[過去ログ] 宇宙世紀の小説書いてみてるんだけど (1002レス)
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496: ◆tyrQWQQxgU 2019/10/09(水)14:19 ID:E2KM/Ibu0(1/12) AAS
 一体何が起きているのか、フェンダー少将は混乱していた。
 ニューギニア基地は引っ越しを済ませた時から比べてもかなり戦力も増強されている筈である。ニュータイプ研究所とも手を組み、麾下のアイバニーズ少佐にも再起のチャンスをやった。それが何故こうなる。
 最前線の防衛ラインは早い段階で崩れ、敵の上陸を許している。迎撃部隊が抑えているが、突破されるのも時間の問題だろう。そうなれば基地内部にも敵が入り込んでくる。
497: ◆tyrQWQQxgU 2019/10/09(水)14:20 ID:E2KM/Ibu0(2/12) AAS
 戦況の整理をある程度させたところでまた別の報告が入る。
「馬鹿な!サイコガンダムが寝返っただと!?」
 ムラサメ研究所から持ち出した機体だった。専属で連れて来た強化人間が裏切ったのではなく、機体のコントロールが奪われた様だ。
 無人機の普及に肯定的だったフェンダー少将としては余計に歯痒い。強化人間など所詮はまがい物ということか。
 しかし厄介なのは、機体がそのまま敵戦力になっているということだった。あちらにもニュータイプがいるという事になる。しかもコントロールを掠めとるなどという芸当が可能なレベルだ。
「…その強化人間は今どうしている?」
『遊ばせておくのも勿体ないですから、例の試作機で行かせます』
「やれるのか?」
『いやはや何とも…』
「やってみせろ」
省1
498: ◆tyrQWQQxgU 2019/10/09(水)14:20 ID:E2KM/Ibu0(3/12) AAS
 混乱や恐怖の感情が、じわじわと怒りへ色を変え始めていた。何故こんな目に遭わなければならないのか。通信を終えると、今度はこちらからアイバニーズ少佐へ通信を試みる。
「少佐。調子はどうかね」
『少将の御支援の賜物です。万全を期しております』
 モニターの向こうには、いつもの仏頂面が映った。面白みの無い、表情の変化に乏しいいつもの顔だ。
「当然だな。そうでなくては困る」
『どうしてもと仰られるなら迎撃側と合流致しますが』
「いや、いい。手筈通り内部で迎え撃て。閉所のほうが勝手が良いのだ」
『サイコガンダムの件でしょうか』
「そういうことだ。して、お前達の機体の調子はどうだ」
『ビー少尉のギャプラン改、スペクター大尉の新型は予定通りに。私のクゥエルもどうにか改修が間に合いました』
省4
499: ◆tyrQWQQxgU 2019/10/09(水)14:21 ID:E2KM/Ibu0(4/12) AAS
 通信を終えると少将は再びニューギニア基地のマップへ目をやった。
 ジャブローを放棄し、安泰と思われたこの地も今や追い込まれている。ティターンズの話に乗ったのは果たして正解だったのだろうか。
 まさかエゥーゴやカラバがここまでやれるとは思ってもみなかった。ティターンズが正規軍のエリート部隊といっても、粋がる連中の専横でしかなかったのかもしれない。
 ゴップの様に日和る程度が世渡りには丁度良かったのだろうか。欲をかいてしまったとでも言うのか。淹れたコーヒーも飲む前に冷めてしまった。

 アイバニーズ少佐には気の毒だが、彼らの部隊が交戦に入る頃にはここも危険だろう。少将は内密に撤退の準備を始めようとしていた。

56話 まがい物
500: ◆tyrQWQQxgU 2019/10/09(水)14:21 ID:E2KM/Ibu0(5/12) AAS
『いくら倒しても切りがねえ!』
 サドウスキー大尉が弱音を吐き始めた。彼の言うとおり、2人で相手をするにはいささか敵の数が多過ぎた。
