[過去ログ] 宇宙世紀の小説書いてみてるんだけど (1002レス)
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166: ◆tyrQWQQxgU 2019/08/04(日)02:59 ID:1GNoqEo40(1/9) AAS
ちょっとpixiv更新は後回しにしましょうかね…逆に書き溜めた分が増えてきたので放出します!
167: ◆tyrQWQQxgU 2019/08/04(日)03:00 ID:1GNoqEo40(2/9) AAS
「全く。この艦の防犯意識はどうなってんです??警備会社でも雇いますか??」
 私がブリッジに到着すると、中尉は艦長に詰め寄っていた。
「ぼちぼち基地に入るところだというのに、問題が多い事多い事。ところで君、施錠してなかったのかね」
「ちゃんとしてた筈!うーん…絶対!いや確か…恐らく…もしかしたら…或いは…」
 バツが悪そうな中尉を尻目に、バッカス少佐が報告する。
「あの女、口を割りませんね。とりあえず空いた部屋に監禁していますが…。」
 そういうと、中尉をみてわざとらしい溜息をついた。
「お前は何かと問題を起こすな?」
「違いますって!俺は巻き込まれてるんですよ!」
 私も報告に割って入った。
省5
168: ◆tyrQWQQxgU 2019/08/04(日)03:02 ID:1GNoqEo40(3/9) AAS
 少佐が扉を開けると、暗い部屋に椅子が1つ。後ろ手に縛られた先程の女が座らされていた。
 改めてみると小柄だ。これでよく少佐と立ち回れたものだ。綺麗に切り揃えた前下がりのボブヘアーに隠れて表情は読み取れない。
「ティターンズの者か。それとも研究所から来たか」
 艦長が問い掛けた。返事はない。
「なかなか筋は良かったんだが。中尉程度は相手に出来ても、私に遭遇したのは不運としかいえない」
 少佐がそういうと、女は中尉を見て声を上げて笑った。
「こいつ…!」
 怒る中尉を私が抑える。
「あっはっは…ふふふ。所詮連邦の少数派とジオン残党の寄り合い所帯なんてこんなものよね…。
 私からは何の情報も出てこないのに、いつまでもこんな事に時間を割いてさ…。同じ軍の派閥争いで下手な事は出来ないでしょう?」
省5
169: ◆tyrQWQQxgU 2019/08/04(日)03:02 ID:1GNoqEo40(4/9) AAS
「あれ、絶対冗談のトーンじゃなかったよなあ…」
 中尉が恐る恐る言った。全く艦長も人が悪い。女は先程の威勢は何処へいったのか、うなだれている。
「メアリー。いやエイトといえばいいか?そんなにあの子が必要なのか。嫌がっている様だったが」
 女はこちらを睨み口を閉ざしていたが、少ししてまた口を開いた。
「…私は所詮下っ端だ。上の考えることは知らない。少なくとも私からの定時報告が無いことには気付いているだろうけど」
 そういうと、女はさめざめ泣き始めた。
「もう終わりね…。あの爺さんの言うとおり、私がどうなろうと軍は動かないわ」
「ざまあみやがれ。泣いたって無駄だぜおい」
 そういうと中尉は女の顔を覗き込んだ。
「誰もお前を助けになんか…」
省5
170: ◆tyrQWQQxgU 2019/08/04(日)03:03 ID:1GNoqEo40(5/9) AAS
『艦内を捕虜が逃走。全クルー警戒して捜索に当たれ』
 警報が鳴り響く中、アトリエ中尉と私は走った。
「大尉!あいつ何処に行くと思います!?」
 息を切らせながら中尉が半ば叫ぶように聞いてきた。
「私なら格納庫へ行く。もうこの艦から降りるしか無いだろうからな」
「一理あるぜ!」
 格納庫まではかなりの距離がある。我々はとにかく力の限り走った。

11話 不運としかいえない
171: ◆tyrQWQQxgU 2019/08/04(日)03:04 ID:1GNoqEo40(6/9) AAS
 何故あいつだったんだろう。シェクター少尉は考えるのを止められなかった。
 黒い機体と戦い殉死したエドワード・イーエスとは付き合いが長かった。ハイスクールで共に学び、大いに語り合った仲だった。
 一年戦争の最中を幼い頃生き延び、その戦いの傷の深さを思うと何もしないでは居られなかった2人は、成人すると共にカラバへと身を投じた。
 軍の話をイーエスにした時、彼は既に情報を集めてくれていた。

