【シャニマス×ダンロン】にちか「それは違くないですかー!?」【安価進行】 Part.4 (1002レス)
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525: ◆vqFdMa6h2. [saga] 2022/11/11(金) 21:31:57.28 ID:IHQOUw1J0(1/39)調 AAS
仕事の都合で遅くなりました……
候補者リストの元ネタは更新終わりに答え合わせします

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【第1の島 ホテル レストラン】

ホテルに戻ると、そこにはウサミがただの一人。
どうやら他チームの連中はまだ島を捜索中らしい、つまりは私たちが一番乗りだ。
ウサミは手を叩いて私たちを労って歓待した。

ウサミ「こんぐらっちゅれーしょん! シーズのお二人と斑鳩さんの仲良しチームが一番乗りでちゅよー!」

ルカ「……おら、退け。さっさとパスワードを入力させやがれ」

ウサミを乱暴にグッと押しやり、机に腰掛けた。
ノートパソコンは開きっぱなしで電源もつけられたまま。
にちかと美琴の二人に見守られながら、一文字ずつ丁寧に入力していく。

ルカ「『ヤクモナミ』……っと」

『確認』にカーソルを合わせてクリック。
液晶でしばらく白い丸が渦巻いたかと思うと、すぐに起動音と共に『ようこそ』の文字列が浮かび上がった。

美琴「正解だったみたいだね」

にちか「やったー! これでクリアー!」

ルカ「おし……サンキュー、二人とも」

ウサミ「おめでとうございまちゅ! うるうる……あんなに非協力的だった斑鳩さんがこうやって仲間を労っているなんて、あちしはその変化に涙ちょちょぎれでちゅよ!」

ルカ「ちょちょ切れるもなにもぬいぐるみがどうやって涙流すんだよ」

にちか「そんなどうでもいいことよりルカさん、何かポップアップしてますよ!」

ルカ「ん? あ、おう……」
526: ◆vqFdMa6h2. [saga] 2022/11/11(金) 21:32:55.06 ID:IHQOUw1J0(2/39)調 AAS
にちかに促されるまま視線を液晶に戻す。
ログインと同時にパソコンでは何かが立ち上がっていた。どうやらこれはメールボックスらしい。
いくつかのメールが未開封なままに残されている。

美琴「開けちゃってもいいのかな。これ」

ウサミ「問題ありまちぇんよ! このノートパソコンはミナサンにプレゼン・フォー・ユー! 中に入っている情報も何もかもミナサンのためのものなんでちゅからね!」

ルカ「おし……確かめてみるよ」

とりあえず目についたメールを右クリック。
旧型のパソコンなのか、少し時間をかけてからメールは展開された。

『A、君のこれまでの功績は評価に値する。我々は実際君に高い期待を寄せていた。だからこそ、今回の独断での行動は看過することはできない。即座に計画を打ち切ってほしい、我々の要求に応じない場合立場を追われることも覚悟しておいてくれ。理解ある行動を我々は望む』

ルカ「……はぁ?」

美琴「どういう意味なんだろうね」

にちか「なんか『A』?って人が離反したみたいな文面ですけど……」

ルカ「それに、こいつはそれなりの立場にある人間みたいだぞ」

美琴「そんな人が組織の意向に背いてまで成し遂げたかったこと……なんなんだろうね」

コトダマゲット!【Aへのメール】
〔ウサミのウォークラリーの末にロックを解除したノートパソコンに入っていたメール。『A』という人物が組織の意向に背いて独断で動いた旨が記されている〕
527: ◆vqFdMa6h2. [saga] 2022/11/11(金) 21:34:10.06 ID:IHQOUw1J0(3/39)調 AAS
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にちか「他のメールはどうです?」

ルカ「んー……あとはスパムメールとか……あんま碌な情報は残ってなさそうだな」

メールをいくら開封しても役に立ちそうな情報はなし。
明らかに作為的に与える情報は絞られている印象だ。
ウサミの奴、味方ぶって見せるわりには一丁前に検閲をしているらしい。

ルカ「この『A』ってのがパソコンの所有者っぽいんだが……詳細はわからないな」

美琴「メールの送信者元はわからないの?」

ルカ「アドレス以外は特に残ってねえな……」

にちか「じゃあそのアドレスをクリックですよ! もしかしたらそこから手がかりが……」

ルカ「……ダメだな、そもそもこのパソコンがネットワークに接続してない」

にちか「じゃあ適当に電波の一つでも拾って……」

ルカ「……あ? どうなってんだ?」

美琴「どうしたの?」

ルカ「いや、今周りの電波環境をパソコンで検索したんだけどよ……まるで電波の類がないんだ。ネットワークに接続する以前の問題だぞ」

にちか「えー? それじゃテレビやラジオもダメってことですー?」

美琴「まさに絶海の孤島……だね」

(それじゃ、どうやってこのメールは送られたんだ……?)

コトダマゲット!【島の電波環境】
〔ジャバウォック島には電波の類が一切なく、外部から完全に隔絶されている〕
528: ◆vqFdMa6h2. [saga] 2022/11/11(金) 21:35:51.47 ID:IHQOUw1J0(4/39)調 AAS
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ルカ「……しょうがねえ、メールボックス以外のところを見てみるか」

美琴「外に接続できないのなら、中の情報を見るしかなさそうだね」

にちか「ほら、ルカさんフォルダを展開、展開!」

ルカ「わーってるよ、急かすんじゃねえ」

メールボックスを一旦閉じて、今度はフォルダを開いた。
写真、ドキュメント、音楽……ぱっと見は普通のパソコンと変わりない。
しかし、その右に表示されているストレージの残量ゲージを見てみると並ならぬ量がそこに注ぎ込まれていることが一目でわかる。
間違いない、宝石はここに眠っている。

にちか「ファイル、結構大雑把に分けられてますねー。大半は使い物にならなそうですけど」

ルカ「だな、風景写真やら観光地の案内やら……何かのカモフラージュのつもりか?」

美琴「……待って、この写真。開いてもらえる?」

ルカ「ん? おう」

美琴の目に止まった一枚の写真。
それがポップアップした途端、私にも僅かにあった違和感は完全なる既視感に転換した。

ルカ「この写真は……!」
529: ◆vqFdMa6h2. [saga] 2022/11/11(金) 21:37:28.03 ID:IHQOUw1J0(5/39)調 AAS
《「んだよこれ……!?」

