[過去ログ] 宇宙世紀の小説書いてみてるんだけど (1002レス)
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(1): ◆tyrQWQQxgU 2020/07/10(金)00:36 ID:YVtOvx+T0(3/12) AAS
 状況が飲み込めないまま、注意深く周りを確認する。
「何故こんな事を?誰かの差し金か?」
『誰の差し金でもない。俺自身の意志だ』
 ステム少尉の声は怖いほど静かだった。それだけでも彼の決意の固さは察するに余りある。
「…エゥーゴか?それともジオン残党か?」
『…はあ。やっぱりあんたの脳味噌は筋肉で出来てるらしいな』
 依然として銃口を向けたまま、ステム少尉が溜息をついた。
『先のコロニー落とし…。俺の姉、リディル・オーブ中尉は負傷した。今頃はゼダンの門でリハビリをやってる。…何故こんな事になったと思う?』
「それはエゥーゴが…」
『違う!!あんたらがしくじったからだ!!』
 ステム少尉は大きく声を荒げた。ソニック大尉は何となく事態を察した。
「…それで、俺に復讐でもしたいのか」
『…姉が軍に入るのを俺は止めた。でも言うこと聞かなくてさ…。士官学校の成績も良かったし、こっちも黙らざるを得なかった。
 MS乗りの適性があったんだろ?ウィード少佐やドレイク大尉、それにあんたとも上手くやってるって…たまにメールも貰った』
 そこで一度言葉を切ると、溜息をついた様だった。ソニック大尉は静かに聞いていた。
『自分で決めたことだ、負傷したのも戦場ではよくある事だって…そう言ってた。だとしても…俺は…守る事も出来ないくせにこんな場所へ引きずり込んだあんたらを許せない』
「…許せとは言わない。だが…お前を曇らせているものは、俺を殺したところで晴れないんじゃないのか?俺達は…仲間ではないのか?」
 返事はなかった。答えないまま彼は話を続ける。
『俺は姉の後を追うように入隊したんだ。戦争さえ終わってしまえば元の暮らしに戻れると思ったから。でも…もう元には戻れない…』
 彼が鼻をすするのが聞こえた。
『元には戻らない…だったら…作り変えればいいんだと…あの人は俺に言ってくれたんだ』
 嫌な感じがした。やはり何者かの手引なのか。
「誰が言ったんだ?シロッコ大佐か?」
『…喋り過ぎたな。これだけ聞ければ…冥土の土産には十分だろ?』
 ガブスレイが動いた。ソニック大尉は咄嗟にライフルを掴む。
『くそ!離せ!』
「日頃から鍛えてないからこうなる!」
 そのまま銃口を捻じ曲げると、軋む脚部を引き摺りながら強引にガブスレイへ掴みかかった。
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