[過去ログ] 宇宙世紀の小説書いてみてるんだけど (1002レス)
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380: ◆tyrQWQQxgU 2019/09/18(水)14:33 ID:HyF4PF3W0(1/23) AAS
>>379
基本色々出てくる予定です!
とりあえずは地上に焦点を当てていく感じですね。
381: ◆tyrQWQQxgU 2019/09/18(水)14:37 ID:HyF4PF3W0(2/23) AAS
 古い友がいた。彼が居なければ、今の私はないと言っても過言ではない。一年戦争を戦い抜く中で、多くの出来事を共に経験した。
 終戦を迎えた時、満身創痍の旧ザクと戦線を離脱する私に、嫌味の1つも言わずただ労いの言葉で背中を押してくれた。名をアルフレート・フラマスという。
 その後も彼はジオン残党軍の一員として戦い続け、デラーズ紛争の際にも陽動の為出撃していたと聞いた。
 私のエゥーゴ参加も彼のひと押しがあったからだ。そしてその男が今、モニターに映し出されていた。
382: ◆tyrQWQQxgU 2019/09/18(水)14:38 ID:HyF4PF3W0(3/23) AAS
『いずれ何かの形で合流したいとは聞いていたが、また急なお誘いだな。ワーウィックよ』
 フラマスが苦笑いした。黒い長髪をセンターから横に流した、筋肉質な体格のいい男だった。
 エゥーゴ参加後も頻繁に彼とは連絡を取り合っていたが、如何にエゥーゴといえどもおおっぴらにジオン残党とやり取りする訳にもいかず、秘密裏にやり取りを重ねていた。
「そういうなよ。連邦に一矢報いる機会だと思わないか?」
『まあ、ここのところワーウィック達がティターンズと小競り合いをやっていたのは知っているとも。アンテナは常に張ってるからな。
 …しかしいいのか?いくらエゥーゴとは言っても地球連邦軍の一部だ。そう簡単に味方だと判断してくれるとも思えんな…お互いにだが』
 腕を組み、笑みを浮かべたままフラマスが言う。私は、旧友のいるジオン残党へ援軍としての出撃を打診していた。
383: ◆tyrQWQQxgU 2019/09/18(水)14:38 ID:HyF4PF3W0(4/23) AAS
「今回は私の独断だ。作戦の後は撤収してくれてもいい。もし追撃をかけようなんてやつがいれば、その時は私が命に替えても止める」
『冗談でも賭け事はやらないお前がそう言うなら、お前のことは信じよう。
 だがな、俺も今や組織を預かる人間だ。ここまで付いてきてくれた部下をみすみす危険には晒せない…。せめて確実に共同戦線を張れるという保証はないのか?』
「フラマス…お前が俺を信じてくれるのと同じ様に、俺がお前を信じている様に。俺も俺の仲間を信じている」
『はっはっは!!!結局は精神論か!お前は変わらないな…くくく』
 フラマスが天を仰いで大笑いした。ひとしきり笑ってからモニターに向き直したフラマスは、真剣な眼差しをこちらへ向けた。
『良いだろう。ティターンズには苦い思いをしてきた…部下達も同じ思いだ。俺自身が行こう。それに付いてくるという者だけ連れて行く。それでいいな?』
「ありがたい。こんな無茶な頼み、お前にしか出来ない」
『確かにそんな頼みを聞けるのは俺しかいないだろうな。どれだけついてくるかわからんが、まあ期待していろ』
「頼む」
384: ◆tyrQWQQxgU 2019/09/18(水)14:39 ID:HyF4PF3W0(5/23) AAS
 通信が切れた。こんな形でも幾らかは助け舟を出してくれるだろうか。ここはフラマスを信じるしかない。
 合流地点へ到達した私は、思わず息を呑んだ。フラマスの搭乗する専用のゲルググを筆頭に、少なくとも10機は隊列を組んでいる。
