[過去ログ] 宇宙世紀の小説書いてみてるんだけど (1002レス)
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205: ◆tyrQWQQxgU 2019/08/07(水)23:12 ID:9fEIOJPm0(1/15) AAS
だいぶ過疎ってるみたいですが、こっちで読んでる人まだ居ますかね?
そこそこ書き溜めてて、あまり居ないようであればpixivへ移行しちゃおうかと思うんですが…
208: ◆tyrQWQQxgU 2019/08/07(水)23:31 ID:9fEIOJPm0(2/15) AAS
>>206
>>207
読んでもらえてるみたいで良かったです!!
ただ投げてるだけだと、読まれてるかどうかもわからないので大丈夫かなと思っちゃいましたw

それじゃとりあえずこっちにも投下しますが、pixivの方がまとまってて読みやすいって方はお好みで!
209: ◆tyrQWQQxgU 2019/08/07(水)23:35 ID:9fEIOJPm0(3/15) AAS
 暗い空に点々と光る敵機のカメラアイ。徐々に大きくなってくる。
「逃げ切れますかね…」
「いや、こっちは推進剤で身重だからな。捕捉されて追いつかれる」
 どうする。単騎で突っ込むなんてのは馬鹿げてるが、かといって逃げ切れないそうもない。
 隠れるにも島1つ。今から戻ってでは間に合わないだろう。
「…その馬鹿げたプランに賭けてみるか?」
「まさか…やるんですか」
「…やるか…!」
 冷や汗が背中をつたう。まさかこんな事になるとは。
210: ◆tyrQWQQxgU 2019/08/07(水)23:35 ID:9fEIOJPm0(4/15) AAS
 進路を敵機の方へ変えると、高度を低く保って接近した。
「まずは小手調べだ!下から真ん中突っ切るぞ」
「はい!!」
 敵の隊列の下へ潜り込む。主にハイザックで構成された敵部隊は、目視しただけで10機は軽く超えている。まだこちらの動きに気付いてはいない。
「行くかい!ぼっちゃん!!」
 白いマラサイが隊列に突っ込む。突然の強襲に狼狽するのが判った。ライフルはこちらの位置が気取られる。
 暗闇に乗じて接近し、敵機の背後にサーベルの柄を突き立てると、粒子の光が機体を貫かない程度の出力で焼いた。
 乗り手を失った機体はそのまま落ちていく。
211: ◆tyrQWQQxgU 2019/08/07(水)23:36 ID:9fEIOJPm0(5/15) AAS
「次だ!絶えず動け!」
 敵に動揺が広がる。それを強く感じるところから叩く。どうやら少尉も行くべき場所が解るようだ。
「お前は俺の脚だ!任せるぞ!」
「任せてください!振り落とされないでくださいね!」
 そういうとド・ダイ改は急旋回して別の敵機の正面へ突っ込む。狼狽えた敵がライフルを打つが、当たるはずもない。
「スパイクってのはなぁ!こう使うんだよ!」
 姿勢を低くしたマラサイは、SFSから跳ね上がるようにして敵の腹へ肩アーマーを突き立てた。スパイクがコックピットを正確に捉える。
 そのまま押し込んで海へ叩き落とす。ぐるりと宙で回るとタイミングよく少尉が拾ってくれる。
212: ◆tyrQWQQxgU 2019/08/07(水)23:36 ID:9fEIOJPm0(6/15) AAS
 混戦の中、中尉達は高度を上げて隊列を一時離脱する。下からの集中砲火。
「よく狙って撃たねえと駄目だぜ」
 ライフルの光で各機の動きを把握すると、敵の光に紛れてこちらも撃ち返す。1つ、2つ。
 流石にクリーンヒットとはいかないが、確実に戦闘不能へと追い込む。
 数発掠め、ライフルを失いながらも再び隊列へ入り込む。それと同時に落下の勢いに乗ったラリアットで1機を強引に落とす。
「かかってこいよ!おらどうしたぁ!!」
 中尉は高揚しつつも、同時に疲労感も拭えなくなってきた。長時間の捜索に強い頭痛。
 こちらの動きが少しずつ鈍ってきているのを敵も察している様だった。敵機が乱れた隊列を整えると、再び集中砲火を浴びる。
「躱しきれません!」
「んなこたぁわかってる!死にたくなけりゃそれでも避けろ!」
省2
213: ◆tyrQWQQxgU 2019/08/07(水)23:37 ID:9fEIOJPm0(7/15) AAS
「突っ込みます!」
 少尉が敵の砲撃の僅かな切れ目に突っ込んだ。中尉はなりふり構わずサーベルで目の前の敵を右肩から袈裟に斬り捨てた。
 しかし敵も撃つ手を休めない。幾つかの直撃を受け、マラサイの左腕が弾け飛ぶ。
「まだだっつってんだろうが!!」
 弾けた左腕を右腕で掴むと、そのスパイクで敵機の頭部を叩き潰す。