そこに写っていたのは私たち。
この島にやってきた連中が全員横並びになって……目を瞑っている。
目を瞑ってコールドスリープ用の機械に横たわっている姿が写っていた。
だが、それで終わらない。
この情報の持つ意味、その一番大きなところは……その上。

「なんで、なんでこいつら……」

風野灯織、田中摩美々、和泉愛依、園田智代子、市川雛菜。
前回のコロシアイの生き残りだと名前が上がっていた連中は……白衣を着て、私たちを見下ろしていた。

____その機械でまるで、人体実験でもしているかのように。》

冬優子を裁判で処刑したあの晩に、無理矢理に押し付けられた混迷の一枚が再び私の前に立ち塞がったのだ。

にちか「え? これ、どういうことなんですか……? ちょっと、意味がわからないんですけど……」

美琴「この五人は……何をしているの? 私たちを見下ろして……」

結局、私はこの写真については共有を避けた。
そこに写っているものが何を意味しているのか、これが本当に正しい写真なのか。その詳細の一切が不明で、必要以上の混乱を招くと思ったからだ。
きっとその判断は間違っていなかったはず。二人がこれほどまでに当惑しているのだから。

ルカ「……今は、一旦置いとくぞ。情報は情報としてだけ受け取っておけ。邪推はすんな」

<<黹Qa*
前回のコ■■アイを生き抜い■者た■■器はす■■熟し■いる

麼/:‖亊
残すは彼■らも共に薪■焚べ■■け輝■■踏み台に才■を世に送り■■■だ

ルカ「……ああ」

コトダマゲット!【冬優子の写真】
〔冬優子が裁判終わりにルカに託した一枚の写真。前回のコロシアイの生き残り5人が、今回の参加者を機械に繋いで見下ろしている様子が写っている〕
530: ◆vqFdMa6h2. [saga] 2022/11/11(金) 21:39:29.79 ID:IHQOUw1J0(6/39)調 AAS
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にちか「それと、やっぱりこのフォルダが気になりますよね!」

ルカ「ああ……ぶっちぎりで一つだけ容量の大きなフォルダ。意味がないって方が無茶な話だ」

そのフォルダは明らかに異様だった。
容量の大きさもさることながら、更新日時の日も浅く、かつ文書や画像、映像も一緒くたに取り込まれているのだ。
まめに整理をする様子ではなかった持ち主のことだから、乱雑にぶち込まれてしまっているのだろうが、それにしても悪目立ちしている。

美琴「……でもこれ、開けられないね」

美琴の指摘通り、残念ながらその中身を見ることができないというのがネックなのだが。
クリックして展開の指示を出しても、アラーム音と共に錠前に阻まれる。

美琴「フォルダ名は……『方舟計画』? なんのことだろうね」

ルカ「つーかせっかくパス解除したのにまたロックがあるのは反則だろ?」

ウサミ「えーっと……それに関してはすみまちぇん……」

にちか「申し訳なく思うなら解除の一つでもしたらどうです?」

ウサミ「それも……すみまちぇん」

にちか「えー、めちゃくちゃケチですねー! なんでなんですかー?」

ウサミ「お、乙女の秘密って奴でちゅよ!」

ルカ「持ち主はオマエじゃねえだろうが……」

(歯切れが悪い奴だな……)

でも、歯切れの悪さはここに眠っている情報が重要なであることを証明している。
このパソコンに眠っていた『方舟計画』という言葉だけでも覚えておいて損はないだろうな。

コトダマゲット!【方舟計画】
〔ノートパソコンに入っていた謎のフォルダ。その情報量はかなり多いようだが、ロックがかけられており解錠はできない〕
531: ◆vqFdMa6h2. [saga] 2022/11/11(金) 21:41:30.88 ID:IHQOUw1J0(7/39)調 AAS
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ルカ「……で、一通り中身は見終わったわけだが。これでどうしろってんだ?」

ノートパソコンの中には重要な情報があるにはあったが、それも可能性と疑問止まり。
私たちにとって具体的な形で助けになるかと言われればそれは違う。
ウサミの狙いを計りかねて、つい乱暴な口振りになる。

ウサミ「はい! 御三方はあちしのレクリエーションのファーストステージをクリアされまちた! ここから先はセカンドステージでちゅ!」

美琴「セカンドステージ?」

ウサミ「この島にはもう一つパスワードのロックをされてる場所があったのは覚えてまちゅか?」

にちか「この方舟計画とはまた別で、ってことです?」

ウサミ「はい! 今回のウォークラリーのメインはそこなんでちゅ、ミナサンの手で新しい場所を開拓して欲しいんでちゅ!」

美琴「それって……第2の島にあった遺跡のことかな」

ルカ「そういえばそんなもんあったな……あのマシンガンが付いてる並ならぬ奴」

美琴「遺跡のパスワードはノートパソコンとはまた別物なの?」

ウサミ「はい! 遺跡のパスワードは、もう一つの未開の地に眠っていまちゅ!」

にちか「もう一つの……未開の地?」

ウサミ「その場所を探り当てることができれば、自ずと遺跡のパスワードも分かるはずでちゅ!」

(じゃあ実際のところはその未開の地とやらを探し当てるのがセカンドステージってところか……)

にちか「じゃあちゃっちゃっと見つけちゃいましょう! 絶対一番でこのレクリエーションを終わらせましょうね!」

ルカ「……ったく、あちこち移動させやがって。面倒なレクリエーションこの上ないな」

とはいえこのウォークラリーで全ての島は渡り歩いたはずだ。
まだ足を踏み入れていない場所など残っていただろうか?

