[過去ログ] 宇宙世紀の小説書いてみてるんだけど (1002レス)
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364: ◆tyrQWQQxgU 2019/09/05(木)16:00 ID:hg3n1ntt0(1/11) AAS
「一体何が起きたの!?」
 艦内に大きな衝撃が走った。ワン中尉は周辺のクルーに聞くが、皆同様に混乱している様子だった。敵の襲撃ということだろうが、ガルダ級への直接攻撃があるとは予想していなかった。あくまでもC地点は補給の掩護の意味合いで設定したに過ぎなかったのだ。
「メイー!」
 ワン中尉の元へ駆け寄って来るメアリー。彼女は何かを感じている様だった。
「怖い人達が来るわ。初めて会った時のメイみたいな」
「ティターンズね?大丈夫よ、私の方が強いから安心して」
 屈んでメアリーと向き合うと、そういって彼女を抱きしめた。
「にしても、何処から襲撃かしら。やっぱり格納庫…?」
「そうよ、後ろの方から来る」
 メアリーが格納庫の方向を指差した。
省1
365: ◆tyrQWQQxgU 2019/09/05(木)16:01 ID:hg3n1ntt0(2/11) AAS
 メアリーをクルーに預けると、ワン中尉は格納庫の方向へ向かった。途中艦長からの通信があり、敵の潜入部隊が白兵戦を仕掛けてきたとの情報が入った。
 人数は不明だが、整備班の情報に依れば10名にも満たない程度だということだけは確かだった。
 アイバニーズ少佐麾下の特務部隊は敵地への潜入・撹乱が最も得意とする分野だ。常に最低限の兵装のみで最大限の戦果を挙げてきた。
 その任務の特性上人員の消耗も激しいが、裏を返せばどの任務もそれだけ苛烈に行われてきたということだ。今その凶刃の矛先はガルダ級に向けられていた。

 格納庫が近づくにつれて、艦内の惨状が明らかになってくる。遠くから大きな音が聞こえ、その度に艦内が少し揺れた。
 進む道も火薬の匂いと煙が次第に大きくなり、これ以上は近づけそうもない。
 その時だった。前方を先行していたクルー達の姿が突然見えなくなった。艦内が騒然としているとはいえ、特に入り組んでもいないこんな場所で急に姿が消えるはずがない。
 ともすれば消されたかである。ワン中尉は敵の影を認めると、曲がり角に身を潜めた。数は4人といったところか。
366: ◆tyrQWQQxgU 2019/09/05(木)16:02 ID:hg3n1ntt0(3/11) AAS
 十字路を抜けようと先行してきた敵の1人に出会い頭のヘッドショットを決める。
 気付いた他の敵がこちらを向いた時にはもう一人の懐に潜り込んでいた。
 顎から頭に向けて下から撃ち抜くと、崩れ落ちる敵の身体をいなす様にして別の敵へと放り投げる。狼狽えた敵の額を正面から撃つ。
 煙の中に紛れながら残る1人の背後を取ると、振り向かれるより早くナイフで首を掻き切った。ここまで数秒の出来事だった。
「特務部隊ね…他愛もない。煙に巻かれてとはいえ、バッカス少佐の方がよっぽど手強かったわ」
 ワン中尉は返り血を拭いながら小さく呟いた。

 その足でそのまま格納庫へ行きたいところだが、依然として火の手は上がっている。それに、報告からするとあと1つ部隊が潜入していると見るべきだった。
 ワン中尉は格納庫を諦め、引き続き艦内を捜索しつつ音がする方向へ進む事にした。
367: ◆tyrQWQQxgU 2019/09/05(木)16:03 ID:hg3n1ntt0(4/11) AAS
 居住区から格納庫へ伸びる道をまっすぐ進んでいたワン中尉は、行く手を遮られて横へ曲がる形になった。道中、著しく破壊された区画へ行き着いた。
「これってモビル…」
 言い終わる前に轟音が響く。恐る恐るその先を覗き込むと、荒れた艦内で敵MSと組み合うガンダムの背中が見えた。
「アトリエ中尉…戻ったのね」
 これ以上近づくのはあまりに危険だった。崩れた足場と各種配管や配線が剥き出しになり、メガ粒子に焼かれた壁が燻っている。
 最初に遭遇した部隊が居住区を狙った動きだったとして、進路からして敵MSはこの艦の動力炉を目指している様にみえる。ならば残る最後の部隊は何処へ行ったのか。
 資材や補給物資が集まる格納庫、乗員達がいる居住区、そしてこの艦自体を動かす為の動力炉。
 我々を沈めるために攻めるべき場所が後1箇所あるとすれば、明確な答えが残っていた。
 それは、頭脳ともいうべきブリッジである。他の場所を抑えられずとも、頭さえ潰してしまえばどうとでもなる。他の襲撃は全て、その為の陽動だったとしたら…。
 警護している人員が居るとはいえ、他の戦闘員が出払って手薄になっているのは間違いない。
368: ◆tyrQWQQxgU 2019/09/05(木)16:04 ID:hg3n1ntt0(5/11) AAS
 嫌な寒気を感じたワン中尉は、そのまま来た道を駆け戻った。杞憂ならそれでもいい。だが、どうにも拭えない不安がそれこそ返り血の様にこびりつく心地がしていた。

