核武装・核抑止力 (26レス)
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1: 2014/03/31(月)21:16 ID:0aLe734Tl(1/3) AAS
http://ja.wikipedia.org/wiki/日本の核武装論
2: 2014/03/31(月)21:20 ID:0aLe734Tl(2/3) AAS
 1973年、ノエル・ゲイラー米太平洋軍総司令官とケネス・ラッシュ国務副長官は、「核兵器を持たないならば、いかなる日本の通常戦力も脅威をもたらすものではない」と、日本の軍事力強化に理解を示したが[*1]、通常戦力のみで戦争を抑止することは出来ない。
 オルガンスキーとカグラーは、普仏戦争、日露戦争、第一次・第二次大戦を対象に、各戦争勃発前20年間の大国間の力の格差を分析した結果、「力の格差が20%よりも縮まった場合には戦争発生の確率が約50%に上昇する」とし、通常戦力による力の均衡だけでは戦争を抑止出来ないことを明らかにした[*2]。なぜなら、力が変容するとき、自らの力に対する過大評価や相手の力に対する過小評価が起こりやすく、自国と敵国の力を計算するのが難しいからである。
 防衛を米国に依存しなければならない日本にとって心配になるデータも存在している。サイバーソンとキングの実証研究によると、1815年から1965年までの参戦行動において、交戦国の一方と事前に同盟関係にありながら参戦しなかった事例が、全体の76.9%も存在していたことが明らかになっている[*3]。
3: 2014/03/31(月)21:25 ID:0aLe734Tl(3/3) AAS
[*1]日米防衛協力の歴史的背景
http://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/bitstream/2115/43252/1/APPS1_002.pdf

[*2]オルガンスキーとカグラーが、普仏戦争、日露戦争、第一次・第二次大戦を対象に、各戦争勃発前20年間の大国間の力の格差を分析した結果、力の格差が20%以上開いている場合、戦争はまったく起きていないが、それよりも格差が縮まった場合には戦争発生の確率が約50%に上昇した。分析対象となる戦争の数と大国の数を拡大した最近の研究でも、ほぼ同様の結果が得られており、勢力均衡論の妥当性は否定された。
 戦争に勝利する確率は、自国と敵国との相対的な力の計算に基づいて推定されるが、力が変容するとき客観的に力の計算を行うのは難しく、自らの力に対する過大評価や相手の力に対する過小評価が起こりやすい。
 侵略戦争であれ予防戦争であれ、実際に政策決定者が戦勝の確率計算をする際の基準となるのは、力のバランスというよりもむしろ軍事的能力のバランスに他ならない。

[*3]同盟形成が、参戦国の増大という点から、戦争の拡大要因となるかどうかについては、サイバーソンとキングの実証研究がある。1815年から1965年までの188件の参戦行動において、事前に同盟関係にあった国が参戦した比率は全体の53.2%であった。しかも、122件の共同参戦事例だけをみると、事前に同盟を組んでいた比率は全体の67.9%に上っていた。これは、同盟形成が戦争の拡大を促進する一要因となりえることを示している。しかし、交戦国の一方と事前に同盟関係にありながら参戦しなかった事例が、全体の76.9%も存在していたことは、すべての同盟が等しく戦争拡大に寄与するわけではないことを物語っている。
4: 2014/04/01(火)15:22 ID:w9EBvxZ7c(1/2) AAS
 世界の将来についてニクソンは、1969年にこう述べている。「現在世界には、米国、西独を含む西欧、ソ連、中共という四つの勢力圏があるが、これに日本が加わり、この五者の間の力の均衡を築くことが必要と考えている。」
 さらに、1972年には、「日本は軍事力・核戦力を保有するソ連と中国という二つの大国を隣国に持つアジアの縁に位置している。日本の自衛力が向こう一五ないし二〇年において、もし裸の状態のままであれば、それは日本にとって耐え難い立場に追い込まれることとなろう。その場合、安保条約は、日米双方にとって非常に重要な意味を持つことになる。今後日本において、その強力な隣国をdeterする何等かの途を持たぬ限り、日本はこれらの隣国に屈するか、然らざれば自己の防衛力を核を含め増強するかの好ましからぬ選択を迫られることとなろう」と、日本が核兵器を保有する可能性を説いた。
5: 2014/04/01(火)15:23 ID:w9EBvxZ7c(2/2) AAS
 第二次大戦後は、相互確証破壊(Mutual Assured Destruction, MAD)により、核保有国同士の戦争が抑止され大戦に発展することは無くなったが、周辺国では代理戦争が行われていたために実際には世界は平和ではなかった。相互確証破壊とは、核の使用は国家の破滅を招きかねない大惨事となるのが明白であるため、核弾道ミサイルは「絶対兵器」と位置づけられ、熱戦への移行を抑止するだけでなく、通常戦争に対する戦意さえ萎縮するというものである。

