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32: 2010/03/28(日) 05:33:54 ID:5bYZtnEi0(1/4)調 AAS
!!ナマ注意!!
飯共の川柳と全夜の花見ジングルをネタに歩歩路の撮影風景を妄想
エロ無しのただ甘いだけの小話です
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
33: 鳳 粕×和歌 巷に花の降る如く 1/3 2010/03/28(日) 05:35:37 ID:5bYZtnEi0(2/4)調 AAS
ひらひら、ひらひらと花びらが次々に舞い落ちる。
不規則に揺れながら落ちていく花片を目で追っていると
頭上からカメラマンの声がする。
「目線、上にくださーい」
大声に促されて視線を上げる。
脚立の上の眩しいライトの、そのまた上のほうから
次々とピンクの花吹雪が舞い落ちてくる。
『綺麗だな』とは思うけれど、どんな顔をすればいいのか分からなくて
ただぼんやりと見上げていた。
こうゆうのって本当に苦手なんだよなぁ。
撮影前には、気を使ったスタッフから「和歌林さんは・・・いつも通りで」なんて言われちゃって
いつも通りって・・・能面でいいんッスかね。
隣では本当に楽しそうに笑う相方。
素直に表情に出せるこいつが、昔から羨ましくもあり、妬ましくもある。
俺の視線に気付いたのか、粕賀がふとこっちに視線を向ける。
目が合うと、あいつの笑顔がさらに優しくなって、ドキリとする。
舞い散る花びらの中に立つ粕賀は、いつもより格好良く見えて
ピンクのベストが、花吹雪に溶け合うのを、つい見惚れてしまった。
「満開の粕賀は、どうですか?」
照れ隠しなのかなんなのか、頬も少しピンクに染めて、一段と胸を張る。
「バーカ、お前なんか、いいとこ三分咲きだろうが」
34: 鳳 粕×和歌 巷に花の降る如く 2/3 2010/03/28(日) 05:38:14 ID:5bYZtnEi0(3/4)調 AAS
「じゃあ、まだまだこれから咲き誇るって事ですね」
「・・・日本のために、止めてください」
「なんなんだよっ!」
いつもの軽口の応酬に、我知らず口元も緩む。
自分でも、自然と笑顔になっているなと思った瞬間
連続したシャッター音が聞こえた。
「いただきましたー!ありがとうございまーす!」
満足そうなカメラマンの声がかかって、撮影が終わった。
やれやれと肩の力を抜いて、ふと傍らに視線をやると
なにやら困惑したような表情が目に入った。
「どうした?」と目で問うと、ため息交じりに粕賀が呟いた。
「困ったねぇ・・・」
「何が」
「こんなに可愛らしい顔で笑うあなたを他の誰にも見せたくないなんて、思っちゃって」
「は?」
「今の写真を見る全ての人類に、嫉妬しそうですよ」
恥ずかしげも無くこんな事を言ってのける相方に、手が出そうになるのをぐっと堪えた。
「何言ってんだ、バーカ」
「だぁってぇ!」
「お前が、一番間近で見てんだから、贅沢言うな」
自分が言った言葉に、自分で照れてしまって、頬が熱くなる。
視線を逸らして横を向いた俺の頬に、そっとアイツの右手が触れる。
不意を衝かれた俺は、少しびくりと震えてしまった。
35(1): 鳳 粕×和歌 巷に花の降る如く 3/3 2010/03/28(日) 05:41:20 ID:5bYZtnEi0(4/4)調 AAS
「・・・何?」
「ん?花びらがね・・・おたくさんのホッペに・・・ほら」
ちょいと摘んで、一片の花びらを俺の目の前に差し出した。
よく見ると、粕賀の髪にも数枚の花びらが乗っている。
「お前にだって、ついてんじゃん・・・ほら」
手を伸ばして払ってやると、はらはらと舞い落ちる薄紅の花。
俺とあいつとの間に流れる甘い空気に流されそうになって、慌てて手を引っ込めた。
粕賀は俺の動揺を読み取ったのか、ニヤリとスケベ面で微笑って
指先に摘まんだ花びらに、俺の目を見ながら軽く口付けた。
茶色の瞳が揺れて、その奥にちらりと光る情欲が透ける。
「なに、考えてる?」
探るように問い質すと、ふふふと小さく笑う。
「おたくさんと、同じ事」
「・・・すけべ」
「っ!お互いさまでしょうよ!!」
一歩体を寄せて、周りのスタッフに聞こえないように小さく小さく囁いた。
「・・・後で、な」
粕賀は一瞬息を飲んだ後、物凄く嬉しそうに「うぃ」と返事して満面の笑みを浮かべた。
巷に花の降る如く、わが心にも花が降る
かくも心に滲み入る、この幸せは何やらん・・・
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
36(1): 銀盤※ナマモノ前編 2010/03/28(日) 13:19:07 ID:EdAnDp4rO携(1/5)調 AAS
再びこちらで失礼します。
生モノ、銀盤某選手2人の2009エピを、画像や動画を元に捏造妄想。
名前は完全に伏せてあります。
細かい部分は銀行からのニワカ故にご容赦ください。
前スレのものから続いています。
前後編に分けますので、後編は様子を見て、夜か明日投下させていただこうかと思います。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
37(1): 銀盤生モノ 1/4 2010/03/28(日) 13:20:10 ID:EdAnDp4rO携(2/5)調 AAS
彼への印象は『そこそこ気が合って、たまに理解出来ないセンスを持つ、女好き』。
あと、僕は嫌いなスピンが得意で美しい、せいぜいこのくらいだったと思う。
最初は本当に軽い気持ちで彼に声を掛けた。
このつまらない時間を潰してくれるなら誰だって構わなかった。
たまたま、すぐ横に僕と同じようにつまらなそうな顔をした彼がいた、それだけ。
別に他意なんてものは無かったんだけど…。
「……っ!?」
唐突に、柔らかく首に巻き付いてきたのは黒いマフラー、…じゃなく、腕?
頬を擽る髪から香るフレグランスで、背後から抱きしめてきた相手が誰なのかはすぐに判った。
「ははは、いいね、そのショット!」
たまたま僕の真正面にいたカメラマンが、笑いながらカメラを構えて、フォーク片手に背後から抱きしめられてる様をカメラへ写しとった。
まったく、なにが『イイ』んだ。
38(1): 銀盤生モノ 2/4 2010/03/28(日) 13:21:54 ID:EdAnDp4rO携(3/5)調 AAS
「……食事をジャマされるのは好きじゃないんだけど」
カメラマンが他のテーブルへと移動するのを横目に、チクリと釘を刺しても巻き付いた腕は離れない。
「ミスターゼブラ?聞いてる?」
「どうしていきなりいなくなったの?」
くぐもって僕の肩口から聞こえてくる、わざと拙くした返事は、聞かなければよかった類のそれ。
やっぱり『それ』か。
あえて答えることは放棄して、首に彼の腕を巻き付けたまま、僕は食事を再開した。
身が付いたままの毛皮だと思えば気にならない。
「ウブなんだ、見掛けによらず」
黙々と食事を再開した僕をようやく解放した彼の言葉は、普段なら僕を苛立たせるには充分なんだけど、恐ろしく無邪気な笑顔に苛立ちも引っ込んだ。
「…見掛けで判断されるのも好きじゃない」
フォークで食べかけのフルーツを突きながらそう返すと、彼はやっぱり無邪気に笑いながら肩を竦めるだけだった。
どうしていきなり、ね。
それはこちらの台詞じゃないか?
39(1): 銀盤生モノ 3/4 2010/03/28(日) 13:23:38 ID:EdAnDp4rO携(4/5)調 AAS
ついさっきまで、僕と彼はちょっとした『お遊び』をしてた。
ショーのリハーサルなんて、その半分以上は待ち時間との戦いだ。
そんなつまらない時間を潰すのに、彼を誘ってペアの真似事をしたのはほんの気まぐれでしかない。
でも、いざ始めてみると、これが中々に面白かった。
周りの反応も上々で、僕のエージェントなんかカメラまで持ち出してたし。
それだけなら『面白かった』って気分良く終われたのに、彼がそれをぶち壊した。
またスロージャンプをやろうと、二人で並んで滑っていたら、不意に彼が僕の前に回り込んできた。
「なに?」
彼が僕の腰に両手を絡めたままだから、まるで抱き合うみたいになって滑りながら、僕は彼の行動に首を傾げて見せた。
「……君といると不思議な気持ちになる」
「え?」
あまりに突然な告白に、頭の中が一瞬フリーズを起こした。
自慢じゃないが、『口は禍』を地でいく僕は、周りからバッシングを受ける程度には口が回る方だ。
でも、その瞬間は彼の瞳に飲まれたみたいに口が動かなかった。
40(1): 生モノ銀盤 4/4 2010/03/28(日) 13:28:29 ID:EdAnDp4rO携(5/5)調 AAS
「君は本当は男でも女でもない、天使なんじゃないかって思えるんだ」
エッジが氷を削る音に紛れる程の小さなその呟きは、それこそ天使が放った矢のように僕に刺さる。
刺さった場所から広がる訳の解らない感情にバランスを崩して、自然と傾ぐ体を僕は支える事が出来なかった。
そのせいで、動きを止めた彼の胸に身を預ける羽目になったのは、盛大なるミステイク。
「……大丈夫?」
耳に吹き掛けられた吐息混じりの問い掛けに、一気に熱が上がっていく。
ハイスクールのウブな女の子でもないのに、胸が苦しくて、頷くしか出来ない。
フッと彼が笑った気配に顔を上げたのは、僕の二度目のミステイク。
そして、僕の耳元から頬へ彼の唇が移動する。
柔らかく濡れた感触が、見開いた僕の瞼の縁に、そっと、触れて離れていくのを僕は呆然と眺め…、気が付いたら彼を突き飛ばしていた。
周りは何事かと、一瞬、騒然となったけど、あれは僕だけの非では決してない。
そして、この胸の高鳴りにも、意味なんてないんだと、僕は自分に言い聞かせた。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
エロもなく、801でもなく、すみません。
後悔はしてませんが、反省はしてます。
41(1): 月蝕 1/2 2010/03/28(日) 14:42:17 ID:8iBHxCki0(1/4)調 AAS
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タイガードラマの武智→涼真。
涼真三味線ベンベンの回と先生涙ポロリの回をねつ造。
似非土イ左弁なのはご愛嬌で。
涼真の歌声が聞こえてくる。
そういえば昔から歌う事が好きな男であった。
酒元家の前に佇みながら武智はふと昔を思った。
決して幸福とは言えないがあの家族に包み込まれた涼真は夢の中にまどろんでいる子供の様であった。この世の厳しさも理不尽さも理解し切れていない男だった。
だが、愛する者を失うというあの一件で目覚めていた。
涼真は器用である。
自分自身に対しても他人に対しても、迷いながらでも結局は器用に生きている。
それが己はできないでいた。
これからの土イ左の為には涼真は必要である。
武智は門を叩いた。
42: 月蝕 2/2 2010/03/28(日) 14:43:42 ID:8iBHxCki0(2/4)調 AAS
「おまんを頼りにしちゅうじゃが!」
皆が涼真を求めている。それなのにこの男の態度は煮え切らないでいる。
何故理解してくれない?何故この声に耳を傾けようとしてくれない。
苛立つ心を引き摺って飛び出していた。
「武智さん!」
己を呼ぶ声を振り切って駆け出す。
何故土イ左の為に・・・いや、この国の為に必死になっているこの心を理解してくれないのだ。誰も。
『おまんはしょうまっことそう思っちゅうのか?』
「誰じゃ!」
突然の声に足を止める。
だが、周りには誰もいない。
『おまんががしょうまっこと求めちゅうのはなんじゃ?』
やはり耳元で声がする。静かで見透かした様な声だ。
空耳なのか?いや、それとも自分の心なのか?
姿の見えぬ何かはまだ語りかけてくる。
『おまんがしょうまっこと求めちゅうのは』「やめい!」
その先を聞くのが恐ろしくなってその声を遮るように叫んでいた。
違う。違う。違う。
己はそんな弱い男ではない。
「武智さーん!」
遠くで涼真の呼ぶ声が聞こえ、咄嗟に物陰に身を潜めた。
違う。違う。違う!
何度も聞こえてきそうな声を打ち消していた。
43: 月蝕 新月1/2 2010/03/28(日) 14:51:15 ID:8iBHxCki0(3/4)調 AAS
そんな日々の記憶がさらに武智を追い詰めていた。
「くうぅああ」
苦しい。
塔要達に足蹴りにされた痛みの所為ではない。
絶望と恐怖がじわじわと体を締め上げていた。
どうすればいいのだ。
朦朧とする意識の中で答えの出ない問いを考え続けている。
『めっそ目を覚ませ、武智』
誰だ?
その声は聞き覚えがあった。
『おまんは何を求めちゅう』
ああ。あの時の声か。
その声は涼真の家から苛立ちに任せて走り去ったあの日に聞こえた声であった。
―おまんがしょうまっこと求めちゅうのは―
やめろ。やめてくれ!
『ほりゃあ先生などとゆう立場でもなく、この国の将来でもない』
やめろ。
『おまんが求めちゅうのはあの男』
「やめいぃ」
部屋には自分にそっくりな男が立っている。だがその目は酷く冷たく、自分であって自分で無い様な顔だった。
44: 月蝕 新月2/2 2010/03/28(日) 14:52:30 ID:8iBHxCki0(4/4)調 AAS
『めっそ目を覚ませ。おまんがほがな中途半端な気持ちで求めちゅうから、誰にもなんちゃーじゃ伝わらん。このままじゃーおまんは終わりだ』
「わしはどうすれば」
『わしはお前の味方ぜよ』
ポロリと涙が零れる。ずっと欲しい言葉であった。その一言でいいのだ。
「どうすれば・・・」
『酒元に塔要を・・・・』
その言葉に目を見開く。体が芯から冷えていくのが分かる。
「けんど」
『ほがな想いに縛られるな。おまんの周りは全て手駒だと思え』
「わしにゃいかんじゃ」
『おまんにゃその資格も器もある』
「けんど」
『そうでもしやーせん限りおまんは酒元を手に入れられん』
「・・・っ」
『わしはおまんの味方じゃき』
張りつめていた糸がピンッという音をたてて切れた。
「・・・そうじゃ。斬ってしまえ」
『そうじゃ。わしの声に従っていればはやだらしゅうもならん』
『おまんから全てが無くなっても』
「わしはおまんの味方じゃき」
汗に濡れた口元が歪んだ。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
ナンバリングを間違えて苦し紛れをやってしまいました。すみません。
黒のも白のも先生が好きすぎて困る。
ありがとうございました。
45: 2010/03/29(月) 00:40:03 ID:TMAyYLhH0(1)調 AAS
>>41
黒白先生GJです!
