[過去ログ] 宇宙世紀の小説書いてみてるんだけど (1002レス)
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800: ◆tyrQWQQxgU 2020/06/03(水)15:26 ID:6Hz5WWbB0(1/15) AAS
大変お待たせしました!
コロナだの副業準備だのでバタバタしてました…。
頻度は落ちるかもしれませんが、また投下していきます!!取り敢えず書き溜めていた分を落としますね!

>>799
制服とはまた良いところに目をつけましたね!
イメージでは、
・ワーウィック→ヘンケンみたいな黒で襟の裏地が緑+シャツ
・スクワイヤ→エマさんみたいな緑+黒のレギンス
・フジ→お堅いベージュの連邦カラー
・グレッチ→フジと同じく連邦標準制服を適当に着崩した感じ
省1
801: ◆tyrQWQQxgU 2020/06/03(水)15:28 ID:6Hz5WWbB0(2/15) AAS
「どうにかうまくいきましたか…」
『よくあんなの思いつきますよね中尉』
『機転が利くのも中尉のいいところだ』
「全体の動きを把握出来ていて良かったですよ。2人が敵を引きつけていたからこそです」
 フジ中尉達は敵MS隊をうまく撒くと、アレキサンドリア級強襲へと向かった。
 当初はコロニーへの攻撃用で用意していた衛生ミサイルだったが、目標を変えて敵の分断に使用したのである。思いの外味方主力の進軍が早く、丁度遊ばせていたところだったのが功を奏した。
 友軍のネモ隊も急な申し入れによく対応してくれたと思う。そのネモ隊にサラミスを任せ、中尉達は指揮艦を叩く。

『今なら殆ど裸に近い筈だ。さっきの連中が戻ってくる前に速攻をかける』
 ワーウィック大尉が指示を出す。彼がジオン出身である事が確定したが、だからといって彼への信頼が揺らぐ訳ではなかった。ただただ心のしこりが疼くだけだ。今は考えるべきではない。
『私から行きます。ただ…』
省3
802: ◆tyrQWQQxgU 2020/06/03(水)15:28 ID:6Hz5WWbB0(3/15) AAS
「そろそろ出てきてもおかしくはありませんね…」
 敵艦の機銃をライフルで潰しながら周囲を索敵したが、まだ変化は無い。この戦況で正面のカタパルトを開くのは敵としてもリスクが大きい筈だ。
『とにかく大元を叩いてしまえば!』
 機銃を潰され砲火が手薄になった敵の横腹に少尉のガンダムが接近する。迎撃する主砲が彼女へ照準を合わせようとしていた。
『そうはさせんよ』
 まだ弾幕の厚い敵艦前方を掻い潜り、ワーウィック大尉の百式が主砲にナギナタを突き立てる。彼が瞬時に離脱すると、装填済だったとみえるメガ粒子と共に主砲が爆発した。
『大尉!』
 少尉が、大尉へ狙いを定める機銃を破壊しながら叫ぶ。
『構うな!敵をよく見て動け!』
 少尉を叱咤しながらも、2人は綺麗に連携している。まさに背中を預けあっているといっていい。中尉はその2人の連携が乱れぬ様、彼らの更に先を見る。
省12
803: ◆tyrQWQQxgU 2020/06/03(水)15:29 ID:6Hz5WWbB0(4/15) AAS
 護衛のない戦艦は殆ど的と言って差し支えなかった。機銃や主砲を失った片側の船体は最早こちらの進軍を止める手立ても無い。
「少尉!いけそうか!?」
『やってみます…!!』
 遂に少尉は敵の艦橋目掛けてバーニアを吹かす。しかしその時、ミサイル群がガンダムを襲った。身を捩りどうにか躱すが、艦橋は叩き損なってしまった。
『!?…もう追いつかれた!?』
 ミサイルの発射地点を辿ると、そこには撒いた筈のガルバルディ隊。
「まだ余裕はあった筈だぞ…?一体何処から…」
 中尉達の後方を追ってきたわけでは無さそうだった。しかし大回りしていては到底間に合わない。