 ケネス・ウォルツは「全ての大国が核武装して確実な第二撃能力を保持し合っている場合には、抑止が機能して大国間の戦争はあり得ないものとなる。したがって、核兵器がシステム内の全ての大国に拡散することは、常識とは反対に、平和実現のために大いに好ましい。」として日本やイランの核武装を予想している。
(「日本は核武装する」-「諸君!」1994年4月号)
(「なぜイランは核兵器を保有すべきか」-「フォーリン・アフェアーズ」2012年7月号)
6: 2014/04/02(水)16:58 ID:cAMXvBO3h(1/2) AAS
 今後、中国の国力が日本の数倍になったときどうすれば良いのかについて、ジョン・ミアシャイマーはこう述べている。「核を持つことにより、核武装した大国と核武装した小国との関係は、『実質的に対等』な関係となる。少量の核兵器を所有する国は、核大国による軍事的恫喝を恐れなくなる。現在の日本の安全を守るために一番良い方法は、核を持つことである。日本が核を持てば、中国の日本に対する軍事行動はもっと慎重になる。」

 これは、相互確証破壊(MAD)に至るまでの核戦力を保有せずとも、相手国の核攻撃の動機を抑止できるという「核抑止力」の概念に基づいている。核攻撃によって得られる利益よりも、不利益の割合が大きければ核攻撃の動機は抑止される。日本同様狭い国土で核抑止力を構築しているイギリスやフランス、またはイスラエルを参考にして核戦力の保有量を決めればよい。
7: 2014/04/02(水)16:59 ID:cAMXvBO3h(2/2) AAS
 日本にとって必要な自主的核抑止力とは、約200基の単弾頭・核ミサイルと、それらのミサイルを搭載しておく20隻程度の通常動力型潜水艦、そして核ミサイルを運用するための軍事衛星、レーダー、 ITシステム等で、これら装備に掛かる軍事予算は、通常兵器による戦争抑止力が非常に高価なのに比べて、日本の毎年のGDPの0.1〜0.2%程度の費用にすぎない。

 1970年、中曽根康弘防衛庁長官は自著において「現実の必要性を離れた試論」として核武装について「日本の能力を試算」し「当時の金で2,000億円、5年以内で核武装できるが、実験場を確保できないために現実には不可能」との結論に達したことを明かした。現在の貨幣価値に直すなら、消費者物価指数で言えば約3倍の6,000億円、防衛費の伸びで言えば10倍の2兆円といった金額になる。弾頭1発1億円とも述べており、これは当時の主力戦闘機F-104の価格、5億円の1/5であった。
8: 2014/04/03(木)15:54 ID:0YvRu7EGJ(1/2) AAS
 米外交問題評議会のリチャード・ハース会長は、米国は大英帝国の衰退と同じ軌跡を辿ると予想している。