「味方ぜよ」は寂しい人には究極の殺し文句だなぁ。
46(1): 記憶 1/4 2010/03/29(月) 01:07:36 ID:cx9cp3As0(1/4)調 AAS
生 注意
六角なクイズ番組同級生コンビ新×先
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
しんだろー……しんちゃん、好きだよ……
耳に残るのは甘いささやき。唇には柔らかい感触。
目に焼きついた、とろける様な極上の笑顔──。
「おい!聴いてんのかよ?」
カフェのテーブルをコンコンとひろみが叩く。
「あ、ごめん。もっかい言って?」
「何だよー。ちゃんと聴けよな」
文句を言いつつ話を繰り返す顔と声には、甘さの欠片も無い。
いつもと同じひろみだ。
忘れてる。
こいつ昨日のこと絶対に覚えてないな、と確信した。
47: 記憶 2/4 2010/03/29(月) 01:08:17 ID:cx9cp3As0(2/4)調 AAS
みんなでわいわい騒いでた昨日の飲み会。
偶然が重なり、二人ぽつんと部屋に残された。
「しーんちゃん。おい、しんたろう!こっち向け」
「お前すげー酔ってるだろ?」
「なーに言ってんだよ。酔うために飲んでんだからあったりまえじゃん」
やべー。完全に目が据わってる。
ひろみがこんなに酔っ払ってるの珍しい。
いつもはハイになっても、ここまで酔うことないのに。
「ひろみ、ちょっと水飲んだら?」
「いらねーよ。なんで水なんだよー。せっかく美味い酒飲んでるんだからお前も飲め」
「はいはい、飲んでるさー」
「あれ?なんで誰もいねーの?」
「みんなトイレとか電話とか……あとは分からん」
「ふーん……二人きり、なんだぁ……」
ちらりとこちらを見上げる、上目遣いの目線に思わずどきりとする。
48: 記憶 3/4 2010/03/29(月) 01:08:47 ID:cx9cp3As0(3/4)調 AAS
「しんたろー」
呼ぶなり、両手で襟元を掴まれて強く引き寄せられる。
至近距離で見ても綺麗な顔だ。
「何ー?」
額をこつんと合わせたひろみはふふっと笑った。
あどけないのに色っぽい、不思議な笑い。
「しんたろー……しんちゃん、好きだよ……」
ささやかれた声に時間が止まった。
長い睫毛がゆっくりと伏せられる。
目の前の顔がもっと近くなり、唇が重なる。
柔らかい。と思った瞬間にはもう離れていた。
ゆるやかに、華が咲くようにひろみが笑う。
その笑顔に、心の奥からいままで知らなかった感情が引きずり出される。
メッシュが入った髪がふらりと揺れて倒れてくるのを受け止めた。
49: 記憶 4/4 2010/03/29(月) 01:09:28 ID:cx9cp3As0(4/4)調 AAS
あのまま寝ちゃうなんてひろみはズルイ。
そんで起きたら何も覚えてないなんて、もっとズルイ。
「だからー、ってマジ聴いてねーだろ?またボーっとしてるし」
「はいはい、聴いてる聴いてる」
「人が一生懸命説明してんだから、もっと真面目に聞けよな」
口を尖らせる顔をうっかり可愛いと思ってしまい、無理矢理視線を窓の外へ向ける。
そんな話じゃなくて、もっと聴きたいことがあるさー。
昨日のあの言葉はマジ?とか。
今度は俺からキスしてもいい?とか。
でもお前が何も覚えてないんだから、俺だって何も言えない。
もやもやする気持ちを持て余し、アイスラテをストローで思い切り吸い込んだ。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
飴☆の会話で、先は酔っ払ったら何かしそうと妄想したらこうなったw
同級生コンビ可愛いよ。
50: 銀盤生モノ 後編 2010/03/29(月) 07:12:08 ID:ywbFVZ0FO携(1/4)調 AAS
>>36-40の後編を投下させて頂きたく、携帯から失礼します。
生モノ銀盤某選手2人の2009年エピを、画像や動画を元に捏造。
生モノなので名前は完全に伏せてあります。
銀行からのニワカ故、細かい箇所はご容赦を。
溜まりに溜まった萌えの発散で、801未満です。orz
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
51: 銀盤生モノ 1/3 2010/03/29(月) 07:14:09 ID:ywbFVZ0FO携(2/4)調 AAS
「たまたま当たっただけで…」
「ふぅん、君は舌をいつも出しっぱなしなのかい?まるで犬だな、次のEXは猫じゃなくて犬にしたらいいよ」
なけなしの僕の言い訳は、思い出したくない過去を擬えた皮肉で、スッパリと切り落とされた。
僕自身、どうしてあんな事をしたのか、わからない。
いや、正確に言うなら、どうしてしたのかは解るんだけれど、それを引き起こした感情は解らない、かな。
きっかけはあのスロージャンプ。
僕の腕から離れ、羽根でも生えたように宙を舞い、鮮やかに着地した彼を見た瞬間、『美しい』と素直に思った。
流れるようなランディングに、しなやかに舞う身体、氷上の彼は紛れも無く僕を魅了してた。
競技としてではない、遊びのそれはむしろ、彼本来の持つ魅力を際立たせているように感じたのは、間近で彼を感じていたからなのだろうか。
一つ一つの遊びの中で、彼の違う面をもっと見たくなった。
その妙な感覚は、ベッドでの交わすそれに似ていて、触れる度に沸き起こる高揚と、もっと暴きたいという欲求。
捕まえようとすると、するりと逃げる彼に、翻弄されてる錯覚さえ覚えた。
だから、逃したくなくて、捕まえてみたくて、正直に彼へとそれを伝えたのが失敗だった。
52: 銀盤生モノ 2/3 2010/03/29(月) 07:15:44 ID:ywbFVZ0FO携(3/4)調 AAS
すんなりと僕の腕の中へ堕ちてきた彼の、間近で見る薄い皮膚の下で色付いた頬の滑らかさに息を飲んだ。
そして、伏せられていた瞼を彩る長い睫毛が揺れて、僕へと瞳が向けられた瞬間、考えるより先に体が動いていた。
舌先で震える睫毛を軽くなぞるようにして、彼の瞳を奪う。
震える程の愉悦を覚える自分と、何をしているんだと警鐘を鳴らす自分、結局勝ったのは、僕を盛大に突き飛ばしてくれた彼だった。
「……もういいよ」
思案の海に漂っていた僕を引き戻す、小さな言葉に逸らしていた視線を彼に戻す。
部屋の暖かさに色濃くなった赤い唇が笑みに上がるのを見て、身体を駆け抜けたのは安堵。
「僕も君を突き飛ばしたし、チャラにしよう」
いつの間にか空になっていた皿にフォークを戻しながら、肩を竦めた彼に異を唱えたい衝動に駆られたけれど、なかった事にしたくない、なんて事を言える訳もない。
「ヘイ、お二人さん、さっきから仲良しじゃないか」
どう答えたらいいのか迷っていると、先ほど彼と談笑していたカメラマンが再び戻ってきた。
「ペアだからね、当然だろ」
気楽に返す彼の声は、普段と変わらぬそれ。
何となく気まずくて笑い返しただけの僕の肩に、スルッと彼の腕が回される。
「一枚、頼める?」
「もちろん」
カメラを構えたカメラマンに、ポーズを決める彼につられるようにして、笑顔を作る。
たったそれだけなのに、触れ合った身体の体温や、ほのかに香るフルーツと彼のフレグランスの甘さが気になってしまうのは、一体なんなんだろう。
53(1): 銀盤生モノ 3/3 2010/03/29(月) 07:17:08 ID:ywbFVZ0FO携(4/4)調 AAS
にこやかに離れていくカメラマンを目で追いながら、ぼんやりと考える。
「……隙だらけだよ、ミスターゼブラ」
「え?」
我に返るきっかけは彼だった。
チュッと高らかな音を立てて頬に触れて、すぐ離れた柔らかい感触。
そして、周りから上がる冷やかしの口笛に、呆然とする僕を婉然と見下ろした彼は、これみよがしに微笑んだ。
「さぁ、僕の可愛いパートナー、行こうか」
そう言って彼が差し出してきた手を取りながら、僕は自分の気持ちを半ば否定しながらも認めざる得なかった。
複雑に絡んだ気持ちはまだ理解を越えてるけど、唯一わかるのは、彼は天使なんて甘いモノではないって事だけだった。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
銀行で知って画像や動画を漁るうちに積もった萌えを吐き出したかったので、こちらを利用しました。
後悔はしてませんが、反省はしてますので、これ以上、銀盤関連の投下はしません。
ありがとうございました。
54: 2010/03/29(月) 14:53:27 ID:XyfWZf/DO携(1)調 AAS
>>46
うわー、GJ!
親先可愛いよ、親先ハァハァ
55(3): Offのゼータク 1/2 2010/03/29(月) 22:47:04 ID:5ewaLbfd0(1/2)調 AAS
半生注意
しーえむ。Offのゼータクで新人→先輩です。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
「先輩、今日呑みに行きませんか?」
「え? 俺と?」
花の金曜日。勇気を振り絞って誘ったのに帰ってきた声はあまりに間が抜けていて、けれ
どまぁ先輩らしいっちゃ先輩らしくて俺は少し笑ってしまった。
「他に誰が居るって言うんですか」
新入社員の癖に生意気だ、なんてどやされそうな台詞も、このお人好しの先輩は何も言わ
ない。そうだな、すまん、と謝られる。そして先輩は、たぶんこの人の癖なのだろう、少
し瞳を揺らして、
「別に、かまわないよ」
その返事に心の中でガッツポーズ。入社してずっとこの先輩が気になっていたのだ。気に
なっているというか、目が離せないというか。人当たりは穏やかで、怒った所なんて見た
こともなくて。でも意外と仕事が出来ることにも最近気がついた。たいていの先輩は入社
して一度は呑みに行こうと誘ってくれたのに、この人はそれが一度もなかったのだ。ただ
たんにそういうことが苦手なのだろうというのは、毎日の生活の中で気がついたけれど。
だからこそ、今日は思い切って自分から声をかけてみたというわけだ。
「店は、俺が選んで良いのか?」
行きつけの店があるんだ、と続く。思いの寄らない言葉に目を見張り、もちろんです、と
力強く言えば、先輩はそうか、とくしゃっと破顔した。この顔がたまらなく好きなんです
と言ったら、たぶんお店には連れて行って貰えなくなるから黙っておくけど。
*
56: Offのゼータク 2/2 2010/03/29(月) 22:49:54 ID:5ewaLbfd0(2/2)調 AAS
「でも、良かったんですか、僕なんか連れて来ちゃって」
ほどよく酔って、涼しい夜風に顔をさらしながら歩く。先輩はポケットに片手をつっこん
で、歩いていた足を止めてえ? と目を見張った。
「だって、初めて連れの人とって」
女将さんはこの人が誰かを連れてきたのは初めてですと綺麗に笑っていた。とうことは、
先輩は誰もここには連れてきた事がないはずで。友達も、同期も、上司も。そんな誰も入
り得なかったプライベートゾーンに、まだ知り合って少ししか立たない新人社員の俺が初
めて足を踏み入れてしまったというわけだ。
嬉しくて、たぶん夜じゃなかったらにやけた表情が晒されていた。今は三日月の光がほの
かに差しているだけで、少しだけ安心する。
「そうだなぁ」
先輩はうーんと考えるようにクビを捻った。瞳が月明かりを反射してゆらゆらと揺れる。
綺麗だなぁとその横顔を見ながら、俺は返事を待った。
「何でだろう。でもずっとお前を連れてきたいって思ってたんだ、なんでかなぁ…」
良いだろう、あのお店。またくしゃっと笑って先輩は言う。俺はたぶんそのあとの言葉を
飲み込む余裕なんて無くて、真っ赤になってしまった顔をふいっと背けた。なんと言うこ
とをさらっと言ってしまうんだろう。
「また連れて行ってやるからな」
俺は、はいと返事をするのが精一杯で、気に入ってくれて嬉しいよという先輩の声をどこ
か遠くに聞いていた。
何というかたぶん、今の自分にとって、この人と共に過ごす週末が何よりの贅沢だ。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
衝動で書いてしまった。
もっと後輩君はガツガツしてそうなんだけども…
57: ピンポン 再見 5/5 2010/03/29(月) 23:46:38 ID:SINcvIyV0(1/2)調 AAS
>>55
わー、CM見て萌えてたよ
ありがとう
58(1): 2010/03/29(月) 23:47:09 ID:SINcvIyV0(2/2)調 AAS
名前欄すいません…
59: 2010/03/30(火) 00:02:18 ID:iFlc17LN0(1)調 AAS
>>58
ドンマーイw
亀だけど姐さんのお陰でまた新しい萌の扉が開けたよ!ありがとう
ここ数日投下ラッシュで嬉しいなぁ
投下してくれる全ての姐さん達に幸あらんことを!
60: 2010/03/30(火) 00:52:14 ID:RfjexgGd0(1)調 AAS
>>55
もんのすごい萌えたありがとう
先輩は無意識でどんどんあのお店に連れて行ってしまって
後輩はいつか先輩を酔い潰してお持ち帰りすればいい
いつか後輩→先輩に気付いた女将もきっと協力してくれるはずだ
61: 2010/03/30(火) 01:00:57 ID:1MFWJWOiO携(1)調 AAS
>>55
CMを見ながら、後輩、先輩を見る目が獲物を狙うタカの目だw
と思っていたら、作品ktkr
可愛らしい萌えありがとうございました!
62: 「愛した人」オリジナル 1/3 2010/03/30(火) 08:40:16 ID:UkRItXIZO携(1/4)調 AAS
携帯から失礼します
オリジナルで別れの話です
とある泣ける歌を聞いて、それをネタにしてますが、キャラはオリジナルです
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
目の前のグラスが、まるでスローモーションみたいに、ゆっくりと床の上へ落ちていく。
でも、衝撃音は耳を素通りしていった。
ただ、目の前にいるハルの、怯えたように竦められた細い肩と、零れ落ちそうに見開かれる濡れた瞳だけが、酷く印象に残っていた。
「……ッてぇ、」
指先に走った痛みに、僕は小さく舌打ちした。
しゃがんだ足先へと、再び転がっていく破片が傷付けた指先に、見る間に血が滲んでくる。
フローリングの床に散らばるガラスの破片と、無残に花弁を散らした花と水、そして、それに紛れるような涙の跡。
さっきまでハルが立っていた場所に、ポツンと残された丸い水滴を、血の滲んだ指先に掬い取ると、苦い痛みが広がる。
バラバラになった花とグラス。
かき集めたって元には戻らないそれは、まるで俺達を表しているみたいだった。
じわじわと足元が崩れるような感覚に、僕は拳を握りしめた。
柔らかな癖のある薄茶の髪も、少女めいた顔も、細く小さな身体も、僕とは真逆なハル。
出会って恋に落ちて、それから二人で重ねた日々が、過去へと流れて朽ちていくような気がする。
63: 「愛した人」オリジナル 2/3 2010/03/30(火) 08:41:51 ID:UkRItXIZO携(2/4)調 AAS
散らばった破片もそのままに、暗鬱とした気持ちのまま僕はソファーに横たわった。
見上げた天井のライトに、キリッと目の奥を苛まれて、その痛みから逃れる為に瞼を閉じる。
浮かんでは消える、過去のハルの優しい笑顔と、見慣れてしまった今の泣き顔。
愛しい気持ちも、やる瀬ない気持ちも、ゴチャゴチャになって傷付け合った心は、もう無理だと告げている。
今の歪んだ関係が一番ハルを傷付けていることが、辛くて苦しい。
たった一言で愛しい人を解放してやれるのだと思えば、この頬を伝っていく涙も他人事のように思える。
もう僕は、ハルへと繋いだ鎖を手放さないといけないのかもしれない。
64: 「愛した人」オリジナル 3/3-1 2010/03/30(火) 08:45:15 ID:UkRItXIZO携(3/4)調 AAS
「……もう、終わりにしよう」
あの激しい喧嘩から数えて5日目の雨の休日。
朝からの憂鬱な天気のせいだけではなく暗転した部屋で、僕はハルに終わりを告げた。
苦い決意を固めて、覚悟も決めて、伝えた別れの言葉の衝撃は、予想以上の痛みで胸を貫く。
大きく見開かれたハルの瞳に映るのは、痛みに歪んだ僕の顔。
微かに震えるその細い肩を見ていることが耐えきれなくて思わず抱きしめた。
この愛しいという気持ちは嘘なんかじゃない。
そう腕の力に込めるけれど、でも、もう戻れない。
掛け違えたボタンを掛け直すには二人でいた時間が経ち過ぎていて、ハルも僕も、充分過ぎるくらい互いに傷付け合って、僕らの心は傷だらけだった。
「……わかった」
そう言って、そっと僕の胸を押し返すハルの、冷たい指先が痛い。
サイズの合わない、肩の位置が落ちた僕のTシャツを着たハルが、僅かな温もりを残して僕の腕から離れていく。
「……俺、ショウの事、すごく好きだったんだ」
狭い部屋からすぐの玄関で、独り言みたいにハルが呟く。
「さよなら、ショウ」
こちらを振り返ったらしいハルの姿は、見れない、見てはいけない。
ただハッキリと残された別れの言葉だけが、残響として耳に届く。
半身をもがれたような痛みに、僕は立ち尽くすしかなかった。
65: 「愛した人」オリジナル 3/3-2 2010/03/30(火) 08:46:30 ID:UkRItXIZO携(4/4)調 AAS
どのくらいそうしていたろう。
外の雨が止んで、カーテンの間から陽の光が滲んできた。
生まれ変わって、またキミと出会えたら…、そんな女々しい事を考えながら、ハルのいない玄関へ、ようやく顔を向ける。
さよなら、愛しい人。
もう振り向かないで、歩き出して。
声にならない願いを噛み締めて、僕はカーテンを開き、眩しい光の洪水を部屋へと招き入れた。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
最後、2つ分けになってしまいました
不手際ですみません
66: 2010/03/31(水) 01:27:01 ID:qg0+bxs50(1)調 AAS
>>53
誰か分かって萌えてしまった…!ゼブラこの野郎;;orz;;
私にとってはGJです、有難う!お疲れ様でした!
