[過去ログ] 宇宙世紀の小説書いてみてるんだけど (1002レス)
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334: ◆tyrQWQQxgU 2019/08/26(月)16:32 ID:0STwH1Iv0(5/16) AAS
近辺の敵を掃討し、ミデアの進路を確保する。ここからが本番だ。
「よし、少尉。少しでもミデアへの対空砲火を減らすぞ」
『楽勝だぜ!』
ガルダ級へ向かうミデアの両翼に付き、共に進路を揃える。
「君らの戦いはこれから始まる。そう、これからだ」
スペクター大尉は、目の前に航行する巨大な輸送艦の背中を見つめながら口元に笑みを浮かべ、眼鏡を掛け直した。
34話 ゲーム
335: ◆tyrQWQQxgU 2019/08/26(月)16:35 ID:0STwH1Iv0(6/16) AAS
「何!?サドウスキー大尉達が??」
バッカス少佐が驚きの声を上げる。敵がB地点を突破していた。
私も正直サドウスキー大尉達のポイントよりこちらが本命だと思っていたのだが。我々の守るA地点が最も攻めやすい補給線の筈だった。
「まさか1番遠いB地点から来るとは…。相当根回しされていた様だな…」
モニター越しのバッカス少佐の声が怒りで震えていた。
「どうしますか?情報通りならガルダ級のC地点も危険です!そのままガルダ級を警備するのはエゥーゴの部隊だった筈ですが…」
シェクター少尉の声からも焦りが滲み出ている。
「とはいえ、このA地点を放棄する訳にも行くまい…!戦力を割くにもこれ以上数が減っては…」
歯ぎしりするバッカス少佐。しかし、こうしている間にも敵の奇襲は成果を上げているはずだ。
「…近辺のエゥーゴの部隊に、この座標へ幾らか戦力を割いてもらうよう要請できませんか?」
省4
336: ◆tyrQWQQxgU 2019/08/26(月)16:35 ID:0STwH1Iv0(7/16) AAS
「…わかった。迷っている猶予は無いな。しかし大尉はどうするつもりだ?」
「私にひとつ考えがあります。我々はここで先手を打つ。そうでしょう?」
今回当たりが外れた場合や、想定外の動きがあった時自分がどう動くべきか。何度も考えを巡らせていた。
共通していたのは、とにかく先手を打つということだけだった。きっとこれなら勝てる。
「…。…。…。」
私は少佐に考えを伝えた。
「それが大尉の秘策ということか。他の面子では行えない作戦だな。確かに事前に全容を明かすわけにはいかなかっただろう」
バッカス少佐の表情は少し曇っていた。
「本当に良いのか?決行すれば戻れる保証はないぞ。私といえども力添えできるかどうか…」
「その時はその時です。いつか来るだろうこの日の様な時の為に準備してきましたから」
省1
337: ◆tyrQWQQxgU 2019/08/26(月)16:36 ID:0STwH1Iv0(8/16) AAS
「大尉…!」
シェクター少尉が力ない声で言った。
「心配するな。別に死ぬわけじゃあない」
「でも…」
「いいから行ってこい。事態は急を要するぞ」
「…!はい…!」
少尉のGディフェンサーがガルダ級の元へと駆けていった。私もそろそろ行かねばならない。
「それでは少佐。行ってまいります」
「ああ。確実に呼応してくれるのだな?」
「問題ありません。後はタイミングです」
省6
338: ◆tyrQWQQxgU 2019/08/26(月)16:36 ID:0STwH1Iv0(9/16) AAS
私は北に向けて進路を取った。敵の陣地を少し通るが、問題なく目的地へ行ける筈だ。いや、行かねばならない。
マラサイのモノアイが鈍い音とともに光る。ここからは私次第だ。ガルダ級よ、どうか到着まで持ちこたえていてくれ。
私は、家とも呼ぶべき存在に思いを馳せた。
35話 家とも呼ぶべき存在
339: ◆tyrQWQQxgU 2019/08/26(月)16:37 ID:0STwH1Iv0(10/16) AAS
「エゥーゴの部隊は何をやっている!」
スギ艦長は怒号を飛ばした。
「応答ありません!…壊滅したものと思われます…」
オペレーターが震える声でそう答えた。まさか敵の部隊がもう到着するとは考えていなかったが、それにしても鮮やかな手並みだ。
「それで、状況は!?」
「ミデア輸送機は尚もこちらに向かって前進中。対空砲火で対応しますが、如何せんMS部隊が…」
「居ないものを頼るな!しかし…!何が目的だ…ヴォロ・アイバニーズ…!」
敵の動きが完全には読めないが、エゥーゴの部隊がやられている以上、MSは既に展開中の筈だ。これ以上どうしようというのか。
「敵機2機!SFSとTMAがそれぞれ後方左右から来ます!」