 「19世紀末の大英帝国は、経済力の相対的低下と工業化が諸国に浸透していったことで、もはや全世界に展開する自国の権益を独力で守ることができなくなっていた。そのため、極東における英国の権益は日英同盟に依存することで守られ、また、アメリカ大陸における米国の優越性を承認した。1904年から海軍第一卿に就任したジョン・フィッシャーによる改革は、世界中に展開していたロイヤル・ネイヴィーの基地を整理統合し、戦力を英国本土の周辺海域に集中することであった。すなわち、海軍戦略の重点を、帝国の防衛ではなく英国本土の防衛に置いたのである。冷戦後の約20年、米国も中国の台頭やロシアの復活、ヨーロッパの統合等によって、それらの国々との国力差がより均等化されてきた。米国の軍事改革は、国土安全保障を重視し、世界中に展開させている米国の軍事力を整理縮小する点でも、衰退期の英国と似通っている。」
9: 2014/04/03(木)15:55 ID:0YvRu7EGJ(2/2) AAS
 1952年、イギリスは核実験に成功し、核保有国となった。1960年代に入るとソ連の通常戦力が急速に増強され、西側諸国との戦力差が明確になった。そのため、西欧諸国はソ連による侵略を防ぐ上で米国の保有する核兵器による拡大抑止にいっそう依存するようになった。しかし、拡大抑止は信頼性、指揮統制、意志決定の面で、自国に対する侵略への抑止である「中心的抑止(central deterrence)」より解決の困難な問題を含んでおり、米国の拡大抑止をいかに担保するかが議論の焦点となった。

 この結果、イギリスは米国との核共有(nuclear sharing)を進めることで、NATOの下において核抑止力を強化してきた。

 しかし、イギリスの核戦力が米国の核戦争計画に統合されるに従って、イギリスは逆に自らの判断で使用可能な核戦力の保有を目指すようになった。
 イギリスから核兵器が発射された場合、ソ連にとっては米国のものと区別がつかないため、ソ連は米国に対して報復することが予想され、結果として抑止が強化されるという論理に基づいている。シンプソンは、これを「触媒的抑止(catalytic deterrence)」とし、イギリスが独自にソ連に対して核攻撃可能なオプションを確保することで、米国の核報復を確実にし、その拡大抑止力を強化すると考えていたのである。

 イギリスの事例は、同盟国からの拡大抑止が必ずしも独自の核武装を抑制する要因にならないことを示している。むしろ、イギリスは冷戦期には独自の核兵器を米国の拡大抑止を強化する手段とみなして重視する一方、冷戦後においても不確定な脅威に備えるために核戦力の保有を続けると宣言しており、独自の核戦略を有することが自国の安全保障を高めると考えている。

http://www.nids.go.jp/publication/kiyo/pdf/bulletin_j11_2_1.pdf
10: 2014/04/09(水)14:01 ID:oP5taspZD(1/3) AAS
平松茂雄

 中国が核兵器開発を決断した理由は何か。それは建国以来の数年間に、米国の核兵器によって何回も威嚇され、核攻撃の危機にさらされた経験からである。朝鮮戦争の期間を通じて、中国は常に旧満州の東北地域を核攻撃するとの米国の核威嚇にさらされた。1954年末から1955年1月にかけての大陳島作戦では、米国は空母6隻を含む100隻近い艦隊を展開して中国に圧力をかけ、核攻撃すると威嚇した。