67: 2010/03/31(水) 19:33:54 ID:qs4PquP8O携(1)調 AAS
>>35
GJ!甘い雰囲気にニヤニヤさせてもらいました
68: 僕の恋人。1/6 2010/04/01(木) 00:24:14 ID:A59Vdd9K0(1/7)調 AAS
先日発売された、まぜこいホットドッグの坂風です。
萌えーてなって勢いで書いた。楽しかった。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
真夜中。突然の訪問に目呆け眼を擦りながら部屋に招き入れて茶を出した僕に、風間さんは朗らかに告げた。
「驚かないで聞いて欲しい。実は、デキちゃったみたいなんだ」
「…………はあ」
驚くというより、呆れた。
何がデキたのかと聞くほど野暮ではないけど、だからって信じれる話しじゃない。
あからさまに胡乱な顔をしているだろう僕にニコニコと笑いかける風間さんは、一体何を考えているんだろう。
前々から、少し…いや、大分、変わった人だと思っていた。付き合うようになって、少しはわかった気になっていた
けど、やっぱり、変な人だ。
寝起きで跳ねてる後ろ髪を撫で付けながら、なんて言おうか考えていて。ふと、気付いた。
時計を見れば、時刻は0時を過ぎていた。そう、つまり、今日はもう4月1日。
エイプリルフール、だ。
「………」
気付いたそれに、僕はなんだか酷く疲れた気分で床に転がった。
うとうとしていた所を起こされて、こんな真夜中に何の用事かとほんの少し緊張もしていたのに。
ああ、眠気が戻ってきた。いっそこのまま寝てしまおうか。
「坂上君、キミ、その態度はないだろう。そりゃあ混乱する気持ちもわからなくはないが、これは現実だ。二人の
将来もかかってるんだから、ちゃんと起きて考えたまえよ」
フローリングの床にべたりと張り付いたまま身動きしない僕に風間さんの声がかかる。
そうですね、現実ですね。いっそ夢オチならよかったですよ。
というか、どうせつくならもっとちゃんと、一瞬でも信じるような嘘を用意して欲しいと思うのは僕の我侭でしょう
か。それとも、聞いた瞬間に笑うべきでしたか? だったら僕のリアクション間違いですね、すみません。
謝るんで、今の所は帰っていただけないでしょうか。明日また会いましょう。その時にはちゃんとリアクションしますんで、今はこのまま寝させてください。
69: 僕の恋人。2/6 2010/04/01(木) 00:25:13 ID:A59Vdd9K0(2/7)調 AAS
「……坂上君?」
黙ったまま床に寝転がっていると、膝を引き摺って近寄った風間さんが僕の肩を揺さぶる。
閉じた目もそのままで無視していると、また、名前を呼ばれた。
その声がなんだか弱弱しく聞こえて、そぅっと、薄目を開ける。
「ねぇ、ちょっと…」
風間さんは、凄く困った顔をしていた。途方にくれた、でもいい。
…寂しそうだとか、泣きそう、でも、いい。
「………さかがみくん」
ぽつりと、もう一度。呟くように僕の名を呼んでから、風間さんの手が肩から離れていく。
このまま行かせちゃいけない。
がばりと起き上がって、引きかけた腕を掴む。驚いた顔で僕を見る風間さんをそのまま強引に引っ張って、一緒に床
に転がった。
二人分の体重の乗った勢いでいい音をたてて打ち付けた後頭部が痛い。我慢だ。
「さ、坂上君…?」
胸元に顔を押し付けられたまま、風間さんが戸惑った声で僕の名を呼ぶ。
背中に腕を回してぎゅうと抱きしめたら、少しの間があって、僕の背中にも腕が回った。
ちらりと見れば耳まで真っ赤にした風間さんが僕の胸に顔を埋めている。
僕は、幸せ者だ。
好きな人が傍にいてくれて、抱きしめれば返してくれる。そりゃちょっと変わった人だけど、それも知っていて好き
になったんだから、嫌だとは思わない。
困った人だなと思う事もあるけど、嫌いになんてなれない。むしろ、そんな所が可愛かったりもする。
たとえば、今とかも。
70: 僕の恋人。3/6 2010/04/01(木) 00:25:56 ID:A59Vdd9K0(3/7)調 AAS
こんな夜中に訪ねてくるだなんて、きっと、一番に嘘をつこうだなんて思い立ったんだろう。
そうしてどんな嘘なら僕が驚くか考えて、どんな嘘をついて信じさせるか考えて、色々色々考えて、それで、どこか
で方向を間違えたんだ。
どこでどうしたらそんな方向にいくのか不思議だけど、風間さんだから、まぁしょうがない。
きっと風間さんが知ったら憮然とするだろう理由で納得して、僕はくすくすと小さく笑う。
「…なに笑ってるのさ」
「別に、なにもありませんよ」
納得いかないのだろう風間さんは少しだけ唇を尖らせて、それに僕はまた笑う。
ああ、ああ、本当に、もう。
「………それで、キミはどうしたい?」
「え?」
「…………」
まだ続ける気らしい。あのまま済し崩しにすればいいのに、妙な所で律儀な人だ。
だけど、呆れるにしろ笑うにしろ、なんだか今更だ。それに今の僕なら、他の反応もできる。
「……いや、いい。なんだかおかしな空気にしちゃったね。もう止めようか、こんなはな」
「嬉しいです」
努めて明るく早口で言ってた風間さんにかぶせて、口を開く。
僕の言葉に風間さんは一瞬ぽかんとした顔を見せて、それから、疑わしそうな表情で僕を見た。
「ホントにぃ?」
「ええ、もちろん。風間さんに似てて欲しいなぁ、そうしたらきっと可愛いですよ」
頭の中で風間さんをそのまま小さくした男の子と、少し柔らかい感じにした女の子を想像する。
うん。凄く可愛い。これで性格が僕みたいに普通だったら、人生勝ったも同然じゃないだろうか。
見た目が全てとは言わないけど、見た目も大切だ。中身は育てる方にかかってるから、僕が頑張ろう。
71: 僕の恋人。4/6 2010/04/01(木) 00:26:27 ID:A59Vdd9K0(4/7)調 AAS
想像している内に、なんだか楽しくなってきた。
この若さでパパは困る気もするけど、子供の幼稚園だとか小学校だとかで若いパパと評判になるのも悪くはない。
そうしたら、隣にいる風間さんはなんて噂されるんだろう。子供とそっくりだからって、ママには見えないし。あれ
、ひょっとして僕がママ扱い? いやでも、その頃には僕だって背も伸びて男らしくなってる筈だから大丈夫だ、き
っと。
小さくてもいいから一軒家に住んで、家族四人、楽しく仲良く幸せに暮らすんだ。
その内、長男は独立して家を出て、長女は結婚……嫌だ、誰が嫁になんてやるもんか。ずっと家にいればいい。
「っ、は…あははははははっ」
「!」
大きな笑い声で我に返った。
しまった。すっかり入り込んで、何時の間にか口に出していた。
痛々しい妄想を聞かれ大笑いされた恥ずかしさに、顔が真っ赤になるのがわかる。
「そ、そんな笑わなくてもいいでしょう!?」
元々は風間さんが言い出した事なのに、なんだか理不尽だ。
怒鳴る僕に風間さんは「ごめんごめん」と思ってもないんだろう軽さで答えて、笑い涙を拭ってる。
重ねて文句を言ってやろうと口を開きかけた僕は、出かかった言葉を喉で止めた。
目の前、風間さんが笑う。
その顔はとても楽しそうで、嬉しそうで。幸せそうだった。
「でもね、ボクに似ればそりゃ可愛いだろうけど、キミに似た子も勝ち組だと思うよ」
伸びてきた手が僕の頬を撫でる。
犬や猫を撫でるような気安い仕草で撫でながら、風間さんは目を細めて笑う。
それは本当に楽しそうで、嬉しそうで、幸せそうで。
この人は僕の事を好きなんだって、そう、感じさせてくれる笑顔だった。
72: 僕の恋人。5/6 2010/04/01(木) 00:27:30 ID:A59Vdd9K0(5/7)調 AAS
「…え、あ、あれっ?」
腰に腕を回して強く引き寄せると、パジャマ代わりのスエットは布越しに確かな熱を風間さんに伝えた。
慌てた様子で僕から離れようとする風間さんの足に足を絡ませて抵抗を封じながら、僕は思う。
この人は、本当に。
なんて可愛くて、愛らしくて、いとおしい人なんだろう。
数日後。
春休みは塾通いなんてクラスメートもいるけど、特にレベルの高い大学を目指すでもなく成績が悪いわけでもない僕
は、ほぼ毎日、風間さんと会っている。
今日もまた、何をするでもなくぶらぶらと街を歩いて、今は公園のベンチで一休みしている所だ。
「喉が渇かない? 坂上君、キミちょっとさっきの自販機で買っておいでよ」
「さっきって、入り口じゃないですか…通った時に言ってくださいよ」
ぶつぶつ言いながら、ベンチから腰を浮かす。風間さんと付き合いだしてから、僕のサイフには小銭が増えた。
「コーラでいいですよね」
「いや、オレンジジュースにしようかな」
あれ、珍しい。…あれ? そういえば、最近の風間さんはコーラを飲んでない気がする。
缶やペットボトルよりビンの方が美味しいと拘りまで持っている人なのに、どうしたんだろう。
「炭酸の飲みすぎで胃の調子でも悪くしましたか?」
「なに言ってるのさ。まあボクも飲みたいのは山々だけど、糖類をあまり摂るのはよくないって聞くからね。でも
、好きな物を我慢するのもストレスで良くないって言うだろう? ねぇ、どっちがマシだと思う?」
「…………えっと」
73: 僕の恋人。6/6 2010/04/01(木) 00:28:13 ID:A59Vdd9K0(6/7)調 AAS
何に、とは愚問なんだろうか。
いつもの調子で言いながら、そのくせ、ほんの少し頬を染めて照れくさそうに僕を見る風間さんは、そういえば最近
、少しだけお腹周りがふっくらしてきた気がする。
太りましたか、なんて、失礼すぎて言えないし、元々痩せてる人だから気にはしなかったんだけど、もしかして。
いやでも、まさか。だって、あれは。そんなこと、あるわけ。
「そうだ。ネットで調べてみればいい。坂上君、キミの家にパソコンあったよね。後でお邪魔するよ」
だから今の所はオレンジジュースね、と付け加える風間さんに、だったら僕の家に向かいながらジュースを買えばい
いんじゃないかと思いながら、それでも言えなくて、「はい」とその場を後にした。
ちらと振り返れば、木陰にあるベンチに腰掛けたままの風間さんが小さく手を振る。早くいけ、の動作にも見えるけ
ど、気のせいだ。
そうだ。気のせいだ。糖類控えてる人が太るだなんて、そんな。こうして遠目で見ると全体的にラインが柔らかくな
ってるように見えるのだって、きっと、気のせいに違いない。
だって、ある筈がないじゃないか。そうだよ、だって僕らは男同士なんだから。いくら風間さんが変わった人だから
って……あ、でも、風間さんは………月…、いやいや、だからって、そんなこと……。
「……いや、ないよ。ない。ないない。あは、は…ははははは……」
渇いた笑いを溢す僕を、頭上の昼月が静かに照らしていた。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
スンバなら卵くらい産めるんじゃないかと思う。ありがとうございました。
74(1): 2010/04/01(木) 00:29:02 ID:A59Vdd9K0(7/7)調 AAS
すみません、最後ageちゃいました…
75: 2010/04/01(木) 00:59:41 ID:k3Xj1z0R0(1)調 AAS
>>74
萌えましたGJ!
坂風ルートをちょうど今日クリアしてときめいていたので嬉しい
萌えをありがとうございます
76: 涙のプリンスメロン 1/7 2010/04/01(木) 01:53:43 ID:CTSHm5dm0(1/7)調 AAS
誰得な生モノ。
美知ーと事務所の元先輩バンドのG
元先輩バンドのGのブログにあった写真から妄想捏造w
どマイナーすぎてごめんなさい。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
授業が終わり、俺は足取りも重く次の目的地へと向かう。
何年ぶりだろうか。無意識に足はあの場所へと進む。
迷うことなく、身体が覚えている。いや、まだほんの数年だ、通っていた年月には及ばない。
レコーディングが嫌なわけではない。
一つのバンドに縛られることなく、色んなミュージシャンとセッション出来るこんな機会は嬉しいのだ。
このレコーディングに俺を呼んでくれた彼に不満があるわけでもない。
一呼吸して、俺は目の前の建物を見上げた。
ただこの場所が、まだ苦しい。
意を決して中へと入る。
懐かしい光景が目の前に広がる。自分の知っている頃と変わらない。
それが嬉しいような気持ちと、ずっと日常だった場所から突如放り出された疎外感が同時にやってきた。
ぶるりと身を震わせる。こんな感傷にひたる為にここへ来たわけではないのに。
77: 涙のプリンスメロン 2/7 2010/04/01(木) 01:54:44 ID:CTSHm5dm0(2/7)調 AAS
ぐるりと周囲を見渡して、目的のスタジオを目指した。
そう言えば彼はこの秋からのドラマにレギュラー出演していたことを俺は思いだした。
人気のドラマで、しかも主役の相棒役だ。きっと撮影で忙しいはずだった。
今日のようなバックのレコーディングに彼が来るなんてないだろう。
そう思い至り、俺は少し気が楽になった。彼に問題は無い。
しかし、今はまだどう接していいのか分からない。
俺を呼んでくれた彼のことだから、何も気にせずに普通に接すればいいと分かっているのだけれど、
それでも何となく事務所の関係者とはまだ気まずさを感じる。
これは俺の内の問題。
すれ違うスタッフに挨拶をしながら、スタジオの中に入った。
入った瞬間に俺の目に飛び込んできたのは、眩いばかりの笑顔を浮かべ手を振っている彼……追河くんだった。
「おはようございます。今日はよろしくお願いします」
礼儀正しく、俺よりも先に彼が挨拶をする。
「あ……。おはようございます。こちらこそよろしくお願いします」
慌てて俺も挨拶をした。なんか恰好悪い。
78: 涙のプリンスメロン 3/7 2010/04/01(木) 01:55:27 ID:CTSHm5dm0(3/7)調 AAS
集中していた神経を和らげる為に俺は喫煙室で煙草を吸っていた。
俺のレコーディングは一曲のみで、さほど問題もなく終わった。
改めて追河くんのアーティストとしての意識に驚かされ、いい刺激を受けた。
楽しいレコーディングだった。
ぼんやりと煙草を吸いながら、俺は何故か追河くんと初めて会った時のことを思い出していた。
22歳でバンドに加入した俺は他のメンバーとの年齢差もあって、王子と呼ばれていた。
中学や高校で全くもてることに縁のなかった俺なのに、本当は自分のギターに注目してほしいと思っているのに、
バンド内ではアイドルっぽい扱い。
見た目にも年齢的にも、何より結婚もしたのにこれでいいのだろうかと思い続けていた頃に彼が現れた。
新人アーティストとしてデビューが決まったと、事務所で初顔合わせをした。
事務所の女性スタッフが「彼は王子様キャラで売ってるんです」と楽しそうに言った。
確かに整った顔立ちと立ち居振る舞いは王子様だなと俺は妙に納得した。
彼は俺たちメンバーの一人一人に挨拶をし、俺の前に立った時に隣に居たブッチャーが余計なことを言った。
「こいつはうちの王子や」と。
俺なんか比べ物にならないくらい王子様らしい追河くんを前に、よくそんなことが言えるなと、
俺はブッチャーを横目で睨みつけた。
が、ブッチャーは気にすることなく他のメンバーに「なあ?」と同意を求めていた。
目の前の追河くんは気にすることもなく、キラキラとした笑顔で「宜しくお願いします」とお辞儀をした。
初めて会った時から彼の笑顔はキラキラしていたなぁと思いだした。
79: 涙のプリンスメロン 4/7 2010/04/01(木) 01:56:14 ID:CTSHm5dm0(4/7)調 AAS
次に思いだすのは、対バンと称したゲストに彼を呼んだ俺たちのライブだ。
「正装してきました」と言って現れた姿はオスカルのような格好だった。
数年前に事務所の女性スタッフから「弐市山さん、王子なんだからこれくらいの恰好しませんか?」と
見せられた写真そのままの衣装だ。当然、俺が着るよりも、数倍も似合っていた。
あの時のスタッフの押しの強さに負けなくてよかったとしみじみ思った瞬間だった。
ふと視線を感じて、視線を出入口に向けると、追河くんが立っていた。
「少しいいですか?」
「あ、うん……」
手にはコーヒーだろうか、カップを2つもっていた。
「すいません。コーヒーを持ってきたんですけど、声掛けそびれて冷めちゃいました」
「ただ煙草吸ってただけだよ」
そう言って、短くなった煙草を灰皿でもみ消した。
「ブラックで良かったですか?」
「うん」
カップを受け取ろうとすると、彼の手が一瞬止まった。そしてテーブルの上にカップを置いた。
気がつくと追河くんの顔が近くにあった。ああ綺麗な顔だなぁとぼんやり思っていると、唇に軽いキスをされていた。
艶やかな唇が離れてくのが見えた。
追河くんは小首を傾げて「リアクション薄いなぁ」と呟く。
80: 涙のプリンスメロン 5/7 2010/04/01(木) 01:56:49 ID:CTSHm5dm0(5/7)調 AAS
「驚かないんですね」
「あぁ……。ほら、うちにキス魔がいたからね」
ここ暫くは会っていない男を思い浮かべる。
「端元さん?」
「そう。どこでも構わずしてくるの。ラスベガスのホテルでもさぁ……ロビーでみんな見てるのにお構いなしでするんだよ。まいっちゃうよね」
FCの企画でラスベガスに行った時のことを思い出して話した。
「でも端元さんは、弐市山さん限定のキス魔って聞きましたよ」
「何それ。キス魔でも何でもないじゃん。誰が言ったの?」
どこからそんな話がまわったのかと笑った。
「やっと笑ってくれましたね」
そう言って追河くんはにこにこと笑っていた。
「え?」
「もしかして、今日ここに来るの嫌だったかなって思ってました」
その言葉にどきりとした。そして本当にそう思っていたことを少し恥じた。
「でもこの曲はどうしても弐市山さんにお願いしたかったんです。弐市山さんに嫌われてもね……」
「嫌うわけないだろ」
きっと彼も色々と考えたんだろう。俺たちの問題を、関係のない彼にまで押し付けている。
関係ないどころか、今も事務所に在籍している彼にとっては迷惑かもしれないのに。
俺と事務所が和解済みでも、波紋は広がったままだ。
「弐市山さん」
不意に顎を掴まれ、また追河くんの顔が近くに見えた。
……今度はさっきよりも深く。キスをされた。するりと舌が滑り込んでくる。不思議とそれを拒もうという気は起きなかった。
頭のどこかで、追河くんってこんなキスするんだなぁとか、そんなことに感心していた。
81: 涙のプリンスメロン 6/7 2010/04/01(木) 01:57:37 ID:CTSHm5dm0(6/7)調 AAS
「こんなおじさんとキスして嬉しいかなぁ……」
キスから解放された後で、小さく呟いた。
「そうでもないですよ。……って、僕も同じ40代ですけど」
「ええっ……40っていつの間に? あ、あれ? もしかして最近誕生日だった?」
かつて、俺たちのFCスタッフは追河くんも担当していた。そのスタッフから教えられた彼の誕生日はつい先日だったはずだ。
「はい。つい最近40になりました」
とても40歳とは思えない笑顔だった。
「40になりたてと、もうすぐ50の40代は全然違うよ」
「同じですよ。だから、今のキスは誕生日プレゼントってことで……」
ふふっと彼が微笑んだ。なんでこんな彼が俺とキスして楽しいのか分からないよ。
「これを機会に、僕もキス魔に立候補していいですか?」
「何言ってるんだよ。……あ、そうだ。俺ブログやっててさ、一緒に写メ撮っていい?」
「いいですよ」
思いっきり話題を逸らした俺に何かを言うでもなく、追河くんは近くのスタッフに俺の携帯を渡して写真を撮ってもらった。
「ありがとう。ブログに載せるけどいい?」
「弐市山さんのブログっていつも大御所ばかりなのに、僕でいいんですか?」
「駄目なわけないだろう。あ、そう言えばドラマみてるよ」
「ありがとうございます」
「だから今日は撮影で来ないかと思ってたよ。撮影忙しいんじゃないの?」
「どんなに忙しくても、自分のアルバムですからね」
さっきよりも普通に会話が出来ていると自分でも感じていた。変に気負う事も必要ないと分かったからだろうか。
こんな俺よりも彼の方がどう接するべきかを心得ている。
それからしばらく2人で話をした。今日のレコーディングのこと、彼のドラマの撮影のこと。
82(2): 涙のプリンスメロン 7/7 2010/04/01(木) 01:58:34 ID:CTSHm5dm0(7/7)調 AAS
「それじゃ、俺は帰るよ」
「今日はありがとうございました」
「こっちこそ、ありがとう。楽しかった」
素直にそう言えた。
「弐市山さん」
「ん?」
「……また、あの頃みたいに一緒にやれたらいいですね」
あの頃と言うのは初めて一緒にライブをやった時のことだろう。
「そうだね」
空中分解したバンドが元に戻るとは思えないけれど。それでも彼の気持ちは嬉しかった。
重い足取りで通った光景は、軽くなった気分と足取りで見る光景は全くの正反対に見えた。
まるであの頃と変わらない気分で、この道を歩いてる。
今日は不思議な日だった。
普段はあえて思い出さないようにしているあの頃のことをすんなりと思い出し、それを懐かしいとさえ思う事が出来た。
あんなにも重く考えていたことがバカバカしく思えてくる。
来てよかった。レコーディングも楽しかったし。こんなことなら、あのキスは安いものだと言ってもいい。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
1枚の写真でここまで捏造出来る自分テラバカスw
83: 2010/04/01(木) 03:46:23 ID:v1NAe1fY0(1)調 AAS
>>82
うお!未知ーナマモノきたあああw
ブログ写真探しに飛んでいきましたよ!
