どうでもよくても雑談 (1000ﾚｽ)
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11: クオン◆YJMWmO4ZS6 2015/10/25(日)23:41 ID:T0YCDSjI0(7/370) AAS
お化け屋敷内部はやはりお化け屋敷らしくとても暗い。
光源は手元のホオズキランタンと高い天井一面に塗ってある不気味で薄暗い蛍光塗料のみ。
あの赤の混じった紫の蛍光塗料は暗すぎて道がわからなくならないようにという配慮か。
とにかく天井に示されたルートを虱潰しに辿っていけば暗い迷路でも大丈夫そうだ。
「……あっ」
その他に何かないかと、進みながら周囲を見渡す小松菜はそれを見た。
隠し扉から腐敗し鱗の剥がれた龍のマスクを被った何者かが出てくるのを。
お化け屋敷という物はその雰囲気により恐怖心をあおり仕掛けで驚かすというのがセオリーだ。
後ろから驚かすというのはその中でも特に強い驚きを与えるものだ。
当然ながらお化け屋敷というのは部屋の内部や通路の先に意識が向くもの。
だからこそ頭上や足元、そして背後から突然現れる仕掛けに特に驚く訳だ。
ただし、それは意識の外を利用した仕掛け。事前にそれを認識しないことが前提だ。
「」
「」
無言。ただただ気まずい空気が流れていた。まだお化け屋敷も序盤だというのに。
硬直している彼、彼だろうか。彼は本来ならどんな驚かし方をするはずだったのだろうか。
だが今や小松菜にはただ会釈して立ち去ることしかできなかった。
迷路のようになっているお化け屋敷の内部。たぶん空間拡張がされているのだと思う。
小松なの元いた世界では流石に空間魔法をアトラクションに使うといった話は聞かなかった。
それが今ではすっかりこちらの世界の無駄に高度な無駄ばかりの無駄な娯楽に慣れていた。
「んおっ！？」
たまに足元で龍の腕らしきものが壁を突き破って出てくるのに驚いたりする。
道を示すのは蛍光塗料の塗られた高い天井。つまり自然と目線は上を向く。
だからだろう、壁や足元から不意をつくような仕掛けが多くあり驚かされるのだ。
そして脅かし一辺倒ではなくオブジェで恐怖を煽る仕掛けなどもしっかり作られている。
特にあの後トラブルなど起こる事なく小松菜はお化け屋敷を普通に楽しんでいた。
目玉というだけあってボリュームもあり最初に感じた混沌とした嫌な予感を忘れさせてくれた。
何度か行き止まりに行き当たっては炭酸ガスで驚かされたりしていた小松菜。
迷いながらも進んでいくとこれまでとはまた違う大部屋にたどり着いた。
今までの部屋では意図的に傷をつけたレコードにより不安を煽っていた。
迷路の中ではあるが一応外という設定なのか朽ちた庭のようなデザイン。
無論レコードは全て不自然なまでに同じに見えたしその音は他の仕掛けの音を隠すのに役立った。
時折通路や部屋にモニターが置かれている。目の前に立つと映像が流れる仕組みだ。
内容はその場所で起こった悲劇。残留思念の映像という設定なのだろうか。
自己再生能力者かネクロマンサーの協力でも得たのかＣＧか、映像のクオリティは高い。
時にゾンビに襲われ、仲間に裏切られ、自決して、そんな多彩な短いドラマが見られる。
そして映像に夢中になっていると隠し扉から表れた脅かし役に不意を突かれる。
お化け屋敷としてはかなりボリューム過多ではあるものの、小松菜はそれを全力で楽しんでいた。
ついに、折り返し地点へと到達した。
「おっ、槍が刺さってる」
光源を失った状態で進む後半戦への目印だ。龍の国の宝という設定の槍のオブジェ。
小松菜の目の前に突き刺さっていた槍は。
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