「…!そうか、コロニーか!」
 どうも連中はコロニーの外壁を破り、その中を一直線に引き返して来たようだ。容易く機体の進路は作れないと思ったが、恐らく例のデブリを利用したのだろう。衛生ミサイルを流用した事が仇になった。
省4
804: ◆tyrQWQQxgU 2020/06/03(水)15:30 ID:6Hz5WWbB0(5/15) AAS
 中尉が激を飛ばすと、応えた少尉のガンダムが敵の隊列に突っ込んだ。行く手を阻むのは先程の大型タイプである。
『さっきからしつこい!』
 その巨躯に見合わず、しっかりとガンダムの動きに付いてくる。お互いにライフルで牽制し合うも、付かず離れずの読み合いが続いていた。その隙を狙う様にブースターを背負ったガルバルディが砲撃を放つ。
 これをガンダムは宙返りして躱すが、無防備になった所を残る1機が強襲する。
「こっちは無視か?」
 すかさず中尉はライフルで敵を牽制した。それでも3機は徹底してガンダムを狙っている。
「各個撃破は作戦として正しい。だが、戦力を甘く見積もるのは感心しないな」
 ネモの背中に背負ったバックパックはレドームのみではない。有事に備えたサブジェネレーターも搭載している。
 本来は友軍機への供給が主な用途だが、中尉はこれをライフルに直結すると、オーバーヒートさせながら敵へ放った。
 流石に想定外だったのか、躱しきれなかったブースター搭載機の左半身が吹き飛んだ。それに気を取られた万能機へガンダムが斬りかかる。
省7
805: ◆tyrQWQQxgU 2020/06/03(水)15:30 ID:6Hz5WWbB0(6/15) AAS
『させんと言っているだろう!』
 ワーウィック大尉だった。敵は背後からのナギナタを咄嗟にサーベルで受けると、形勢不利を悟って後ろへ下がった。半身を失ったガルバルディに肩を貸しながら撤退していく。
「試作機はどうです?」
 こちらも直ぐ様追える状態ではなく、敵を見送りながら大尉に声を掛けた。外観を見る限り百式に大きな損傷はみられない。
『中尉達を艦から引き離してからは母艦の支援に回っていたよ。私もそこを攻めあぐねていたところでこっちに合流させてもらった』
 そう言いながらガンダムの手を引く大尉。
『すみません、モニターが死にました』
「じきにサブが復旧するだろう。よくやった」
 かなり敵の戦力を削ぐ事に成功した。報告を流し見る限り、先程のネモ隊もサラミスを落とした様である。後は主力がどうなっているかだった。

『遅くなったな!ちょっくら主力の手伝いをしてきたもんでな』
省16
806: ◆tyrQWQQxgU 2020/06/03(水)15:32 ID:6Hz5WWbB0(7/15) AAS
 敵襲は去った。しかしアレキサンドリアの艦内は戦闘中と何ら変わりなかった。
「状況は!?」
 帰投するなりヘルメットを投げ捨て、ウィード少佐はモニターに向かって怒鳴った。
『お戻りですか。乗組員は閉鎖したブロック周辺の消火作業にあたらせています』
 ブリッジからレインメーカー少佐が応えた。
「わかりました。コロニーは?」
『核パルスエンジンを破壊された様ですな。近辺でガンダムMk-?らしき機影も確認しています』
「ちぃ…!よりによって盗まれた機体に邪魔立てされて…!」
 開いたコックピットから格納庫を見渡しながら舌打ちする。まだガルバルディ隊は戻っていない様だ。
『そろそろガルバルディ隊も戻りましょうが…』
省9
807: ◆tyrQWQQxgU 2020/06/03(水)15:33 ID:6Hz5WWbB0(8/15) AAS
 ウィード少佐がブリッジに入った時、モニター越しの格納庫に丁度ガルバルディ隊が帰還するところだった。
 しかしそれは最早部隊などと呼べる様相ではなかった。オーブ中尉のガルバルディαは殆ど原型を留めておらず、単独では着艦すらままならない。