キスされる未知ーはよく見てきたけど、する側は新鮮でした。姐さんGJ!
84: 2010/04/01(木) 10:34:42 ID:hmfqU+poO携(1)調 AAS
>>82
未知ーのナマモノは初体験だ!
どうもありがとうございます!!
85: 2010/04/02(金) 00:53:04 ID:z1SNM0Ex0(1)調 AAS
>>25
遅レスだけど萌えました
荷野未屋と香罪さんのやり取りがたまらんです!
86: 2010/04/02(金) 01:17:22 ID:ETn/Aey/0(1)調 AAS
>>25
当時規制で書き込めなかった…。今更ですが私もGJと言いたい!
二人のキャッキャぶりが好きだったんで萌え転がりました
心の潤いをありがとう!
87(2): ピンポン 矢印の行方 1/9 2010/04/03(土) 00:07:19 ID:lWJv/Zo10(1/12)調 AAS
規制解除やっとキター!
ピンポン ドラチャイ
56-429 56-448 56-456 57-19 の続き
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
孔文革は辻堂学院高校卓球部の生徒達と一緒に、小田急線の新宿駅地下ホームで、急行を待っていた。
都内の姉妹校と交流試合をした帰りだった。
孔が辻堂学院を卒業し、卓球部のコーチになって、2年半近くが過ぎようとしていた。
全体的にスタミナ不足が目に付く。ラリーに持ち込まれると、小さなミスで得点を奪われる。練習メニューの立て直しをしなくてはならない。
まずは何よりも走り込みだろう。
生徒達はさばさばしたものだ。雑談で盛り上がっている。
さばさばしてるのも問題なんだけどな。
頭の中で練習メニューを組み立てていると、生徒の一人が「ねーねー、コーチ」と話しかけてきた。
「あそこの人、K大の風間さんじゃね?」
「え?」
孔が振り向くと、柱の向こうに風間竜一が立っていた。同じ急行を待っているのだろう。
「ほんとだー」
「え、なになに、誰だって?」
「かっけぇなー、俺、ファンなんだよね」
生徒達の視線に気がついたのか、風間が顔を向けた。
孔の姿を認め、一瞬驚きに目を見開いて、笑顔になる。
そう言えば前にも、こう言う顔を見たことがあったな、と思い出す。風間はロマンスカーに乗っていて、孔は反対側のホームにいた。
「孔!」
「風間」
孔が手を上げると、生徒が「えー、コーチ知り合い?」と大袈裟に驚いた。
「まあね」
「あ、俺知ってる。同学年だったんよね?」
「うん」
「えーマジマジ? コーチすごいじゃん」
88: ピンポン 矢印の行方 2/9 2010/04/03(土) 00:08:09 ID:lWJv/Zo10(2/12)調 AAS
同学年ということのなにがすごいと言うのか、生徒達が口々に言うのをドアを開けた急行に押し込み、自分も荷物を抱え直して電車に乗り込む。
風間が隣のドアから入り、荷物を網棚に乗せ、こちらを待つように見た。
近づいて自分の荷物も隣に乗せ、吊り革につかまる。
「すごい、偶然ね」
「本当だな」
生徒達はひとかたまりになって、こちらを気にする様子だったが、自分たちとは一線を画する存在と見たのか、それ以上は話しかけてこなかった。
あいつらでも遠慮するんだな、と孔は少しおかしくなる。
「辻堂の生徒か?」
「うん、今日、試合あたのよ」
「勝ったか」
「負けたよ。試合、少ない、だめね。練習、たくさん。試合も、たくさん。まだまだ全然。経験、不足」
「確かにその通りだな。相手と対峙することで体が覚えるものがある。…元気そうでなによりだ」
「元気よ。風間、前、ロマンスカー、乗てたね?」
「ああ。やはりあれは孔だったか」
「びくりしたよ」
「私もだ」
星野を空港に見送りに行ってから、どのくらい経ったのだったか。
「髪、伸ばしたね」
「ああ」
「いいね」
「そうストレートに言われると照れる」
「そう? 似合うよ」
風間は黙って微笑んだ。
孔の心臓が少しばかり、どきりと跳ねる。
89: ピンポン 矢印の行方 3/9 2010/04/03(土) 00:09:36 ID:lWJv/Zo10(3/12)調 AAS
「孔はこれから何か用事があるのか」
「学校行って、荷物取てきて、帰て、ご飯たべて、お風呂はいて、寝るよ」
シンプルな孔の生活に、風間は笑って頷いた。
「彼らは?」
「藤沢、着いたら解散」
「そうか。ではどうだ、食事でも一緒に。私は海王に用事があるのだが、すぐ終わる」
「ん。いいよ。なに食べる」
「藤沢にうまい定食屋がある。7時に駅で待ち合わせではどうだ」
いいよ。孔は窓の外を見ながら答えた。
なんだろう。風間の目を見ながら話していると、顔に血が上るような感じがする。
「念のため、携帯電話の番号を教えておこう」
「あ、私も、持てるよ」
携帯の番号を交換すると、後は近況報告のような会話になった。
今は辻堂のコーチのみか、と言う風間の問いに、「午前中、2時まで、スポーツセンター。遅番もある。それから、辻堂で、コーチ」と簡潔に答える。
「そうか、スポーツセンターか」
「楽しいよ。いろんな人、くる。卓球、台、たくさんあるからね、週2回、センターの教室でも、教えてる。あと、ジム。トレーナーも少しやる」
辻堂を卒業後、生徒達の授業が終わるまでの空いた時間を就労に当てることにした。
経済的にも自立を迫られ、藁にもすがる思いで受けた民間のスポーツセンターの面接が合格した。
後に聞くところによれば、辻堂の卓球部顧問の口添えがあったらしい。
「名門の名を復活させるために」が口癖の、卓球を何も知らない名前だけのただのおっさんだと思っていたのに、孔の卒業後について一番やきもきしていたのは顧問だった。
当時はさしたる感慨もなかったが、今は感謝以外に言葉が見つからない。
そんな経緯があって、もう2年以上、スポーツセンターの職員と、辻堂学院卓球部コーチの二足のわらじを履いていることになる。
本当に、時間なんてあっという間に過ぎるものだな。孔は思う。
会ってみればまた車の中と変わらずに会話が続く。
そう言えば、風間は俺のアパートの場所は知ってるけど、電話番号も住所も知らなかったんだな。
俺に至っては、向こうの連絡先を何一つ知らなかったわけだ。
別方向を向いて進んでいたベクトルが、気まぐれを起こし交差する。
交差した後は、また別の方向に進むのだろうか?
90: ピンポン 矢印の行方 4/9 2010/04/03(土) 00:10:49 ID:lWJv/Zo10(4/12)調 AAS
風間がうまいと言っていた定食屋は、本当にうまかった。
定食屋なだけあって、安くて量がたっぷりしていて、満足感がある。
炊き立ての白米、餃子、豆腐とわかめのみそ汁に、小鉢、漬物。風間は生姜焼き定食を頼んでいた。
餃子はちゃんと皮を練っているのだろうか。厚く、もちもちして、上海で食べるのと大差ない、と思う。
自分のように日本で暮らす中国人が作っているのかもしれない。
餃子と言わず、焼鍋とでもしてくれたらもっといいのに。
「おいしかた」
「海王の連中と試合帰りによく食べにきた。高校生の財布でも苦しくならないのがいい。それに、うまい」
孔が笑うのを見て、風間が怪訝な顔をした。
「なんだ」
「風間も、高校生、だたんだなあ、って」
「高校生だったではないか。試合しただろう」
「したけど、高校生には見えなかたよ」
「そんなことはないだろう」
本気でそう思うのなら、風間はちょっと変わってる。
「ぎょうざ、おいしかたよ」
「だろう? ちょっと本格的だろう」
風間はこれを俺に食べさせたくて連れてきたのか。
孔はポケットに入っていたガムを口に放り込むと、風間にも一つ渡した。
「これから、どする?」
「そうだな」
「今度こそ、風間、うちきて、お茶、のむ?」
「路上駐車を気にする必要もないしな。邪魔させてもらうか」
二人で顔を見合わせて、笑う。
自分の言っていることが相手に素直に伝わるというのは嬉しいことだ。
言葉は、日本に残ると決める以前から、コーチに強制的に日本語の学校に通わされていた。
そのせいあって、話す、聞くは日本に来た当初より格段によくなった。
けれど、それだけではないなにかが風間との間にある。
それが心地いい。
腹ごなしに孔のアパートまで、二人は連れ立って歩いた。
肩や腕のぶつからない間隔を開けて、並んで歩く。
照れ臭いような気持ちがするのはどうしてだろう。
91: ピンポン 矢印の行方 5/9 2010/04/03(土) 00:11:46 ID:lWJv/Zo10(5/12)調 AAS
結局二人が飲んだのは、お茶ではなく、酒だった。
数日前に木村や山田が遊びに来て酒盛りをして行った際に置いていった焼酎や日本酒が、部屋の隅に並んでいたのだ。
「旨そうなのが置いてあるな」
と言う風間に、それじゃ、とスナック菓子とつまみを出し、焼酎を出した。
「それ、瓶、いいでしょう」
『百年の孤独』と言う名前のその焼酎は、前に店頭で見て、名前に惹かれ、瓶に惹かれた。値段を見て諦めたのだが、家が酒屋を営む辻堂の同級生が、半分しかないけど飲もうぜ、と酒盛りの時に持ってきたのだった。
「名前がいいな」
「ね。私もいい、思う。友達、くれた。『まぁわん』もある」
「まーわん?」
「これ」
孔が台所から持ってきた瓶のラベルには、『魔王』と骨太な筆文字で書かれていた。
「まおうか。成程。百年の孤独は中国語で何と言う」
「『ばいにぃぁん・ぐどぅ』。それ、すごぉい高いから、ひとりで飲めー、友達、言う」
「私が飲んでは申し訳ないようだな」
「風間と飲むから、おいしいのよ。ひとりで酒、まずい。私、飲まないよ」
「では遠慮なく戴こう」
「うん」
92: ピンポン 矢印の行方 6/9 2010/04/03(土) 00:12:55 ID:lWJv/Zo10(6/12)調 AAS
風間と向いあって飲む酒は、木村や他の辻堂卒業生とわぁわぁと飲む酒とはまた別な味がした。
正直なところ、まだ酒の味の良し悪しはわからない。飲むという行為が楽しいのだ。
酔うだけなら、缶ビールで十分だ。
風間にその焼酎を出したのは、名前が、海王時代の風間を連想させたからだった。
アパートの壁に背を預けて、つまみを噛りながら、ゆっくりと酒を口にする。
風間は孔のベッドにもたれていた。
窓の外からは、ふざけながら大声をあげ歩く若い男たちの声に、はしゃぐ女の子の声が交じって聞こえる。
気持ち良く、酔いが回る。
二人はぽつりぽつりと会話を交わした。
孔は弱くはないが、強くもない。
軽い酩酊を覚えて風間を見ると、ほとんど変わらない様子で焼酎を口に運んでいる。
酒を飲んでいると、咽喉が渇く。孔は少し前、冷蔵庫にあったウーロン茶を出した。
そのコップとペットボトルが汗をかいている。
孔はコップに付いた水滴を、爪でなぞった。
大きくなった水滴が、ガラスの表面を伝って落ちた。
その様子を見ていた風間が、自分もウーロン茶を口にした。
「冷たいものを飲むと、咽喉が渇いていたことに気がつくな」
「風間て、おもしろい、ねぇ」
「そうか?」
「私知ってる、日本人、誰とも風間、ちがう」
「そうか」
「うん」
沈黙が流れる。居心地のいい沈黙である。黙っていることに不安を覚えない。
孔は幸せだった。
93: ピンポン 矢印の行方 7/9 2010/04/03(土) 00:13:51 ID:lWJv/Zo10(7/12)調 AAS
風間が腕時計を見た。
「時間を忘れていた。そろそろお暇しよう。終電が無くなる」
「え、あ、うん」
立ち上がりながら手にしていたコップをテーブルに置こうとして、孔は手を滑らせた。
「おっ」
「あ、ごめん、なさい」
風間のTシャツが濡れた。タオルを探して手渡すと、風間は軽く拭いて、
「着替えがある」
と、濡れたTシャツを脱いだ。
脱いだものを丸めて側に置き、スポーツバッグの中をさぐるのに、風間の背中が孔に向けられた。
バッグの口からラケットの柄が見える。孔は微笑んで、ふと、風間の背中に視線を移した。
孔の息が止まった。
風間の肩甲骨の辺りに、赤い痕が走っている。誰かが、背中を掻き抱いた痕に見える。
…女が、いるのだ。
風間のような男に、いないほうがおかしい。
冷水を浴びたように、酔いが一気に冷めた。孔の顔がこわばる。
「…それ」
「ん?」
「かのじょ、か?」
「なんだ?」
「せなか」
風間は一瞬けげんそうな顔をした。そして背中という言葉に思い当たったらしく、苦笑いを浮かべた。スポーツバッグから出したTシャツを着込む。
「彼女ではない」
「おんなだ」
「女ではあるが、恋人ではない」
「風間は、好きでないの人、寝るか」
94: ピンポン 矢印の行方 8/9 2010/04/03(土) 00:14:59 ID:lWJv/Zo10(8/12)調 AAS
孔の胃の上辺りがきゅっと縮み、怒りが首をもたげた。
「好きではないわけではない。ただ、恋人とは言わんと考えている」
「わからない」
「そういう関係もある。何を怒っている」
なぜ怒っているのか、孔は自分でもわからなかった。風間の女関係が孔に関係するはずもない。はずもないのだ。
息を吐く。
「…わからない」
少し前まで孔は幸せな気持ちでいっぱいだった。それがぺしゃんこにつぶれて、惨めな気持ちでいっぱいになっている。
こんな気持ちでさようならするのは嫌だ、と孔は思った。しかし孔には今の自分の心のうちを表すすべがなかった。
風間が立ち上がり、荷物をまとめ、肩にかけた。孔ものろのろと風間の後について玄関まで出る。
「すまなかったな」
「…なぜ、風間あやまる」
「怒らせたようだ」
「怒てないよ」
風間は、そうか、ならいい、と呟いて、アパートのドアを開けた。孔もサンダルを履いて、外に出る。
「かざま」
風間が振り向く。
「…また」
「また」
「駅、わかる?」
「ああ、大丈夫だ」
「…バイバイ」
風間は笑みを浮かべ手を振って、歩き出した。
孔は少しの間その後ろ姿を見送っていたが、途中で耐えきれなくなって中へ戻った。
ドアを閉めて部屋に入ると、風間のいた気配が色濃く残っていた。
それだけに、一人になったことが孔をうちのめす。
胸が苦しい。
片付けをする気になれず、ベッドに横になって目をつぶると、涙がこぼれた。
泣くなんて、もうずっとなかったのに。
どうして俺は泣いているんだ。
孔はシーツに顔を埋め、泣き声を噛み殺した。泣いている自分を認めたくなかった。
泣いている自分が信じられなかった。
95: ピンポン 矢印の行方 9/9 2010/04/03(土) 00:15:41 ID:lWJv/Zo10(9/12)調 AAS
そうか。俺は、風間のことが好きなのか。
噛み殺した泣き声が嗚咽に変わって、ようやく孔は自分の気持ちに気がついた。
あの怒りは、嫉妬だったのか。
風間に抱かれる女がいることに。
気がついたところで救いがあるわけではない。
むしろ、気がつかなければよかったのだ。
孤独なのは風間ではない。俺だ。
交差したベクトルは、やはりまた別の方向へと進むのだ。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
96: 2010/04/03(土) 00:36:40 ID:ANtFtA1PO携(1)調 AAS
>>87
続きktkr!
ありがとう、姐さん
またこの先を待ってるよ!