 壮観な眺めだった。機体が旧式であろうとも、今の私には何よりも心強い光景だった。
『みんな来るそうだぜ。何があっても自分で責任を取れる連中だ。お前は何も心配しなくていい。ま!俺の人望に感謝するんだな!』
「…ありがとう…!」
 私は思わず目頭を抑えた。
『おいおい、時間がねぇんだろ?行こうぜ。水中にも部隊を展開してる』
「…ああ!」
 いつ以来だろうか。私はフラマスと轡を並べ、共に部隊の先陣を切って駆けた。ジオンの機体と隊列を組むマラサイは、まるで初めから共に戦ってきたかのように馴染んでいた。
 私の家はここにもあるのだ。懐かしい想いが込み上げてくる。
省4
385: ◆tyrQWQQxgU 2019/09/18(水)14:40 ID:HyF4PF3W0(6/23) AAS
「皆、よく集ってくれた。私はエゥーゴ所属のサム・ワーウィック大尉だ。出動しながらの挨拶になってしまい申し訳ない。
 今回指揮を取らせてはもらうが、エゥーゴでの階級などは諸君との間に何の意味も持たない。ただ、かつて同じ旗を仰いだ同志として、感謝したい。ありがとう。」
 各機の回線から歓声が上がる。本当に心強かった。
『気にせんでくださいよ!元々出撃予定だったんですから!』
 兵の一人が言った。
『あ!言うなよ!』
 フラマスがわざとらしく慌てる。
『そうそう!漁夫の利を得るのは俺達だ!とか息巻いてましたからね…。ワーウィックさんが誘ってきてくれて大義名分が出来たってところですかね』
 別の兵からも声があがる。
『あー…。まあな。ティターンズの横腹を突けば俺達も戦えると思ってたもんでさ…。しかし戦況も見えないもんだからタイミングを見計らってたって訳よ』
省6
386: ◆tyrQWQQxgU 2019/09/18(水)14:45 ID:HyF4PF3W0(7/23) AAS
 燃え上がりながらも持ちこたえているガルダ級が目に入るまで、そう時間は掛からなかった。
『ここまで無事に入り込めるとはな』
 ほっと息をつきながらフラマスがいう。
「恐らくは仲間の手回しだ。…バッカス少佐だな」
 私達はエゥーゴの部隊とすれ違いながら現場へ急行したが、皆すんなり道を開けてくれた。とにかく急がねばならない。
387: ◆tyrQWQQxgU 2019/09/18(水)14:46 ID:HyF4PF3W0(8/23) AAS
 ガルダ級の元へ辿り着き、アトリエ中尉達の機体が見えた。ガンダムMk-?、ガンキャノン・ディテクター、Gディフェンサー。皆満身創痍だった。
 敵機は同じく3機。ジムクゥエルのカスタム機が2機とギャプランが1機。うち1機は例の手練とみて間違いない。
「全機散開して敵を叩け!敵も消耗している。1機たりとてここから逃がすな」
『行くぞお前ら!』
 正面から突っ込むフラマスを中心に、一斉に散らばり敵へと襲いかかった。
『な…!ジオン残党か!?何でまたこんなタイミングで!』
 サドウスキー大尉が狼狽える。
「私だよ大尉。救援に来た」
『遅せぇんだよ!待ちくたびれたぜ』
 アトリエ中尉が嬉しそうに声を上げた。
省9
388: ◆tyrQWQQxgU 2019/09/18(水)14:46 ID:HyF4PF3W0(9/23) AAS
『調子に乗るなよ豚鼻め』
 ビームスピアーを構えたジムクゥエルが急接近してきたが、こちらは私が抑え込む。
「豚鼻もチャーミングだと思うんだがな」
 敵の長物をナギナタで弾き、反動でがら空きになった腹部に柄を突く。更に追撃でナギナタを凪ぐが、これは敵のスピアーに阻まれた。
 しかしそのまま手を緩めず続けて斬りつける。切り結んでいくうちに捌ききれなくなった様子の敵機の得物を、ビームの基部から両断した。
『ええい!これまでか』
 得物を失っても依然続く掩護射撃に耐えきれなくなり、離脱しようとする敵機。容赦なく追撃をかける。
