[過去ログ] 宇宙世紀の小説書いてみてるんだけど (1002レス)
前次1-
抽出解除 必死チェッカー(本家) (べ) レス栞 あぼーん

このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
次スレ検索 歴削→次スレ 栞削→次スレ 過去ログメニュー
313: ◆tyrQWQQxgU 2019/08/22(木)01:16 ID:g6coTu8F0(1/7) AAS
「来たか坊主共。一丁派手にいこうじゃねぇか」
 先に出撃準備を終えていたサドウスキー大尉は、他メンバーの到着はまだかと待ちわびていたところだった。
『いや、敵の別働隊を待ち伏せるんですよ!派手にやったら駄目でしょ!』
 サドウスキー大尉がモニターを立ち上げると、少尉からの応答。まだまだ若いし肝が座っているとも言い難いが、仲間の死を受けても尚戦う意志を曲げないだけの熱意もある。
「いいじゃねえか!こないだはイマイチ活躍できなかったもんでよ、今度こそ一発やっとかないと溜まってんだ」
『下品ですよ大尉』
 そんなやりとりをしながら笑っていたが、実際鬱憤は溜まっていた。エゥーゴから二人が転向してきてからというもの、二人に先を越される事が多かった。
 拠点に着いたのも束の間、すぐ戦闘へ駆り出され、先の戦いでも敵エースに手も足も出せずじまいだった。
 本来なら拠点入りしたら休暇でも貰って、女を買いに街へ繰り出しているつもりだったのだが。そうもいかないもので、やはり文字通り色々溜まっている。
314: ◆tyrQWQQxgU 2019/08/22(木)01:17 ID:g6coTu8F0(2/7) AAS
『おっさん!いつでもいけますぜ!』
「遅いぞ中尉!あとおっさんっていうな!」
 アトリエ中尉。一見すると適当な男だが、意外と頭は切れる。これまでの戦果も伊達ではなさそうだ。良くも悪くもこの部隊の流れを作っていると言っていい。
 サドウスキー大尉自身、再び帰還した彼には複雑な心境があった。頼れる仲間であると同時に、鬱憤の原因の1つでもあったからだ。

「中尉はガンダムか、全く羨ましいぜ。俺もその辺にガンダム落ちてたらいいんだけどなあ」
『大尉のも一応ガンダムでしょ?ガンマガンダム!』
「皮肉ってんのかおい、これのどこがガンダムなんだよ!どっちかというとドムだろこれ!」
 そう言いつつも、リックディアスは間違いなくいい機体だった。これまで乗ってきた中でもダントツと言って良い。
 1年戦争時から量産型ガンキャノン、ジムキャノン2、そしてネモと様々な機体に乗り継いできたが、このリックディアスに関しては反応速度や運動性、装甲や火力に至るまで十分な性能だった。
 ネモといいリックディアスといい、ここ最近は肩に大砲が無いのが寂しいが。
315: ◆tyrQWQQxgU 2019/08/22(木)01:18 ID:g6coTu8F0(3/7) AAS
『そろそろ少佐が戻る頃だ。お喋りはその位にしておけ中尉』
『何で俺だけ名指しなんだよ…』
 ワーウィック大尉からも通信が入る。彼もまた違う意味で一筋縄ではいかない人物だった。戦いでも平時でも、よく人を見ている。
 それ故の的確な判断力と、しばしばこちらがゾッとするような行動力も持ち合わせているのだ。1年戦争時に敵として戦っていたらと思うと冷や汗が出る場面も多い。