 アトリエ中尉達も一向に合流する気配がなく、万一の不測の事態が頭をよぎる。通信が途切れた時、大きな熱源反応を感知していた。それと関係があるのかどうか。
「…何にせよ朱雀は健在だ。我々が持ちこたえなくてどうする」
『そうはいうけどよ…!』
 サドウスキー大尉の弾薬を節約する為白兵戦を繰り返していたが、機体の駆動系も悲鳴をあげ始めている。元より近接格闘を前提にチューンナップされた両機ですら、このままでは時間の問題だった。
501: ◆tyrQWQQxgU 2019/10/09(水)14:22 ID:E2KM/Ibu0(6/12) AAS
 どうにか再び周囲の敵を一掃した我々だったが、レーダーにはまた熱源反応。機体だけでなく、パイロットも限界が近かった。
 機体の影が目に入る。反応が鈍ってきた大尉より先に、私は急接近しナギナタで斬りかかった。
『おいおい待て待て!!!!』
 ナギナタの柄をシールドで止めたのはアトリエ中尉だった。私はあろうことか中尉のガンダムに斬りかかるところだった。鈍っていたのは私の方か。
「おっと…済まない」
『それで済むかよ!全く…』
「来るのが遅すぎるぞ…」
『色々あったもんでな。こっちもこっちで大変だったのよ』
 そういってモニター越しの中尉が後ろを指差した。ガンダムMk-?の後ろから薄っすら機影が見える。
 近づいてきたそれは、かの黒いガンダムだった。シェクター少尉のメタス改と予備機のジム2が随伴している。
省9
502: ◆tyrQWQQxgU 2019/10/09(水)14:23 ID:E2KM/Ibu0(7/12) AAS
「なるほどな…」
 合流した皆からの報告を聞いた。
『お2人が敵を引きつけてくれてたおかげで、他の部隊もかなりの数が降下しています』
 シェクター少尉が言う。彼ら曰く、サイコガンダムはまだ完全に動かせているとは言えない様で緩慢な動きしか出来ないらしい。私からすればメアリーの脳波で動いているだけでも信じられないが。
「しかし、これ以上ここに留まっている場合ではないな。侵入路を見つけなければ」
『敵影が途切れたあたり、ここらには無さそうだな。増援は中尉たちの反対側から来ていた。多分そっち側に出入り出来る場所があるのだろう』
 サドウスキー大尉の推測は正しい様に思える。
『だったら決まりだ。行こうぜ』
 中尉のガンダムが先頭を行く。私とサドウスキー大尉が両脇を固め、背後をサイコガンダム、メタス改とジム2が付いてくる形になった。
 恐らくこの攻略戦において最も戦力が充実した部隊になっているだろう。敵も見逃してはくれまい。何せ敵の兵器まで引っ提げているし、おまけに巨大で目立つ。
省1
503: ◆tyrQWQQxgU 2019/10/09(水)14:23 ID:E2KM/Ibu0(8/12) AAS
 やや先行気味の私とアトリエ中尉が、まず目視した敵機を落とす。エゥーゴ・カラバの他部隊と交戦するティターンズの背後から強襲する形となった。
『ワーウィック大尉が切り込み隊長だ!進路を拓けよ!アトリエ中尉は大尉を援護しながらサイコガンダムを守れ!取り付いてくる連中は俺と少尉が叩く』
 サドウスキー大尉が叫ぶように指揮を取る。
『俺だけ仕事が多いんじゃないっすかねえ?』
 そういいつつもアトリエ中尉は右に左に敵を上手く捌いていく。
『あたしだってやれるわ!』
 メアリーが興奮気味に言うが、サドウスキー大尉がなだめる。
『嬢ちゃんに無理はさせられん。ただ突っ立ってるだけでも敵が来てくれるんだ、下手に動くんじゃないぞ』
 メアリーは不服そうだったが、ここがどういう場所なのか理解している様だった。大人しく引き下がった。
「いい子だ」
省1
504: ◆tyrQWQQxgU 2019/10/09(水)14:23 ID:E2KM/Ibu0(9/12) AAS
