[過去ログ] 宇宙世紀の小説書いてみてるんだけど (1002レス)
前次1-
抽出解除 必死チェッカー(本家) (べ) 自ID レス栞 あぼーん

このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
次スレ検索 歴削→次スレ 栞削→次スレ 過去ログメニュー
589: ◆tyrQWQQxgU 2019/10/26(土)13:41 ID:pM27ubaK0(1/7) AAS
>>588
おっと!紛らわしくてすみません!次でラストです!投下します!

やっぱクワトロが大尉なのも変だなぁと思ってたので、そういう理由があるんじゃないかと思いまして。
アムロは士官学校出てないからとか色々言われてますけど、今回は別で理由付けしてみました。
590: ◆tyrQWQQxgU 2019/10/26(土)13:42 ID:pM27ubaK0(2/7) AAS
 アトリエ中尉達…いや、アトリエ大尉達の昇格の後、数日の内に私達の転属先が決まった。それぞれ別の部隊ではあるが、お互い宇宙へ上がることになった。私は元々宇宙生まれだが、アトリエ大尉はこれが初めての宇宙である。
 荷物をまとめて部屋を出た時、丁度アトリエ大尉と鉢合わせた。
「身支度は済んだか?」
「おう。そっちも済んだみたいだな…行くかい?」
 私が軽く頷くと、彼と共に歩き出した。向かう先は格納庫だ。取り敢えずはマスドライバーのある地点まで予備機のジム2とSFSで行く。
 宇宙まで行ったらそれぞれの配属先へ別れて進む。新たな機体は配属先で既に待っているらしい。
 歩き慣れた艦内を進みながら、様々な思いがよぎっては消えていく。格納庫までの道程が酷く長いような、或いはあっという間だったのか…。
 普段はよく喋るアトリエ大尉も、今回ばかりはあまり口を利かなかった。同じ思いだったのかもしれない。
591: ◆tyrQWQQxgU 2019/10/26(土)13:42 ID:pM27ubaK0(3/7) AAS
 格納庫へ着くと、いつものメンバーが出迎える。バッカス中佐にサドウスキー少佐、シェクター少尉とワン中尉。そしてメアリーが待っていた。
「遅かったじゃないか。どっちが愚図ってたんだ?」
 サドウスキー少佐が豪快に笑う。その襟元には新しい階級章が輝いている。
「2人とも愚図ってた様なものですな」
 私がそう言うと、サドウスキー少佐が我々2人の肩をそれぞれ両手でガッシリと掴み、自身の頭を挟むようにして引き寄せた。
「お前ら…元気でやるんだぜ…!!」
 サドウスキー少佐が大きな音を立てて鼻を鳴らした。大粒の涙が彼の目から溢れ出る。
「お…おいおい!泣くなよ!!」
 アトリエ大尉がおどけてみせるが、サドウスキー少佐は声を上げて泣き始めた。
「今泣かずしていつ泣くって言うんだ!!俺はなあ…寂しいんだよおお!!」
省5
592: ◆tyrQWQQxgU 2019/10/26(土)13:42 ID:pM27ubaK0(4/7) AAS
「全く…大の男がねえ」
 バッカス中佐が呆れながら笑っている。
「大尉達はすぐに出られるので?」
 シェクター少尉がサドウスキー少佐の背中を擦りながら聞いた。
「ああ。私の怪我のせいで幾らか予定が押したからな」
 火傷はもう随分と良くなった。しかしながら、顔にははっきりとその跡が残っている。
「あ!そうそう!サムにプレゼントよ」
 それを聞いて、メアリーが思い出した様に包装された箱を取り出す。
「…これは?」
「そのお顔、怖がられたらいけないからお洒落できる様にってメイと相談して買ってきたの」
省8
593: ◆tyrQWQQxgU 2019/10/26(土)13:43 ID:pM27ubaK0(5/7) AAS
「俺は??ねえ俺のは??」
 しばらくやり取りを見ていたアトリエ大尉がしびれを切らした様に切り出した。
「ベイトには…これ」
 メアリーが小さな石を取り出した。青翠の綺麗な光を放っている。
「これね、お母さんがあたしにくれたやつなの」
「そんな大事なもの…良いのか?」
「大事なものだからあげるの。もしそんなに気になるなら、また今度あった時に返してくれたら良いわ。何かあったらこれであたしの事思い出すのよ」
「相変わらず生意気言いやがってよ…。ありがとう」
 そういってアトリエ大尉はメアリーを抱き締めた。
594: ◆tyrQWQQxgU 2019/10/26(土)13:43 ID:pM27ubaK0(6/7) AAS
「おおーい!お前ら!!そろそろ行かねえと時間なくなっちまうぜ!!」
 遠くからヴィジョンの声がした。私達2人は改めて荷物を抱える。
「さて、行くか。アトリエ大尉」
「そうだな…」
 出撃準備の整った機体へと歩き出した。皆が背中を見送っている。
「ワーウィック大尉!アトリエ大尉!」
 後ろからシェクター少尉の声がして振り返る。我々を見る彼の眼差しには、強い意志を感じた。
「御達者で…!」
「また会おう」
「おうよ。…ワン中尉のこと、大事にしてやるんだな」
省2
595: ◆tyrQWQQxgU 2019/10/26(土)13:44 ID:pM27ubaK0(7/7) AAS
 出発の時が、遂に来た。皆まだ先程の場所で見送ってくれている様だ。
「さーて…思い残すことはねぇな?」
「いいや、沢山残してきた。次会う時に回収すればいいのさ」
「ふふ、一理あるな」
 アトリエ大尉がいつもと変わらぬ調子で笑った。機体が完全に稼働状態に移行し、SFSのバーニアへと火が入る。
「…暖かいのだな、この星は」
 我々は朱雀を出立した。

 機体は空高く舞った。晴れ渡る空へと、朱雀を背に進む。この空の更に高いところ…宇宙には一体何が待ち受けているのだろうか。
 不安が無いといえば嘘になるだろう。だが私は、積年のしがらみから解き放たれる様な心地だった。
 真にこの重力を克服した時、私はもう一度この大地を踏みしめる事の意味を知る。その日まで、母なる地球へしばし別れを告げるのだ。
省2
前次1-
スレ情報 赤レス抽出 画像レス抽出 歴の未読スレ AAサムネイル

ぬこの手 ぬこTOP 3.351s*