 それを支えるγは欠損こそないが、各部の塗装が剥がれ激戦だったことが伺える。そして何より、βの姿がそこには無かった。
「…!脱出ポットは見当たらないのか!?」
「機体は完全に撃墜されております」
「だとしても、直前に脱出しているかもしれんでしょう!」
「それは…」
「いいから探せ!!探すんだよ!!」
 力任せに壁を叩いた。何度も叩いた。
「…ウィード少佐…お気持ちは痛いほどわかります…」
省8
808: ◆tyrQWQQxgU 2020/06/03(水)15:34 ID:6Hz5WWbB0(9/15) AAS
「…よろしいですかな?」
 断りを入れて入室してきたのはレインメーカー少佐だった。
「何か航行に問題でも?」
 書類をめくりながら平静を装うウィード少佐だったが、きっと内心の乱れにも彼は勘付いているのだろう。
「いえ、報告がひとつ」
「…?」
 ウィード少佐は書類に触る手を止めた。
「コロニー落としの一件ですが…。どうも内通者がいたとか」
「そんな馬鹿な」
 ペンを机に置き、ウィード少佐は立ち上がった。もし事実なら遠回しにドレイク大尉を殺された様なものだ。確かにエゥーゴ主力艦隊の対応には目を見張る迅速さがあった。
省20
809: ◆tyrQWQQxgU 2020/06/03(水)15:35 ID:6Hz5WWbB0(10/15) AAS
 しばらくしてオーブ中尉の治療が終わったと報せが入った。一命は取り留めたとのことだ。しかし彼女はもう戦線復帰は絶望的という。ドレイク大尉ももう居ない。彼女達という両腕をもがれ、立ち上がることも出来ずに地を這っている様だった。
「…済まない」
 オーブ中尉の治療について報告へ来たソニック大尉は、小さくそう言った。
「どうしてあなたが謝るの?」
「俺は皆に助けてもらって今ここにいる。だが…俺は…何も…」
 彼が目頭を抑える。
「何も…してやれなかった…!!」
 大きな身体を、小さく震わせていた。その悲痛な姿がウィード少佐には耐え難かった。
「できる事はやった…。だからそんなこと言わないで…」
 ウィード少佐達が同じ配属となった後、レインメーカー少佐はお目付け役としてやってきた。そんなウィード少佐には、真に頼れる者はソニック大尉しか残されていなかった。
省6
810: ◆tyrQWQQxgU 2020/06/03(水)15:39 ID:6Hz5WWbB0(11/15) AAS
 オーブ中尉が目を醒ました時、白衣の医師達が彼女を囲んでいるのがぼんやり見えた。状況もわからず、ただ自分が生きている事だけを自覚する。医師達は彼女の意識確認を行うと、何やら話しながら作業を始めた。
 何が起きたのか思い出すのにも時間が必要そうだ。機体が被弾したその後の映像が断片的に頭をよぎる。そのひとつひとつを結びつけようとしたが、どうも覚束ない。
 ベッドごと上体を起こされている様だが、首を固定されているらしく視線くらいしか自由が利かない有様である。今回は手酷くやられた様だ。
「目が醒めたのね」
 部屋にこぼれた光と共に聞こえてきたのはウィード少佐の声。
「…ん…よく思い出せてないんだけど…」
 借り物の様な心地がする喉を動かし、なんとか声を出した。
「無理に喋らなくていい。ゆっくり治せばいいんだから」
 そう言う彼女の声が近づく。目を開くのも億劫になり、再び目を閉じた。
「負けたの…?」
省3
811: ◆tyrQWQQxgU 2020/06/03(水)15:39 ID:6Hz5WWbB0(12/15) AAS
 意識がはっきりしてくるにつれて、何となく思い出してきた。あの時、ネモのライフルを機体に受けた。その瞬間にコックピット内に鮮血が飛び散ったのを思い出す。火花を走らせながら半壊したモニター。
