[過去ログ] 宇宙世紀の小説書いてみてるんだけど (1002レス)
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320: ◆tyrQWQQxgU 2019/08/23(金)21:15 ID:kqdJT4nq0(1/8) AAS
「大したことはないな、エゥーゴ」
 ストランドバーグ中尉は撃ち尽くしたカートリッジを排莢し、次のカートリッジを装填する。乗機はジムクゥエルをベースにジムスナイパー2の仕様を引き継いだ機体だ。老眼で近くのものはめっきり見辛くなったが、遠くのものは相変わらずよく視えた。
 今回の作戦は2機のミデアで敵の輸送隊に紛れ込むというものだった。輸送隊の者の一部を予め抱き込んでおくなど、アイバニーズ少佐は相変わらず切れ者だ。驚くほど簡単に潜り込めた。
 そのアイバニーズ少佐達を載せたミデア1号機はそのままガルダ級を目指す。我々2号機も続く予定だったが今は目の前の敵を殲滅しなければならない。何故こんな場所で敵部隊と遭遇したのか。読まれていたというより他になさそうだ。
321: ◆tyrQWQQxgU 2019/08/23(金)21:15 ID:kqdJT4nq0(2/8) AAS
「まずは1機。後は…あれか」
 スコープ越しに見えたのは奪われたと聞いたガンダムだった。うまく行くならば奪還、やむを得なければ撃墜の許可は出ている。
「全く運が良いやら悪いやら…。わしはこのままここから狙撃する。お前は打って出ろ」
 指示を受けて同乗していた部下が出撃する。名前は忘れた。部隊創設時から残るメンバーはアイバニーズ少佐とストランドバーグ中尉しか居ない。
 年のせいもあってか、補充される連中の事はなかなか覚えられなかった。この部隊に配属された時点で、遅かれ早かれどうせまた死ぬのだ。いちいち覚えるのも面倒だった。

 部下のガルバルディβがガンダムを追うが、うまくいなされている。流石にエースと噂されているパイロットだ。動きがいい。
 そのガンダムへ照準を合わせるべくスコープを覗き込む。その時、写り込んだワイヤーの様なものをストランドバーグ中尉は見逃さなかった。
「…インコムというやつか!何処からくる!?」
 ミデア輸送機の側面から熱源。部下を巻きながらこちらに攻撃してくるとはなかなか器用な真似をする。間一髪のところで攻撃を躱す。
 追撃が来る前にSFSで脱すると、背後のミデア輸送機がインコムから滅多撃ちにされて沈むのが見えた。凄まじい火力だ。
322: ◆tyrQWQQxgU 2019/08/23(金)21:16 ID:kqdJT4nq0(3/8) AAS
「いつまで鬼ごっこして遊んでる!さっさと仕掛けんか!」
 激を飛ばしながら再びスコープを覗こうとしたが、背後から敵機。先程落とした筈のリックディアスだった。
 敵がサーベルを大きく振りかぶる。降ろされる前にライフルを敵の肘に差し込む。
「ったく。しつこいやつよのう」
 そのまま敵の肘から先を消し飛ばす。しかし尚も敵は怯むでもなく向かってくる。残る左腕から鉄拳が繰り出される。アッパーの形でコックピットを殴りつけられた。
「ぬおおお!?」
 ストランドバーグ中尉の機体は強い衝撃でバランスを崩す。リックディアスもマニピュレータを破損した様子だが、攻める手を緩めない。更に踏みつける様に蹴りを繰り出す。
 ストランドバーグ中尉は咄嗟にライフルの砲身で受けた。質量に耐えきれずライフルが歪む。

 そうこうしている間に、部下のガルバルディβが両手足を撃ち抜かれ墜ちていった。ガンダムは荷が重かったか。ストランドバーグ中尉もこのままでは分が悪い。
 しかし安易に撤退してミデア1号機を追われてはまずい。もう少し踏ん張らなければならない。
省4
323: ◆tyrQWQQxgU 2019/08/23(金)21:17 ID:kqdJT4nq0(4/8) AAS
 ガンダムがまっすぐこちらへ迫る。冷静にそれを撃つ。しかし当たらない。何発撃とうと全て当たらない。
「なんてやつだ!やるな…若造が…!」
 空いた片方の手でサーベルを抜く。すれ違いざまに斬りかかるが、ガンダムはサーベルを抜く素振りも見せない。
「舐めた真似を!!」
 そのまま斬りつけようとした刹那、両腕が弾ける。インコムだった。
「盗っ人根性もここまでくれば立派と言っておこうか!!」
 何も出来ないままガンダムに背後を抜かれた。追い打ちを掛けるように、ストランドバーグ中尉のいる場所より低空に回ったリックディアスが背面のピストルを乱射してくる。
 SFSが著しく被弾し大破する。丸腰になったストランドバーグ中尉へ再度リックディアスが迫る。