 前方でも攻勢が続いている。押し合いになりつつも、徐々に我々と挟み潰す様相になってきた。反対側の自軍にも腕の立つパイロットがいる様だ。
 その時、見慣れない機体が単独で基地から出てきた。彩度の低いカラーリングのその機体は、自機のブースターで自力飛行している。爪の様なマニピュレータ含め、その姿は異形だった。
『あれは…バイアラン!?』
 ワン中尉が呟いた。
「新型か?」
『開発中のデータしか見てはいませんが…SFS無しで飛行するMSです。もう試作段階に入ってたなんて』
『作りかけか。いよいよジリ貧になってきた証拠だな!』
 アトリエ中尉が威嚇射撃を行う。難なくそれを躱した敵機は、中尉の機体を容易く抜いてそのままサイコガンダムを狙ってきた。
505: ◆tyrQWQQxgU 2019/10/09(水)14:24 ID:E2KM/Ibu0(10/12) AAS
『野郎…!行けよインコム…!』
 インコムで死角からの攻撃を試みる。敵はそれをわかっていたかのように最低限の動作で避けると、腕部のメガ粒子砲でインコムをピンポイントに撃ち抜いた。
『馬鹿な…ちぃ!』
 サーベルを抜いた中尉が迫る。それをサドウスキー大尉のリックディアスが砲撃で支援した。大尉の砲火を避けながら、敵はターゲットを中尉に切り替えた。
 先程のメガ粒子砲からサーベルを形成し、中尉の刃を受ける。互いのIフィールドが反発し合い、磁場の様なものを生じさせながら睨み合う。
『こいつは…不愉快だぜ』
 再び距離を取る敵の試作機。中尉と単機でまともにやり合うなど、少なく見積もってもエース級の相手だ。
506: ◆tyrQWQQxgU 2019/10/09(水)14:24 ID:E2KM/Ibu0(11/12) AAS
『ベイト!あいつ、サイコガンダムを動かしてたやつよ!同じ感じがする!』
 メアリーがそう言うと、サイコガンダムが拡散メガ粒子砲で敵機を撃つ。華麗に飛び回りながらそれを掻い潜る姿は確かに常人離れしている。
 間髪入れずに再び中尉とサドウスキー大尉がビームライフルで狙う。それも直撃には至らず、敵の肩を数回掠めただけだった。それどころか逆にサドウスキー大尉の機体の脚部を的確に撃ち抜く。
『くそ!脚をやられた!誰か中尉の援護を!』
「確かに1対1はまずい」
 まとわりつく他の敵機を払うと、私も試作機に肉薄する。中尉と切り結ぶ敵の背後から、マラサイはモノアイを光らせた。
 こちらが大振りで横に凪いだところを宙返りで躱すと、敵機は両腕のサーベルを展開したまま駒のように1回転した。ナギナタの柄でどうにか受けるも両断されてしまう。
 敵は怯む私をそのまま踏みつけ、踏み台のようにして飛ぶと中尉へと迫る。
507: ◆tyrQWQQxgU 2019/10/09(水)14:25 ID:E2KM/Ibu0(12/12) AAS
 次の瞬間には中尉の懐に入り込んだ敵機。我々の誰もがそれに反応しきれなかった。切り上げられた敵のサーベル。
『うおおおお!!』
 機体を目一杯に逸らしギリギリのところを躱そうとする中尉。躱しきれずに弾け飛ぶガンダムの左腕。更に敵が振りかぶった時、少尉のメタス改が敵機に直接突っ込んだ。
『やらせないッッッ!!』
 そのままハイメガキャノンを押し込むと、ゼロ距離で撃った。融解する砲身もそのままに撃ち抜く。耐えきれず主砲を破損したメタス改はそのまま不時着した。
 しかし、肝心の敵機は右腕を失っただけでまだ少尉の面前に立っていた。

『逃げろ!!!』
 同じく不時着した中尉が叫ぶ。私はマラサイの力の限り、敵へとナギナタを投げつけた。
 首を軽くひねる様にしてそれを躱した敵は、残る左腕のサーベルでメタス改に止めを刺そうとしていた。少尉は必死にもがく。
『くそ…!動けよ…くそ…!!!』
省2
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