[過去ログ] 宇宙世紀の小説書いてみてるんだけど (1002レス)
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536: ◆tyrQWQQxgU 2019/10/13(日)23:21 ID:LWpBA6kq0(1/8) AAS
>>534
>>535
レスありがとうございます!
一応最終決戦です!この後の事はまだ何も考えていませんが、グリプス戦役だけ取ってもまだ中盤ですから、その後も題材としては続けられそうですね…!

地下のドックなんで、まあ生身だと普通に死にますよね…w
サブアーム好きなんで付けちゃいました!比較的急造でも取り付けやすそうでしたし
どう戦うかは乞うご期待!
537: ◆tyrQWQQxgU 2019/10/13(日)23:22 ID:LWpBA6kq0(2/8) AAS
 私とアトリエ中尉は試験場を後にすると、更に先へと進んだ。
『こりゃひでえな。あいつらか』
 先遣隊の残骸だった。逃げ場の無い閉所で一網打尽にされたらしい。確認出来る限り、全滅している様だった。
「これだけ倒せば自信過剰にもなるか」
 ガンダムの力というのはまさしく一騎当千だが、過剰な力はそれをコントロールする思想を伴わなければ只の暴力…いや、思想が伴っても尚暴力なのだ。
 扱いきれなくなれば、いずれ自らや親しい存在にそれを向けることにもなるだろう。

