[過去ログ] 宇宙世紀の小説書いてみてるんだけど (1002レス)
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263: ◆tyrQWQQxgU 2019/08/13(火)23:55 ID:Trzci7Ft0(1/7) AAS
お待たせしました!更新します!
ちょっと仕事が忙しかったもので…
またこれからはペース上げていきたいと思いますんで、引き続きよろしくお願いします!
264: ◆tyrQWQQxgU 2019/08/13(火)23:56 ID:Trzci7Ft0(2/7) AAS
「よくぞ来てくれました。被験体8号の奪還には失敗したと聞きましたが、せめてどのような様子だったかだけでも聞いておきたいのです」
 幸の薄そうな顔をした長い黒髪の女だった。白衣と相まって、まさしくオカルトな研究員といった感じだ。メイ達は歩きながら話を聞いていた。
「うーん…元気そうにしてましたが。特に身柄を拘束されたりはしていませんでしたし」
「そうですか…それなら良かった」
 女は安心した様子で力なく笑った。
「元気そうどころか、もう走り回ったり飛び回ったりで!ありゃ簡単には捕まえられませんな」
 男が話に割り込んでくる。彼女にあまり接触していないメイよりも事情に明るいのは至極当然だった。
 しかし喋り過ぎて話に齟齬が出ないかだけ心配だ。
「それはそれは…。申し遅れました。私、ここでNT研究をしておりますネイト・ウェイブスと申します」
 ウェイブスは軽くお辞儀した。
265: ◆tyrQWQQxgU 2019/08/13(火)23:57 ID:Trzci7Ft0(3/7) AAS
 メイ達はモビルスーツが並ぶ格納庫へと案内された。
「ここにお渡しする予定の機体があります。…こちらです」
 案内された先には、白いモビルスーツ…所謂ガンダムが立っていた。
「おいおいまじかよ…研究所ってのは何でも持ってるんだな」
 男が冷や汗を流しながら笑っている。
「NTとガンダムというのは非常に縁深いものなんですよ。
 同じくニュータイプの研究を行っているオーガスタ研究所などは一年戦争時にもNT用のガンダムを作っていたのだとか」
 そういいながらウェイブスはガンダムを見つめた。
「…この機体のテストを行ってほしいのですが、秘密裏に行わねばなりません。
 実はこのガンダム、そのオーガスタ研究所のデータを盗用して作られたものなのです」
省10
266: ◆tyrQWQQxgU 2019/08/13(火)23:57 ID:Trzci7Ft0(4/7) AAS
 メイはつい声を荒げてしまった。
「小さな女の子を攫ってこいと言ったかと思えば、今度は盗品のテストですか。一体我々を何だと思っているんです」
「我々にとって、あなた達ティターンズはある種のパトロンです。資金と実験場を与えてくれる。
 その見返りに我々もあなた方に戦力を供給しているのです。
 お互いに汚いことも共有してここまで来ましたからね、お嬢さんが今更何を言おうとこの関係は変わらない」
 ウェイブスは平然と言い放った。
「…少し外の空気を吸ってきます」
 メイは足早にその場を去った。男も慌てて付いてくる。
267: ◆tyrQWQQxgU 2019/08/13(火)23:58 ID:Trzci7Ft0(5/7) AAS
「いいのかよ、あのおばさんほっといて」
「何がパトロンよ。結局私達はただの使い走りじゃない」
「今更何言ってんだか」
 呆れた様にそう言った男をメイは睨む。
「あのな、ティターンズってのはそういう汚いことを平気でやってここまできた組織だろうが。
 歯向かうものは全て危険分子だの反乱分子だのと言って叩きのめしてきた。その反動がエゥーゴやカラバの原動力になってる」
「わかってるわよ。…わかってる」
 メイは自分の行いの、何が正しくて何が間違っているのか、もうわからなかった。これまで築き上げてきた危ういバランスの価値観が、この数日で壊れ始めていた。
 潜入スキルの甘さが露呈し、鍛え上げた武術は敵に通じず。これまで敵だと思ってきた組織の人間に助けられ、しまいには自分も助けてしまった。
 今はその助けた男に道理を説かれている。
268: ◆tyrQWQQxgU 2019/08/13(火)23:58 ID:Trzci7Ft0(6/7) AAS
「俺が貰って帰るか、あれ」
 男がまた突拍子もないことを言い出した。
「そんなことさせないわよ…今度失敗したら私はもう…」
「帰る場所がなくなるってか?じゃあうちに来るか?」
 この男は何を言っているのか。
「一体何を…」
「ティターンズから転向してきたやつなんて珍しくともなんともない。どっちにしろ連邦軍籍のままだし、ジオン上がりの連中よりはまだ気楽じゃねえかな」
 メイは溜息を漏らした。まさかエゥーゴに勧誘されるとは。
「もしかして…シェクター少尉と会うのが気まずいのか?」
「うるさい!別になんでもないわよ!!」
省3
269: ◆tyrQWQQxgU 2019/08/13(火)23:59 ID:Trzci7Ft0(7/7) AAS
 ひとしきり泣いて、落ち着いてからメイはまた口を開いた。
「…いいわよ」
「ん?」
「ティターンズだろうがエゥーゴだろうが、私にはなんだって良かったのよきっと。ただ…」

「姉が勝てなかったものに、勝ちたかっただけ」
 立ち上がったメイはもう泣いていなかった。

24話 帰る場所
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