【誰も足を踏み入れていない未開の地とはどこ?】

↓1
533: ◆vqFdMa6h2. [saga] 2022/11/11(金) 21:46:23.43 ID:IHQOUw1J0(8/39)調 AAS
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【第四の島 ネズミー城】

ジャバウォックの島々の中でこの空間は唯一と言ってもいい。
理由はわからないがモノクマもモノミも足を踏み入れようとしない聖域。
とはいえその城には出入り口らしいものも見当たらず、真っ白なレンガの絶壁に阻まれるため、私たちも息をつくことも叶わないのだが。

ルカ「未開の地といえばここぐらいのもんだろ? この城の中にパスワードのヒントは眠ってるはずだ」

にちか「言われてみれば、誰もまだ入ったことない場所ですよね」

美琴「……でも、どうやって入るの? こんな壁、人の力だけじゃどうしようもないよね?」

ルカ「ああ……何か爆弾でもないとな」

美琴「……」

ルカ「……?」

美琴「ねえ、さっきのエグイサル……使えないかな」

ルカ「はぁ? エグイサルを使うったって……どうやってだよ」

美琴「えっと……口で説明するより、実際に見せた方が早いかな」

ルカ「……あ?」
534: ◆vqFdMa6h2. [saga] 2022/11/11(金) 21:48:20.35 ID:IHQOUw1J0(9/39)調 AAS
『私が……この、赤いエグイサルに乗っているのが……っ!』

「緋田美琴だから」
535: ◆vqFdMa6h2. [saga] 2022/11/11(金) 21:50:26.63 ID:IHQOUw1J0(10/39)調 AAS
何が起きたのか、理解ができなかった。
突然に顔の横を突き抜けていった突風と熱。
爆音が全てをかき消す中で、瓦礫が後ろに飛んでいくのを目視しながら自分の目が覚めていくのを感じていた。

……悪い夢を見ていた。
悪霊に取り憑かれたように、自分の体は何者かによって操られ、思考の一つ一つも導かれて、肉体と精神は完全に私の支配の外にあった。

そこで抱いた感情も、私が口から吐き出した言葉も、その全てが粘土で作られた模造品。
むせ返るような図工室の香りに、私は嘔吐感で膝を折った。

(……私は、今の今まで何と話してたんだ)

あたりにこぼれた直近の記憶を拾い集めてみると、顔が黒塗りされた誰かと談笑している自分の姿。
人の死を嘲るような言葉をつらつらと楽しそうに語っていた。

「ざけんな……ざっけんな……!」

胃からせり上げるものを必死に抑え込んだ。
記憶に蓋をすることはできても、取り替えることはできない。
連中の死を玩具にしたことに対する嫌悪が湯水のように湧いてくる。

「マジで……死ねよ、私……」

それと同時に認知が蘇る。
今目の前で起きたことは、忌まわしき記憶の再現。
その受け入れ難さを前にして、嚥下を拒絶し、現実から逃避することに決めた死別。
和解をすることも叶わないままに迎えたエンドロールは、私に改めて後悔と無力感を痛感させるには事足りていた。

深淵の闇に堕ちた心境とは裏腹に、その視界は開けていた。
俯くことすらできずにいた私は、砂煙が捌けた後に現れた城の内部をそのまま受け止めることとなる。

「……なんだ、これ」
536: ◆vqFdMa6h2. [saga] 2022/11/11(金) 21:52:09.44 ID:IHQOUw1J0(11/39)調 AAS
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【ネズミー城 内部】

ふざけた外観からは予想だにできない、色彩と空間。
黒と青がタイルのように散らばる部屋は異様な無機質さで、漂う透明なキューブは電子を纏う。
床と壁には絶えず文字列が走り、毛細血管のようにタイルの合間にLEDが張り巡らされている。
近未来という言葉で飾るなら、こういう部屋だろうと思う。

「なん、で……」

しかし、私を驚かせたのは部屋だけで終わらない。

「なんでオマエが……ここにいんだよ……!」

そこには、あの女の姿があったから。

「ふふーん、昨日ぶりなのにご挨拶やね! ルカ!」

不気味なまでに朗らかな表情、押し付けがましさすらある明朗快活な声量。
見慣れたその立ち居振る舞いそのままに、いるはずのない彼女はそこに立っていた。
537: ◆vqFdMa6h2. [saga] 2022/11/11(金) 21:53:52.90 ID:IHQOUw1J0(12/39)調 AAS
ルカ「オマエは……死んだはずだろ、なんで……こんな……」

思わず詰め寄る私を、軽くあしらうようにする。

恋鐘?「死んだ? ……ああ、そげなこつ気にせんでよかよ、今更生きるとか死ぬとか些細な話たい」

ルカ「はぁ……?」

恋鐘?「さっきまでルカは何見とったか思い出さんね! 誰と一緒に話して、誰と一緒に行動ばしとった?」

ルカ「……あんなんは偽物だ、あんなのが、二人なわきゃねえ……!」

恋鐘?「んー……ルカん気持ちは分かるけど、話し方も体の動かし方も全部二人のそのまんまだったばい?」

ルカ「だとしてもだ……中身が、まるっきり別もんだっての……!」

恋鐘?「それはルカがそう思いたい、ってだけの話とやろ?」

ルカ「なっ……ちげーよ! オマエも283の人間ならわかんだろ! 美琴もにちかも……人の死を嘲るような下品で始末に追えないやつなんかじゃないって!」

恋鐘?「だから、それが推測に過ぎないって話ばい。目の前で話してる相手が何を考えているのかも本当の意味では分からん」

恋鐘?「相手がどんな人物か、なんてエスパーか神様でもないと読み取ったりなんか出来んからね!」

ルカ「うっせえ……それ以上美琴を穢すならタダじゃおかねえからな」

恋鐘?「んー……ルカも結構剛情やね……」

不可解と不快で募った苛つきに解答は与えちゃくれない。
私の見ていた夢が何かについて、具体的な言及はまるでせずに月岡恋鐘は自分の言いたいことだけを押し付ける。
538: ◆vqFdMa6h2. [saga] 2022/11/11(金) 21:55:15.02 ID:IHQOUw1J0(13/39)調 AAS
恋鐘?「まあ、こんな押し問答に意味はなか! さっさと本題に入るばい!」

ルカ「本題……?」

恋鐘?「ルカは今ウォークラリーばしとる最中! うちはルカに最後のパスワードを伝えるためのチェックポイントでしかなかもん」

ルカ「ああ、そういやそうだったな……」

恋鐘?「それじゃあ早速言わせてもらうばい! パスワードは……『0816』の数字4桁! ちゃんと覚えて帰ってね!」

ルカ「……? なんの数字だよ、それ」

恋鐘?「うーん……うちにも意味は分からん……」

ルカ「はぁ……?」

恋鐘?「ま、とりあえず伝えることは伝えたばい! これで用件はおしまい!」

傲慢にもここで背を向けた。
話したいこと以外話す気はないという意思表示なのだろう。

ルカ「は?! ちょ、ちょっと待てよ! どこに行く気だ?!」

思わずその左腕を掴んだ。
手の中に伝わる熱の感触は、なんとなく気味が悪い。
539: ◆vqFdMa6h2. [saga] 2022/11/11(金) 22:01:36.11 ID:IHQOUw1J0(14/39)調 AAS
恋鐘?「どこに行くも何も……元あるべき場所に戻るだけの話ばい」