39話 嫌な寒気
369: ◆tyrQWQQxgU 2019/09/05(木)16:38 ID:hg3n1ntt0(6/11) AAS
 ガルダ級の方でビームの軌跡が光った。再び敵と交戦していたシェクター少尉だったが、その光の先にアトリエ中尉の存在を感じ取っていた。
「サドウスキー大尉!見えましたか!?」
『何か光ったな!敵か!?』
「アトリエ中尉が交戦している様です!」
『艦の中でか!?相変わらず無茶やってんなぁ!』
 サドウスキー大尉が砲撃で敵の連携を乱しながら吠える。敵はこちらよりも動きは早いが、あまり連携は取れていない様だった。
370: ◆tyrQWQQxgU 2019/09/05(木)16:46 ID:hg3n1ntt0(7/11) AAS
『あれは…MSか?』
 先程光った場所からMSが弾き出されるのが見えた。島で交戦した時のジムクゥエルだった。続いてガンダムMk-?も落ちてくる。
「回収します!」
『お…おい!大丈夫か!?』
「放っておけないでしょ!」
 シェクター少尉は落下するガンダムの元へ急行した。敵のギャプランがそれを追ってくる。
『余所見してる場合かぁ!?』
 こちらの背後を取った敵の砲撃を躱しながら速度を上げる。
 アトリエ中尉がこちらに気づき、態勢を立て直していた。うまく機体を拾うと再び大きく旋回する。
『お上手お上手!いやー助かったわ』
省6
371: ◆tyrQWQQxgU 2019/09/05(木)16:47 ID:hg3n1ntt0(8/11) AAS
 アトリエ中尉のガンダムを載せたGディフェンサーは先程のギャプランを探す。
「何処へ行った!?」
『敵さんも落とし物があるからな…』
 中尉の言うとおり、敵のギャプランの背に先程のジムクゥエルの姿を捉えた。
『アトリエ中尉!相変わらずだな!』
 サドウスキー大尉のガンキャノンが傍へ来る。
『大尉!?何か…機体換えました?俺も色々乗り継いでるから人の事言えないっすけど…。さて、お互い面子が揃ったかな?』
 中尉が興奮と焦りを滲ませた。敵も合流を済ませ、互いに対峙する形になる。
『俺はあの長物持ちをやる。お前らは隊長機をやれ!今度こそ落とすぞ』
 サドウスキー大尉が吠えた。
省4
372: ◆tyrQWQQxgU 2019/09/05(木)16:48 ID:hg3n1ntt0(9/11) AAS
『少佐も合流した!こいつ等を仕留めさえすれば!』
 ギャプランのパイロットが声を上げる。
「お迎えが済んだなら諦めて帰った方が良いんじゃないかな?」
 少尉は笑いながら急旋回する。その後ろを敵に追わせる格好だ。ひたすら高度を上げていく。
『…。良いな?少尉!』
「んな!?…いや、やれます!」
 敵が迫ってきたところでこちらの腹を晒す。視界を塞がれた敵の動きが鈍った。少尉の機体はそのまま宙返りし、脚を離しその場に残された中尉の機体がジムクゥエルへ飛びかかる。
 ロングレンジライフルの銃底で殴りかかるも、ギャプランと二手に別れた敵に避けられた。少し接触し、そのまますれ違う。
『よし!行けぇ!!』
 中尉の声とほぼ同時に、少尉は機体を載せた。ガンダムではなく、ジムクゥエルを。
373: ◆tyrQWQQxgU 2019/09/05(木)16:48 ID:hg3n1ntt0(10/11) AAS
『馬鹿な!何を!?』
 虚を突かれたギャプランのパイロットがうろたえる。構わず少尉は高度を更に上げながら戦域から離れていく。
『気にしてる場合かよ?』
 落下しながらバーニアで姿勢を制御した中尉のロングレンジライフルが火を吹く。
『ぐぬ…ううう!!』
 ギャプランが急激な方向転換でライフルを躱した。
『ま…まじかよ…!』
 焦る中尉も気掛かりだが、こちらもこれ以上余所見をしている暇はない。
「ここらで…さよならだね…!」
 強烈なGで身動きがとれないジムクゥエルを滑らせる様にして振り落とす。敵はサーベルを突き立てようとするも、少し装甲を裂いてそのまま落下した。
省7
374: ◆tyrQWQQxgU 2019/09/05(木)16:50 ID:hg3n1ntt0(11/11) AAS
『小細工は嫌いなんだよぉ!!落ちろ!!』
 ギャプランがメガ粒子砲を滅多撃ちにしてくる。
『ちっ…!分断失敗か!化物め!』
 中尉がライフルで狙いを定めようとするが、敵の動きが速すぎた。その上で姿勢を低くしたジムクゥエルがサーベルを構える。
 躱しきれない砲撃を受けながら、中尉がバランスを崩した。そこにジムクゥエルが迫る。
『やらせるかよ!』
 いつの間に射出していたのか、敵を射程圏内まで引きつけたところでインコムが敵を撃った。敵は寸でのところでこれを躱すと、尚も斬りかかろうと距離を詰めてくる。

『…だろうと思ったぜ。これ、返すよ』
 そういうと中尉は敵にビームサーベルを回転させながら投げた。
 ガンダムのものではない。これもいつの間に奪っていたのか、ジムクゥエルのものだった。更にサーベル目掛けてインコムでここぞとばかりに射撃する。
省4
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