97: 2010/04/03(土) 01:52:53 ID:JrchocVqO携(1)調 AAS
>>87
なんてもどかしい…!そして相変わらず孔のたどたどしさが愛らしい
続き楽しみにしてるよ
98: ピンポン そしてまた太陽が昇る 1/3 2010/04/03(土) 22:48:40 ID:lWJv/Zo10(10/12)調 AAS
投下される方がいらっしゃらないようなので、またちょっとスレお借りします
規制続きなんでしょうか…
ピンポン ドラチャイ
56-429 56-448 56-456 57-19 57-87 の続き
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
夕暮れの薄暗い部屋の中、ベッドの上で胡座をかいた風間は、手の中で携帯電話を玩んでいた。
傍からは瞑想中にも見えただろう。
後頭部を壁に軽く預け、静かな呼吸だけが続いている。
風間は今、自分の中で一つ決着を付けたところだった。
体が満たされる瞬間、精神の一部も満たされる。
全てではないところがおもしろい、と風間はいつも自嘲気味に考える。
満たされる部分、それは大概気がつかないところにあるものだ。
餓えていたことに、満たされてから気がつくのだ。
そしてその満たされた部分がまた、飢えた部分を刺激して、怒りにも似た飢餓感はもっと強くなる。
何か満たされないものを抱えて、それが何かもわからずに、餓えている。
時折会って、お互いの飢餓を満たすために屠りあい、別れる。
二人の間にあるものは、愛でも情でもない。
女との、恋人とは言わぬ、この関係を何と表すのか風間竜一には見当がつかない。
99: ピンポン そしてまた太陽が昇る 2/3 2010/04/03(土) 22:50:37 ID:lWJv/Zo10(11/12)調 AAS
星野を見送りに行った空港からの帰り、孔を車に乗せてアパートまで送ったことがあった。
しばらくしてから女に会った時、女は少しばかり目を細めて風間を見、
風間君…好きな人が出来たでしょう
と言った。
そんな人はいない、と風間は答えた。
女は笑って、
風間君って時々40歳くらいのおじさまなんじゃないかと思うことがあるんだけど、かと思うとやっぱり20歳そこそこの男の子なのよね…
と、吸っていた煙草を揉み消した。
風間が孔と偶然に再会し、孔のアパートで酒を飲んだ夜、風間の背中には前の晩に女が付けた爪の跡があった。
風間はその時ひどく乾いていた。
孔を車で送ってから、風間に常につきまとっていた餓えと乾きは強くなったようだった。
怒りと、焦りと、もどかしい感情が風間を支配していた。
行為に表れたのだろう。そのため、爪を立てられたのだ。
孔と飲むのは楽しかった。
正直に言えば、孔と居ること自体が楽しかった。
昂揚したような、どこか興奮しているような、感じたことのない感情が風間に襲いかかる。
自分を律しながら、孔との時間を楽しんだ。孔も楽しそうだった。
一変したのは、濡れたTシャツを着替えようとして、風間が孔に背中を向けた瞬間だった。
空気が変化したのが気配でわかった。
「せなか」
と言われて、前の晩に女と会ったことを思い出した。
「かのじょか」
と問われて、恋人ではない、と答えた。
女との関係を説明する気はなかったし、実際、説明のしようがなかった。
恋人ということにしておけば孔は納得したのだろうが、それは風間の中の実直さが許さなかった。
孔はきっと誤解しただろう。不実な関係を楽しむ男と思っただろう。
それはそれでいい。
100: ピンポン そしてまた太陽が昇る 3/3 2010/04/03(土) 22:52:29 ID:lWJv/Zo10(12/12)調 AAS
問題なのは、孔に背中の爪の跡を見られたことが、風間自身に予想外に大きなダメージを与えたことだ。
まるで不貞のあとを見られたような。
孔は久し振りに会った良い友達で、スポーツを介した戦友だ。
浮気と言う表現は現実にそぐわない。
しかし…なぜ、孔を裏切ったような気持ちになるのか。
いや、違う。孔ではない。自分を裏切ったような気持ちが風間を襲うのだ。
風間の中で、答えはもう既にあった。本当は最初からあったのだ。
気がつかないふりをしていただけだ。
孔の気持ちが自分に向くことなど有り得ない。
初めての自分の恋愛は不毛なまま終わるだろう。
まあいい…。自分に正直でないより、ずっといい。
風間は不器用な男だったのだ。
自分が器用な男ではなかったことに、風間は安堵と同時に軽い失望も感じた。
そして、風間はまだ若かったのだ。
驚くほど老成しながらも、未熟な部分があることに、自分でも気がつけない程、まだ若かったのだ。
風間は掌の中の携帯電話を開き、ボタンを押した。
何度かのコールの後、女の声が聞こえる。
風間はゆっくりと口を開いた。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
ようやくそれぞれ自分の気持ちに気が付いたナリ
101(1): 薄氷の音1/8 2010/04/04(日) 01:22:17 ID:nO9YY8fVO携(1/9)調 AAS
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
タイガードラマの武智(黒)×奈須。本編でほぼモブだったのに夢見すぎてエロがあります。
黒白タケチの関係性が難しく、なんだかわかりにくい話になってしまいました。
雰囲気だけでも伝わってくれれば幸いかと…
それは、鈴を振るかのごとく高く澄んだ音だった。
長く尾を引きながら、薄く剥がれ細かく欠けていく音。
『東洋は生きちょります』
それが一際大きくなった瞬間。
耳の奥で反響するそれに、自分の声も聞こえないまま唇だけが動く。
『…涼真は…』
『あやつも』
しかしその音が……不意に止んだ。
それに自分はあぁと思う。
あぁ、とどめだ、と。
しかしそれは初めからわかっていた事だった。
わかっていたから、自分は今目の前にいる男を呼んだのだ。
それでも最後の一欠片で、信じたい気持もあったのだろう。
それが――彼はまだ報告に現れない――その事ですべてを悟らされる。
愚かだと思う。愚かすぎていっそ憐れなほどだ。
いったいこれまで、何度同じような事を繰り返してきたのか。
だから『少し休め』と、自分はもう一つの自我に唇を動かさぬまま呟く。
自由は欲しい。しかしだからと言って完全に消えてなくなられても困るのだ。
だからしばし……眠れ。
告げる言葉と裏腹に、閉じていた目が開く。
光の無い黒い瞳が、前に座す男を映し出していた。
102: 薄氷の音2/8 2010/04/04(日) 01:24:32 ID:nO9YY8fVO携(2/9)調 AAS
奈須進吾。
道場に通う門弟の中でも、抜きん出た体格の良さと武芸の腕を持っている彼とその仲間に、
数日前、自分はある仕事を頼んだ。それは、
藩の参政、芳田東葉の動向を探る事。
それは登城時の道筋や護衛の数。帰城の時間。屋敷への来訪者の詳細。そして、
それと同時に見張らせた阪本涼真の行動。
自分と彼の縁戚関係は周囲には知られている。
それゆえに最初聞かされた時、彼は一瞬怪訝な顔をしてみせた。
しかし腕だけでなく頭も回る男だったのだろう、彼はそれ以上の事は言及せず忠実に任にあたった。
その上での、今の報告。
あの男も、彼も生きている。ならば次に打つ手は、
「手間を取らせてすまんかったな。」
「いえ。」
「何分、自分では動けんかったでの。助かった。」
言いながら無意識のようにその手を頬に触れさせる。
そこには数日前、東葉とその甥によって足蹴にされた際、出来た痣がまだ薄く残っていた。
途端、那須の視線が歪む。
「大丈夫ながですか?」
問われ、静かに微笑した。
「あぁ。腫れは大分と引いた。しかし見栄じゃな。皆の前であのような目にあって、
なんちゃあ頼み事をするにも、収次郎達を頼るのは気が引けた。」
普段、片腕とも言うべき旧知の仲間の名をさらりと出せば、それに奈須の目には瞬間、
微かな喜色が浮かぶ。
「いえ、声をかけてもろうて、嬉しかったがです。」
多勢の中から一人、認められたと言う事実が自尊心をくすぐる。
そしてそれは更なる特別を求めさせる。
「先生は、阪本に何を?」
答えを察っしているだろう上で口にしてくる問い掛け。それに自分は尚も静かに笑ってみせた。
「なんちゃあない事や。」
「しかしあやつはあの東葉を前にして、なんもせずに戻ってきたがです。あれがわしやったら、」
「やめい。」
103: 薄氷の音3/8 2010/04/04(日) 01:26:16 ID:nO9YY8fVO携(3/9)調 AAS
憤る語調を諌めるように、短く強く言う。
それに奈須は一瞬呑まれたような表情を見せたが、それに自分は彼の目の前、一度小さく息をつくと
再び口元に柔らかな笑みを浮かべた。そして、
「……涼真にも出来んかった事じゃ。おまんに無茶はさせられん。」
わざとの名出し。わざとの労り。
その響きが優しげなら優しげなほど、相手の義侠心を煽るのは想定の内の事だった。
「先生!」
座していた間を詰められ、腕を掴まれる。
「望む事を言うてつかぁさい!わしは先生のお役に立ちたいんじゃ!」
握り込んでくる手の強い力。本気の声の響き。
追い込む。あと、もう少し。
「一人では無理じゃ。」
「今回の事に関わった保岡と大居氏にも声を掛けます。」
「事が成れば、おまんらはこの土イ左におられのぉなる。」
「それが先生の、この国の為になるがなら本望ですきに。」
「……いかん、」
微かな沈黙の後の溜息、そして微笑。
やんわりと掴んでくる腕を解こうとする。その気配に奈須は抵抗した。
「先生!」
振り解かれまいとする手が腕を引き寄せようとし、その強い力に体が思わず傾く。
奈須の肩に顔を埋めるような形になる。
触れた場所から伝わる振動で、彼がはっと息を呑むのがわかった。だから、
「……その前に、おまんには今回の礼をせねばならんのう。」
話をはぐらかし、着物越し、その胸に手を置く。
押し返すわけでも縋るわけでもなく、ただ触れ、その目を上げる。
「何か、欲しいもんはあるかえ?」
目を細めて笑いながら、問う。
その答えは……再び深く抱き込んでくる腕の強さで返された。
104: 薄氷の音4/8 2010/04/04(日) 01:28:27 ID:nO9YY8fVO携(4/9)調 AAS
窓辺に座り込み、細く開けた障子戸の隙間からのぞき見た眼下には、夜も更けた頃合いになっても
行き交う人の影が幾つか見て取れた。
賑やかと言う訳ではない。どちらかと言えば密やかな、しかし眠る事のない淫猥な雰囲気が
日が落ちると共に漂い出す町の一角。
しかしそんな界隈の中でも今、自分がいるこの店は比較的まともな店構えをしていた。
あれから数日、落ち合う場所は相手に決めさせた。
果たしてどんな所を指定してくるか。思い、辿りついた場所にあったのは、一見普通の
小料理屋を前面に出した色茶屋だった。
その選択は彼なりの自分に対する配慮だったのだろう。
ふと思い、背後を振り返ろうとする。
しかしその背中にこの時、ふわりと掛けられる羽織の感触があった。
「夜は大分と冷えてきましたきに。」
情事後、眠っているとばかり思っていた男がいつの間にか側近くに来、着物一枚だった
この身を心配して労わりの声をかけてくる。
そんな相手に武智はこの時、ゆっくりと視線を巡らせると静かに微笑みかけていた。
「すまんな。」
礼を言いその羽織を引き寄せながら、そのまま後ろにいる彼――奈須の腕の中に凭れかかろうとする。
そのわずかに傾いた体を、彼はしっかりと受け止めてきた。
先刻まで一度深く絡み合っていた肌は、互いの着物越しでもこの時しっとりと纏いつく。
太い腕が体温を分け合うように体を抱き込み、柔らかく引き寄せてくる。
それに武智は逆らわなかった。
むしろ自ら甘えるように首を傾けてその頬をすり寄せようとすれば、その顎に添うように
奈須は手を持ち上げてきた。
柔くなぞり上げ、それは頬のある一点で止まる。
そして小さく呟かれる。
「許せんがです……」
真剣に思いつめたような声。それに武智はふっと口元を緩めた。
「そんな事を言うてくれたは、おまんだけじゃ。」
105: 薄氷の音5/8 2010/04/04(日) 01:31:09 ID:nO9YY8fVO携(5/9)調 AAS
決死の訴えを退けられ、あげく犬猫のごとく痛めつけられ、その際に出来たこの顔の痣から、
あの時門弟達は皆、まるで腫れ物に触れないでおこうとするかのように目を背けた。
それは新入りの者達から、古くからつきあいのある者達に至るまで。
もっともその中には、驚きのあまりこの痣自体目に入っていないかのような者もいたが……
脳裏に浮かびかけたその者の顔を、武智はしかしこの時、すぐに打ち消すように意識を触れてくる
手の方に集中させる。
優しい手はただそれだけでひどく肌になじむ。
それはそれだけこの身が、まるで渇いた砂のように労わりに飢えていた事を意味していた。
幼い頃からもう気が遠くなるほどの長い間、この身はずっと我慢に我慢を重ね、耐える事を覚え、
それでも期待をすれば裏切られ、与えられる事を望んでも奪われ続けるばかりで。
そしてそんな重なる痛みと共に、心は荒んで、荒んで……
「なぁ…」
視線を落としたまま、抑揚の無い呟きが零れる。
「おまんは、心が削られる音っちゅうもんを知っちょるか?」
急に耳に届いたそんな言葉の意味を、奈須はこの時はかりかねたようだった。
えっ?とばかりにわずかに姿勢が正され、その顔が武智の表情を覗き込もうとしてくる。
それを武智は戯れるように微かに首を振りながら拒んだ。
それでも呟きだけは零れ続ける。
「最初は何の音かわかっちょらんかった。それは高く澄んだ音で、鈴でも振るかのように
か細く長く後を引く……たまに聞く分だけなら綺麗だとも思えたんじゃがな。あまりに
鳴り続けられると、神経をやられる。」
絶えることなく耳の奥で響き続ける音に侵され、苛まれてゆく。
長じるにつれ酷くなっていたその現象から解放されたのは、彼が側にいた時だけだった。
考えまいとする矢先から浮かび上がってくる一人の男の面影に、武智はこの時たまらず苦笑する。
唯一の光。唯一の救い。しかし皮肉なものだとも思う。
その男が結局は、自分の中に一番大きな音を立てていったのだから。
あれ以来、もう音は聞こえない。
だからもう……いらない。
106: 薄氷の音6/8 2010/04/04(日) 01:32:48 ID:nO9YY8fVO携(6/9)調 AAS
「先生?」
心配そうに呼びかけてくる声。それに合わせるように武智はこの時顔と共に手を差し伸ばした。
頬に触れてくる手に、自分のそれを重ね合わせる。
相手など、選ばなければいくらでもいるのだ。
それが例え行きずりだろうと、今宵限りの者だろうと……
「なんちゃあない。それより、もうええがか?」
だから滑るように口にする、誘いの呼び水。
「せめてもの餞別じゃ。好きにしてくれたらええ。」
事が成った後、彼が徴収へ落ち伸びる手配はすべて自分が整えた。
この時勢、これが終生の別れになるかもしれない事は双方口にしないまま理解している。
それゆえの衝動。
不意に膝裏に腕を差し込まれ、座り込んでいた場所から抱き上げられようとする。
力強い腕の、しかしその行為を武智は刹那制した。
途端、怪訝にひそめられる奈須の眉根。
それを見て取りながら、武智は少しだけ可笑しげに笑ってみせる。
そして視線を外さぬまま、この時伸ばした指先。
それはコトリと小さな音を立てて、細く開いていた障子を後ろ手に閉めていた。
107: 薄氷の音7/8 2010/04/04(日) 01:35:56 ID:nO9YY8fVO携(7/9)調 AAS
すでに寝乱れていた布団の上に運ばれて、貪るように始められる二度目の情交。
余裕を失くしたような奈須の荒々しい求めにも、武智の体はすぐに慣れ溶けた。
物心ついた頃からもう何度、意思に反して踏みにじられ苦痛しか感じなかった行為も、自ら
受け入れてしまえば、そこにあったのは果てのない悦楽だった。
首筋を辿り下りていく唇に胸の尖りを捉えられ、念入りに舌を絡められれば、そこから生まれる
ジリジリとした昏い熱に無意識に指先が伸びる。
胸元に伏せられる男の髪に手をやって、弄るようにその首や肩を撫で下ろし、その上に早うと
せがむように爪を立てる。
それに奈須は応えてきた。
手を掛けた足を持ち上げ、押し開き、あてがってくる。
それに抗う素振りを見せなければ、奈須は一気に彼自身を武智の中に埋めてきた。
すでに猛りきっていた男の欲の圧迫感には、さすがに息が詰まった。
けれど熟れた体に走る痛みはもはやあまり無い。
だから戻す呼吸と共に、武智は自らも動く。それは、罪に蜜を絡めるように。
明かりの落ちた室内に響く、脱ぎきれていない着物の衣擦れと淫らな水の音。
抱き締められ、揺さぶられる度に上げる喘ぎは、塞いでくる手さえなければこの上なく甘く、
淫らがましく己の耳にも届き、それに武智は自らの胸の奥をちりちりと焼く疼きがある事を知る。
回した腕で懸命に男の背に縋りつきながら、それを武智はふと可笑しく思う。
まったく往生際の悪い。
ここまで堕ちて、まだ恥と感じる心があるのか。
認めてしまえば、解放してしまえば、楽になれると言うのに。
たとえば、このように………
「…やぁ…っ…あぁっ…」
乱れる布団の上、徐々にずり上がっていた体を再び引き戻され、より深くを穿たれる。
途端、跳ねる背と共に悲鳴にも似た声が口をついた。
「やめっ……や…ぁ…」
それまで男のすべてを従順に受け入れていた体が、突如もがく様な仕草を見せる。
けれどそれを、嘘をつけと含み笑う意識があった。ただ、
「……やめ……こわ…い…っ…」
怯えるように切れ切れに零された、その言葉は本当の事だろうとも思う。
もっともそれが理性を失くしかけている男を煽るだけにしかならない事も、自分は知っている。
108: 薄氷の音8/8 2010/04/04(日) 01:38:33 ID:nO9YY8fVO携(8/9)調 AAS
律動が早まる。逃れられず追い込まれる悲鳴が、男の下で徐々に啜り泣く様な吐息に変わってゆく。
それでも、
「…もう……いて…くれ……」
その中でも呟かれた掠れた声の訴えに、肌一枚の下、浮かべていた笑みは明確な失笑となった。
いったいどこまで……お綺麗にお人好しなのか。
しかしその願いを叶えてやる訳にはいかなかった。
どれ程願おうと―――自死など選ばせてなるものか。
この体は自分のものでもあるのだから。
だから、
不意に、それまでなすがままに揺れていた足を、武智は奈須の腰に絡めた。
うねるように二人して昇り詰めるよう、その首筋に腕を回し、引き寄せる。
そして耳朶に這わせた唇で、その時声に出さずに奈須に告げた囁き。それは、
―――わしの為に、東葉を…
「…殺いて…くれ………」
恍惚とした笑みを浮かべるのと同時に果てた瞬間、聞いたそれは鈴を振るかのごとく
高く澄んだ音だった。
わずかに残っていたそれに罅を走らせ、粉々に砕け散らせた……
願う冷たい死とは裏腹な熱い欲を身の内に感じながら、武智はこの時あらためて、
人の心とは薄氷が割れるような音を立てて壊れるのだと知っていた。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
白タケチをイジメる黒タケチのイメージは木春屋4十奏の幻惑だったと言ってみる。
109: 101 2010/04/04(日) 02:12:59 ID:nO9YY8fVO携(9/9)調 AAS
すみません。今頃カプ表記を間違えた事に気付きました。
武智(黒)×奈須ではなく→奈須×武智(黒)です!
間違えて読んでしまった方がいたら、本当にすみません…
110(2): 架空のスタッフ×某テクノなおっさん師匠 1/3 2010/04/04(日) 20:45:08 ID:bbRAoi3bO携(1/3)調 AAS
架空のスタッフ×某テクノなおっさん師匠です。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
トイレから帰ってきたら、ドアの前で松/村に頭を叩かれた。
「なんだよ」
「お前パソコン開いたままで行っただろ。ヒラ/サワさん読んでるぞ。」
「げ」
俺の暇つぶしの松/村×ヒラ/サワ小説(完結編)を事もあろうに見られた。
ヒラ/サワさんに。
俺が座っていた椅子に座り、足を組みながら堂々と画面を凝視している。
お、俺は…ど、どうしたら…
松/村が顔だけ動かして「行け」と命令してくる。
わかってるよ。こうしてたってしょうがないしな。
でも心の準備ってもんが…
ああ、でも見られたもんはしょうがない。
俺のせいだ…。
ドアを開け、恐る恐る近づく。
おい、松/村、お前も入ってこい。いや、入ってきてください。
俺の必死の形相に松/村は呆れて溜息を吐きつつ入ってきてくれた。
しかしいつでも出られるようにドアの前から動かない。くそが。
「あ、あ、あのーー……」
くるっと振り向いたヒラ/サワさんの目力のすごさに後ずさる。
「ほんとすいません!!」
やばい、やっぱり怒ってるよ。やばい。嫌われるのだけは嫌だ…!