 このように中国は建国以来米国に核兵器で攻撃すると威嚇された経験から、毛沢東は「目には目を、歯には歯を」のたとえにならって、「核には核」で対抗するほかないと核兵器開発を決断した。毛沢東と聞くと、多くの読者は大躍進・人民公社あるいは文化大革命を頭に浮かべ、時代錯誤の指導者と考えるであろうが、それはとんでもない間違った認識である。毛沢東は核兵器の原理や製法を知っていたのではないが、核兵器は単なる戦争の手段ではなく、米国と対等に渡り合える政治兵器であることをはっきり理解していた。
11: 2014/04/09(水)14:02 ID:oP5taspZD(2/3) AAS
 一般に核兵器の精度と破壊力に優れた側(米国とソ連)が、第一撃により相手(中国)の報復力を先制攻撃する(対兵力戦略)。これに対して劣勢側(中国)は相手の第一撃から生き残り、心理的効果を狙って相手国の住民を目標とする対都市攻撃戦略(第二撃)をとることにより、相手の先制攻撃を思いとどまらせる能力を持つ必要がある。これにより核戦力で有効な抑止力を確保できる。これが最小限核抑止力である。1980年5月に中国は米国に届く大陸間弾道ミサイルの発射実験に成功して、最小限核抑止力をひとまず完成した。

 では日本が中国からそれらの核兵器で攻撃されるとか、威嚇されるとすれば、それはどのような時か。それは、それほど遠くない将来における中国の台湾軍事統一に際してである。中国は台湾の軍事統一を断行する時には、「台湾問題は中国の内政問題だ」と、日本の政府、世論に働きかけてくるであろう。横須賀から台湾を支援するために空母が出撃する時には、東京を核攻撃すると威嚇することは間違いない。その威嚇に屈したら、日米同盟は破綻し、日本は中国の影響下に入る。米国の「核の傘」に依存しながら、米国の核を日本に持ち込むことに反対し、あるいは原子力空母や原子力潜水艦の日本配備に反対する立場は改める必要がある。日本自身の核武装の是非を含めて、核兵器に関する真剣な議論を積極的に展開する時期に来ている。
12: 2014/04/09(水)14:02 ID:oP5taspZD(3/3) AAS
 米国新安保研究センター(CNAS)のエルドリッジ・コルビ研究員(『ナショナル・インタレスト』2014年3月号)

 「米国は核不拡散でなく地政学を選択すべきだ。米国国民の安保、自由、繁栄という国家利益を道徳的手段を通じて保護することが必要であり、韓国と日本の核武装も、アメリカの国益に適うならば、一概に否定すべきでない。核武装をしたからと言って同盟破棄を持ち出すのは無謀な発想である。中国と北朝鮮の軍事的な脅威は既に否定できないものになっており、これに対する地政学的な抑止力と牽制がアメリカの国益につながるものである。国防費の削減により、東アジアでの安全保障条約の公約を果たす事が困難になりつつある状況であり、日韓の核武装を同盟国の戦略的資産として有効に活用すべきである。アメリカが両国の核武装を防ぐのは限界があり、もしも両国が核武装をした事で、アメリカが同盟を破棄するのであれば、アメリカは核の不拡散と同盟を同時に失う。」

http://kojirokatura.blog77.fc2.com/blog-entry-244.html
13: 2014/04/22(火)15:23 ID:CHgWWTG7r(1) AAS
 政治学者のニコラス・スパイクマンは、石油や錫、ゴム等の重要資源について、両米大陸だけでは国防上の需要をまかないきれないと観測し、米国が全世界を制覇するのは不可能であるとした。そして、米国は「縁辺の諸国(リムランズ)」と共同して、ハートランドの勢力の拡大を抑止するほかないだろう、という結論に達した。米国は英国や日本などの海洋国家と協力して、大陸国家のパワー(国力)を無力化する政策を採用せざるを得なくなるというのがスパイクマンの考えである。

 スパイクマンは、中国が経済的に強力になれば、エアパワーによって、台湾、ミャンマー、インドネシア、オーストラリアに至る広範囲な「アジアの地中海」を支配するかもしれないと予測している。その時米国は、イギリスを助けるために二度もヨーロッパに介入した様に日本を助け、パワーをバランシングさせることによって大陸国家の力を無力化するだろうと述べた。

