[過去ログ] 宇宙世紀の小説書いてみてるんだけど (1002レス)
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148: ◆tyrQWQQxgU 2019/08/02(金)00:41 ID:zzobyS5s0(1/8) AAS
 格納庫に到着した我々は、各々の機体の確認に入る。残った機体は大きなダメージを被っていない事もあって、基本調整が主になりそうだった。
 既にメカニック達が手を加えているところだ。少し離れたところでメアリーが格納庫を見渡している。

「あんたがエゥーゴの?」
 ボサボサの頭と縮れた髭のみすぼらしい男が話しかけてきた。ススまみれでツナギなところからみて整備班の人間らしかった。
149: ◆tyrQWQQxgU 2019/08/02(金)00:41 ID:zzobyS5s0(2/8) AAS
「仰る通りで。サム・ワーウィック大尉であります」
「あーはいはい!ジオン上がりの!道理でこんな色にしちまう訳だね」
 彼は作業しながら吐き捨てる様に言った。
「ジオンはこないだの戦争で無茶苦茶やりやがった。今でもお前らを許す気は毛頭ねぇからな。
 だけどよ…悔しいが、ジオンの機体ってのはまた惹かれるんだよ俺は」
 そういうと彼は、立ち上がってマラサイを見上げた。
「流麗なフォルム!それでいて無骨!インターフェイスも不統一だったが、だからこその挑戦的な仕様の数々!
 そんなジオンの機体に浪漫を感じる俺がいるんだよ!!」
 手を広げたりうずくまったりしながら仰々しく語る姿は異様だが、物凄い情熱を感じた。熱くなりすぎてすっ転びやしないかとこちらがヒヤヒヤする。
150: ◆tyrQWQQxgU 2019/08/02(金)00:42 ID:zzobyS5s0(3/8) AAS
「先の戦いのことは今はこれ以上語るまい。だがそんな呪われた崇高な血が、このマラサイには流れているのさ」
 打って変わって静かになった彼は、そういって私を見つめた。
 呪われた崇高な血か…。私も彼と共に機体を見上げ、かつての無力と矛盾に苛まれながら今を生きながらえる私自身と重ね合わせた。
「ところであなたの事は何とお呼びすれば?」
「おっとこれはこれは。ヴィジョンとでも呼んでくれ。デコからビームは出ねぇぞ?」
 そういって額を叩いて笑うと、彼はそそくさとまた別の作業に戻っていった。
151: ◆tyrQWQQxgU 2019/08/02(金)00:42 ID:zzobyS5s0(4/8) AAS
 しばらく機体をいじり一段落ついたところで、流石に退屈し始めていたメアリーの隣に座った。
「黒いやつは来そうかい」
「んー、近くには居ないみたい」
 メアリーは体操座りして手遊びしながら暇そうに言った。
「なんでまたあんなどでかいやつで迎えに来るんだろうな。困ったものだ」
「あの黒いやつは、あたしと繋がってるから」
 メアリーは遠い目をしてハッチの方を見ていた。
「あたしが呼んだらいつでも来るんだって。でも呼んでなくても来ちゃうのよ。誰かがイタズラしたんだわ」
「質の悪いイタズラをするやつもいたもんだな」
 全くもって質が悪いイタズラだ。結局彼女がいる限り奴らは追ってくるのだろう。しかし繋がっているというのはサイコミュの事だろうか。
152: ◆tyrQWQQxgU 2019/08/02(金)00:43 ID:zzobyS5s0(5/8) AAS
「あの黒いやつはメアリーの考える事に反応して動くのか?」
「そんな感じね」
「そうか…」
 逆手に取ってこちらの作戦を組み立てる事が出来ないかと私は考えていた。いや、彼女に危険が及ぶ可能性があるならばやるべきではない。
「そういえば、メアリーがいう色の話なんだが。あれは何の色なんだ」
「あれはね、その人の欠片みたいなものがあたしに見えるの。その色が人によって違うのよね」
「私が緑なら、例えば中尉は何色なんだ」
「ベイトも青っぽい。でもちょっと緑ね。大体の人は緑よ。サムは特に緑が強かったけど。ロボットも緑だし」
「なるほど。自分の色は見れるのか?鏡とかで」
「あたしは…」
省5
153: ◆tyrQWQQxgU 2019/08/02(金)00:44 ID:zzobyS5s0(6/8) AAS
 他のパイロット達も作業が終わったらしく、バラバラと自室に戻り始めた。私とメアリーも腰をあげ、部屋へ戻ることにした。
 部屋に行くと、先に中尉が戻っている様だった。
「メアリーは中尉のところへ行くといい。私はこっちだ」
「…いや」
 何故かメアリーは中尉の部屋の前で酷く怯えている。すると我々の後から中尉がやってきた。
「何してんだ廊下で。ん?」
「あれ、中尉か。部屋に誰か居るみたいだが」
「そんな馬鹿な」
 中尉が自室の扉を開けた。
「!?」
省8
154: ◆tyrQWQQxgU 2019/08/02(金)00:45 ID:zzobyS5s0(7/8) AAS
「何事だ!」
 部屋からバッカス少佐が出てきた。
「侵入者です!恐らく潜伏していたのでしょうが…!連邦の軍服を着た女が中尉の部屋に」
「連れ込んでいた訳では無さそうだな」
 少佐はヨロヨロと立ち上がる中尉を鼻で笑うと、走っていった女を追った。
「ったくよぉ!何で俺ばっかりこんな目に遭うかね!」
 殴られ蹴られ、遂には投げ飛ばされてしまった中尉が嘆く。
「寄港先で占いでもしてもらうといい。それよりメアリーを頼む」
「怖かったな。もう安心だ」
 中尉が肩を震わせて泣くメアリーを抱き寄せると、彼女は更にわんわん泣き始めた。
省3
155: ◆tyrQWQQxgU 2019/08/02(金)00:52 ID:zzobyS5s0(8/8) AAS
今日はかなり書き進めました…!
ストックも出来たので、明日もまた投下しようと思います。

pixivも更新!

https://www.pixiv.net/novel/series/1155468
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