ルカ「そんな無責任な話があるかよ、オマエは黒幕なんだろ? だったら今こうやってウォークラリーをさせてるのもオマエの意志のはずだ」

ルカ「オマエは私に何がさせたい? 何を伝えたい? さっきから断片的な情報ばかり与えて、何を目論んでる?」

恋鐘?「ちょっと待たんね! そげん質問矢継ぎ早にされても答えられん!」

答えられないと言う言葉には、何か含みを感じさせた。
自分の唇を噛むようにして腕をブンブンと振り回す。窮屈さを感じて駄々をこねる子供のようなそぶりだ。
そこから捻り出すような譲歩を彼女は口にする。

恋鐘?「んー……そいなら、一個だけルカに教えてあげてもよかよ!」

ルカ「……一個だけ?」

恋鐘?「時間が圧しとるから、一個だけ! ルカの質問に正直に答えてあげる!」

与えられた権利は手狭だ。
頭の中には無限の疑問符が浮かんでいる。
今の自分も過去の自分も、未来にいるはずの自分も、何もかも未知と不可解に侵されている中で、導として掴むには何が良いのか。
そんなのいくら考えても答えが出るものではない。
540: ◆vqFdMa6h2. [saga] 2022/11/11(金) 22:02:59.01 ID:IHQOUw1J0(15/39)調 AAS
ルカ「……聞きたいことは山ほどある」

ルカ「だけど、その中でも一つだけ、どうしてもはっきりさせておきたいことがある」

恋鐘?「なんね?」

ルカ「……天井努だ」

それなら、と私は私自身のルーツを手に取った。
この思考の、この感情の、この言動の、根幹とも言うべきはその男への憎しみ。
他の人間なら誰しもが持つものを、持つという権利すら与える間も無く奪い去ったこの男を許しておけるはずがない。
ましてその男が凶行に走り、その凶行に感化された人間がいるとなるとその事の次第を明らかにしたいと思うのは正常な反応だろう。

恋鐘?「……!」

ルカ「私にとって親の仇とも言うべき男、あいつとオマエは繋がって……このコロシアイを仕掛けた、そういう話だったはずだ」

ルカ「オマエと天井の繋がり、それをハッキリさせろ。この前はそれをちゃんと聞く前にオマエがくたばっちまったからな」

月岡恋鐘は、表情では反応は見せなかった。
余計なことを悟らせまいとしているのか、ただ不器用なだけなのか。いまいち読みきれない。
541: ◆vqFdMa6h2. [saga] 2022/11/11(金) 22:04:20.26 ID:IHQOUw1J0(16/39)調 AAS
恋鐘?「ルカが聴きたいのは、うちと社長がどんな関係かって話でよか?」

ルカ「ああ、このコロシアイを仕掛けたオマエたちについて。聞かせてもらうぞ」

深呼吸を一度してから、ゆっくりと語り始めた。

恋鐘?「ルカたちももう知っとる話やけど、社長は283プロのアイドルば対象にして行われたコロシアイの1回目の黒幕ばい」

恋鐘?「そんコロシアイは、時代を超えてみんなの希望になるアイドルを生み出すのが目的やったとよ」

恋鐘?「うちはそん思想に賛同して、社長の仲間……チーム・ダンガンロンパの仲間になったばい」

ルカ「……その、チーム・ダンガンロンパってのはコロシアイを興行にしている組織なんだろ? 天井はそこの重役なのか?」

恋鐘?「ジェネラルマネージャー……幹部とも言い換えれるばい」

ルカ「なるほどな、それで資金繰りや物資の投入が可能だったわけか……オマエもその恩恵にあやかってたのか?」

恋鐘?「社長はもう死んどるから、リアルタイムでどうこうなんて話ではなかね。でも、社長には色々と助けてもらったのは事実ばい」

恋鐘?「コロシアイのいろはを仕込んでもらったし、今回のプログラムだって骨組みは社長が作ったものでうちはそれに手を加えた形やけんね」

ルカ「オマエと社長はいつから共謀関係にあったんだ?」

恋鐘?「1回目のコロシアイよりももっと前……283プロにおる今のユニットが全部揃った頃ぐらいから」

ルカ「……そんな前からかよ」

恋鐘?「はじめは社長がうちにコロシアイの映像を見せてきて……そこで魅せられてしまったばい」

恋鐘?「コロシアイの中で生まれる希望……その力強さと気高さは、他では生み出すことはできんけんね」

ルカ「……よくわかったよ、オマエがずっと初めから狂ってたってことは」

恋鐘?「人がせっかく親切に答えたのに随分な口ぶりばい……」

コトダマゲット!【恋鐘の証言】
〔1回目のコロシアイの黒幕である天井とはユニットが揃った時からの共謀関係。恋鐘はその思想に強烈な賛同を示しており、コロシアイ運営のいろはも彼に仕込まれたものだという〕
542: ◆vqFdMa6h2. [saga] 2022/11/11(金) 22:05:27.01 ID:IHQOUw1J0(17/39)調 AAS
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恋鐘?「ルカともっとおしゃべりしたいところやけど、もう時間ばい。ルカは次のステージに進まなきゃいかん!」

ルカ「な……待て、まだ聞きたいことが!」

恋鐘?「ぶっぶー! 質問は一個だけってそう言ったはずばい!」

おどけた様子でまるで相手にしない。
混迷の水位がまた上がりだす。

恋鐘?「それに……うちにわざわざ聞かなくても、ルカはこれから嫌でも知ることになるけん」

ルカ「……あ?」

恋鐘?「とにかく、今は遺跡に行くことだけ考えて! 知りたい真実はそこに眠っとるよ!」

ルカ「おい! 待て!」

最後まで耳を貸すことはなく、月岡恋鐘はその姿を消した。
ずっと目の前で見ていたはずなのに、どこに消えたのかも、どうやって消えたのかも何も分からないままで、私だけが部屋に取り残された。