「逃さんよ」
 マラサイは鈍い音と共にモノアイを光らせると、右肩から腰にかけて袈裟に斬りつけた。
 身を捩った様で両断とはいかなかったものの、決定的なダメージを受けた敵機はそのまま落ちていく。
省3
389: ◆tyrQWQQxgU 2019/09/18(水)14:47 ID:HyF4PF3W0(10/23) AAS
『何事かと思ったよ。こんなにわらわら一つ目を連れてくるなんて聞いてないぜ』
 アトリエ中尉から通信が入る。どうにか皆無事だった様だ。
「すまんな。古い友人とその仲間達が来てくれた。とても正式には救援として要請する訳にもいかなくてな」
『何ていうか、真面目なのか破天荒なのかよくわかんねぇよなあんたって』
 そういいながら中尉は笑った。他の面子もこちらと合流する。
『ワーウィック大尉…!来てくれると信じてました。援軍感謝します。もう駄目かと…』
 シェクター少尉が憔悴した様子でこぼす。
『来てくれるって信じてたんならそんな弱気にならなくてもいいじゃねえか!』
 少尉をアトリエ中尉が茶化す。とはいえ、実際かなり際どいところだったのは彼らの消耗具合を見れば明らかだった。
『しかし、ジオンとはな。後で何言われるかわかったもんじゃないぜ大尉』
省3
390: ◆tyrQWQQxgU 2019/09/18(水)14:47 ID:HyF4PF3W0(11/23) AAS
『ワーウィック、とりあえず俺達は仕事を終えた訳だな。しかしこのまま帰るのも暴れ足りん。前線の押し合いにも加わらせてもらうが、構わんな?』
 フラマスからの通信だった。
「そうしてもらえると我々としても有り難い。しかし…」
『わかってるさ。ここらで俺達から正式にティターンズへ宣戦布告する。そうすればエゥーゴとしても面子は立つだろう。あくまでも共通の敵を叩くに過ぎん訳だ。
 共同戦線を張るのは今のでおしまい。そのくらいならお前達の度量でどうにか上層部も丸め込めるだろう?』
「何から何まで気を遣わせてすまないな」
『良いってことよ、俺達にも十分利はある話だったからな。あのデカい艦の心配はそっちでしてくれ。そんじゃ…また会えるのを楽しみにしてるぜ。
 どんな形になるかはまだわからねぇが…少なくとも、俺はお前の友人であり続けるつもりさ』
 そういって笑ったフラマスは通信を切った。次に会うとき…また友人として会いたいものだ。
391: ◆tyrQWQQxgU 2019/09/18(水)14:48 ID:HyF4PF3W0(12/23) AAS
『皆無事の様だな!バッカス少佐もエゥーゴとうまく連携を取れているようだ』
 モニターにスギ艦長の姿が映った。引きつった様な笑顔に違和感を覚えたが、この状況では無理もあるまい。
『おいおい!そっちこそ大丈夫かよ!?』
 アトリエ中尉の声が響く。
『心配いらん。お前達はお前達の成すべき仕事をやり遂げた』
「…これから我々はどうすれば?」
『ああ…済まんが引き続き周辺の警戒を続けてくれ。どうにか艦はまだ巡航出来ているからな。
 この格納庫の状況では落ち着くまで皆を着艦させるのも難しい。撤退するにしろ、後続が到着してからだ』
『わかりました。よし、お前ら行くぞ』
 サドウスキー大尉が先導してガルダ級の後部へ回り込む。私も皆の背中を追った。
省1
392: ◆tyrQWQQxgU 2019/09/18(水)14:49 ID:HyF4PF3W0(13/23) AAS
「…これで満足か?とりあえずMS隊は此処には来るまい」
 MS隊との通信を終えたスギ艦長が言う。ブリッジは、潜入したティターンズの特務部隊に占拠されていた。

「まあ良いだろう。貴様らの蛮勇を以てすれば、察知した途端に艦橋だろうと見境なく攻撃しかねんからな」
 黒いマスクで顔を覆った男の1人が言った。
「しかし、この艦をどうこう出来たとしても君らは…」