 現在の中国はマッキンダーが予測したように、ハートランドにあるランドパワーのような立場になってきており、周辺の国々に脅威を与え始めている。また、アメリカ側が中国を懐柔しようとして「戦略的パートナーである」などと言ったところで、中国の最大の敵がアメリカであることは、中共軍の組織の編成の仕方や軍の上層幹部の対米威嚇的な発言などを見てもハッキリしている。中国にとってアメリカは最大の仮想敵国なのだ。また、第二次世界大戦後、チベット併合や南沙諸島進出など世界中で最もアグレッシブに侵略して領土を拡大したのは他ならぬ中国であり、今でも十数カ国と国境紛争を続けていることを忘れてはならない。
14: 2014/04/23(水)08:04 ID:Up4GU3WSP(1) AAS
 「スパイクマンの“囲い込み”」とは何かと言うと、米ソ両国が対立していた東西冷戦時代に、米国が採用していた外交・安全保障戦略のことで、米国のユーラシア大陸への軍事的ないしは非軍事的介入の下、リムランドすなわち大陸周縁部諸国を強い影響下に置き、大陸深奥部を占めるハートランド国家(この場合はソ連)の拡大と膨張を阻止するための、“盾”の役割を担わせることをその骨子としていた。

 第二次大戦中に病死した同国の、地政学者ニコラス・J・スパイクマン(1893〜1943)の提唱に端を発していることから、そう呼ばれており、戦後の米国は同戦略に基づき、日米安全保障条約をはじめとし、ユーラシア大陸周縁部に所在する多くの国々との間で、同盟条約を締結するなどリムランドに対する影響力の保持に努めた。そればかりではなく、これら地域に対するハートランド勢力の浸透を阻止するため、朝鮮半島、ベトナムを含むインドシナ半島、アフガニスタンなどで実際に戦闘を展開し、現在もこの一角に位置するシリアの緊迫した情勢をめぐり、中ロ両国との間で駆け引きを続けている。

 戦後の米国の主な外交・安全保障戦略は、一つにはユーラシア大陸のリムランド諸国を結束させ、もってハートランド勢力拡大阻止の一助とすることにあった。ここで気をつけなければならないのは、ただ単純にリムランド内で固まるのは好ましくないのである。

 あくまでも、米国の影響が及ぶところでなくてはならないのだ。つまり、シーパワーの後ろ盾あってこその、リムランド連合なのである。かつて、リムランドの東端に位置する日本と、同じく西端の英国がよしみを結んだ日英同盟という攻守同盟があった。当時のハートランド世界の盟主たる帝政ロシアの存在を、脅威と感じるところからこの2か国が結んだものであったが、日露戦争においてわが国が勝利し、ロシアの洋上の脅威が消滅したこともあって、その17年後に開催されたワシントン会議の席上において、米国とフランスを加えた「四カ国条約」というかたちで発展的に解消させられた。

 当時、日英同盟の解消を強く望んでいた国の一つとして米国があった。これも地球儀をみていただければわかるように、リムランドの東西の端に位置するというのは、米国からみればそれぞれ太平洋と大西洋の向こう側に存在するので、日英同盟が続くと有事の際、この両国の艦隊が共同謀議の上、海を越えやって来て、北米大陸が挟撃されるおそれがあった。
省3
15: 2014/04/24(木)15:46 ID:xSDVkIVSz(1/2) AAS
 大陸国家は常に自らを世界の中心と考える傾向が強く、特に中国は自国を「中華」「中国」と美称し、周囲の民族を「東夷」、 「西戒」、 「南蛮」、 「北狄」と蔑視し、周囲の国々を「臣下の礼」をとる半独立国と考え、中国を中心とするピラミッド型の従属的「華夷秩序」しか認めず、貿易も中国の管制下の朝貢貿易しか認めなかった。

 中国の最も大きな問題は中国には国境線の概念が無く、「文化的に同化すれば、その地域が国土となる」という国境観である。「国境は国家の膨張力に応じて変動するもの」であるという大陸地政学の特徴が見られる。

