[過去ログ] 宇宙世紀の小説書いてみてるんだけど (1002レス)
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300: ◆tyrQWQQxgU 2019/08/20(火)15:17 ID:o4esIypS0(1/11) AAS
さて、今日も更新していきます!
今回アトリエ中尉が持ち帰ったガンダムMk-?ってあんまり認知されてない感じありますが、個人的にはRE/100とかでキット化してほしい機体なんですよね…
ペアになるMGが思いつかないですが、いずれ出てほしいところ…!

ではでは、続きを投下します!
301: ◆tyrQWQQxgU 2019/08/20(火)15:18 ID:o4esIypS0(2/11) AAS
 信じられない事が起きていた。あまり感情を表に出さないアイバニーズ少佐であったが、今回ばかりは怒りを顕にしていた。
 ワン中尉が裏切った。それも何処からかエゥーゴのパイロットを連れてきてだ。あろうことかムラサメ研究所の機体を奪取し、研究者までもそれに手を貸したというのだ。
 協力した研究者の女はその場で射殺されたとのことだったが、そのまま機体は取り逃がしてしまった。
 それだけではない。アイバニーズ少佐の部隊に続く形で到着予定だった増援部隊が、その奪取された機体から損害を被った。それも戦艦を1隻落とされている。
 追撃に出たMS部隊も瞬く間に航行不能に追い込まれ、作戦に著しい影響を与えていた。
 それにあのカラバの先行部隊。手練が揃っていた。
 補給直後でまともに機能していないところを叩かれたとはいえ、補給部隊の泣けなしの戦力は壊滅。アイバニーズ少佐自身が出なければ母艦も危うかったかもしれない。
302: ◆tyrQWQQxgU 2019/08/20(火)15:19 ID:o4esIypS0(3/11) AAS
 現在アイバニーズ少佐は、遅れてきた後続も含めた全体の指揮を取っていた。カラバの部隊と入れ替わる様に到着したエゥーゴの部隊と交戦中だ。
 出鼻を挫かれている自軍は士気も低く、かなり押されていると認めざるを得ない。
 アイバニーズ少佐は、それでもこの作戦に勝機を見出そうとしていた。
 かなりの物量を用意していたティターンズは、多少損害を受けてもまだ余力があった。むしろ重しが減った様な体感すらある。
 真正面からのぶつかり合いこそ押されてはいるが、アイバニーズ少佐麾下の部隊の真骨頂は奇襲にこそある。そろそろ虎の子の直属部隊をカードとして切るタイミングだった。
303: ◆tyrQWQQxgU 2019/08/20(火)15:20 ID:o4esIypS0(4/11) AAS
 部下をブリッジへ招集した。すぐに5人のパイロット達が少佐の前に並ぶ。
「諸君。多くは語るまい。この戦い、これからが我々の出番となる」
 集まった部下達は、今回の作戦以前から配下として共に戦ってきた精鋭達だった。その中でも側近と呼ぶべき男、ストランドバーグ中尉が口を開いた。
「ようやく出番ですなあ」
 白髪に白い髭を蓄えたこの男は、幾重もの死線を越えてきた故か、老獪且つ冷徹、判断力にも光るものがあった。
「何処が奴らの横っ腹ですかな」
 髭を撫でつけながらストランドバーグ中尉が言う。
「まあ慌てるな。…奴らの戦力は主に空軍といっていい。精鋭とも私自身交戦してきたばかりだが、正面からやり合う必要は全くない。
 奴らにしてみれば防衛戦といっていいが、補給線がそれなりに伸びている」
「そこを叩くと。ある飯を食わさず、飢えさせていく訳ですか」
省8
304: ◆tyrQWQQxgU 2019/08/20(火)15:21 ID:o4esIypS0(5/11) AAS
 自身も出撃準備に入るためアイバニーズ少佐は格納庫へ到着した。ずらりと並ぶ部隊のMSを眺めた。
 ティターンズ自体が濃紺色の機体を制式カラーとして採用している為、パーソナルカラーと言うほどのものでもないのだが、アイバニーズ少佐とその部隊の機体は、皆黒い。
 威圧感を与えるカラーリングでもあり、また特務部隊として古くから採用される事の多かった色でもある。
 アイバニーズ少佐はこの色に誇りを持っていた。何よりも深く、何よりも潔い。他の色に侵されることもなく自分の色を持ち続ける。
 ただただ人々の影と同じ様に佇む黒という色を、彼は好んだ。
 慣れた所作でコックピットへ乗り込むと、モニター越しに部隊へ通信を行う。
「いくぞ。まずはエゥーゴの隊列を乱し、我々以外のこちらの戦力を有効に活かせる流れを作る」
『了解』
 皆、準備は出来ているようだった。少佐のジムクゥエルはE-CAPを腰に装着すると、先陣を切って出撃した。
305: ◆tyrQWQQxgU 2019/08/20(火)15:24 ID:o4esIypS0(6/11) AAS
29話 佇む黒

pixivも更新していくのでこちらもチェックお願いします!
https://www.pixiv.net/novel/series/1155468
306: ◆tyrQWQQxgU 2019/08/20(火)22:15 ID:o4esIypS0(7/11) AAS
 エゥーゴとティターンズの攻防は熾烈を極めた。
 物量で勝るティターンズだったが、前哨戦で我々の部隊に手痛いダメージを受けていたところをエゥーゴからの更なる攻勢に晒された。
 加えて後続部隊もアトリエ中尉に奪取された新型から奇襲を受けるなど、増援の流れも乱れている。戦局は完全にエゥーゴ・カラバ側に有利だ。