ルカ「……考える間にさっさと進めってことかよ」

狐にはもう摘まれ慣れた。
今目の前で起きた異常にどうこう言うのも煩わしい。

ルカ「……遺跡、だったな」
543: ◆vqFdMa6h2. [saga] 2022/11/11(金) 22:07:24.51 ID:IHQOUw1J0(18/39)調 AAS
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【第2の島 遺跡】

最初にここに来たのは随分と前、最後にここに来たのも随分と前。
要は、探索の時以来まともに近寄ろうともしていなかった領域だ。
来るものを真正面から全て拒絶する盤石すぎるセキュリティ設備に、調査を進めようという意欲も削がれてその存在そのものを忘れ去ってしまっていた。

ルカ「……此処が最終目的地になるなんてな」

散々と島中を歩かされたが、これでいよいよラスト。
いつの間にか靴にくっついていた砂粒を、コンクリを爪先で叩いて振り払った。

「もー! ルカさん人のペース考えて歩いてくださいよ! どんだけがっつくんですかー!」

置き去りにしたにちかが背後から大声で叫ぶ。文句ばかり言うお荷物も、美琴の手前置いて行くことはできない。
形だけでも悪びれておいた。
544: ◆vqFdMa6h2. [saga] 2022/11/11(金) 22:08:48.28 ID:IHQOUw1J0(19/39)調 AAS
ルカ「ああ、いや……悪い」

美琴「いいよ、にちかちゃん。大丈夫」

にちか「でも……この人! ぜんっぜん周り見てないっていうか……!」

千雪「ウォークラリーももうこれで終わりなんだもん、走りたくもなっちゃうよね」

ルカ「千雪……人をガキみたいに言うんじゃねーよ」

摩美々「今度こそこれで終わりですかぁ……? これ以上歩くのとか、もう勘弁なんですケドー……」

結華「ウサミは遺跡でパスワードを入力すれば終わりって言ってたよね?」

灯織「はい……そのはずです。パスワードは恋鐘さんから教わった『0816』。これで扉が開くといいんですが……」

風野灯織が一瞥した先には重厚な扉。
鋼鉄でできた扉には『未来』と克明に刻まれている。

智代子「問題は、それを誰が入力するかだよね……」

あさひ「わたし、入力してみたいっす!」

夏葉「待って。扉の横にマシンガンが取り付けられているのを見ても、危険の伴う行為だわ。入力は慎重に行うべきよ」

雛菜「じゃあジャンケンで決めよ〜?」

透「オッケー。私、グーね」

愛依「おっ、透ちゃんサクシ〜! じゃあうちはパー出す!」

冬優子「そんな浅知恵で挑む勝負じゃないっての……下手すりゃ死ぬのよ?」

どこまでも緊張感のない連中に忘れそうになるが、今は最終局面。
このコロシアイ南国生活の進退が決しようとしている最中、自分の命も駆け引きの材料とする覚悟を求められている。
545: ◆vqFdMa6h2. [saga] 2022/11/11(金) 22:10:30.99 ID:IHQOUw1J0(20/39)調 AAS
ルカ「……私がやる」

そんなものは、とっくに備わっていた。
正確には覚悟ではなく、苛つきに近い。ここまでの横暴を許したこと、自分達を散々弄んだこと……要因は無限にある。
虫唾がフルマラソンを走る中で、このコロシアイを終わらせることができるのなら自分の命なんて安いくらいだ。

果穂「ルカさん、あぶないです!」

ルカ「いいんだよ、どうせ誰かがやらないといけない……だったらヨゴレの私がやるべきだ」

千雪「ま、待って! ちゃんと話し合いをしてから……」

ルカ「そんな時間はないだろ……今は一刻も早くこの遺跡の中を確かめないと」

結華「だとしても……! そんな、三峰たちを勝手に傍観者にしないでよ……!」

ルカ「……」

制止の声には耳を閉ざした。
おそらく何を言ってもこいつらは聞く耳を持たない。
自分達はみんな平等。
誰かを危険に晒して自分は安全圏なんてもってのほか。

だから、結論は一生出せない。
誰かが一歩踏み出せば、それを引き戻す。
お互いがお互いの命綱を握っているからこそ、彼女たちは賭けに挑むことはできないのだ。
546: ◆vqFdMa6h2. [saga] 2022/11/11(金) 22:11:18.14 ID:IHQOUw1J0(21/39)調 AAS
冬優子「ルカ……あんたにもしものことがあったら夢見が悪いのよ……!」

でも、それじゃあコロシアイには勝てない。
命を賭けるという前提に成り立つ秩序の中にいるのに、そこから目を逸らしている彼女たちは啄まれるだけの餌と変わりない。
食い物にされるだけなんて私はゴメンだし、食い物にされている連中を見るのも不快。

灯織「斑鳩さん……一人で背負わないでください、私たちで別の方法を何か考えてもいいですし……」

指で一つ一つ数字を丁寧に確認しながら入力していった。

にちか「……あー、もう! なんでそうやって一人でいっつも突っ走るかなー!」

一文字でも間違えれば蜂の巣。
そのことが頭をよぎるたびに、唾液が込み上げた。

美琴「ルカ……死なないで」

ようやく……最後の一文字を入力し終えた。
547: ◆vqFdMa6h2. [saga] 2022/11/11(金) 22:12:23.71 ID:IHQOUw1J0(22/39)調 AAS
ピピッ

入力パネルは全面が同時に緑色に点灯。
それとほぼ同時に扉の向こうから動作音が聞こえた。噛み合わされていた閂が外れるような音に、思わず振り返る。

愛依「……開い、た? もしかして」

ルカ「……みたいだな」

果穂「す、す、す、す……」

果穂「すごいですーーーーー!! これでウォークラリー、完全コンプリート、です!」

私に一斉に駆け寄ってくる283の連中。
さっきまで私の独断を非難し、その身を案じていたというのにすっかりそんなことは他所にやって成功に歓喜している。
両手を掴んでブンブンと振り回されるのに鬱陶しさを感じながら私は視線を逸らした。

冬優子「もう……成功したからいいものの、こんな真似すんじゃないわよ……こっちの身が持たない」

千雪「本当……心配で心配でしょうがなかったんだから」

ルカ「……誰かがやらなきゃいけなかったんだから。しょうがないだろ」

本当に、私はただ自分がやりたかったことをしただけ。
あのどうしようもない膠着を打破したくて、自分の命を差し出しただけなのだ。
それなのに、見当違いな感謝がそこら中から投げ込まれて参ってしまう。