 中国の第2次大戦後の戦争はほぼ総てが領土をめぐるものであり、これらの戦争が「対印度自衛反撃作戦」「対ベトナム自衛反撃作戦」と、中国が侵攻したのにかかわらず、固有の領土を自衛した「反撃作戦」と名付けている。「華夷秩序」に従わない国が出現すると、武力に訴えて懲戒する傾向が見られ、1979年のベトナム領内への侵攻は「祖国の国境を守るために、ベトナムの地域的覇権主義に対して自衛反撃作戦を行った」と、ベトナムへの侵攻が華夷体制破壊者への懲戒であったと主張している。

 このような世界観から中国は夷狄を圧倒する軍事力を保有しなければならないとの考えが強く、中国との国際関係は共存の平等関係ではなく、中国の平和は中国の覇権下の「中国の正義」に服する華夷体制下の平和であり、周辺諸国が安全を得るためには臣下の礼を尽くし、膨大な朝貢を奉る事大主義国家とならなければならなかった。

 日中関係の歴史を見ると、中国と日本が友好関係を維持できたのは、 中国側が朝貢使と認識していた遣隋使・遣唐使の時代と、 中ソ対立時代や日本の資金や技術を必要とするときだけであった。明治から昭和の日中関係を見ても、中国から資源を得ようと資金資材を投入し、 その資金や資材を守ろうとしたことが日中関係を悪化させ、日本を太平洋戦争へと導いてしまった。歴史は中国とはやや距離を置いて接する方が円満であったことを教えている。
16: 2014/04/24(木)15:47 ID:xSDVkIVSz(2/2) AAS
 ロシア政府や外交官の発言や公式文書を並べてみると、ロシア政府は平和を欲し周辺諸国を侵略するとか、戦争などは極力避けようとしたと明言し文書も手交する。しかし、百年単位で見ると、イワン三世がロシアを統一しモスクワを首都として以来、1917年にロマノフ王朝が崩壊するまでの400年間に、ロシア帝国は毎日220平方キロの割で領土を拡張してきた。この拡張過程を詳細に見ると、ロシアは戦争を避け平和的に恫喝や欺瞞で領土を奪い、平和的手段で併合できないときには軍事力を行使して国土を拡大してきた。

 このロシアの侵略のパターンを英国のパーマーストン首相は、150年も前に「ロシア政府の方針とやり方は、つねに他国政府の無関心や確固たる国家意志の欠如によって、侵略が許容される限り速やかに、かつ遠方まで侵略を推し進める。だが、その侵略が断固たる抵抗に遭遇すると、常に留まって狙っている獲物にさらに飛びかかるため、もっとも都合のよい機会を待つ」と見抜いていたが、中立条約を破棄して満州や樺太に侵攻したのは、この予言の通りであった。また、日露戦争開戦前の日露交渉も、それまでの協定を無視し、強圧的な「力の外交」であったが、北方領土返還宣言の破棄やサハリン2石油ガス油田の開発拒否、さらには漁船の銃撃、漁民の射殺など、この協定無視の「力の外交」は現在も変わっていない。
17: 2014/04/27(日)14:11 ID:jPob6ghfx(1/2) AAS
 マンスフィールドとスナイダー(Mansfield and Snyder)が指摘するように、体制移行期の国家は、紛争を引き起こす確率が高い。

 国内問題を転嫁するために国外で軍事的冒険を企てようとする国家に対する経済援助は、戦争遂行能力を増大させるという点で逆効果である。

 有名な転嫁理論によれば、支配エリートは、国内問題から国民の注意をそらすと同時に、いわゆる「旗の下への結集」効果を期待して、敵対的な対外行動に訴えることがある。移行過程にある権威主義体制も、失いつつある正統性を再構築したり国民の支持を再生するために、ナショナリズムに訴えて冒険的な外交政策や戦争を引き起こすことがある。体制移行、好戦的ナショナリズム、そして戦争の三者関係は、この転嫁の論理によってしばしば説明されてきた。