 しかしその動作の隙を突いて1機のハイザックがこちらに掴みかかってきた。
「ベタベタしやがって!この!」
 引き剥がそうともがくが、敵の膂力は緩まない。その背後へまた1機しがみついてくる。支えきれなくなった少尉の高度が落ちていく。
「しゃあねえ!お前だけでも離脱しろ!
「出来ません!どうにか振り落とします!」
省1
214: ◆tyrQWQQxgU 2019/08/07(水)23:37 ID:9fEIOJPm0(8/15) AAS
「いいか!とにかく早く戻って他の連中に伝えろ!艦に向かってるのがこいつらだけとは限らねえ!任せたからな!」
「中尉!!」
 少尉の通信を強引に切ると追加ブースターに点火する。これを使えばもう帰還は叶わない。しかし少尉だけでも艦に帰さなければ。
 敵機にしがみつかれたままド・ダイ改から飛ぶ。
 尚もしがみついてきた2機をド・ダイ改から引き摺り下ろすが、敵の重量に耐えかねて全面装甲と右肩のシールドが剥がれる。
「ちょっとは軽くなったじゃねえか!!」

 離脱する少尉の機体を確かめる。彼は全速力で戦線を離脱した様だ。
「頼んだぜ」
 小さく呟く。あちこちから火花を散らしながら、機体は限界が近づいていた。
それでも尚バーニアの火を吹かす。白いマラサイは、残る最後のサーベルを強く握りなおした。
215: ◆tyrQWQQxgU 2019/08/07(水)23:38 ID:9fEIOJPm0(9/15) AAS
16話 白いマラサイ

さて、次もいきます!
pixivはこちらです!