息のつける場所を求めてそこかしこを見遣ると、一人の女と目が合った。
548: ◆vqFdMa6h2. [saga] 2022/11/11(金) 22:13:38.00 ID:IHQOUw1J0(23/39)調 AAS
灯織「……斑鳩さん。ありがとうございました、そしてごめんなさい」

そいつは、これ幸いとばかりに私につむじを見せびらかした。
そこまでの角度をつけてのお辞儀など、見慣れていない。

ルカ「あ?」

溢れた声も動揺の発露に近い。
私から反応があったことを確かめると、風野灯織は上体を起こして弁明した。

灯織「あなたは283プロダクションの人間でもないのに、私たちの命を背負ってここまで連れてきてくれた。そのことには感謝と申し訳なさを感じずにはいられないんです」

なるほどその理屈は分かる。
こいつの目線から見れば、私は突如として目の前に現れた救世主にでも見えているのだろう。
だけど私にはそんな後光なんて差していない。私に付き纏っているのは常に逆光だけだ。
549: ◆vqFdMa6h2. [saga] 2022/11/11(金) 22:14:25.62 ID:IHQOUw1J0(24/39)調 AAS
ルカ「別に……こっちも背負ったつもりなんかねーよ」

灯織「……え?」

ルカ「にちかの裁判の時言っただろ? 私は私がやりたいようにやるだけ。だからその過程で別の誰かの願いや希望を私が偶然叶え、思いを背負うことになったとしてもそれに引け目なんか感じなくていい」

ルカ「こっちは救おうと思ってやってるわけじゃないんだからな」

ここまでに事態が転がったのは本当にただの偶然なのだ。
偶然に283の連中に見とめられ、偶然に言葉を交わすこととなり、偶然に同じ時間を過ごした。
近づこうと思って近づいたことなど一度もなかった。それなのに、気がつけばジリジリと空間は狭まっていた。
磁力で引き寄せられるかのような、不可抗力だったのだろうと思う。

にちか「……ホント、一丁前なこと言いますよね」

ルカ「オマエはその筆頭だ」

にちか「……知ってます!」

ルカ「だから、オマエら283の連中も好きにしろ。私についてきてもこっちも何も言わねえ。歓迎の挨拶も、厄介払いの悪態もな」

だから、今更その不可抗力を弾くこともしない。
その方が面倒だし、労力もかかる。

ルカ「ほら、さっさと行くぞ」

最後まで風野灯織の言葉は受け取ることなく、私は背を向けた。
背中には、他の連中の視線を感じる。
羨望でもない、誹謗でもない。そこに帯びているものは私にはわからない。
具体的な繋がりなど何もないもの同士、その関係性を語る言葉はないはずだ。

ルカ「決着をつけるぞ」
550: ◆vqFdMa6h2. [saga] 2022/11/11(金) 22:15:31.29 ID:IHQOUw1J0(25/39)調 AAS
____これで本当に終わり。そして、ここからすべてが始まる。

あさひ「じゃあ早く行くっす! もう待ちきれないっすよ!」

蜀ャ蜆ェ蟄「縺ゅs縺溘?窶ヲ窶ヲ縺ゥ縺薙∪縺ァ蜻第ー励↑縺ョ繧医?ゅ∪縺ゅ?∵ー玲戟縺。縺ッ繧上°繧九¢縺ゥ」

諢帑セ「繧「繝上ワ縲√≠縺輔?縺。繧?s縲ゅ∩繧薙↑縺ァ荳?邱偵↓陦後%? 縺ュ?」

あさひ「あははっ! 分かってるっすよ、みんなで一緒に……っすよね!」

私は孤独に、ただ一人で歩み続ける……そのことには恐怖を抱かない……とは言い切れない。
だけど、迷いはない。
自分で決めた道を途中で変えた先にある凋落を、私は知っているから。
551: ◆vqFdMa6h2. [saga] 2022/11/11(金) 22:16:22.79 ID:IHQOUw1J0(26/39)調 AAS
邨占庄「縺サ繧峨?√∪縺ソ縺ソ繧薙?ゅ≠縺ィ繧ゅ≧縺。繧?▲縺ィ縺?縺九i縺包シ」

鞫ゥ鄒弱?「縺オ繧上=窶ヲ窶ヲ蟶ー縺」縺溘i縺贋シ代∩繧ゅi繧上↑縺阪c縺?縺ュ繝シ」

邨占庄「縺昴l縺ッ縺セ縺や?ヲ窶ヲ莠、貂画ャ。隨ャ?」

自分の道を歩み続ける中で、拾い上げることになった不可視の粒の数々。
これ自体には何の力もない。
卵を砕くことも、紙を破くことすらもできない。
552: ◆vqFdMa6h2. [saga] 2022/11/11(金) 22:17:06.39 ID:IHQOUw1J0(27/39)調 AAS
蜊?妛「縺ァ繧ゅ?√h縺九▲縺溘↑窶ヲ窶ヲ縺ソ繧薙↑縺ァ縺薙≧縺励※隧ヲ邱エ繧剃ケ励j蛻?k縺薙→縺後〒縺阪※」

轣ッ郢「縺ッ縺??∫ァ√b逧?&繧薙?縺雁鴨縺ォ縺ェ繧後※縺?◆縺ョ縺ェ繧」

蜊?妛「轣ッ郢斐■繧?s縺ッ遶区エセ繧医?ゅ∩繧薙↑繧剃ス募コヲ繧ょシ輔▲蠑オ縺」縺ヲ縺上l縺溘@窶ヲ窶ヲ縺阪▲縺ィ螳溘j縺ョ縺ゅk逕滓エサ縺ォ縺ェ縺」縺溘→縺翫b縺?o」

でも、それは確かに存在するようで。
他の連中が言うには、
その粒は胸の中で静かに燃え盛り、
なぜか手は無意識にそれを掴み、
他の連中はそれをもっともらしく弁舌に尽くし、
それを導にして道を決めているらしい。
553: ◆vqFdMa6h2. [saga] 2022/11/11(金) 22:17:58.27 ID:IHQOUw1J0(28/39)調 AAS
智代子「終わっちゃうと思うとちょっとだけ寂しさもあるね……」