「いいや。我々は皆、死の縁からアイバニーズ少佐に拾われた者ばかりだ。もう死んでいた様なものよ。指揮官の目的の為にしばし生き延びて今ここに居るに過ぎない。目的が全てだ」
 スギ艦長を遮り、更に男は続ける。
「この奇襲で一時的に補給線が切れた。前線のエゥーゴは挟撃を受ける不安とも戦っているだろうな。勝ち筋が見えた我が軍は今頃押しに押しているだろう」
 誇らしげに男が言う。いささか楽観が過ぎるとは思いつつも、敵に優位な形に事が進んだのはスギ艦長も同意せざるを得ない。
 しかしジオン残党の援軍もあり、作戦が失敗した今再びエゥーゴが押し返すであろう事は明白だ。この男はティターンズが優勢であると自分に言い聞かせている様だった。
省6
393: ◆tyrQWQQxgU 2019/09/18(水)14:50 ID:HyF4PF3W0(14/23) AAS
 最早これまでかと思われたその時、ブリッジへ繋がる扉の1つが爆発で吹き飛んだ。皆がそちらに気を取られた隙に、もう1つの扉に人影が見えた。
「貴様一体何を!」
 こちらに向き直った男は狼狽し引き金を引いた。強い衝撃が胸に響く。それからひと息も置かないうちに、男も額を撃ち抜かれた。先程の人影、ワン中尉だった。
 遅れて、放たれた両方の扉からクルー達がなだれ込む。指揮官を失い観念したのか、敵の部隊は皆武装を捨てるとそのまま取り押さえられた。息の荒いスギ艦長の元へワン中尉が駆け寄る。
「艦長…!」
「よく来てくれたな…他のクルー達は無事か…?…ごふっ」
 咳き込むと鮮血が散った。もう長くないことをスギ艦長は悟った。
「喋らないでください。すぐに医務室へ運びます」
「いや…」
 そういうと駆け寄ってきたクルー達を手で制した。
省16
394: ◆tyrQWQQxgU 2019/09/18(水)14:51 ID:HyF4PF3W0(15/23) AAS
 ガルダ級の周囲へと軽く部隊を散らせたところで再び通信が入った。先程の指示が撤回され、急遽格納庫へ戻る様にとのことだ。ワン中尉だった。
 傷を負っているのか返り血なのか、まだ乾いていない血も目に入った。
『ワーウィック大尉…。皆さん…』
「どうした。何かあったか」
『艦長が…。また、戻ったらお話します』
 彼女の声は酷く震えていた。
『まあいい。とにかく戻ればわかるさ』
 アトリエ中尉が皆を促す。私達は再びまとまると、順に着艦した。
395: ◆tyrQWQQxgU 2019/09/18(水)14:52 ID:HyF4PF3W0(16/23) AAS
 艦内は酷い有様だったが、いくらか消火も進んでおりどうにか着艦出来た。
 ハンガーは機能しておらず、各々機体を可能な限り固定してから乗機を降りた。パイロット達が合流する。
「よお大尉。さっきは助かったよ。後でお友達にも礼を言えれば良いんだがな」
 サドウスキー大尉が背中を叩く。肩を負傷しているが元気な様子だ。
「酷い状況ですね…。落ちなかっただけいいですが」
 シェクター少尉がヘルメットを脱ぎ、軽く首を振った。彼もよくやってくれた。
「皆よく持ちこたえてくれた。もう少し早く救援に来れたら良かったんだがな」
「全くだぜ。いや、まあ来てくれただけでも有り難かったんだけどな?」
 アトリエ中尉もこちらに合流した。シェクター少尉を小突いてサムアップして見せた。少尉も表情が明るくなる。
「さて、とにかくブリッジへ行こうか。ワン中尉達が心配だ」
省1
396: ◆tyrQWQQxgU 2019/09/18(水)14:52 ID:HyF4PF3W0(17/23) AAS
 ブリッジ付近へ到着すると、破壊された扉の向こうでクルー達が集まっているのが見えた。
「また派手にブリッジに入ったやつが居るな」
「壊したのは私です。そうするしかなくて」
