[過去ログ] 宇宙世紀の小説書いてみてるんだけど (1002レス)
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522: ◆tyrQWQQxgU 2019/10/11(金)15:16 ID:Fe3g27KP0(1/12) AAS
 ワーウィック大尉とアトリエ中尉が基地内部に潜入してしばらく経つ。シェクター少尉はメタスの電装系の復旧作業をどうにか終え、サドウスキー大尉達と2人の退路を守っていた。

「敵もかなりの数が降伏しましたね」
『ああ。どうも指揮系統に乱れがあったらしいな。このフィールドは殆ど制圧したと言っていいだろう』
 サドウスキー大尉のリックディアスはSFSに載せて対応していた。脚部が損傷している為白兵戦は難しい。
『スティレット!あたしもだいぶこの子の扱い慣れてきたわ』
 メアリーの操るサイコガンダムがこちらに手を振っている。友の仇ともいえる機体だったが、こうなってしまえば敵の面子も何も形無しだ。メアリーが扱えば愛嬌すら感じさせる。
 所詮機械など扱う人間次第なのだ。真の仇だった強化人間も今は亡く、後は2人の帰りを待つだけだった。
523: ◆tyrQWQQxgU 2019/10/11(金)15:17 ID:Fe3g27KP0(2/12) AAS
『皆、基地内部から高速でこちらに向かってくる機体があるわ。味方ではなさそう』
 ワン中尉のジム2からの通信。少尉の方でも熱源を確認していた。
『また強化人間じゃなきゃ良いがな』
 サドウスキー大尉のリックディアスが身構えるとほぼ同時に、その機体は地上へと現れた。ギャプランの様だが、かなり改良されているように見える。
「あれは…!特務部隊のやつじゃないですか?」
『俺もそう思ったとこだ。どっちにしろ厄介だな』
 そういうと大尉のリックディアスは敵機の後を追った。少尉のメタス改もそれを追う。
『あんまり無茶するなよ!主砲も使えん状態じゃ火力もかなり低下してる』
 大尉の言うとおり、先程の戦闘でかなりダメージを負っている。長期戦になればなるほど不利なのは明白だった。
「お互い様ですよ。1機だけなら連携すればどうにか」
524: ◆tyrQWQQxgU 2019/10/11(金)15:17 ID:Fe3g27KP0(3/12) AAS
『ナメられたもんだぜ!壊れかけとは!』
 敵の声が届く。やはり特務部隊のギャプランか。
「今日はあんただけか。他の連中はやられたのか?」
『そういうお前らもエースが2人とも居ねぇな!さっき会ってきたが』
『何だと!?』
 サドウスキー大尉が声を荒げる。キャノン砲で追撃を掛けたが難なく躱された。
『今頃どうしてるんだろうなぁ?』
 敵が少尉達をからかう様に笑った。
「ふん、あの2人に限ってお前ら如きにやられはしない。お前こそ1人で逃げ出してきたってところなんじゃないのか?」
『減らず口を!』
省4
525: ◆tyrQWQQxgU 2019/10/11(金)15:17 ID:Fe3g27KP0(4/12) AAS
『大口叩く割に全然だなぁ。やっぱガンダム抜きじゃ遊び甲斐がねえな』
 敵はこちらの攻撃をいとも簡単にすり抜ける。大尉の牽制も功を奏していない。元々高機動なギャプランだったが、更にその加速力を高めている様だ。
 掻き回されていたところに複数のメガ粒子砲が走る。メアリーのサイコガンダムだった。
『調子乗るんじゃないわよ!』
「馬鹿!手を出すんじゃない!」
 一瞬動きが鈍ったギャプランだったが、サイコガンダムの方へ加速しだした。
『研究所の頭でっかち共が作ったおもちゃか!ぶっ壊してやる。…いや待てよ、今の通信はそっちか?』
 まずい。敵がジム2の方に気付いた。少尉はMA形態で敵より先にメアリー達の元へと急ぐ。
526: ◆tyrQWQQxgU 2019/10/11(金)15:18 ID:Fe3g27KP0(5/12) AAS
『お前の相手はこっちだ!』
 サドウスキー大尉が砲撃を行い敵の進路を阻むが、敵は尚も突っ込んでくる。
「…!こなくそ!」
 再びMS形態になると、一か八か敵の進路に正面から立つ。
『トチ狂ったか!貰った!!』
 敵のメガ粒子砲をまともに喰らう。右腕と左脚が弾け飛ぶが、それでもギリギリまで引きつける。
『スティレット!!』
 ワン中尉の声が響く。
527: ◆tyrQWQQxgU 2019/10/11(金)15:18 ID:Fe3g27KP0(6/12) AAS
「…今だ…!」
 射撃体勢を取ったメタス改のバックパックを敵に向けて射出する。敵の油断と大尉の牽制で、ギャプランはこれを躱すことが出来なかった。機首から破損した主砲に突っ込む形になり、著しく体勢が崩れた。
『くそ!』
 敵パイロットが狼狽える。
『少尉!使え!!』
 すかさずサドウスキー大尉の方向からSFSが飛んでくる。危うくメインブースターを失って落下していくところだった。メタス改は右の片膝を突き、膝下を失った左脚を踏ん張らせる。
 左手には残る最後のビームサーベル。出力を最大まで引き上げると、トマホークとサーベルを組み合わせた様な刃を形成した。
528: ◆tyrQWQQxgU 2019/10/11(金)15:19 ID:Fe3g27KP0(7/12) AAS
『小賢しい真似ばかり…!』
 メインカメラを塞がれ、無軌道な動きを繰り返す敵機。無事着地したサドウスキー大尉が射撃を試みた。