 人民解放軍は米国、台湾、香港、日本、そして南シナ海において、より強硬な立場を採るように党に働きかけてきた。その上、軍による経済活動の増大は、党の経済運営に対する軍の影響力を強めている。つまり、党内の権力闘争に、軍の立場が決定的役割を果たしつつあることを示している。

 こうした状況は、党指導部が、軍事的冒険を企てる十分な動機を与えることになるであろう。党指導部が軍を統制しようとする限り、軍事的転嫁行動は、政治的支配に対する軍の不満のはけ口として役立つことになろう。中国の党軍関係が、党と軍の「相互浸透」から党の軍への依存へと変化するに連れて、中国の転嫁行動が武力の行使を伴う可能性は大きくなろう。
18: 2014/04/27(日)14:11 ID:jPob6ghfx(2/2) AAS
 事実、中国が支配集団内部の不安定性を転嫁するため、軍事的転嫁行動に出ていることを示す幾つかの事例が存在する。1992年2月、全人代は領海法を採択し、南沙・西沙諸島の領有権を再確認すると共に、いかなる妨害行為にも力で排除する権限を海軍に認めた。同年7月、中国は海軍を派遣してベトナムが占有する七つの島を奪取している。当時、党内には改革派と保守派の間で激しい権力闘争が展開されていた。保守派とのイデオロギー論争に終止符を打つべく、改革派はナショナリズムに訴えて国民の支持を獲得しようと試みていた。

 また、中国は1995年2月にフィリピンが領有を主張するミスチーフ礁に武装艦船を派遣し、建造物を建設している。同年7月から、中国は台湾上陸を想定した大規模な軍事演習を開始した。一連の台湾への示威行動は、95年6月の李登輝訪米が直接の契機であるとしても、94年暮れからトウ小平の健康悪化説に端を発する党指導部内の対立を反映していたと思われる。1995年1月28日から29日に開かれた党中央委拡大会議で、江沢民主席は党の結束を強く呼びかけている。

 軍事的転嫁行動を効果的に予防するには、国際社会がそれに対抗する強靱な意志と能力を示す必要がある。

http://www.jcie.or.jp/japan/gt_ins/gti9709/ah4.htm
19: 2015/09/04(金)17:36 ID:4kE(1) AAS
コリン・グレイ『日本が核武装を迫られる秋』
http://i.imgur.com/iectrbn.jpg
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http://i.imgur.com/wMlt39k.jpg
20: 2015/11/27(金)10:55 ID:X9M(1) AAS
 核兵器の戦争防止効果は、核保有国と非核保有国の間ではそれほど顕著に現れていない。非核保有国が核保有国に対して武力を行使した事例は多い。
 例えば、当時非核保有国であった中国が核保有国である米国を中心とする国連軍に武力を行使した朝鮮戦争、ベトナム戦争、1973 年の第4次中東戦争、79 年の中越紛争、82 年のフォークランド紛争、さらにはアフガニスタンに侵攻したソ連に対するアフガンの武力抵抗である。

 要するに、確固とした報復能力のない残存性を欠く核戦力は、相互抑止関係にある核戦力に比べ、攻撃目標となりやすいために使用を急ぐ危険が高く、戦争の誘因となる危険をはらんでいると言わざるを得ないのである。

 以上述べたように、核兵器は、少なくとも核保有国間の戦争防止の観点でみると、信頼できる報復能力の存否如何によって、肯定的、否定的インパクトの双方を備えている。
 そこで、確固たる報復能力を備えた核兵器が持つ戦争防止効果を活用して、国際社会の平和と安定を維持するという考え方も成り立ち得る。

http://www.nids.go.jp/event/symposium/pdf/2001/sympo_j2001_7.pdf
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