譫懃ゥ「縺ッ縺??ヲ窶ヲ縺ェ繧薙□縺倶ソョ蟄ヲ譌?。後r蜈亥叙繧翫@縺溘∩縺溘>縺ァ縲√Ρ繧ッ繝ッ繧ッ縺励∪縺励◆?」

螟剰痩「縺オ縺オ縲∽サ雁コヲ縺ッ繝励Λ繧、繝吶?繝医〒縺ソ繧薙↑縺ァ譌?。後↓陦後¢繧九→縺?>繧上?縲ゅ?繝ュ繝?Η繝シ繧オ繝シ縺ォ繧りゥア縺励※縺ソ縺セ縺励g縺」

_______283の連中はそれを【絆】と呼んだ。

希望や絶望という漠然としたものではなく、明確な存在としての【絆】。
それがある限り、歩み続けることに恐怖なんてしない。
554: ◆vqFdMa6h2. [saga] 2022/11/11(金) 22:18:42.32 ID:IHQOUw1J0(29/39)調 AAS
髮幄除「謌サ縺」縺溘i蟄ヲ譬。陦後°縺ェ縺阪c縺?縲懌?ヲ窶ヲ髮幄除蟲カ縺ォ谿九▲縺ヲ繧ゅ>縺?°繧ゅ↑縲」

透「それな。あるかも、一理」

髮幄除「縺ゅ?縲懶シ」

今回ばかりは私の歩む道が偶然にその【絆】に、部分的に沿っていた。
そこで意図せず繋がってしまったのだ。
555: ◆vqFdMa6h2. [saga] 2022/11/11(金) 22:19:28.38 ID:IHQOUw1J0(30/39)調 AAS
ルカ「さあ、行くぞ……帰るんだ、ステージの上に」

鄒守清「縺昴≧縺?縺ュ縲∝セ?▲縺ヲ縺上l縺ヲ縺?k莠コ縺後>繧九°繧」

縺ォ縺。縺「縺薙s縺ェ縺ィ縺薙m縺倥c縲∵ュ「縺セ縺」縺ヲ繧峨l縺ェ縺?〒縺吶h縺ュ?」

だから私も、嫌々ながらその陽の下にいる。
図々しい陽の光は私たちをひとまとめに暖めながら、遥か先の一点を向いている。
その一点を目掛けて、一歩を踏み出すのだ。

_______私たちは“目的地”を、目指し続ける。
556: ◆vqFdMa6h2. [saga] 2022/11/11(金) 22:20:15.86 ID:IHQOUw1J0(31/39)調 AAS
「私たちの日常を、取り返すんだ」

扉から、光が差し込んできた。
557: ◆vqFdMa6h2. [saga] 2022/11/11(金) 22:21:37.72 ID:IHQOUw1J0(32/39)調 AAS
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【???】

ルカ「……あ?」

……悪い夢を見ていた。
一度完全に醒めたはずなのに、気がつけば微睡の中にいた。
工場から排出されるヘドロのように、真っ黒で、ベトベトと纏わりつく不快なだけの夢。

モノミ「おかえりなちゃい! 今度こそパーフェクト、完全クリアでちゅよ〜!」

かといって現実に戻ったからと好転するでもない。
目を覚ました私たちを待ち受けていたのは、
このコロシアイそのものを象徴するような醜悪なマスコットと、網膜に焼き付いた生と死をないまぜにする裁判場。
558: ◆vqFdMa6h2. [saga] 2022/11/11(金) 22:22:42.62 ID:IHQOUw1J0(33/39)調 AAS
ルカ「なん、で……」

モノミ「どうしまちた? 気分が優れないみたいでちゅけど……」

ルカ「なんで、遺跡の中が此処になってんだよ……ここはモノクマロックの地下にある裁判場なんじゃ……」

モノミ「ああ、ちょっとびっくりしちゃったんでちゅね? 何も恐ることはないんでちゅ、答えはシンプルな話なんでちゅ。入口が二つあるお部屋ってだけなんでちゅよ!」

ルカ「モノクマロックと遺跡とじゃそもそも島が違うだろうが……」

モノミ「うーん……答えてあげてもいいんでちゅが、それはネタバレでちゅからね……」

モノミ「一旦、その疑問は押し入れに押し込んでおいてくれまちゅか?」

ルカ「はぁ?」

モノミ「そんなことより、これからのことを説明しないといけまちぇん! ……ね、お二人さんも聞いてくれまちゅか?」

モノミの呼びかけでまさかと思って振り返る。
ハッタリやごまかしの類かと思いきや、そこには明確な二人の影。
この島の生活を共に過ごしてきた……このコロシアイを共に生き抜いてきた二人。

あさひ「……どういうことっすか? これ。冬優子ちゃんと愛依ちゃんは……どこに行ったんっすか?」

智代子「果穂と夏葉ちゃんも……何が起きてるの?」

ルカ「オマエら……オマエらも、私と同じものを見てたのか?」
559: ◆vqFdMa6h2. [saga] 2022/11/11(金) 22:23:24.42 ID:IHQOUw1J0(34/39)調 AAS
二人も私と状況は同じらしい。
さっきの今まで、死が裏返る信じ難い夢の中にいた。
そして訳もわからぬままにこの裁判場へと送り込まれている。

モノミ「あちしからのプレゼントはどうでちたか? 久しぶりにお友達と話せて嬉しかったかな?」

ルカ「……は?」

モノミ「御三方はさっきまで、死んじゃったはずのお友達と一緒にいまちたよね? それがあちしからのプレゼントなんでちゅ」

ルカ「……!」

モノミ「ほら、だってミナサンこの前の裁判で相当堪えてそうだったから! 元気だちて行きましょう、栄養剤!」

智代子「あんなの見せられて……元気を出せって言う方が無理だよ……」

あさひ「モノミ、さっきまでのはなんなんっすか? どうして二人はわたしの前に再び現れることができたんっすか?」

モノミ「さあ、どうしてでちょうね?」

ルカ「……答える気はないってか」
560: ◆vqFdMa6h2. [saga] 2022/11/11(金) 22:25:18.15 ID:IHQOUw1J0(35/39)調 AAS
モノミ「さあさ、それよりもミナサンにはこれからビッグイベントが待ち構えてまちゅよ!」

