだ死んで ねーぞ」
センパイ、と呟いた声は無様に擦れて、彼に悲しげな顔をさせた。冷酷な素振りをして、本
当はひどく優しいのを知っている。
463: オリジ 掃除屋 2/4 2010/05/10(月) 21:35:51 ID:ba2rMHZQ0(2/3)調 AAS
「おまえがそんな殊勝な呼び方するってことは、無理なお願いしたいんだろ。言ってみろよ」
ソファにふかく埋まった彼は、恐る恐る差し出した指を軽く握った。熱い手のひらだった。
「死なないで」
膝をついて、請うように。いや、正しく請うたのだ。熱い手を額におしあてて、滲んだ声で
呟いたそれに、彼はただ緩く笑うだけだった。
叶えられない願いだと、知っていたのに言わせる彼は残酷だと思った。それとも、彼なり
の贖罪だったのだろうか。
それまで一番怖いものは死だった。死ななければ何とでもなる、そう思って生きてきた。
生きていても、どうにもならないことがある。彼の言葉を遮るように口付けることが多くな
った。彼は薄く笑ってそれを受けた。彼は、彼の友人であり部下であり恋人が、彼の、殺し
てくれというただ一言を恐れてい ると知っていた。その一言が彼の渇いた唇から発せられ
ること、それが一番恐れることだと。
ゆっくりと死んでゆく彼。浅い息、いつでも熱い身体。 時折ふと許されたように薄く微
睡む。しかしそれだけだった。彼の体は活動を続ける。彼が生きるはずだった時間を早回し
で消化するように。
体の時間と逆行して、彼の意識は過去を漂いはじめた。微かな声で思い出話をする、それ
は死の間際に過去を思い出すようで嫌だったが、同時に安堵もした。少なくと も話してい
る間は、彼は生きていた。
「おまえが初めて、ここに来たとき」
彼の声に耳を澄ませる。
「所長と俺で、飯食いに行ったろ」
家を出て、この社会に足を踏み入れたときのことだ。彼はまだこの事務所の所長ではなか
った。薄暗い眼をしたクソ餓鬼を、彼と先代は拍子抜けするような明るさで以て迎えた。
「けっこうイイ店だったのに、おまえ、変な味っつって」
笑みを零した彼の、骨張った指をなぞる。
「覚えてる、すっげえ怒られて」
「おまえ、涙目で謝ってさ、あの頃は可愛かったのになァ」
今は違うって?、当たり前だ馬ァ鹿、あんただってあの頃は優しかった、俺はいつだって優
しい先輩だ。他愛ないやり取り。近く失われる。
464: オリジ 掃除屋 3/3 2010/05/10(月) 21:38:22 ID:ba2rMHZQ0(3/3)調 AAS
ブサイク、彼が苦しそうに笑って、はたはたと彼の手の甲に落ちる雫にやっと気付いた。
指を絡める。祈りの形をつくるように、でも神には祈れない。今死のうとしているのは神だ
からだ。
「あのとき、俺たちはおまえが可哀想で、」
彼の手が柔らかく頭に落ちるのを感じた。彼はもはや笑っていなかった。
「こんな俺らだけど、ぜったいこいつを上の思うようにはしないって思った。こいつを笑わ
せて、怒らせて、泣かせて、思う存分生きさせてやるんだって、思った」
だから、と彼は微笑んだ。
黒い煙が上がる。顔を焼かれ、指の皮を剥がれ、歯を抜かれた彼の死体。その処置を粛々
とこなした小男は、憐れむようにこちらへ視線を寄越して一言、やるか、と訊いた。できる
はずがなかった。彼の、身体だったモノ、に。身元不明で他の有象無象の死体と一緒に焼か
れた彼の、煙を見つめる。目元を赤く腫らした同僚の肩を抱く。常なら決して許さなかった
だろうその行為を、彼女は許した。感傷を分かち合いたい気分は自分だけのものではなかっ
たらしい。
毒に慣れ、毒になった身体を、厭うことなく愛情を返してくれた彼の死に顔は安らかだっ
た。やっと永の休息を手に入れたのだ。絶望と安堵。彼は最後まで、殺して欲しいとは言わ
なかった。辛そうに息を途切らせてぎゅっと手を握ることはあっても、殺せとは言わなかっ
た。
いつだって人のことばかりで、本当は、殺せ、と言ってくれても良かった。それがどれほ
ど辛いことでも、彼のためならやれたのに。やれたのに。お前は、思う存分、思うように生
きていいのだと、そう言って。思うように笑って、泣いて、怒って、やりたいことを、やり
たいように。
自嘲の笑みを佩いた。愚か者。やりたいことは、やりたかったことは、もうできない。彼
は死んでしまった。もう彼を救うことはできない。
泣くことすら、できない。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
ごめん、4つもいらなかった。
部下をかわいがるオッサンとそのオッサン大好きな部下が好きだーー!!
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