 黒い機体との交戦。尽くこちらの攻撃が効かなかったあの時、シェクター少尉も近接武器を使うしかないと思った。
 ほんの少しだけイーエスの方が動くのが早かったのだ。そのほんの少しが明暗を分けた。
「いつもお前が先に手を回してくれてたからな。あんな時くらい俺に任せてくれてれば良かったのにさ」
 シェクター少尉はベッドに寝転び、独りで零した。
172: ◆tyrQWQQxgU 2019/08/04(日)03:05 ID:1GNoqEo40(7/9) AAS
 瞼が重くなってきた頃、艦内警報が響いた。
『艦内を捕虜が逃走。全クルー警戒して捜索に当たれ』
 少尉はベッドから飛び起きた。捕虜?さっき騒いでたやつか。
 自室を出ると艦内は騒然としていた。クルー達が慌てて走り回っている。その時、ひとりのクルーに目が留まった。
 皆がブリッジの方向へ向かう中、艦の後方へ走り去っていく。何か感じた少尉はその女の後を追った。

 随分と走っていると、そこは格納庫だった。まばらにメカニック達が手持ち無沙汰にしている中、先程の女の影が見える。
「ちょっと!警報聴いてました?何してるんです」
 少尉が追いかけると、女は慌てて機体に乗り込んだ。馬鹿な。あいつか!
 女が乗り込んだネモのバイザーが光る。少尉は慌てて自分の機体がある隣のハンガーへ走った。メカニックが制止するのも振り払い、女のネモが歩き始める。
「こちらシェクター少尉!捕虜と思われる女がこちらの機体を奪取しました!僕が止めます!」
省3
173: ◆tyrQWQQxgU 2019/08/04(日)03:06 ID:1GNoqEo40(8/9) AAS
「おい、今すぐ降りろ!こんなとこでそんな真似して何になる!この辺りはもうエゥーゴとカラバの勢力圏だぞ!逃げられやしない!」
 少尉が敵機に通信を送る。モニターに先程の女が映った。
『あなたこそ何も知らないのね。大人しくしてたらいいのにさ!』
 そういって女は通信を切った。それと同時にビームサーベルを抜いてハッチを焼き始める。

「させるかよ!」
 後ろから羽交い締めにしようと少尉が近付くと、あろうことか女はもう一方の手でライフルをこちらに向けた。
「馬鹿な真似はよせって言ってるだろ!こんなとこでライフルなんか使ったら大変なことになる!」
『私には関係ないわ。困るのはあなた達だけでしょ?』
 音声だけが聞こえてくる。そうこうしている間にハッチは焼き切られた。彼女の乗るネモはこちらを向いて両手を広げ、後ろ向きに落ちていった。
「追います!」
省1
174: ◆tyrQWQQxgU 2019/08/04(日)03:07 ID:1GNoqEo40(9/9) AAS
 降下しながら彼女の機体を見失わないよう必死だった。近くには孤島が1つあるのみ。
 大陸や諸島からは離れているし、恐らく向かうならそこしかない。案の定その方向に機体を見つけた。
「待て!逃さないからな!」
 少尉はバーニアを吹かすと、敵機へ肉薄した。掴みかかり空中で揉み合いになる。
『嘘!何でそのまま追ってくるのよ!』
 お互いにバランスを崩しながら、高度が落ちていく。
孤島に向かってそのまま飛び続け、終いに2人の機体はそのまま滑り込むように海辺へ乗り上げた。

 …静かだ。少尉は強い衝撃を受けて少しの間気を失っていた様だった。
 あの女はどうしただろうか。少尉は辺りを見回そうとしたがカメラが死んでいる。仕方なく機体の外へ出た。
 どうやらこの辺りは人も居ないようで、墜落した2人の機体以外は自然そのものだった。彼女の乗っていたネモもそのまま乗り捨てられ、コックピットのハッチが開いたままになっている。
省2
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