『流石に躱せんだろう!今度こそ落ちろ!』
 複数被弾しながらも動きを止めないギャプラン。むしろ当たりにいっているとも取れる。
「そうか、そんなにそれが邪魔か」
 遂にメタス改のバックパックが誘爆を起こす。爆炎の中から半壊したギャプランが姿を現した。
『俺はまだ飛び足りねえ!こんなところで終われるかよぉッッッ!!!』
 敵の叫びも受け止める様に、少尉のメタスは再び正面から迎え撃つ。
 獣の様な咆哮をあげ崩れゆく機体が突っ込んでくる。それを介錯するかの様に、少尉はギャプランを胴から両断して切り捨てた。そのままバラバラになった敵機は、爆散しながら落ちていった。
「終わりはあるさ、誰にも」
省1
529: ◆tyrQWQQxgU 2019/10/11(金)15:21 ID:Fe3g27KP0(8/12) AAS
 カラバのガンダムと交戦に入ったスペクター大尉達から定時報告が途切れた。まだ交戦中なのか、或いは…。アイバニーズ少佐はコクピットの中で腕を組んだまま待機を続けていた。2人を先行させ、少佐は地下のドックで待機していたのだった。
 ドックでは撤退時に使用するはずの潜水艦が出航準備をしている。まだ前線では将兵達が決死の覚悟で戦っているはずだ。これではまるで敵前逃亡ではないか。誰の仕業かは大体の察しはついている。
 停泊している潜水艦の準備が出来たのを見計らって、少佐はその進路を塞ぐようにして潜水艦の前に立った。制止する管制官の声は全て無視しながら、潜水艦の司令部に通信を行った。
530: ◆tyrQWQQxgU 2019/10/11(金)15:22 ID:Fe3g27KP0(9/12) AAS
「ここで何をしてらっしゃるので?フェンダー少将」
『…君に何の関係があるのだね。少佐こそ何故こんな所で油を売っている』
 予想通り、この艦にはフェンダー少将が乗艦していた。旗色が悪くなっての撤退といったところだろう。この男は昔からそういう立ち回りばかりしてきた。
「少将殿がご予定にない動きをされていましたから、何事かと。こちらのご心配には及びません、前線は皆が支えております」
『ならば君も早く合流したまえ。私は指揮系統を別の場所に移さねばならん』
「別の場所とは?キリマンジャロですか?それともダカールの上等なチェアの上ですかな」
『…何が言いたい』
「少将。あなたは支援こそしてくださったが、前線からは逃げてばかりだ。この艦を出航なさるなら敵前逃亡でしょう。まぁ、出航出来たらの話ですがね」
『そこをどけ!不敬だぞ!!』
 フェンダー少将が声を荒げた。ドックに待機していたMS隊が出てくる。
531: ◆tyrQWQQxgU 2019/10/11(金)15:22 ID:Fe3g27KP0(10/12) AAS
「全く何処まで腐って…」
 出てきたMS隊がライフルをこちらに向けるよりも早く、こちらから撃ち抜き無力化した。
『は…反逆ではないか!!』
「どのお口で仰るのか。すぐにお戻りください。只でさえ前線は混乱しております。それを指揮官が投げ出すなどと」
『構わん!出せ!轢いてしまってよい!!』
「これ以上は話す余地がないのでしょうな」
 少将の乗る潜水艦は、少佐のジムクゥエルに構わず前進を始めた。それを正面から受け止め踏みとどまるが、流石にMSで艦を止めるのはいささか無理がある。徐々に押し込まれていく。
『ははは!要らぬ邪魔などするからだ!』
「どうでしょう」
 ジムクゥエルは今回の改修で新しく装備を増設している。その1つであるサブアームを背後から展開した。
省3
532: ◆tyrQWQQxgU 2019/10/11(金)15:23 ID:Fe3g27KP0(11/12) AAS
 前進する推力を弱めた潜水艦。しかしもう遅い。切り取った前部を放り投げると、ぽっかり空いた断面にビームライフルを放つ。内部から焼かれ、物資に誘爆し始める。
『だ…脱出だ…』
 通信の向こうで少将が慌てふためいているのがわかる。
「だから私はお伝えしたのですよ。早くお戻りくださいと」
 そういいながらハッチというハッチを焼く。もうフェンダー少将はこの艦を降りられない。それを知らない彼は誘爆の恐怖に怯えながら右往左往する事だろう。
「それからもう一つ。スペクター大尉に何か仕込まれましたな」
『お…お前の監視をさせた…!何を考えているかわからんからと…』
「やはりそうでしょうな。しかし、ガンダムをあげた途端容易く巻けました。あなたからの支給品ですよ」
『な…何がほしい!?昇格か!私の推薦ならすぐにでも…』
「私は今の地位、今の機体で十分です。それでは」
省1
533: ◆tyrQWQQxgU 2019/10/11(金)15:23 ID:Fe3g27KP0(12/12) AAS
 アイバニーズ少佐は一方的に通信を切った。黒い煙と炎を立ち上らせる艦を背に、レーダーの熱源反応を見ていた。2機。味方の識別信号を出していないあたり、例のガンダムとマラサイだろう。やはり先行させた2人はやられた様だ。
 部下はやられ上官はこのざま、残るは自身のみだった。これまでも負けは経験してきたが、ここまで追い込まれた事はない。しかし絶望感は不思議と無かった。それに勝るほどの開放感と充実感に満たされている。
「来るか」
 近付く熱源反応に、アイバニーズ少佐の高揚も高まっていく様だった。

61話 黒い煙と炎
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