 私の声に気付いたのか、目を泣き腫らしたワン中尉が我々を出迎えた。
「また泣いてんのか。てかお前色々壊し過ぎなんだよ!今度こそ自分で直せよな」
 アトリエ中尉が悪態をつくが、ワン中尉の反応は無い。
「お…おい。ごめんって!俺も手伝ってやるから!」
「そんなのどうだって良いわよ…。それより」
 そういってブリッジを振り返った。彼女に続いて我々も中へ入る。

 クルー達が集まる中心に、スギ艦長が寝せられていた。安らかな表情で胸に手を組んでいたが、その胸におびただしい量の血が滲んでいた。
省7
397: ◆tyrQWQQxgU 2019/09/18(水)14:53 ID:HyF4PF3W0(18/23) AAS
「…説明してもらえるか?何があったんだ」
 横たわる艦長の亡骸を見つめながら、サドウスキー大尉が落ち着いた声でワン中尉に言った。
「…ミデアが格納庫に突っ込んできて、搭載した火薬を爆破してきたのは皆知ってる通りですね。その後部隊は二手に別れて艦内へ潜入、MSも1機侵攻を開始しました。
 ある部隊は居住区、MSは動力炉。そして残る部隊が目指したのがブリッジ」
 ワン中尉は説明しながらひと息つくと、近くにあった椅子へ腰を下ろした。
「MSはアトリエ中尉が撃退して、居住区を狙った連中は私が始末しました。けどその間にブリッジに敵が入り込んでしまって。外の戦闘が落ち着く頃には完全に制圧されていた様です」
「最後の通信の時には既に敵が占拠していたのだな」
 サドウスキー大尉が腕を組みうつむいた。
「ブリッジのクルー達が言うには、敵はこの艦ごと帰還しようとしていたとの事です。だからMS隊を遠ざける様指示を出させた。落としそこねた帳尻合わせに奪取を目論んだのでしょうね」
「艦長の事だ。はいそうですか、とみすみす艦を渡す様なタマではない」
省6
398: ◆tyrQWQQxgU 2019/09/18(水)14:54 ID:HyF4PF3W0(19/23) AAS
「艦長を何処か静かなお部屋へ。話したいことは皆沢山あるだろうが…。まだここは戦闘区域だ。艦長が守ったこの艦を無事に後退させるのが先決だろう」
 私がそう言うと、シェクター少尉とワン中尉他クルー達が艦長を担架に乗せて運び出した。
 艦長は切迫した状況の中で、最期に何を想ったのだろうか。私の様な若輩者にはとても思い至らなかった。ジオン上がりの私や密航したメアリー、ティターンズから転向したワン中尉にも分け隔てなく接してくれた。
 彼なくしては癖の強いこの艦のメンバーはまとまらなかっただろう。惜しい人を失くしてしまった。私は、身体が熱くなるのをぐっと堪えた。
399: ◆tyrQWQQxgU 2019/09/18(水)14:54 ID:HyF4PF3W0(20/23) AAS
「バッカス少佐が戻るまでは私が全体指示を出す。序列的にも私がやらねばならんな。MS隊や整備班に関してはサドウスキー大尉にお願いして良いかな」
 私は皆を見渡した。異論は無いようだ。
「勿論だ。今はとにかく復旧作業を再開するぞ!皆来い」
 サドウスキー大尉に続いてアトリエ中尉達がブリッジを後にする。残る者達が私の指示を待った。
「連戦で疲弊している皆には申し訳ない。しかし現状を可能な限り復旧させねばな。ブリッジクルーは周辺の部隊へ現状の報告、併せて本艦が後退する旨を通達だ。
 手の空いているものは救護の支援や艦内の修繕にあたってくれ」
 クルー達は各々散っていった。それを見届けると、私は艦長の座っていた血のついたシートへ触れた。大きな犠牲を払ったが、前線はどうなっているだろうか。
 フラマス達がそろそろ布告も行う頃合いだ。敗走した敵の追撃に関してはバッカス少佐の報告を待たねばならない。
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