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柄谷行人を解体する55 (1002レス)
柄谷行人を解体する55 http://lavender.5ch.net/test/read.cgi/philo/1563873651/
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11: 考える名無しさん [sage] 2019/07/27(土) 19:22:34.54 ID:0 (書評)『老いのゆくえ』 黒井千次〈著〉 ■自分らしさを見出す初々しい論 本書は、二〇〇五年から新聞に連載されたエッセイを集めた『老いのかたち』、 『老いの味わい』の続編である。ここで著者は、「可能なかぎり率直に、老いていく 自分を描き、その感覚や感情を記していくことを目指した」という。ただ、最初の 『老いのかたち』には、老いの問題を、広く歴ログイン前の続き史的・社会的に見る観点、 あるいは、セネカのような哲学的考察があった。それに比べると、 本書
に書かれているのは、まさに「老いていく自分」だけである。 しかし、私はこの地味なエッセイに感銘を受けた。 ここで幾度も出てくるのは、転倒する話である。最初に、空足(からあし)を踏んで 倒れた話も出てくる。つまり、「あると信じていたものがなかったために空を踏んで」 転倒してしまう。これは、他人の老化はわかるが、自分の老化はわかりにくい、 ということを典型的に示す例である。実は、私も七〇歳を越えてから、空足ではないが、 転倒を経験した。何度か転倒すると、それが老化の兆候だということを認めざるを えなかった。老いを自
覚するのは、このように難しい。 社会的には、高齢者は前期と後期に分けられている。しかし、後期以後には区別がない。 死以外に、「『高齢者』には終(おわ)りがない」。とすれば、老いはいよいよ、 各人の問題となってくる。 たとえば、本書に書かれているのは、他人の年齢が気になることである。それは結局、 自分の老いが納得できないからだ。その意味で、老年期は思春期とまるで異なるにも かかわらず、類似した「自己」意識をもたらす。それに対して、著者は自分に言い 聞かせる。「自分らしく老いればいい」「自分の老いを育てればよい
」 しかし、これは「自分」へのこだわりではない。著者が見出(みいだ)すのは、 「あらゆる〈老い〉が、夕陽(ゆうひ)の中を静かに登っている」というような「老いのゆくえ」だ。 初々しい老年論である。 評・柄谷行人(哲学者) http://lavender.5ch.net/test/read.cgi/philo/1563873651/11
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