 それらに挟まれて途切れ途切れの意識の中、確かに見た。あるはずのものが、そこには無かった。
「…ドラフラ、あたし…もう戦えないんでしょ?」
 オーブ中尉の問いにウィード少佐は応えなかった。いや、それが答えだった。医師が止めるのも構わず、固定された首を半ば強引に動かし自らの左腕を見る。思った通り、彼女は肘から下を失っていた。
「そんな気はしたのよ。こんな…仰々しく…」
 言葉を切って少し休む。押し寄せる現実に気持ちが昂ぶり、呼吸が乱れた。周りが少し慌ただしくなる。
「!…無理しないで」
 ウィード少佐が肩に手を添えた。オーブ中尉は深呼吸して、最後に溜息をつく。
「少しまた寝る…。ドラフラも無理しないで…」
「わかってる。リディルもね」
省1
812: ◆tyrQWQQxgU 2020/06/03(水)15:40 ID:6Hz5WWbB0(13/15) AAS
 それからしばらくして、オーブ中尉負傷後に何があったのかを聞いた。コロニー落とし失敗や、ドレイク大尉の戦死。今居るのはコンペイトウであることや、アレキサンドリア隊への疑惑。身体を少しずつ慣らしながら色んなことを聞いた。
「しっかし変な感じね!無いのに有るような気がする」
 容態が落ち着いて散歩程度なら許されたオーブ中尉は、ソニック大尉を伴って病棟を歩いていた。身体のバランスにまだ不慣れだが、失った腕の感覚が残っているのはよくある事なのだと言う。
「人間の身体というのはまだまだ未知数だからな。…困ったら何でも聞け。俺ももっと学ぶとしよう」
「ラムはそういうの詳しそう」
 彼に目立った負傷が無かったのは不幸中の幸いだった。
「これからどうするの?あたしはMSには乗れないだろうし、かといって人員も足りてないでしょ」
「ガルバルディ隊は解散だろう。お前もまだ治療が必要だし、俺ひとりというのもな」
「そうね…。フリードも居なくなったんだもん」
 ドレイク大尉は最期までオーブ中尉を呼んでいたのだという。彼女の言う通りもっと自分を制していれば、結果は違ったのだろうか。
省6
813: ◆tyrQWQQxgU 2020/06/03(水)15:40 ID:6Hz5WWbB0(14/15) AAS
 病室へ戻ると人影を見つけてぎょっとした。よく見るとレインメーカー少佐だった。彼はベッドの傍のチェアーに腰掛けていた。
「もう!びっくりしたじゃん!」
 薄暗い部屋に照明をつける。
「失礼失礼。ここで待てば会えるかと」
 そう言って彼は立ち上がり、軽く会釈した。
「爺は会議出ないの?」
「私はお呼ばれしておりませんで。少し手が空きましたから、お嬢さんとお話でもと」
「暇なら相手してもいいわよー」
 からかう様な笑みを浮かべながら彼女はベッドに腰掛けた。彼も再び座る。
「大変でしたね」
省28
814
(1): ◆tyrQWQQxgU 2020/06/03(水)15:40 ID:6Hz5WWbB0(15/15) AAS
 部屋でぽつりと独りになったオーブ中尉は外に目をやる。少しでも気晴らしになるよう窓があったが、地下に建設されたこの病棟では晴れやかな景色が見られる訳ではない。ごつごつとした岩に囲まれて作業に勤しむ人々が見えるだけだ。
「サイコミュか」
 オーブ中尉は何となく呟いた。ニュータイプ的な閃きなどとは無縁な彼女だったが、無いものを動かす感覚というのは今まさしく体感していた。この延長線なら想像ができる気がしている。
 きっと会議の中でこれからの事を話しているはずだ。何もかもを自分で決められる訳ではないとはいえ、このまま引き下がる気も彼女には毛頭無かった。
 オーブ中尉は確かにある右手と、無い筈の左手を強く握り締めた。

33話 無い筈の
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