ルカ「ビッグイベント……?」

モノミ「このコロシアイ南国生活における、最後の学級裁判でちゅ!」

あさひ「最後の学級裁判……?」

モノミ「黒幕の月岡さん亡き今、このコロシアイ南国生活は存続の危機でちゅ! ここで終わりを迎えるのかどうなのか、ミナサンの話し合いで決定するんでちゅ!」

智代子「私たちの話し合い……? そんなの、結論は決まりきってるよ!」

智代子「コロシアイはもう終わり! これ以上続ける理由も何もないよ!」

モノミ「あー、いや……そういうことではないんでちゅ。ここで話し合うのはコロシアイを続けるかどうかではなくて、もっと別の謎を解明してでちゅね」

モノミ「ま、やってみれば分かりまちゅ! あちしが音頭を取るのでそれに従ってくだちゃい!」

智代子「な、投げやり?!」

ルカ「なんだっていいさ」

モノミ「はれ?」

ルカ「もう……なんだっていい。この生活が終わるんだったらなんだっていい」

ルカ「さっさと終わりにしようぜ……こんなの」
561: ◆vqFdMa6h2. [saga] 2022/11/11(金) 22:26:38.25 ID:IHQOUw1J0(36/39)調 AAS
この虚脱感はどこから来ているのだろうか。

美琴という拠り所を喪ったこと、
自分は目の前にいたのに救うことができなかったこと、
その後に現れた幻影に易々とつけこまれてしまったこと、
自分の感情を弄ばれてここまで運ばれてしまったこと。

無力感や自己嫌悪、ありとあらゆるマイナス感情を煮詰めて蓄えた体はいつも以上に重力を感じていた。
全身にどっしりとのしかかるものを下ろせるのなら、そのレギュレーションなど問う気力もなかったのである。

モノミ「分かりまちた! それなら早速始めまちょう! ミナサン、それぞれの席についてくだちゃい!」

智代子「う、うぅ……やるしかないの?」

あさひ「選択肢はないと思うっす。今がどういう状況なのか全くわかんないし!」

智代子「はぁ……そうだよね」

前向きなのか後ろ向きなのかもわからないスタンスで自分の席に着く。
円形に並べられた証言台には空席が目立ち、もはや代理で建てられた遺影の方が大多数。
そのあいだ間に立っている生き残り3名はいずれも沈痛な表情をしている。
562: ◆vqFdMa6h2. [saga] 2022/11/11(金) 22:27:45.95 ID:IHQOUw1J0(37/39)調 AAS
さっきまで自分にとって都合のいい夢を見せられて踊らされていたのがかなり堪えている上に、これから始まる裁判は詳細が一切不明。
不安を抱くなという方が無理な話だ。
私だって例に漏れずその一人だ。
今自分の胸はかつてない程に重たい。

喉と肺には薄灰色の煙が充満して、
心臓は肋骨にぶつかりながら拍動していて、
背中に何か重いものを載せているせいで上体をまともに起こせない。

……それでも、やるしかない。
ここですべてを投げ出してしまえば、この重みに潰されてしまうだけじゃ済まない。
自分がこれまでに積み上げてきたものが根底から瓦解してしまう、そんな危惧がサイレンになって鳴り喚いている。

だから何があろうとも進むしかないんだ。
泥濘に足を取られ、脚をもつれさせながらでも。

この先に何が待っているというのか
563: ◆vqFdMa6h2. [saga] 2022/11/11(金) 22:31:35.66 ID:IHQOUw1J0(38/39)調 AAS
_________誰も、何もわからないのに。
564: ◆vqFdMa6h2. [saga] 2022/11/11(金) 22:35:52.53 ID:IHQOUw1J0(39/39)調 AAS
というわけでCHAPTER06の非日常編はここまで。
次回より最後の学級裁判へと移ります。
仕事が多忙気味なので、次回更新は少し先にさせてください。また告知します。
それでは最後に候補者リストのオリジナルネーミングの元ネタ答え合わせを。

風野灯織…【超高校級の占い師】飯田数秀
ゲッターズ飯田・細木和子・島田秀平から

三峰結華 …【超大学生級の写真部】蜷川卓
映画監督としても知られる著名な写真家の蜷川実花・新井卓から


田中摩美々…【超高校級の服飾委員】喜多川新菜
「その着せ替え人形は恋をする」主人公二人の名前から

小宮果穂…【超小学生級の道徳の時間】本城ハヤ太
初代ウルトラマン・ハヤタ隊員 
初代仮面ライダー・本郷猛
初代戦隊ヒーロー・アカレンジャー(海城剛)から


園田智代子 …【超高校級のインフルエンサー】不破アルル
人気ブロガーARuFaのもじり


有栖川夏葉… 【超大学生級の令嬢】菱井友安
4代財閥の頭文字


桑山千雪… 【超社会人級の手芸部】四季衛児
『U19』主人公、紅童衛児
『すばらしきこのせかい』主人公の一人、シキ
糸と針を使うキャラの候補があまり思いつかなかった……


芹沢あさひ…【超中学生級の総合の時間】上蔵居鶴
カムクライズル、言わずもがな


黛冬優子…【超専門学校生級の広報委員】永瀬美奈
今の時代を牽引する女優の永野芽郁、広瀬すず、浜辺美波、橋本環奈4名から一文字ずつ


和泉愛依…【超高校級のギャル】 藤村美優
藤田ニコル・木村有希(ゆきぽよ)・池田美憂(みちょぱ)から

市川雛菜…【超高校級の帰宅部】小野田・K・ユーサク
第二次世界大戦終結後29年経って日本へ帰還した小野田寛郎氏と名曲「home」をリリースした歌手・木山裕作から


七草にちか…【超高校級の幸運】苗木誠
いわずもがなダンガンロンパの主人公


緋田美琴…【超高校級のシンガー】夜々中亜道
いわゆる夜行性と呼ばれる令和世代のシンガーたちからイメージで取った苗字+Ado


斑鳩ルカ…【超高校級のダンサー】関口小春
世界的にも評価の高いダンサー・関口メンディー
紅白の米津玄師の振り付けでも有名な振り付け師菅原小春から

>>520 >>524の両名とも大体正解ですね
特に手芸部の元ネタはよくわかりましたね……
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ぬこの手 ぬこTOP 0.156s*