「このままやらせると思ったかい!しゃらくせえ餓鬼ども!!」
 ストランドバーグ中尉は機体の各所に備えていたグレネードを起動すると全てばら撒いた。激しい爆風が双方の機体を襲う。
省4
324: ◆tyrQWQQxgU 2019/08/23(金)21:20 ID:kqdJT4nq0(5/8) AAS
「くそ…完全に後手に回ったな…」
 サドウスキー大尉は肩を負傷しながら息を荒げていた。ギリギリのところで敵機に壊れた拳を叩きつけ、そのまま海面へ打ち付けた。もう上がっては来れまい。
『おっさん!無事か!?』
「どうにかな。だが追撃は出来そうもない。お前だけでも先行して追うんだ。俺は後続に拾ってもらうから気にするな」
『そのプロレスラーみたいな戦い方、どうにかした方がいいんじゃないすかね?サーベルも抜かねぇし』
「うるせえ、泥臭い方が男らしくて良いじゃねぇか。それにサーベル抜く動作分で殴った方が早いだろ」
『ヴィジョンがまた泣きますよー』
 確かに今回はやられ過ぎた。そもそも初撃で落とされていてもおかしくなかったが、そこからは意地でどうにかした様なものだ。
『そんなら先に行きますよ。外から見てる限り機体は相当やられてる。無理せんでくださいよ』
「わかってる」
325: ◆tyrQWQQxgU 2019/08/23(金)21:21 ID:kqdJT4nq0(6/8) AAS
 ガンダムの背を見送り、サドウスキー大尉は進路をベトナム基地へ向けた。結局ガンダムには敵わなかったが、今回はそれなりに暴れてすっきり出来たところもある。
 傷の応急手当をしてシートに深く座り直した時、後続のミデア輸送機が見えた。
「良かったなぁ巻き込まれなくてよ…」
 ため息混じりにミデアへ通信を試みる。返答あり。今度こそ味方の様だ。事態を説明しながら収容してもらう。

 無事腰を落ち着けることが出来たサドウスキー大尉は、機体を降りてミデアの艦長と顔を合わせる。
「敵の奇襲で間違いありません。先に出た輸送隊の一部に敵が混じっておった様です」
「ならば我々が後ろから仕掛けられれば挟撃出来る位置にあるのだな」
 ミデアの艦長が腕を組みながらサドウスキー大尉と向き合う。
「奴らだけとは限りません。警戒しながら進んでください」
「そうしよう。君は少しでも休みたまえ」
省3
326: ◆tyrQWQQxgU 2019/08/23(金)21:21 ID:kqdJT4nq0(7/8) AAS
 まだ敵機の接近を知らないガルダ級の周囲にはミノフスキー粒子はそれほど散布されていないようで、通信はどうにか繋がった。
「こちらはサドウスキー大尉。スギ艦長はおられますか」
『…私だ。その様子だと補給線は守れているのだな。どうかしたか?』
 スギ艦長がモニター越しに顔を見せた。
「敵の奇襲です。ワン中尉の予想が的中したようですな。敵の殿は撃退しましたが、ミデア輸送機をひとつ取り逃がしました。そちらへ向かっています。後を中尉に追わせました」
『ミデア?…そうか、補給に紛れて…。わかった!味方の識別信号を出していても信用出来る将官が応答しないものは近づけさせん』
「よろしく頼みます。私は乗機をかなりやられましたんで、適当な機体を見繕ってから合流します」
『無理は禁物だぞ。こちらで対応できる分はこちらで捌く』
「わかりました」
 ガルダ級との通信が切れた。あまりゆっくりはしていられない。すぐにまた出なければ。
327: ◆tyrQWQQxgU 2019/08/23(金)21:23 ID:kqdJT4nq0(8/8) AAS
 サドウスキー大尉は再びミデアの艦長の元を訪れた。
「申し訳ないのですが、補給物資の機体をひとつお借り出来ませんか。すぐにも戻らねば」
「休まないのか?…そうだな、ここが正念場だものな。出来るだけ良いやつを出してやろう。メカニックに伝えるよ」
「ありがとうございます」

 足早に格納スペースへ急ぐ。アトリエ中尉は無事に追いついただろうか。彼ならひとりでもある程度足止めは出来るだろうが、敵がどう出てくるかは未知数だ。少しでも戦力が要る。
 格納スペースに到着するとメカニックが忙しく走り回っていた。
「また急なご要望だね!すぐに使えるやつがあるからこれに乗ると良い。エゥーゴからもらったデータを元に生産を開始したばかりのやつだ。
 リックディアスに比べると肉弾戦は苦手だろうが、とりあえずはこれで我慢してくれますかね」
 そういってメカニックが指差した先には、歪なフレーム構造の赤い機体が立っていた。
「こいつは…ガンキャノンか?ちょいと華奢だが」
省9
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