111: 架空のスタッフ×某テクノなおっさん師匠 2/3 2010/04/04(日) 20:46:39 ID:bbRAoi3bO携(2/3)調 AAS
ああなんで最後まで書いちゃったんだろう。
かなりきわどい事もさせちゃったし怒るよそりゃ。
こんな風に見られてるって知ったら俺だって怒るし書いたやつの事嫌いになる。
うわああ嫌だ嫌われたくない!!
どうしよう、どうしたら…
「こんなもので」
「はい!すいまs」
「こんなもので私が(ピー)ながら(ピーーー)るとでも?」
「……え?」
なんだって?
今、な、なんだって?そっち?
「……」
にわかに信じがたい事を言われた気がする。
思ってた突っ込みと方向が違う。
やばい、体が動かない。目力がすごすぎてヒラ/サワさんから目も離せない。
俺、丸腰なんだけど。
ヒラ/サワさんは俺を見たまま椅子をくるんと回転させ体ごとこちらを向いた。
椅子に深く腰かけ、足を組んだ膝の上で手も組んで俺を見上げる。
思わずフラフラと近づきそうになった。のに。
「だいたい(ピー)は(ピー)なのだからこんなもんでは私は(ピー)しない。」
近づきそうになった途端、また俺の思考が止まる。
112: 架空のスタッフ×某テクノなおっさん師匠 3/3 2010/04/04(日) 20:47:50 ID:bbRAoi3bO携(3/3)調 AAS
「あ、あ、」
「もっと(ピー)なもので(ズキューン)しても(ピー)だと思わないか?」
あれ?あれ何これ?
ヒラ/サワさんなんか笑ってるし。
違う方向からなんかでかい爆弾が落とされてる!あれ?
ていうか俺の防空壕の中にヒラ/サワさんが居る!!
「(ピー)というのは、(ピー)であるゆえに、つまり(ピーーーーー)。私を(ピー)たかったら(ピー)くらいしないとダメ。」
長い!!話長いよ!!!助けてーーーーーーーーー!!まつ…
あっ松/村が居なくなってる!!
「す、すいま、すいま、」
「わかったら、はいやり直し。」
全選択→del→上書き保存
ああああああ渾身の作が。いや、駄作が…。
「最低限(ピー)するように。でないと(ピー)てやんない。」
席を立ち、静かに自分の作業に戻るヒラ/サワさん。
「おい」
呆然としている俺にいつの間にか帰って来ていたらしい薄情な松/村が話しかけてきた。
「なんか好きな話題だったみたいでよかったな。」
くそが。
俺…いつかヒラ/サワさんを満足させられる日が来るんだろうか。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
たくさんのねつ造がかさんでおります。
読んでくださってありがとうございました。
113(1): ピンポン 恋は思案の外 1/5 2010/04/04(日) 22:54:05 ID:HM7kvPxB0(1/5)調 AAS
ピンポン ドラチャイ
56-429 56-448 56-456 57-19 57-87 57-98 の続き
じりじりと進んでおります
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
孔が風間と久しぶりに顔を合わせたのは、仕事先のスポーツセンターのジムだった。
交代の時間になり、ファイルを手に取りながらジムを出ようかと歩き出したところで視界の端に存在感のある何かをとらえ、振り向くと、壁際のベンチシートに座って孔を見る風間の姿があった。
「…風間?」
「トレーナー姿も板についているものだな」
風間は、孔のアパートからの帰り際気まずく別れたことなど何もなかったかのように話しかけてくる。
孔の働く姿を見ていたのらしい。気が付かなかった。
「びくりした…いつからいた? トレーニングに来た?」
「ここには今しがただな。隣に、注文していたラケットを受け取りに来たのだが」
「ああ」
スポーツセンターの隣には、スポーツ用品全般を取り扱う大きいショップがある。
「いいトレーニングマシンが入ったと大学で噂で聞いてな。それにここで働いていると言っていただろう。ついでにのぞきに来た」
「新しいのベンチかな。あれ、いいよ。レッグストラッチャーも、新しくなてる」
「ここのジムは孔をトレーナーに指名すれば付いてくれるのか」
「うん、私、その時、空いていれば。来たら、ジムの受付、聞け」
話しながら、先日のことは、風間にとってはなんでもないことだったのだと気が付いた。
顔を合わせづらいと考えていたのは孔だけだったのだ。
「そうしよう。ジムにいる日を教えてくれ」
目を覗き込まれて、孔はごまかすように腕にかけていたジャージの上を羽織った。
114: ピンポン 恋は思案の外 2/5 2010/04/04(日) 22:56:35 ID:HM7kvPxB0(2/5)調 AAS
「孔はその色合いが似合うな」
孔が着たのは、黒に鮮やかなオレンジのラインが入ったジャージだ。
オレンジは辻堂学園卓球部カラーで、あればついその色が入っているものを選んでしまう。
そう言うことは女の子に言え、と思う。
「ラケットの受け取り、これから?」
「もう終わった。仕事は終わったのか? この後は辻堂か?」
「ん、昨日土曜で試合あたろぉ、今日は午前中自主練、私休み。今日はジムだけ」
「ちょうどよかった。それならば少し付き合ってくれ」
「どこ?」
「台があるのだろう。新しいラケットの調子を試したい」
「ああ。いいよ」
いいよ。
孔は一度職員ロッカーに戻り、ラケットと球を持つと卓球室へと急いだ。
卓球室には8台の卓球台があり、使用申込書を書いて料金を払えば誰でも使用出来る。
既に着替えてストレッチしていた風間を見つけると、孔の心臓が早くなった。
趣味や、健康づくりのために来ている利用者がほとんどの卓球室の中で、風間の姿は異彩を放つ。
「あら孔さん、こんな時間に珍しい。今日はジムじゃないの?」
「こにちは、ええ、はい、これから、友達に付き合って、打ち合いです」
なじみの利用者に声をかけられ、挨拶を返しながら風間の元へと急ぐと、孔もストレッチで身体をほぐした。
一通り終えると、風間と孔は深緑色の台を挟んで構えた。
「いくぞ」
「うん」
カツッと言う音の、風間のサーブでラリーが始まった。
孔はこの球が走り出す、その一瞬前の緊張感が好きだ。
アドレナリンが身体を駆け巡るのがわかる。
二人の間を、軽い音を立てて白い球が走る。
相手の打ちやすいところへと球を返すラリーは、技術の高いもの同士、互いの息が合うと長い間続けることが出来る。
自分の打つ球が、風間の元へ吸い込まれるように飛び、風間から返ってくる。
辻堂の生徒の相手として打つラリーとはまた違う楽しさ。
115: ピンポン 恋は思案の外 3/5 2010/04/04(日) 22:58:20 ID:HM7kvPxB0(3/5)調 AAS
何回ラリーが続いたか、風間が不意に球を見送った。
手を止めて二人のラリーに見入っていた利用者達から、
「ああー」
と言うため息のような声が漏れる。
誰かが気を利かせてロストボールを取りに行くのが目の端に見える。
風間が新しく球を手に取り、構えた瞬間、風間の持つ威圧感がぐっと強くなるのを孔は感じた。
心臓がどくりと跳ね、興奮に肌がざっと粟立つ。
これから始まるのはラリーではない。
風間が真剣勝負を仕掛けてようとしているのを孔は瞬時に理解した。
(来い!)
風間がサーブした瞬間、孔の耳から回りの音が消えた。
「はぁっ!」
どん、と音が聞こえるようなサーブを打ち込まれ、反射的に孔の身体が走る。
飛び、
返し、
打ち込まれ、
拾い、
翻弄され、
翻弄し、
弱点を暴かれ、
暴く。
この狭いコートは、なんと広いのだろうと思う。
この、軽く小さな白い球は、なんと重いのだろうと思う。
孔は風間が、辻堂2年の時に対戦して以来の間に、変化したことを知った。
あの頃の風間のプレーは戦車のようだった。
装甲車を相手にしているようだった。
孔の知らない、風間の中に積み重なった様々な経験が、風間を変えたのだ。
風間はこれからも変っていくだろう。
116: ピンポン 恋は思案の外 4/5 2010/04/04(日) 23:00:07 ID:HM7kvPxB0(4/5)調 AAS
白い球を追って、打ち込んで、聞こえるのは、自分と、風間の息づかいのみ。
汗が滴り落ち、床に飛ぶ。
打ち続けるうち、孔はセックスしているかのような感覚にとらわれた。
卓球とはこんな球技だったろうか。
裸に剥かれて、心の奥も剥かれるように感じる、こんなスポーツだっただろうか。
風間はこんなにしなやかでセクシーな男だっただろうか。
これが本当のセックスだったら、俺はとうの昔に射精している。
勃起していないのが不思議なくらいだ。
「10-12! 風間選手!」
コートのエッジに打ち込まれ、興奮した声で点数を告げられると、孔は誰かが審判役を買って出、点数が付けられていたことに気が付いた。
破顔しながら風間が大股に近づいて来、孔に握手を求めた。
孔も笑いながら腕をのばし、握手を交わす。
それから抱き合い、肩を叩いて健闘を称える。
スポーツマンの抱擁。
「孔さん、すごいわねえぇ」
「風間選手のプレーが間近で見られるなんてな」
顔なじみの利用者が次々に声をかけてくる。
「もう終わり?」
「ええ、今日はこれで」
風間が息荒く答え、孔も流れ落ちる汗をタオルで押さえながら、審判をしてくれた男性に礼を伝えた。
利用者たちがわいわいとそれぞれ自分たちの台に戻る。
ストレッチで身体をクールダウンさせると、風間が先に立ち上がり、孔に手を差し出した。
風間の手のひらを握り、立ち上がる。
117: ピンポン 恋は思案の外 5/5 2010/04/04(日) 23:03:06 ID:HM7kvPxB0(5/5)調 AAS
「風間、スタイル変ったね」
「そうか。孔は相変わらず燕のようだったな」
「つばめ? 鳥?」
「そうだ。空をすいすいと飛んで、掴まえられない。海王の頃から、孔を見る度そう思っていた」
それはなんだ。真顔で殺し文句か。
照れた顔を見られずにすむよう、まだ汗が出る、と言う風に、孔は頭からタオルをかぶった。
「ラケット、どうだった」
「ああ、なかなかいい」
荷物を持って卓球室を後にしながら、再び風間との距離が近くなったことを孔は何者かに感謝した。
風間。
風間は俺がお前を好きだってこと、知らないだろう。
知らなくってもいい。
俺が知ってる。
「孔、時間があるなら飯を食おう」
「あ、行く行く。でも日誌書くから、ちょと遅くなるよ」
「わかった。待っている」
更衣室に歩き出した風間と別れ、孔は急ぎ足で事務所へと向かう。
泣きたいような、
嬉しいような、
苦しいような、
晴れ晴れとしたような、
何とも言えない気持ちとともに。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
118: 2010/04/04(日) 23:36:33 ID:oPCS1IZi0(1)調 AAS
>>113
GJ! ドラチャイにはまりました。
続き待ってます。
119(2): 犬も食わない 1/3 2010/04/05(月) 23:42:54 ID:0TWOkb3F0(1/3)調 AAS
ピンポン ドラチャイ
56-429 56-448 56-456 57-19 57-87 57-98 57-113 の小話
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
きっかけはささいなことだった。
何かの拍子に、風間と孔が珍しく喧嘩になった。
いつものように居酒屋で、楽しく飲み且つ食べる時間のはずが、二人ともお互いに譲らない。
風間はむっと黙ったまま孔を見つめているし、孔は自分の持ちうるかぎりの語彙で、怒りを表現している。
孔は風間が何も言わずにいることに、だんだんむかっ腹が立ちはじめていた。
だいたいなんだ。
言葉にせずに相手に伝わるはずがないじゃないか。
俺がこんなに一生懸命、お前の言葉でしゃべろうとしているのに、どうしてお前は黙るんだ。
くそ。
そんな目で見るなよ。
俺の言いたいことなんかお見通しかよ。
「風間っ」
「おまたせしましたー。酎ハイと生ビールになりますー。ご注文は以上でよろしいでしょうかー」
かっとしたところで、追加注文していた品物が届き、孔は気勢をそがれて、目の前に置かれた酎ハイをあおった。
つられたように、風間も生ビールを口にする。風間が孔を見た。
あっ。またそう言う目をする。言ってやる。やっぱり言ってやる。
「もうっ、風間、そんな、人、ハダカにして、舐めるみたいに見るなっ!」
ぶふぅっ
思いきり、風間がビールを吹き出した。
満杯だった生ビールは半分以上こぼれ、白い泡がぼたぼたとあちこちに吹き飛んだ。
むせた風間はおしぼりで口と鼻を押さえ、咳込んでいる。
周りの客の視線が痛い。
120: 犬も食わない 2/3 2010/04/05(月) 23:44:44 ID:0TWOkb3F0(2/3)調 AAS
あ、あれ?
日本語おかしかったか?
見透かすようなその視線が気にくわない、と言いたかっただけなのだが。
「……孔」
憮然としながら吹きかけられたビールを拭いていると、ごほごほと苦しそうな息の間から、風間が言った。
「…それは、かなり性的な意味に聞こえるが、そう言う意味か?」
「え?」
「私が、お前を、性的な視線で見ていると、そう言う意味に聞こえるが」
立ち直ったらしい風間が、咳込みながら笑いを含んだ声で言う。
かぁっと頭と顔に血が上り、ビールを拭いていたおしぼりで風間の頭を一つはたくと、財布から札を出してテーブルに叩き付け、「私もう帰るよっ!」と叫んで孔は席を立った。
「待て、孔、待て」
慌てて風間が追いかけてくる。
かっかと顔がほてる。
くそう。
風間め。
孔が席から立ち上がるのを見て、風間は慌てた。
本気で怒らせるつもりではなかったのだ。
孔が置いた金と伝票をつかみ、荷物を抱え、財布を出しながら会計へ急ぐ。
孔はどんどん歩いて行ってしまう。
121(1): 犬も食わない 3/3 2010/04/05(月) 23:46:13 ID:0TWOkb3F0(3/3)調 AAS
まったく。
風間は苦笑する。
私としたことが。
孔があまりにもかわいいことを言うのでからかいたくなったのだ。
男相手にかわいいと思うのも、いかれた話ではあるが。
会計を終え、店の外に出ると、孔が早足で歩く後ろ姿が見える。
ほとんど走るように大股で歩き、孔の隣に並ぶ。
「孔、悪かった」
「もう、知らないよ」
「悪かった。そう怒るな。少しからかっただけだ」
「知らない、ってば」
拗ねたように孔が言う。
いい年をした男同士が、何をしているのやら。これではまるで痴話喧嘩だ。
まだ怒っている孔をなだめながら、風間は再び、苦笑を浮かべた。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
122: 2010/04/06(火) 00:21:48 ID:gjBCXY6lO携(1)調 AAS
>>121
ドラチャイいいですなあ。リリカルホモたまりません^^
安らぎます…
123: 2010/04/06(火) 00:24:42 ID:c7I1HTPu0(1)調 AAS
>>119
GJ!チャイナ萌えの自分にとって毎日がwktkですw
片言痴話げんか萌える!