https://www.pixiv.net/novel/series/1155468
216: ◆tyrQWQQxgU 2019/08/07(水)23:39 ID:9fEIOJPm0(10/15) AAS
 アイバニーズ少佐は前線から報告を受けながら身震いした。
 敵の斥候が仕掛けてきたとの事だったが、ちょっかいを掛けられたというには被害が甚大過ぎた。
 敵は1機のみ。それに対してこちらは、大規模な奇襲に向けて綿密に準備を重ねた20機からなる大部隊だ。それが迎え撃つどころか潰走しかけている。
「何をやっている。たかが1機だぞ!」
「しかし…」
「もうよい。私が出る」
 報告にきた部下を押し退ける様にして執務室を出る。何という失態だ。
217: ◆tyrQWQQxgU 2019/08/07(水)23:40 ID:9fEIOJPm0(11/15) AAS
 元々この部隊編成には乗り気ではなかった。少数での潜入、撹乱を得意としてきたアイバニーズ少佐が指揮を取るにはいささか規模が大き過ぎる。
 しかし命に従うのもまた部隊を預かる者の責務だ。
 フェンダー少将から受けたカラバ及びエゥーゴの作戦拠点制圧が今回の任務である。
「私の機体は?」
「いつでも出せます」
 メカニックの説明を聞き流しながら乗機を起動する。RGM-79Q ジム・クゥエル…先のデラーズ紛争から乗り続ける愛機。
 今回の作戦に合わせ、ガンダムMk-2と同型のバッグパックへ換装。また実戦で高い評価を受けたムーバブルフレームを採用した脚部を新たに新造したばかりだ。慣らし運転には丁度いい。
「よし、出るぞ。ここは任せた」
 そういうとアイバニーズ少佐は2機の僚機と共に出撃した。
218: ◆tyrQWQQxgU 2019/08/07(水)23:40 ID:9fEIOJPm0(12/15) AAS
 現場に到着すると、そこはあまりにも異様だった。
 こちらの動ける機体は片手で数えられる程になり、その先にはもう人型を保っていない敵機がこちらから奪ったと思われるSFSの上でモノアイを光らせていた。
 一本角、返り血のようにこびり付いたオイル…まさしく鬼の類いの様だった。
「どうした。トドメを刺せば終わりだろう」
 少佐がそういうと、こちらに気づいた1機のハイザックが下がってきた。
『仰る通りなんですが…あれでまだ動くんです…』
「馬鹿な」
 もうスクラップ同然だった。装甲という装甲は原型を留めておらず、1つになった腕も千切れた脚も、まともに動かせる様には見えなかった。
「仕掛けさせろ」
 少佐は表情を変えずに言った。
219: ◆tyrQWQQxgU 2019/08/07(水)23:41 ID:9fEIOJPm0(13/15) AAS
 1機のハイザックが躊躇い気味にビームマシンガンを放つ。すると敵は、それがわかっていたかのように弾の軌道を逸らしながら迫る。
 半ば転がる様にしながらSFSを乗り捨てると、逆手に持ったサーベルを頭から突き立てた。畏怖によるものなのか、まともに回避行動も取れないままハイザックは沈黙する。
 ハイザックを退かす様に海へ放ると、またそのSFSの上で動かなくなった。
「…何だあれは。亡霊の様だな」
『迂闊に手を出せんのです』
「しかしここまでやられるとは。いくら部隊編成直後といっても、まとめてかかれば造作もなかったろうに。貴様らは下がれ」
220: ◆tyrQWQQxgU 2019/08/07(水)23:42 ID:9fEIOJPm0(14/15) AAS
 アイバニーズ少佐はゆっくりと前へ出た。チャンネルを敵にも届く周波数に合わせる。
「全く恐れ入った。君らが言うところのエリート気取りとはいえ、それなりに粒を揃えておいたんだがな。」
『…行かせねえぞ』
 敵の声が聞こえた。それはパイロットのものだったのか、或いはこのスクラップそのものが発した声だったのか。
「我々は第一陣だ。後続の部隊もじきに来る。独りで全部止める気かね」
『行かせねえって言ってるんだよ!!』
 最早雄叫びに近い声を上げて、敵機がこちらへ向かってきた。的確に右肩を撃ち抜く。それでも止まらない。
「ここまでくるとまるで化物だな」
 敵の特攻じみた突撃を躱し、すれ違いざまに首を刎ね飛ばした。
 敵は尚も軋む上体を起こしたが、すぐに動かなくなった。その残骸に銃口を向ける。が、ゆっくりと下ろした。
省3
221: ◆tyrQWQQxgU 2019/08/07(水)23:42 ID:9fEIOJPm0(15/15) AAS
 残る味方に一時撤退を命じながら、アイバニーズ少佐はシートにもたれかかった。
 想定外の事態は起こるものというのがフェンダー少将の口癖だが、起こってみるとなかなか一筋縄ではいかない。結局皺寄せは現場にくるのだ。
 後続と合流しつつ作戦を練り直す必要がありそうだ。敵のガルダ級から帰還した諜報員の話も聴かなければならない。
 アイバニーズ少佐は、先程の鬼はどうなっただろうかと暗い海を見つめた。

17話 鬼
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