「集中砲火で叩き落とせ!ミデアはどうした!?」
省7
340: ◆tyrQWQQxgU 2019/08/26(月)16:38 ID:0STwH1Iv0(11/16) AAS
「くそ!無茶苦茶やりやがるぞあいつら!!!」
「無事か!?」
「無事なもんかよ!助かったのはほんの一握りだ!」
モニターに映った格納庫は火の海だった。喚くヴィジョンもススか血かわからないもので塗れている。通信も声が辛うじて聴き取れる位で、殆ど雑音で何も聞こえない。
「やつら、突っ込んできたあとで爆薬に火を着けやがった!内側から爆破されたんじゃこの艦といえども…!あとMSが1機…」
そこまで言って通信が切れた。スギ艦長はモニターを拳で叩く。
「ここまでやられるとは。他ポイントから報告は?」
「アトリエ中尉、シェクター少尉がこちらへ急行中!遅れてサドウスキー大尉もこちらへ向かっています」
「彼らの到着までに落とされては笑いものだな。…諸君、ここは我々の家だ。これ以上他所者に土足で踏み入らせるな!礼儀ってものを教えてやれ!」
消火作業に当たっていない各部署の手の空いた者から銃を手に格納庫へ走る。
省1
341: ◆tyrQWQQxgU 2019/08/26(月)16:38 ID:0STwH1Iv0(12/16) AAS
「報告します!格納庫へ敵のMSが1機侵入している模様!設備や隔壁を破壊しているとのこと!機種は…ジムクゥエルです!」
「乗員を下手に近付けるな!生身ではMSには敵わん」
ジムクゥエルは対人の兵装も装備していた筈だ。迂闊に仕掛ける位なら好きにさせたほうがまだ良い。人的被害は後から単純に補充出来るものではない。
艦内のマップを睨みながら報告へ耳を傾ける。いかにMSと言えども、様々な障害物がある広大な艦内を容易く突き進める訳ではない。
しばらくは問題なく持ちこたえられる。とはいえ、格納庫はもう使い物にならないだろう。
342: ◆tyrQWQQxgU 2019/08/26(月)16:39 ID:0STwH1Iv0(13/16) AAS
程なくして再度オペレーターが報告する。
「アトリエ中尉が到着しました!着艦します!」
「着艦!?」
アトリエ中尉は、燃え盛る格納庫へ乗り上げるようにして着艦した様だ。全く何処までも強引な男だ。
「よ…よし!ジムクゥエルを追撃させろ。艦内だということを忘れるな!…いや!撤回だ!忘れろ!とにかく敵を艦から叩き出せ!!」
「は…はい!伝達します!」
オペレーターが焦りながらアトリエ中尉へ通信する。
『おい!艦長!どうなってんですこりゃあ!』
アトリエ中尉からの通信が届く。
「説明は後だ!オペレーターからの指示は聞いたな!?」
省3
343: ◆tyrQWQQxgU 2019/08/26(月)16:39 ID:0STwH1Iv0(14/16) AAS
通信が切れる。続けてオペレーターが声を上げる。
「シェクター少尉も到着!外の敵と交戦中です!」
「思っていたより皆迅速だな。連携できる地点へ散らせていた甲斐があった。しかしGディフェンサー単機では…」
『単機でもやれます!引き続き対空砲火を!』
通信が開いていたのか、シェクター少尉から応答がある。
「よく来てくれた。しかし、エゥーゴの部隊は壊滅したと思われる。補給無しではいつまでも持たんぞ?」
『承知の上です!ワーウィック大尉の到着まではなんとか持たせてみせます』
「…死ぬんじゃないぞ、若人よ」
『当然です』
そういって少尉は通信を切った。
省7
344: ◆tyrQWQQxgU 2019/08/26(月)16:48 ID:0STwH1Iv0(15/16) AAS
pixiv更新
https://www.pixiv.net/novel/series/1155468
345(1): 2019/08/26(月)17:31 ID:dWMCpxlE0(1/2) AAS
何年か前にガンダムに関する創作をするスレがあったんだけど
その時バンダイに二次創作の許可を問合せしたら
「非営利目的でも二次創作の公開はやめてくれ、場合によっては訴える」
的な返答がされた覚えがあるんだが
事情が変わってOKになったのかな?
346: 2019/08/26(月)17:34 ID:dWMCpxlE0(2/2) AAS
ちなみにサンライズ側は回答を濁す感じだったような記憶がある
347: ◆tyrQWQQxgU 2019/08/26(月)22:24 ID:0STwH1Iv0(16/16) AAS
>>345
どうなんでしょう?
いわゆる同人誌とかも厳密に言えば色々あるとは思うんですが、悪質なもの以外はある程度寛大に見ていただいているってことではないでしょうか??