124: 2010/04/06(火) 00:28:58 ID:cyblt6d/0(1)調 AAS
>>119
GJ!この空気たまらんです。
125: 2010/04/06(火) 00:41:16 ID:JhxmoKaHO携(1)調 AAS
ピンポン好き姐さんが沢山いらっしゃるのが嬉しい…
126: 夜にも奇冥な物語 もう独りのオレ 18禁描写アリ 2010/04/06(火) 16:23:28 ID:sRTIe/US0(1/9)調 AA×

127: 夜にも奇冥な物語 もう独りのオレ 18禁描写アリ(1/5) 2010/04/06(火) 16:25:50 ID:sRTIe/US0(2/9)調 AAS
「ちくしょ〜・・・・」なんていいながらソファーで寝ぼけている
もう1人の自分を見つめながら、これから起こることを考えてると笑いが止まらなくて
必死に笑いをこらえていた
そして誰に言うでもなく「馬鹿なやつやなぁ」と呟いた
明日になったらお前の生活も笑いも人生も俺のもんだ
そんな事にも気づかずにとうとう大きないびきをかきはじめた自分の顔を覗き込んだ
しあわせそうな顔して寝てるなぁ・・・・
そう思うとなんだか急に腹が立って、気づいたら奴の上に乗る形になっていた
俺の重さで寝苦しいのか「んん・・・・」と寝言を言ってるが起きてはいない様だ
そんな顔を見ていたら、自分の中で黒い感情が芽生えているのに気が付いた
まあ正直なところ、明日のためにもなかなか起きれないようにするのも作戦の1つだから
まあいいやと考え服の下から手を入れるとそのまま弄ってみた
「ううっ・・・ん」愚痴りながら飲んでいたせいかだいぶ酒が回っているみたいで
起きる事はなさそうなのでそのまま胸の突起を弄りはじめた
「はぁ・・・・」赤い顔が更に赤くなり、切なそうに声を上げた
そのまま手を下にすこしずつ下げていくと、勃っているのが分かった
「お前も感じてるんだからおあいこだな」そのままズボンを脱がすと
指を入れはじめた
128: 夜にも奇冥な物語 もう独りのオレ 18禁描写アリ(2/5) 2010/04/06(火) 16:27:04 ID:sRTIe/US0(3/9)調 AAS
「本当はもっとゆっくり犯してやりたかったけど時間がないもんな」
ほぼ時間的には朝になっている掛け時計に目をやると
二本目の指を入れると
「あっ・・・ああ」
そのまま入れた指をゆっくり抜き差しを繰り返した
「ぐっ・・・んん・・・ああっ・・・・」
部屋にわざと水音が響くように大きく指を動かしはじめた
「まあ聞こえてないだろうけどこれ自分の音やからな」
そういいながらおもむろにもう1人の自分のズボンのポケットからケータイを取り出すと
写真を撮りはじめた、状況には似つかわしくない軽快な電子音が響く
「これでよし・・・」そう呟くと
自分もズボンを下ろし、押し付けると同時にゆっくり挿入していった
「ああっ・・・・」今までより大きな声だったので起きてしまったかもしれないと
動きを止めたが、まだ寝ているようだった
129: 夜にも奇冥な物語 もう独りのオレ 18禁描写アリ(3/5) 2010/04/06(火) 16:27:41 ID:sRTIe/US0(4/9)調 AAS
「俺にぶいなぁ・・・まあそのほうがいいんやけど」
また動きはじめ、全部を入れていったが、また腰の動きを止めて携帯で撮りはじめた
「これぐらいでいいやろ」と呟き、携帯を閉じると
また動きはじめた
起こさないようにゆっくりと上下に動いた
「やぁ・・・・あっ・・・・」
ぬちゅ・・・と淫靡な音を立てながら
奥まで入れるとまた引き抜く動きを何度も何度も繰り返した
「これじゃあ満足できないよな?・・・」
もう1人の自分に耳の側で呟くと小声で
「イキたい・・・」と呟いた
驚いて「お前起きてるのか!?」
問いかけてみたが、答えは返ってこなかった。どうやら寝ぼけているらしい
「お前がそういうならしゃあないな、自分がいったんやで」
そう言うと、腰の動きを少しづつ激しくしていった
「ああっ・・・・ああっ!!んん・・・・!」
パンパンと部屋に肉と肉がぶつかりあう音とあえぎ声が大きく響いていた
「えらいやらしいな・・・・そろそろええやろっ・・・!!」
「あっ・・・・ん!」
そのまま俺はもう1人の自分の中に出してやりたい気分だったが
もう出なければいけない時間だったから処理する時間も考え、腹の上に出してやった
130: 夜にも奇冥な物語 もう独りのオレ 18禁描写アリ(3/5) 2010/04/06(火) 16:29:40 ID:sRTIe/US0(5/9)調 AAS
翌日、あいつが寝ている間に俺はさっさと仕事に行ってやった
今頃あいつは家でまだ寝ているか気づいてTVを付けて真っ青になっているかと思うと
一日中ニヤニヤが止まらなかった、
仕事が終わって家に帰ると、案の定もう1人の俺は帰ってきた瞬間に掴みかかってきた
「お前俺の仕事取るんじゃねえよ!!」今にも殺されそうな勢いだが
俺は気にせず携帯をポケットから取り出した
「これなんだか分かるか?」
目の前にちらつかせると「俺の携帯やないか!返せ!」
飛び掛ってきたが、それを避けると
携帯を開き、フォルダのなかの画像を開くと
「これ覚えてるか?」と見せ付けた
その瞬間に耳まで真っ赤になり
「なんじゃこりゃああああぁぁあああっ!!」と叫んだ
ニヤニヤしながら「覚えとらんのか?」そういうと
「そんなん嘘に決まってる!!返せや!!」飛び掛ってきたのを
また俺は避けると
「悪いけど本物や、これ誰かに送ってやろうかな」
にらみつけてくる視線を見ながら挑発してみた
「・・・何が目的や」
「さすが俺や、さえてるな!もし俺がこのまま仕事してる時にお前が殴り込んだりしてきたら
この画像どうなるかは分かるよな?」
答えもしないがそのまま睨みつけてるくるのは自分なりの同意と受け取った
「じゃあ、おまえは家の家事よろしくな〜」
それが事のはじまりだった
そして今が終わってしまうときや、
今日ははじまりの日から三日目
最後の日だった
131: 夜にも奇冥な物語 もう独りのオレ 18禁描写アリ(4/5) 2010/04/06(火) 16:58:04 ID:sRTIe/US0(6/9)調 AAS
風が吹いてくる屋上の上で俺はもう1人の俺にナイフを突きつけられていた
「俺の笑いも全部俺のもんや!!」
そういいながら少しずつ俺に近づいてきた
でも俺だって欲しかったんや!
お前から見たら俺はお前の物を奪っていく奴かも知れんけど
俺だってそれ以外方法がわからんかったんや!
何もわからないまま生まれてお前の記憶しかないのに
お前にならないよ三日目には死んでしまうなんて考えたくなかったんや!!
色々なことを考えたけど、今のもう1人の俺にはこんなこといっても聞こえないだろうし
何を言ってもどっちかが消える方法しかない
だからもう終わりなんだ・・・・・
そう考えると、方法はなく、そのまま目をつぶった―――――――
ところが痛みはなかった
俺は本物じゃないからこのまま消えるのかもしれない・・・
良かった、痛みはないのか――−―
すると、カランと金属の乾いた音が響いた
足元を見るとナイフが落ちていたが、血はついていなかった
顔を上げると、もう1人の俺は泣いていた
「殺せるわけないやん!」
なんて事を言っていた
ほんまアホやなぁ・・・俺が死なないとお前がいなくなるのに
なんて思っているとあいつフェンスのギリギリのところまで
ゆっくり歩いていき飛んでしまおうとしていた
132: 夜にも奇冥な物語 もう独りのオレ 18禁描写アリ(5/5) 2010/04/06(火) 16:58:51 ID:sRTIe/US0(7/9)調 AAS
なんで助けてやろうかと思ったかわからないけど
いつのまにか俺は立ち上がって走っていくとあいつを持ち上げて投げ飛ばした
そのまま俺は怖かったけど足を思いっきり踏み出した
風がごうごうと耳もとでうるさかった
俺は上を見ながら飛び込んだのでもう一人の俺の顔が見えた
まさか俺がお前を庇って飛び込むなんて思ってなかったんだろうな
本当にあいつはまたアホな顔してる、何回俺は自分のことアホっていったんやろうな
俺と変わったら俺のほうが売れてたかもしれんけど、結局のところ
俺とお前は同じ人間なんだから考える事なんてあまり変わらないだろう
だからせいぜい売れ残るようにがんばれよ―――――。
そのまま俺は時空の歪みのようなものに飲み込まれた
痛みはないが、体も思考もなにもかも少しずつ消えていった・・・・
最後には
はじめての夜に眠っていたもう一人の俺の顔がなぜか記憶によぎり
俺はすべてを消した
133: 夜にも奇冥な物語 もう独りのオレ 18禁描写アリ(6/5) 2010/04/06(火) 17:04:47 ID:sRTIe/US0(8/9)調 AAS
「結局のところあれはなんだったやろう・・・」
仕事が終わった後に、自宅で相方の原西と話をしていた
「よくわかんねえな・・・俺は気づかなかったわけだし」
バッと立ちがると「そこは気づけよぉ!!まさか腹西さんあなたも
入れ替わってませんよねぇ!?」そのまま勢いよく顔をつかむとぐりぐり弄り
はじめた「いてて!!ごめんって!!入れ替わってない!ないから!!」
しばらく気が済むまでいじくり回すとやっと開放された腹西が言った
「でも消えたもう一人のお前はどうなったんだろうな」
また空気が重くなったが藤稿は顔を上げると
「いいんや!もう考えてもわからんし、どうしようもないやろ、でも・・」
喋るのを突然やめた藤稿に腹西は「でも?」と続きを問いかけた
「いなくなった俺に恥ずかしくないように俺なりの笑いをもっと磨かなアカンと思った」
それを聞いた腹西がニヤッと笑うと肩を叩きながら
「いや〜かっこいいですね!藤稿さん!!」
なんて言われたので「やかましいわ!!」と流すと携帯に電話がかかってきた
それに出ると「え?急に仕事が入った!?・・・まあ腹西もいまうちにいますけど・・はい」
電話を切ると「聞いてたやろ?仕事だってよ」
腹西はうなずくと「今日もがんばるか!!」
そういうと2人は休みの日の仕事だけど笑顔で家を出て行った
134: 夜にも奇冥な物語 もう独りのオレ 18禁描写アリ 2010/04/06(火) 17:06:28 ID:sRTIe/US0(9/9)調 AA×
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135: 2010/04/06(火) 23:02:08 ID:V8tFehOG0(1)調 AAS
>>110
ようやく規制とけた!
読んでてニヤニヤが止まらないwwおっさんも変態スタッフもかわいいよかわいいよ。
いつも素晴らしい作品ありがとうございます!
136: 2010/04/07(水) 01:20:42 ID:8LfONtt00(1)調 AAS
>>110
新作投下ありがとうございます!
おっさんの切り返しに、まるで自分がスタッフになったみたいにドキドキしました。
一筋縄ではいかないところがさすがって感じです。今回も楽しませていただきました!
137(2): ぼくらは、ぼくら。 1/4 2010/04/07(水) 01:25:32 ID:MDPCIBnZ0(1/4)調 AAS
北の大地のローカル番組。
長い春休みを取っている筈のD二人。タイトルはDの本の台詞から。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
普段、退社をする時に示し合わせたりする事はほとんどなくて、お互いがお互いの事情や体調なんかで「
じゃあ、また明日」の挨拶を置いて部屋を出て行くのがほとんどだ。「じゃあ、また明日」は
休日の前なら「また来週」や「休み明けに」に変わるけれど、ぼくらのスタンスは変わらない。
付かず、離れず。
この言葉がぼくと売篠くんの関係を表すには一番なんだろう。
コンビを組もうと思って組んだ訳ではなかったけれど、二人で仕事をする様になって十四年になる
相棒は、ぼくが立ち上がっていつもの「じゃあ、また明日」の「また明日」を発する前に口を開いた。
「俺も帰るわ」
別段止める理由は何もなかった。今日の分の仕事は片付いているし、流れとしては不自然でも
なんでもない。だから「じゃあ」の次にぼくはこう続けた。
「途中まで一緒に帰るか」
「そうだね」
頷いた売篠くんは妙な淡々さを醸し出していたけれど、よくよく考えればこの淡々さこそが
売篠くんの味でもある。思考が読み難い男だな、と思った。今日は東京辺りで仕事をしてるだろう
あのすずむしは考えてる事がよく顔に出る。売篠くんは真逆だ。でもぼくには売篠くんが一体何を
考えているのか、よく分かった。それはぼくの読解能力が優れているからではなくて、
二人で積み重ねた時間の長さと密度の濃さがあるからだ。
だからどうして今日に限って売篠くんが一緒に帰ろうと暗に言ってきているのか、分かっていた。
連れ立って部屋を出る。上からの沙汰で、もうすぐなくなってしまう馴染んだこの部屋を。
ぼくと売篠くんは、部署の移動を命じられていた。
138: ぼくらは、ぼくら。 2/4 2010/04/07(水) 01:26:07 ID:MDPCIBnZ0(2/4)調 AAS
不幸中の幸いとして、例えレギュラー放送が終了したとは言えども局のドル箱番組を握っている
ぼくらが引き離される事はなかったけれど。
製作部の消滅は、ぼくと売篠くんをひどく落ち込ませたし、憤らせた。
二人分の足音が廊下に響く。隣を歩く売篠くんの横顔は沈みがちで、ぼそぼそと会話を交わす声は
ちっとも弾まない。
擦れ違う顔見知りのスタッフや守衛さんに軽い挨拶を交わし、局の外に出る。四月といえども
まだ肌寒い北の大地は、ぼくが生まれた所とも、売篠くんが育った所とも全然違う。
思えば、本当なら会わなかったかも知れない男なのだと、今更ながらに気が付いた。
売篠くんの足が止まる。何度も枠を撮った公園の途中。もう夜が更けているから、遊んでいる
子供なんていやしなくて静かだった。
眉間に皺を寄せたまま、売篠くんは口を開いた。
「そういえば、富士村くんと花見した事、あったっけ?」
「桜前線を追いかけたりはしたじゃない」
「それはそうだけどさ。全国の色んな所の桜は見たけど、ここは見たっけなって思ってさ」
「記憶ねぇな」
「俺もさ。不思議なもんだね」
静かに目を伏せて呟かれる声は風に流れる。
淡々とした売篠くんの表情や声に滲む愛惜に、ぼくの他の誰が気付けるっていうんだろう。
組織という大きなものに、作り上げた場所を居場所を奪われて、大切にしているものを踏み躙られた
同志だからではなくて、売篠くんとしてのぼくの心が共鳴をしてるのが分かる。
悔しいね。辛いね。
でもその半面、売篠くんとならば何処に行っても大丈夫だと思っているぼくもいる。
DOでSHOWがあるからじゃない。確かにぼくらはDOでSHOWを完全なものとして残す為に
DVD全集を出す作業を敢行し、番組のレギュラー放送を終えた。それはMr.とO泉くんにとっては
一つの巣立ちであり、四人での新たなる旅へのスタートでもあった。
ぼくらは一生DOでSHOWをするつもりで、四人の内の誰かが死んでしまっても、きっと最後まで
旅をするのだ。その日を迎える為に、レギュラー放送という形をやめたんだし。
139: ぼくらは、ぼくら。 3/4 2010/04/07(水) 01:26:51 ID:MDPCIBnZ0(3/4)調 AAS
でもDOでSHOWだけじゃない。ぼくは売篠くんとならば、もっと沢山の新しい何かを
作っていけると信じている。DOでSHOWがぼくにくれたものの中で、とても大きなものが
売篠くんだからだ。
売篠くんを一生の伴侶だと思った時の事を、今でも覚えている。売篠くんがぼくに言った、「キミに
いろんなことを話し掛けるのが、ぼくの一生の仕事だと思ってるんだよ」って言葉の、本当の重さに
気付いた時だ。
「ここが俺らの居場所だと思ってたのに、桜見た記憶がないんだな。勝手に局に敷地に植樹はしたのに」
ぼそりと落とされた言葉に、不意にずっと前に東北で見た桜が頭を過ぎった。あれが一番最初に一緒に見
た桜だっただろうか。移動する車の中、ぼくが笑って、O泉が怒って、Mr.は苦笑混じりに
黙っていた。そして売篠くんがいた。カメラを構えて、少し口元を緩ませて、ぼくらを見ていた。
幸せな旅だった。幾つもしてきた、辛くて、幸せな旅の一つだった。
「なぁ、売篠先生」
「んー?」
「旅に出ますか。番組とか関係なくってさ。俺とあんたと、そうだな、キャップも誘ってやってさ」
「男三人ぶらり旅ってのもむさくるしいけど」
「何時もより一人少ない分、マシじゃねぇか」
「それもそうだね」
ここに桜がないのなら咲いている所まで行けばいいのだ。そして桜を連れてここまで戻ってくればいい。
時間ならばたっぷりある。
伏せていた睫毛を上げて売篠くんが微笑みながらぼくを見た。久々に真っ直ぐに視線が合う。
この所、お互いにずっと俯いていたからだ。
顔を上げれば売篠くんの肩越しに長く続くなだらかな斜面に萌える緑の芝生が見える。夜目にも
鮮やかな、新しい命が芽吹く色だ。
売篠くんが微かに笑ったのに安堵して、思わずぼくも笑ってしまった。すると売篠くんは細い目を
僅かに見開く。
140: ぼくらは、ぼくら。 4/4 2010/04/07(水) 01:28:01 ID:MDPCIBnZ0(4/4)調 AAS
「何驚いてんだよ」
「最近、富士村くんが笑ってなかったって気付いてなかった俺に気付いてびっくりしたんだよ」
指摘をされて驚いた。爆笑魔人と言われるこのぼくが笑っていなかっただなんて。思わず問い
返してしまう。
「俺、笑ってなかった?」
「あんまりね」
「そっか。でもあんたも笑ってなかったぞ」
「お互いに自分の事はよく分からないんだな」
「だから俺にあんたがいて、あんたに俺がいるんだよ」
腰に手をあてながらO泉くんに命令する時の偉そうな口調で言ってやったら、売篠くんは顔を
くしゃくしゃにして泣き笑いの様な複雑な表情を浮かべた。
馬鹿だなぁ、そんな顔しなくていいのに。どうせぼくらは一蓮托生だ。一生DOでSHOWを
するんだから。O泉にだけ誓わせた訳じゃないだろ。四人出なきゃ、DOでSHOWは出来ないんだ。
この先だって旅は続くだろ? 否、今だって本当は旅の途中なんだぜ。なぁ、売れしー。
売篠くんが掠れた声で言った。
「だったら、やっぱり、一生あんたに話し掛けるのが俺の仕事だな」
そうだよ、と答えたぼくの声も掠れていたけれど、売篠くんにはちゃんと届いた筈だ。
これ以上視線を合わせていると泣いてしまう気がして、同時に逸らした二人の視線が坂のずっと
向こうを見る。
それはこの先一生かかって辿り着く、本当の最終回に繋がっている。ベトナム縦断よりも長くって、
ブンブンで迎える夜よりも過酷な旅路に違いない。でもきっと幸せな道程だ。Mr.がいる。
O泉くんがいる。そして売篠くんがいる。売篠くんとならば歩いていける。
闇雲な力で信じながら夜空を仰いだ。ぼくはとても長い時間、星の光が滲んだ夜空を渡る春の風と、
すぐ隣に立つ売篠くんの気配を、ただただ大切なものの様に感じていた。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
141: 2010/04/07(水) 01:42:49 ID:oSYo3f0I0(1)調 AAS
>>137
姐さーーーーーーーーん!!。゚(゚´Д`゚)゜。ウァァァン
ありがとう!!!書いてくれて本当にありがとう!!
苦しかったんだよずっと!!彼らのことが、DOでSHOWのことが!!
姐さんの話読めて嬉しい!心が慰められた!!ありがとう!!!!