 それから我々は司令部らしき拠点を発見するも、既にもぬけの殻だった。指揮系統を別の場所に移したのか。とにかく先に進むより他無さそうだ。
「さっきマップデータを拝借したんだが、この地下に潜水艦のドックがある様だ」
『サラッと仕事するよな大尉って。どうする?』
「行けば敵の情報が少しは得られるかもな。何も無いなら無いで、敵の退路を絶っておくことも出来る」
省1
538: ◆tyrQWQQxgU 2019/10/13(日)23:23 ID:LWpBA6kq0(3/8) AAS
 資材搬出用のエレベーターを使い、地下へと降りていく。
『…!艦だけじゃねぇ。パラパラと熱源反応』
「まあ艦があればMSも居るだろう。しかし、熱源反応があるということは稼働しているのか…」
『確かに。数的には大したことはないが、手練だとしんどいな』
「あちらもそろそろ気付いている筈…。何故動きがない?」
『妙だな…』
 そうこうしているうちに目的のフロアに到着した。道をまっすぐ行けば潜水艦と思われる熱源に接触する。しかし様子がおかしい。潜水艦と思しき船体が、燃えているのである。
『なんだ、先遣隊が先に叩いたのか?でもさっきの場所で全滅してたよな…』
「…何かいるな」
 燃える艦を背に、1体のMSの影がこちらを誘う様に揺らめいている。
省3
539: ◆tyrQWQQxgU 2019/10/13(日)23:23 ID:LWpBA6kq0(4/8) AAS
『待ちくたびれた…というのも違うか』
 敵の声。恐らく、隊長の声を聞くのは初めてだった。
『あんたらは喋らないと気が済まない性分みたいだな』
 アトリエ中尉が茶化す。喋りながらもお互いに隙は無かった。私と中尉は付かず離れずの距離を保ちながら、並んで敵と対峙する。前回の戦闘から改修を行ったらしく、各部に元とは違う意匠がみられた。
『貴様らがここに来たということは、部下達はしくじったのだな』
「そういうことだ。ここの陥落も程なくだろう」
『私も暗愚ではない。事の趨勢は視えている…。踏み違えたのだろうな、踏むべき絵を』
 依然として敵の機体に動きはない。
『どんな絵を踏もうが、信念があるなら突き通せばいい』
 アトリエ中尉が静かに言うと、敵は鼻で笑った。
省3
540: ◆tyrQWQQxgU 2019/10/13(日)23:24 ID:LWpBA6kq0(5/8) AAS
 言うやいなや敵がサーベルを抜いて私に斬りかかった。1本だけになったナギナタの片割れを両手で構え、それを受ける。
「それだけの腕を持っていて、戦う為だけにそれを振るってきたのか?」
 反発し合うIフィールドの光に目を細めながら私は問う。
『戦うことでしか自らを維持出来なかっただけだ。それ以上の理由など』
 言い終わるより前に中尉のライフルが敵目掛けて放たれる。敵は避けながら後ろに跳ねると距離を取った。すかさず我々は距離を詰める。
 アトリエ中尉は弾数を使い切ったサドウスキー大尉のライフルを捨てて、腰に装着していた自機のライフルに持ち替えた。
『貴様らもそうだろう?宇宙移民への圧政が何だともっともらしい理屈を並べても、結局戦うしか能がない』
「あくまでも銃を取るのは手段だ。私達にはその先がある」
『何もないとも。あるのは平等な死だけだ』
『わかったような口利きやがって!』
省1
541: ◆tyrQWQQxgU 2019/10/13(日)23:24 ID:LWpBA6kq0(6/8) AAS
『戦っている私達は充足しているだろう?それそのものに意味を見出して何が悪い』
『人が死んでいく…!お前は何も感じずただ戦いに酔えるってのか?』
『そういうお前はガンダムに乗って酔わなかったとでも?血が沸いたのではないか?』
 中尉は押し黙った。私も何も言えなかった。戦いに自らを見出したこの男を否定出来なかった。当初の私も同じだったのだから。
『私の姑息な上官はこの炎の中だ。私が燃やした。戦うことも出来ん男が一丁前に欲だけは掻くのだよ…。』
「仲間殺しか。見下げたやつだな」
『仲間なものか。私に仲間などいた事はない』
542: ◆tyrQWQQxgU 2019/10/13(日)23:25 ID:LWpBA6kq0(7/8) AAS
『寂しいやつ』
 中尉がまたライフルを放つ。当然の様にそれを躱しながら、ガンダムの前に着地すると再びサーベルを抜く。切り下げたサーベルを中尉が躱したとき、敵の背後からサブアームの展開が見えた。
「中尉!」
『見えてるよ!』
 そうはいうもののガンダムの反応が間に合わず、サブアームのビームサーベルで首の傍に斬撃を受ける。間髪入れずに敵の背後から私が斬りかかるも、もう1本のサブアームがサーベルで受け止めた。
『この程度で終わってもらっては困るぞエゥーゴ!』
 サブアームのサーベルでマラサイを牽制しつつ、ジムクゥエルはガンダムを蹴り飛ばした。弾かれる中尉。私と一騎討ちになった敵は、一気に攻撃を畳み掛けてきた。
 ナギナタのみで3本のサーベルと切り結ぶ。一撃、また一撃と、捌ききれない敵の斬撃がマラサイの装甲を裂く。耐えきれずに右肩のシールドで刃を受けると、またたく間にシールドは細切れにされた。
『クソ!』
 中尉がライフルを敵に向ける。気を取られたその一瞬の隙を突いて、両手で切り上げる様にしてサブアームを1本落とす。しかしすぐさま無防備な腹を敵のサーベルが凪いだ。
省1
543: ◆tyrQWQQxgU 2019/10/13(日)23:26 ID:LWpBA6kq0(8/8) AAS
『どうもお前達では役不足だな。満身創痍ではないか』
 再び距離を取った我々を嘲笑う様に言う。
『据え膳待ってたやつが言えたことかよ…!』
 悪態をつくアトリエ中尉の息も荒い。私もそうだが、ここまでの連戦に次ぐ連戦で機体も身体も限界はとっくに超えている。
「ここでハイおしまいとはいかないんだな、これが…!」
 我々がここで死のうともこの作戦自体は恐らく成功するだろう。だが、何としても我々を待つ仲間達の元へと戻らねば。その思いだけが膝をつかせなかった。軋む機体に鞭打ちながら、再び敵を見据えた。

62話 影
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