 私は前哨戦で失ったマラサイの左腕の換装作業に追われていた。
「全く!マラサイはまともな予備パーツが無いんだぞ!?」
 メカニックのヴィジョンがカンカンに怒っている。
「申し訳ない…。流石に無傷で帰還という訳にもいかなくてな」
「だからって肩から持ってかれなくたって良かっただろうが!」
「いや、申し訳ない」
 私は小さくなる思いで整備を続けた。
省4
307: ◆tyrQWQQxgU 2019/08/20(火)22:16 ID:o4esIypS0(8/11) AAS
 整備を終えた頃、我々は艦長からブリッジに招集された。皆が揃うと、スギ艦長が戦況の説明を始めた。
「皆の健闘のおかげで、現在我々は優勢といっていい。第2陣のエゥーゴ部隊も、ぐいぐい押している。ぐいぐいとだ!」
 肯定的な話とは裏腹に、艦長の表情は硬かった。
「このまま万事うまく行けば言うことはないんだがな…。
 ティターンズから転向したワン中尉の情報に依れば、敵の指揮を取っているのはヴォロ・アイバニーズ少佐とのことだ。
 1年戦争の時から特務部隊の長として武勲をあげてきた男でな、単純な押し合いをやるようなやつではない」
「そうはいっても、その男が指揮していて現状こちらが優勢なら、単に押し合いに弱いとも言えるのでは?」
 サドウスキー大尉が首をひねる。
「このまま押し切って戦いが終わるとは到底思えん」
 艦長は尚も何かが引っ掛かるようだ。
省4
308: ◆tyrQWQQxgU 2019/08/20(火)22:17 ID:o4esIypS0(9/11) AAS
「…僕は攻めるだけでは勝ちきれない気がします」
 シェクター少尉が口を開いた。
「奇襲や陽動が得意な部隊を擁しているなら、艦長の言うとおりただ遊ばせているとは思えません。
 この防衛戦、ティターンズが物量で勝るとはいえ、こちらを殲滅し尽くすにはいささか戦力が心許ないと思いませんか?実際正面からの押し合いではこちらに分がある訳ですし」
 皆、シェクター少尉に視線を送っている。彼はそのまま続ける。
「現状なら敵は何かしらの形で戦力を割いてきます。増援に横槍を入れるとか、補給線を叩いてくるとか。
 確かに出てきたら叩くっていうのも手ですが、こちらで先手を打つ方が良いかと」
「先手を打つか…。とはいえ、何処から敵が来るのか当たりを付けんことには動けんな」
 スギ艦長が深く椅子に沈み込む。

「ワーウィック大尉はどう思う?」
省16
309: ◆tyrQWQQxgU 2019/08/20(火)22:18 ID:o4esIypS0(10/11) AAS
 待機を命じられた我々は各々のコックピットへ向かう。
「若いのにしっかりしてるな」
 私はシェクター少尉に声を掛けた。
「いやいや、大尉だってまだお若いじゃないですか」
 彼は笑いながら鼻をこすった。私も1年戦争に加わっていた頃は、丁度彼の様にあどけなく映っていたのだろうかとぼんやり思った。
「そういえば、ワン中尉とは知り合いだったんだよな」
「ええ。彼女を追った時に例の島で協力したので。素直で聡明な人だと思います。肝心なところでドジですけど」
「まあ私はあまり人のことは言えないのでな…」
 そういいながら、腕を換装したマラサイを指差して笑った。
「相当な手練でしたよね、あのジム。僕でもわかりました。…また出てきますかね」
省6
310: ◆tyrQWQQxgU 2019/08/20(火)22:18 ID:o4esIypS0(11/11) AAS
「…中尉って、頼もしいですよね。MSの操縦は勿論凄いんですけど、なんというか、中尉がいれば大丈夫な気がしちゃうんですよ」
「同感だな。そういう少尉も頼りにしてるぞ」
「任せてください!って言うところですかね」
 少尉がはにかんだ。私も微笑む。
「私も伊達にカスタム機に乗っている訳ではないからな。向かってくる敵は全て叩くさ」
「大尉こそ頼りになりますよ。戦況を変えてくれるのはいつも大尉ですから」
「ありがとう、期待に応えよう。さて、さっさとティターンズの連中をここから叩き出さないとな」
 少尉と別れ、マラサイのコックピットへ乗り込む。随分この機体にも馴れてきたところだ。

 この戦いを終えれば、この部隊を離れてエゥーゴに編入となるだろう。元々そういう手筈でここへ来た。
 とはいえ一連の騒動もあり、愛着の湧いたこの部隊を離れる事を考えると一抹の寂しさの様なものを感じていた。
省1
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