142: 涙の理由を聞かせてよ0/4 2010/04/07(水) 10:18:47 ID:Qs93llmt0(1/6)調 AA×
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143: 涙の理由を聞かせてよ1/4 2010/04/07(水) 10:22:12 ID:Qs93llmt0(2/6)調 AAS
最近、日伊住には気になる事があった。
同期入社の簿句元がどうも元気が無いのだ。
いつも日伊住は彼にちょっかいを出して楽しんでいるのだが、
相手があからさまに精彩を欠いていると、どうも罪悪感が芽生えてしまう。
理由ははっきりしている。
簿句元の所属する部署の部長だった気乃下が、突然会社を辞めてしまったのだ。
いつの間にそんな信頼関係が出来上がっていたのかは日伊住は全く知らないが、
出来る事なら助けてやりたい、そう思っていた。
なぜならば、日伊住は簿句元に恋心を寄せていたのだから―――。
「気乃下の居場所?」
「はい、黄身島部長なら知ってるんじゃないかと思って」
日伊住は思い切って黄身島に尋ねる事にした。
他の気乃下部の面子に聞いても何も情報は掴めなかったし、何だかんだで
気乃下に一番近い位置に居るのは黄身島だと思ったからだ。
「知ってるよ」
「!!」
黄身島はあっさりと答えた。そしてとあるバーのチラシを差し出した。
「このバーへ行くと良い。行き方は今教えるから」
「ありがとうございます!!」
日伊住は深々と頭を下げた。これで気乃下に会える…そう思うと嬉しかった。
「でも、本当にそれで良いのか?」
「…はい?」
「あの簿句元とかいう新入社員に気乃下を再会させたいんだろ?
後で後悔する事になるかも知れないぞ。」
「どういう…意味ですか?」
日伊住は、黄身島の意味深な言葉になぜだか不安が込み上げた。
144: 涙の理由を聞かせてよ2/4 2010/04/07(水) 10:23:50 ID:Qs93llmt0(3/6)調 AAS
「どういう風の吹き回し?お前が飲みに誘うなんて」
簿句元は眉間に皺を寄せている。日伊住はどうも彼に信用されていない様だ。
でも日伊住はめげずに笑顔を作り、答える。
「まあまあ…すげえんだから、簿句元驚くぞ」
日伊住は簿句元の腕を引っ張り、目の前の小さな建物に入っていった。
照明は暗く、落ち着いたロマンチックなムードの店。
中に居るのは、大人の恋人同士ばかりだ。
デートで来たかったなと、日伊住はこっそり思った。
中央のカウンターに二人で座る。すると、奥からバーテンダーらしき人物が現れた。
「……えっ!?」
衝撃が走った。なぜならその人物は、誰あろう気乃下部長だったからだ。
「部長……」
気が付くと、簿句元は両の眼から涙を流していた。
会いたかった人物にやっと再会出来たのだ。無理も無かった。
「ヘイ、らっしゃい。あ…誰やったっけ?」
気乃下はどうやら二人を覚えていないらしく、首をかしげる。
「気乃下部長、お久しぶりです。黄身島部の日伊住です」
「日伊住…誰やったっけ」
「二代目です」
「え…ああ、二代目か!久しぶりやなあ、二代目。で、この子なんで泣いてんの?」
気乃下が簿句元を指差し尋ねる。
「あの…何と言ったら良いか」
「部長!!」
突然簿句元が叫んだ。
「どうして突然辞めちゃったんですか!?寂しかったんですよ、今まで!!」
145: 涙の理由を聞かせてよ3/4 2010/04/07(水) 10:24:50 ID:Qs93llmt0(4/6)調 AAS
「……そら、悪かったな。寂しい思いさせて」
気乃下は困惑しながらも謝った。
「部長、今日はたくさん聞かせてもらいますよ。今まで何をしてたのか、何があったか」
「ん…ああ」
こうして簿句元と気乃下はたくさんの話をした。
日伊住は側でうなずいていたが、だんだんと心に寂しさが生まれてきた。
簿句元の気乃下を見る眼差しが、部下が上司を見るもの以上に感じられたのだ。
「不味かったな…カクテル」
「うん」
「バーテンダー向いてないんだから、また会社に戻ってくれば良いのに」
「そうかな…」
帰り道、簿句元はまだ気乃下の話を続けていた。
日伊住も相槌を打ってはいたが、どこかうわの空だ。
「どうした?日伊住」
「別にどうもしない」
「嘘付け、なんかボーッとしてんじゃん、分かるんだぞ」
「なあ、簿句元」
「へ?」
日伊住は真面目な顔つきになった。
「俺、簿句元が気乃下部長を想ってるみたいに、お前の事が好きなんだ」
「……へ?」
一瞬意味が飲み込めなかった簿句元だが、
「えええええっ!?」
ようやく分かった。これは愛の告白だ。
「ど、どうして俺なんかを好きなんだよ、日伊住ならもっといい相手いるじゃん!!」
「分かんねえよ!ただずっと好きだったんだよ、大学の頃からずっと……」
言い終えたその時、日伊住の眼から涙が溢れ出した。
ああなるほど、俺が部長を見つけた時と同じだ……と簿句元は思った。
146: 涙の理由を聞かせてよ4/4 2010/04/07(水) 10:25:49 ID:Qs93llmt0(5/6)調 AAS
「泣くなよ!まあ…俺もさっきまで泣いてたけどさ……」
とりあえず公園のベンチに腰掛け、簿句元は日伊住をなだめていた。
日伊住は涙声で簿句元に尋ねる。
「簿句元は、これからもずっと気乃下部長が好きなのか?俺にチャンスは無いの?」
「う……」
そう言われると困ってしまった。
今気乃下部長の事が好きなのは確かだが、気乃下部長には全くこの気持ちは届いていない。
そう考えると、いつかは諦めなければいけないのかとも思う。
それに、今こうして泣いている日伊住を放っておけない。
「未来の事は分からない…かな」
簿句元は曖昧に答えた。
その言葉を聞いた日伊住は涙を流しながらも笑顔を作り、
「じゃあ、俺はまだ簿句元を好きでいて良いんだ。決めたよ、俺これからはもっと素直になる。
そして簿句元にいつか振り向いてもらえるようになるんだ」
「え…ええええっ!?」
簿句元は驚いた。日伊住は本当に前向きな奴だと思った。
その後、日伊住の積極的なアプローチに簿句元は大いに戸惑う事となる―――。
147: 2010/04/07(水) 10:26:28 ID:Qs93llmt0(6/6)調 AA×

148: 2010/04/08(木) 02:41:45 ID:tUC0fEE7O携(1)調 AAS
>>137
この二人でこういう話を書いてくださってありがとうございます!
141さんとだぶってしまうけれど、私の心も慰められました。
本当にありがとうございました。
149(3): くしゃみ 1/6 2010/04/08(木) 22:48:21 ID:u7lvLBqV0(1/6)調 AAS
ピンポン ドラチャイ
56-429 56-448 56-456 57-19 57-87 57-98 57-113
57-119 の続き
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
孔が、「鎌倉に行きたい」と言いだした。
日本に来て数年経つが、いまだに行ったことがないのだと言う。
観光客みたいに大仏を見て、写真を撮りたい。
天気は上々、吹く風も気持ちいい。江ノ電に乗って鎌倉まではあっという間だ。
鎌倉は、駅に下りた瞬間からいかにも「ここは由緒正しき皆様の観光地です」と言った雰囲気に充ち満ちている。
街路樹の生い茂る石畳を歩き、建ち並ぶみやげもの屋を冷やかす。
寺へ向って歩いていくと、突然視界が開け、青空を背景に大仏が鎮座している。
「わー…」
孔が声をあげた。その大きさに、何度かは足を運んだことのある風間でも一瞬虚を突かれる。
巨大な大仏のその背後にはただただ空が広がっていると言うのが、視覚的にすごいのだ。
大仏の前は、記念写真を撮っているカップルや、外国人の集団、バスでやってきた中年女性の団体、ヘルメットを小脇に抱えたツーリング中のバイク乗り、帽子をそれぞれ被りリュックを背負った老夫婦、小さな子供を連れた家族連れ…雑多な人達でいっぱいだ。
二人の足元を小さな何かが駆け抜けた。
「リスだ」
「ずいぶんいるな」
参道にはリスが多い。人慣れしているのかいないのか、孔が唇をとがらせて「ちちちち」と音を立てても知らんふりで足元をすり抜けてゆく。
境内のにぎにぎしいみやげもの屋の店先で、孔が足を止めた。
150: くしゃみ 2/6 2010/04/08(木) 22:50:31 ID:u7lvLBqV0(2/6)調 AAS
「風間、これなに?」
孔が指差したその先は、ビニール袋に入った丸い三角のせんべい菓子だった。
細い和紙が帯のように一つ一つにまかれている。
「おみくじせんべいだな」
「なに?」
「せんべいを割ると中におみくじが入っている。フォーチュンクッキーだ」
「ああ、うん。ちゅごくにもあるよ。レストランでご飯のさいごに出る」
「ほう」
「私、買う。これ、ください」
孔は戦利品のように紙袋に入れてもらった菓子を受け取ると、さっそく袋を開けて一つを風間に手渡した。
「風間の、なんて書いてある?」
「ちょっと待て」
「これ、甘いね」
孔はすぐに割った菓子をほおばると、口をもぐもぐと動かしながら、空洞に畳み込まれていた小さな紙切れを開いた。
「『ま・ち・び・と・き・た・る』 …ってなに?」
「あー、待っていた人が来ますよ、と言う意味だ」
「待てた人? 私、誰待てる?」
「私に聞いてどうする」
「風間のは?」
「『まよわずすすめ』」
点取り虫占いのようにひらがなで一言だけ書かれた紙切れは、未来を示唆しているようでもあるが案外頼りない。
子供のおみやげに向いた、罪のない遊びだ。
風間もせんべい菓子を噛み砕きながら、その甘さに懐かしさを覚えた。
この類いの菓子はほとんど食べたことがないのに、どうして懐かしいと思うのか、人間の頭は不思議だと思う。
「あっ、おもちゃだ」
一つ目を食べてしまって、二つ目を噛み割った孔が歓声を上げた。
指先ほどもないような小さなプラスチックの車が、孔の手のひらにころりと落ちる。おみくじは入っていないようだ。
「おもしろいねえ」
孔は一人で受けている。
151: くしゃみ 3/6 2010/04/08(木) 22:52:11 ID:u7lvLBqV0(3/6)調 AAS
これを全部食べた暁には、いったいいくつのおみくじと、細々した玩具が孔の手元に出現するのだろう。
風間は店先にぶら下がっていた、レンズ付きフィルムと呼ばれる簡易カメラに目を留めた。
「そう言えばカメラは」
「あ、忘れた。それ、買う」
店員に代金を支払い、そのまま手渡してくる孔からカメラを受け取る。
「大仏の前で写真を撮るのだな」
「うん」
孔を適当なところに立たせ、ファインダーを覗く。
孔をちょうどよく写そうと思うと大仏の頭が切れる。
少しずつ後退して、孔も大仏も一緒にカメラに収めると、その様子を見ていたらしい中年の夫婦が、
「お兄さんも一緒に撮ってあげましょうか」
と声を掛けてきた。
「いや、私は…」
少しばかり狼狽して断ろうとする風間に、孔が「風間、早くここ並ぶ」と手招きした。
試合会場でもなく、表彰台の上でもないと言うのに写真を撮られるということが、風間にはこそばゆい。
孔が隣にいるとなればなおさらだ。
意味もなく顔を撫で、孔の隣に立つと、一つ咳払いをしてカメラのレンズを見た。
「はい、じゃあ撮りますよー。ハイ、チーズ」
シャッターが切れる微かな音と共にフラッシュが光って、風間はほっと息をついた。
孔が夫婦に駆け寄りながら「ありがとござまーす」と言ってカメラを受け取っている。
風間も頭を下げて感謝を表すと、夫婦はにこにこ笑いながら離れていった。
大仏の中に入ると、中は薄暗いが案外明るい。
上を見上げると、大仏の背中に開いた二つの四角い窓から光が入っている。
案内の年配の男性の手によって扉が閉められると、灯りのない空間が暗くなり、目が慣れるまで一瞬を要した。
152: くしゃみ 4/6 2010/04/08(木) 22:54:09 ID:u7lvLBqV0(4/6)調 AAS
中は思ったよりかなり狭い。
人の流れに乗って進む。観光客の話し声がざわざわと響く。
孔が上を見上げて、「風間、頭だよ」と指差した。
確かに、大仏の髪が盛り上がっていると思われる部分がぼこぼことへこんでいる。
二人で上を見あげていると、同じように上を見たまま前へ進もうとしていたカップルが、孔にぶつかった。
「わっ」
「あっ、すいませーん」
「おっと」
孔が不意をつかれてつまずきそうになり、風間は腕を伸ばして孔の腰を取って支えた。
「大丈夫か?」
「だいじょぶ」
一瞬、風間の頭を、このまま抱き寄せてしまおうかと言う思いがよぎった。
その思いは強く風間を支配したが、意志の力で頭の片隅へ追いやった。
孔が嫌な思いをする。
風間は孔の腰を離し、移動し始めた人の後をついて、出口へと体を向けた。服ごしの孔の感触が手のひらに残る。
ぐ、と手を握りしめる。
人に押されたのか、孔の手が風間のこぶしに触れた。
風間は思わず、握ったこぶしを開いて孔の手を握った。
そして直後に後悔した。
触れてしまえば、気持ちが勝手に暴走する。
同性の友人に手を握られて喜ぶ男がどこにいるだろう。
握りしめてしまわぬよう、自分の気持ちが指に出てしまわぬよう、風間は苦心しなければならなかった。
孔は手を振りほどくかと思われたが、意識がよそへ向けられているのか、風間の手を軽く握ったままだった。
自分でも気付かぬうちに緊張していた風間は、小さく息を吐いた。
薄暗い中、ゆっくり歩を進める。
153: くしゃみ 5/6 2010/04/08(木) 22:56:08 ID:u7lvLBqV0(5/6)調 AAS
この時間がずっと続けばいい、と風間は願い、自分の臆病さに笑った。
これではまるで初めて恋をした中学生と一緒ではないか。
手を握ったまま、二人はずっと無言だった。
ガイドの男性が出口の扉を開けた。さっとまぶしい光が射し込む。
風間はそっと、指の力を抜いた。そのまま、孔の手は離れるだろう。
孔の指が一瞬ためらうように動き、風間の指に絡んだ。
風間は驚いて孔の顔を見た。孔が怒ったような顔で風間を見、目を逸らした。
指が離れてゆく。
混乱しながらも、風間は離れてゆく指を追いかけ、強く握った。
握らずにはいられなかった。
先頭が外へ出たらしい。二人も、後から押され、出口へと近づいた。
風間の指と孔の指が恋人同士のように絡まった。
離したくないと強く思い、当然ながら離さぬわけにはいかず、そして今度こそ、その手を解放した。
指は素直に離れていった。
大仏から出ると、風間は陽光のまぶしさに目を細めた。
さわさわと吹く風に、解放感があふれる。
孔は何事もなかったかのように、風間に「のど、乾いたな」と言った。
風間も、「何か飲むか」と応えた。
あれはなんだったのだろう。
はっきりと、絡められた指の感触が残っている。
何一つ変わらないようでいて、少しだけお互いの顔が違う方を向いたような、ぎこちない空気が二人の間を流れる。
落ち着かない胸の内を隠して、風間は孔と並んで歩く。
こんなことで自分の気持ちがこうも乱れるとは、予想もしなかった。
154: くしゃみ 6/6 2010/04/08(木) 22:57:56 ID:u7lvLBqV0(6/6)調 AAS
孔は手の中でカメラをいじっている。
「まよわずすすめ、か」
「なに?」
「おみくじと言うのも、おもしろいものだなと思ったのだ」
「もひとつ、あけてみる?」
「いや、遠慮しよう。人形でも出てきてはかなわん」
孔が笑い、風間も笑った。
まぶしい光が街路樹の葉の隙間からこぼれ、風間の目を射った。
手を上げて光を遮る。
「ペットボトルの茶でもいいか」
「うん」
風間は孔と歩調を合わせ、それでもこうやって一緒に歩けることがすでに僥倖なのかもしれない、と胸の内で呟いた。
ポケットから小銭を出すと、咽喉を潤す飲料をふたつ買い求める。
呆れるくらいに青い空を見上げると、風間はひとつ、大きなくしゃみをした。
その瞬間、カメラを構えていたらしい孔の元から、シャッターが切られる音がした。
「風間、ヘンな顔、よー」
孔の笑う声が空に響いた。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
少し進んだ!
155: 2010/04/09(金) 00:00:43 ID:ZfXUIDpG0(1)調 AAS
>>149
ムラムラする二人に萌えつつ、くしゃみしてる風間にも萌え…GJ!!
このジリジリ感でさらにkskです
156: 2010/04/09(金) 02:11:28 ID:fOJWifOv0(1)調 AAS
>>149
GJ!!!
157: 籠目CM 野菜鳥×おバカ 0/4 2010/04/09(金) 03:50:20 ID:VenI9yc80(1/6)調 AAS
ナマ(半ナマ?) CMネタ
籠目のVegetable Life(和訳)の野菜鳥×おバカ
野菜でエロです。
食べ物ネタNGな方はスルーして下さい
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
158: 籠目CM 野菜鳥×おバカ 1/4 2010/04/09(金) 03:52:07 ID:VenI9yc80(2/6)調 AAS
「むんずっ!!」
有介は、朝勝鳥に大事な所を思い切り掴まれて、思わず目を見開いた。
「わわわわっ!起きるよ、起きるっ・・・てか、もう起きたから!放して!!」
「だねー、ココも起きたみたいだし」
朝勝鳥は握っていたモノを放すと、今度は柔らかな羽毛でソコの裏筋をなであげた。
「ぅわっ・・・!」
「って言うか、朝立ち?」
嬉しそうな含み笑いで朝勝鳥がからかうと、有介の頬が赤くなる。
「なにすんだよぉぉっ!」
「なんもしてへんし。いっこもしてへんし」
「なんで、いきなり関西弁なんだよ!」
「ええやん、ええやん」
「よくねーよ!・・・ホント、マジ、起きるから、俺の上からおりろよぉ」
有介が体を起こそうとすると、朝勝鳥は更に全体重をかけて覆いかぶさっていく。
「ヤーメーローよぉ!」
「さっさと起きないアンタが悪い」
朝勝鳥は声のトーンを落として有介の耳元で呟くと、ふわふわの羽根をパジャマの裾から滑り込ませた。
わき腹を撫であげ、胸を這い、そこにある小さな突起を擽る。
「・・・ふっ・・」
甘い吐息が有介の口から漏れる。
「体を動かして、野菜を取るんだろ?」
敏感に反応を返す躯を羽毛で包み込みながら、快楽へと誘いかける。
「ベッドの上でできる、運動をしようか」
朝勝鳥は有無を言わさず、有介のパジャマのズボンを下着ごと剥ぎ取った。
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