僕の小説なんかもサンライズやらバンダイやらからしても歯牙にかける程のものでも無いでしょうし…w
348: ◆tyrQWQQxgU 2019/08/27(火)09:05 ID:Pnx8nl0h0(1/6) AAS
ガルダ級へ近づいた時、既に後方から大きな炎と黒煙が上がっていた。思っていた以上に事態は深刻な様だった。シェクター少尉は周囲を索敵、ガルダ級の周りを飛び回る敵機を捕捉したのだった。
ブリッジとの通信を終え、目の前の敵に神経を集中させる。高機動TMA、ギャプランとドッグファイトを展開していた。
「ちぃ…!流石に速いな…!」
連装ミサイルで威嚇するも、難なく敵は身を翻す。こちらの背後を取られまいとひたすら追いかけ回すのでやっとだ。不意に通信が入る。何と目の前の敵機からだった。
349: ◆tyrQWQQxgU 2019/08/27(火)09:06 ID:Pnx8nl0h0(2/6) AAS
『いつまでこれ続ける気なんだ?いい加減つまんねぇなぁ』
そういうと敵は急旋回し、こちらを掠めて交差した。
『折角だぜ?もっと楽しまなきゃ損だろお!?』
敵は背後からこちらの真下を再度すり抜けると、宙返りするようにして上を取った。MS形態へ可変すると、こちらに跳び乗る。
「ふざけた真似をっ!」
少尉はバレルロールの要領で振り落とす。敵は高笑いながら落下すると、再びMA形態に戻りこちらを追撃してきた。おちょくられているらしい。
「いつでも落とせるつもりかい?」
『そうだよ坊や!飛行機風情がこのギャプランとやり合おうなんざ、ふざけてるのはてめぇの方だぜ』
350: ◆tyrQWQQxgU 2019/08/27(火)09:06 ID:Pnx8nl0h0(3/6) AAS
敵の砲撃。機体をよじる様にして躱しながら、再度距離を取るべく回り込む。
『埒が明かねえ野郎だな!落とすぞ!』
距離が開いたところで、敵機が再度MSに変形して正面から迫る。
「いい位置だよ」
そういうと少尉はロングレンジライフルからビームを放った。
『おほ!いいねえいいねえ!!』
敵は急に軌道を変え、寸でのところで砲撃を躱す。
「その位置から躱せるのか…!ただの馬鹿ではなさそうだね」
『何だと!馬鹿はお前だ!』
そのまま上を取ると、敵がビームサーベルで斬りかかった。
省4
351: ◆tyrQWQQxgU 2019/08/27(火)09:07 ID:Pnx8nl0h0(4/6) AAS
『全く…。お前はまたそうやって敵と通信したがる。私もチャンネルを合わせなければ指示が出せんではないか』
違う敵の声。全身をカスタムしたジムクゥエルが割り込んできた。長物を携え接近してくる。
「くっそ…!速いな…!」
ジムクゥエルのビームスピアーが翼を掠める。大きなダメージではなかったが、このまま2機を相手取るのはいささか厳しいものがある。一気に劣勢になった。
『邪魔するなよ!あんたは少佐の掩護をやってれば良いでしょうが!』
『生意気な口を利くな。あんな支援機如きに手こずっておいて何を言うか』
「どいつもこいつも…お喋りばかりしてぇ…!」
シェクター少尉は連装ミサイルで弾幕を張った。2機はすぐに散開する。
『あれは俺の玩具だ!大尉は下がっててくださいよぉ!』
ギャプランがMAに変形して突撃してくる。加えてその少し低空からはジムクゥエルも迫ってきていた。両方は躱し切れそうもない。どうする。
352: ◆tyrQWQQxgU 2019/08/27(火)09:07 ID:Pnx8nl0h0(5/6) AAS
『どけどけぇ!!』
後方から、多数の砲弾が敵機を掠める。
『くそ、新手かよ!』
ギャプランのパイロットが後ろへ下がる。
『貴様がノロマだからだ。すぐに仕留めておけばいいものを』
ジムクゥエルも一旦足を停めた様だ。シェクター少尉は危ないところで命拾いした。
『…間に合った…とは言い難い感じだなこれは』
サドウスキー大尉の声だった。しかし見慣れない機体に搭乗している。
「大尉!その機体は?」
『ああ、リックディアスはちょいと置いてきた。久々のガンキャノンだぜ』
省8
353: ◆tyrQWQQxgU 2019/08/27(火)09:08 ID:Pnx8nl0h0(6/6) AAS
こちらの2機とティターンズの2機。対峙する様に向かい合っていた。すぐにワーウィック大尉も来てくれる。それまでにやれる限りのことをやらねばならない。
「僕らの家だ。これ以上はやらせない」
少尉は、ガルダ級の炎を背に目の前の敵を睨んだ。
37話 炎を背に
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