サイコの図書館【2】 (142レス)
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: 2011/02/16(水)03:31
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128: [sage] 「ランチタイム」2/2 「大体なんでそんな平気な顔してるんですか、俺は」 「胡麻がついてる」 鳴瀬の指摘に出鼻を挫かれたが、自分が今何を言おうとしていたのか すぐに思い出して迫澤はそこで口を閉ざした。 『俺は心配で』なんて、心配する権利がはたして自分にあるだろうか。 あんなにもはっきりしていた関係性は、二人が目的を失った途端とてつもなく 曖昧なものへ変化していた。二人きりになった時に流れる景色も、薄ぼんやりと した色彩で捉えどころがない。 気付けば鳴瀬の顔が先ほどより近くにあった。下唇に鳴瀬の親指が触れている。 黒胡麻をとってくれたのだと思い当たるのに二秒ほどかかった。 「すいません」 「……僕には心強い味方の警察犬が傍にいますからね。しかもとても鼻の利く」 悪戯っぽい笑みを浮かべた鳴瀬に迫澤は一瞬間の抜けた表情を晒して固まった。 鳴瀬でも冗談を言うことは知っていたが、このタイミングだとなんだか決まりが悪い。 「心配してくれてるんでしょう? ああいうことがあって、君がどういう 気持ちであろうと、たとえば責任感とか、そういう気持ちであっても 僕を守ってくれてるのは間違いないから……それだけで今の僕はとても 安らかなんです」 鳴瀬は穏やかに笑っていた。痛みや苦しみから解放されたわけではないのに 否、より多くのそれらを抱えて生きていかざるを得なくなったのに それでも穏やかに笑っていられる鳴瀬を、迫澤は羨んだ。 とても嬉しいことなのに心が痛い。置いてきぼりを食らったような気分で 悲しかった。勝手に自己完結しないほしい、そういう気分だった。 けれど、それを鳴瀬にぶつけることは本意ではない。 何と返していいかわからず黙って頷くしかなかった迫澤は 手持ち無沙汰になって素手で弁当の隅に残っていた沢庵を口に放り込んだ。 ぽりぽりと軽妙な音が響く。それなりの値がする仕出し弁当なだけあって 安っぽい着色料の味ではない上品な沢庵だった。 迫澤が思わず「旨い」と呟くと、鳴瀬も真似をして手で沢庵を口にする。 「本当だ」 「ね」 「……最近よく思うんです」 「何がですか?」 「……僕たちのような、しばしば対立関係にならざるを得ない者同士が こうやって暢気に昼食をともにしている光景は、とても」 「面白いですよね」 迫澤がそう続けると、鳴瀬が笑って首を振った。 「幸せです。だから、君との食事が好き」 昼休みが終わろうとしている。鳴瀬の事務所を見上げ芹澤は小さく呟いた。 ……鳴瀬さん、悪いですけど『待て』が苦手な警察犬もいるんですよ。 それが証明されるのはもう少し後の話だ。 http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/11890/1257156138/128
ランチタイム 大体なんでそんな平気な顔してるんですか俺は 胡麻がついてる 鳴瀬の指摘に出鼻を挫かれたが自分が今何を言おうとしていたのか すぐに思い出して迫はそこで口を閉ざした 俺は心配でなんて心配する権利がはたして自分にあるだろうか あんなにもはっきりしていた関係性は二人が目的を失った途端とてつもなく 昧なものへ変化していた二人きりになった時に流れる景色も薄ぼんやりと した色彩で捉えどころがない 気付けば鳴瀬の顔が先ほどより近くにあった下唇に鳴瀬の親指が触れている 黒胡麻をとってくれたのだと思い当たるのに二秒ほどかかった すいません 僕には心強い味方の警察犬が傍にいますからねしかもとても鼻の利く 悪戯っぽい笑みを浮かべた鳴瀬に迫は一瞬間の抜けた表情を晒して固まった 鳴瀬でも冗談を言うことは知っていたがこのタイミングだとなんだか決まりが悪い 心配してくれてるんでしょう? ああいうことがあって君がどういう 気持ちであろうとたとえば責任感とかそういう気持ちであっても 僕を守ってくれてるのは間違いないからそれだけで今の僕はとても 安らかなんです 鳴瀬は穏やかに笑っていた痛みや苦しみから解放されたわけではないのに 否より多くのそれらを抱えて生きていかざるを得なくなったのに それでも穏やかに笑っていられる鳴瀬を迫は羨んだ とても嬉しいことなのに心が痛い置いてきぼりを食らったような気分で 悲しかった勝手に自己完結しないほしいそういう気分だった けれどそれを鳴瀬にぶつけることは本意ではない 何と返していいかわからず黙ってくしかなかった迫は 手持ち無沙汰になって素手で弁当の隅に残っていた沢庵を口に放り込んだ ぽりぽりと軽妙な音が響くそれなりの値がする仕出し弁当なだけあって 安っぽい着色料の味ではない上品な沢庵だった 迫が思わず旨いとくと鳴瀬も真似をして手で沢庵を口にする 本当だ ね 最近よく思うんです 何がですか? 僕たちのようなしばしば対立関係にならざるを得ない者同士が こうやって暢気に昼食をともにしている光景はとても 面白いですよね 迫がそう続けると鳴瀬が笑って首を振った 幸せですだから君との食事が好き 昼休みが終わろうとしている鳴瀬の事務所を見上げ芹は小さくいた 鳴瀬さん悪いですけど待てが苦手な警察犬もいるんですよ それが証明されるのはもう少し後の話だ
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