 サドウスキー大尉は、溜まった鬱憤と、エゥーゴの2人に感じている劣情の様なものを早く発散したかった。少ししてまた通信が入る。
『待たせたな、バッカスだ。協議してポイントを絞り込んだから皆に座標を送る』
 送られてきた座標は3ヶ所を指していた。
『3手に別れて各所を抑える。1ヶ所はエゥーゴから戦力を割いてもらえる事になったが、残り2ヶ所は我々だけでカバーしなければならない。
 こっちで決めさせてもらったが、A地点を私とワーウィック大尉、それからシェクター少尉が担当。
 B地点はサドウスキー大尉とアトリエ中尉に任せたいと思う。それぞれ敵を発見次第相互に連携を取って動け。
省1
316: ◆tyrQWQQxgU 2019/08/22(木)01:18 ID:g6coTu8F0(4/7) AAS
「俺とアトリエ中尉は2人だけですかい?」
『お前達の腕と機体性能を評価しての判断だ。それに、ガンダムがあれば多少の差は埋められるだろう』
「ガンダムねぇ…」
 ガンダムの伝説じみた話には懐疑的だった。1年戦争時の活躍が持て囃されたが、実際どうだったかは怪しいものがある。
 それをティターンズが担ぎ上げた時点で、サドウスキー大尉にとってガンダムは只のプロパガンダにしか映らなくなった。
 しかし、巨大な黒いガンダムと遭遇した時にその考えは打ち砕かれた。圧倒的な戦闘力は勿論だったが、何よりも、架空の生き物にでも遭遇したかの様な恐怖があった。
 プロパガンダはあながち馬鹿に出来ない成果を挙げている様だった。力の象徴として植えつけられた虚像が、実像として現れた時の形容し難い衝撃。
 そして今度は中尉がガンダムを自軍に持ち帰ってきた。正直に言うと羨ましかった。これまでの中尉の活躍とその機体の姿が重なり、心中渦巻くものがあったのは言うまでもない。
317: ◆tyrQWQQxgU 2019/08/22(木)01:19 ID:g6coTu8F0(5/7) AAS
『よし、すぐに各地点へ向かうぞ。前線が膠着しつつある今、敵はいつ来てもおかしくない』
 少佐の言うとおり今は時間が惜しい。様々な思いを振り切り、サドウスキー大尉はアトリエ中尉と共にB地点へと急行した。

『しっかし、俺達だけで大丈夫なんですかねー』
 ぶっきらぼうに中尉がいう。
「当りを付けたってのも、例のスパイの情報ありきだったりするんだろ?まあ当てには出来んよなあ」
『そういってやらんでくださいよ、あれであいつなりに頑張ってるんでしょうから』
 中尉が連れてきた女だ、肩を持つのも仕方ない。作戦に従うとはいえ、サドウスキー大尉はあの女をまだ信用していなかった。
「それもこれも、今回の作戦如何で大体わかるだろうぜ」
 今回サドウスキー大尉達が向かうポイントは、ベトナム基地とガルダ級とを繋ぐ空路の中程の場所だ。この辺りは完全にエゥーゴの戦力圏だが、敵のMSが入り込むのは不可能では無かった。
 大きく迂回するなどすればベトナム基地を直接叩くことも出来る。そうした動きの牽制も含め、サドウスキー大尉達がポイントを抑えねばならない。
318: ◆tyrQWQQxgU 2019/08/22(木)01:19 ID:g6coTu8F0(6/7) AAS
『…そろそろポイントですかね。…ありゃミデアか』
 ポイントの前方に数機のミデア輸送機が見えた。旧式とはいえ、輸送機としての機能は十分持ち合わせている為重宝されている。
 見送ろうとしたその時だった。突如目の前のミデア輸送機から爆炎が立ち上る。
 バランスを崩し墜落していく輸送機から数機のジム2が出てこようとするが、何処からか狙撃されコックピットを尽く潰される。
「何事だあ!」
『敵襲っぽいですねこりゃ!しかも狙撃手が何処かに居る!』
 中尉が声を張る。女の目利きが正しかった様だ。まさか早々に出くわすとは。
「何処からだ!海のど真ん中だぞ!」
『周囲に敵の気配もない!どうなってんだ…』
 幸い無事だった残りのミデア輸送機が進路を変えずに進んでいく。そのミデア輸送機の背後を守るべくミデアに続こうとした。
省3
319: ◆tyrQWQQxgU 2019/08/22(木)01:22 ID:g6coTu8F0(7/7) AAS
31話 劣情

pixivも更新!
https://www.pixiv.net/novel/series/1155468
前次1-
スレ情報 赤レス抽出 画像レス抽出 歴の未読スレ AAサムネイル

ぬこの手 ぬこTOP 0.028s