現代語による漢文訓読体を作るスレ (98レス)
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(5): 2011/05/11(水)05:59 ID:DtC9fMsg(1) AAS
漢文は、「訓読」とよばれる伝統的な翻訳法をもってまず古語の日本語に訳され、
その訳文(書き下し文)を日本語の現代語に移しかえることで読解されている。
たとえば「子曰、学而時習之、不亦説乎」という文は「し いわく、まなびて ときに これを ならう また よろこばしからずや」と訳し、
ついでそれを「孔子はいった 学んで時々それを復習する、それはよろばしいことではないかと」のように訳する。
いわば中国語→日本語(古語)→日本語(現代語)という二重の翻訳を行っている。
現代の日本人にとって、訓読の技術を身につけるには学習を必要とするが、
この書き下し文の意味をくみとるのにもまた学習を必要とする。二重の負担だ。
もし古語を介せず、はじめから中国語から日本語(現代語)への翻訳法があれば、その負担は解消されるのではないか。
さあ語れ。
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(1): 2011/05/11(水)12:33 ID:AALLUz8q(1) AAS
読みくだしが長くならない?
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(1): 2011/05/11(水)22:02 ID:e3cey5m9(1/4) AAS
>>2

孟子見梁恵王、王曰、叟不遠千里而来、亦将有以利吾国乎 (梁惠王章句上 の冒頭)

読み仮名をふった文(実際には縦書きの漢字の右側にカタカナが小さく書かれているものと見てほしい):
孟子ガ 見エタ 梁ノ 恵王ニ、王ハ 曰ッタ、叟ハ 不ズ 遠クオモワ 千里ヲ 而 来イラッシャッタ、亦タ 将 有ゴザイマショウカ 以 利スルコトガ 吾ガ 国ヲ 乎

書き下し文:孟子が梁の恵王にまみえた*1。王はいった*2。
「叟は千里を遠く思わず*3いらっしゃった*4。またわが国を利すること*6がございましょうか。」と。

・現行の訓読体の要領で、意味のあうように名詞に現代語の助詞をおぎなう。
ここでは「孟子が」、「梁恵王に」、「王は」、「叟は」、「千里を」、「吾が国を」となる。
省8
4: 2011/05/11(水)22:07 ID:e3cey5m9(2/4) AAS
孟子対曰、王何必曰利、亦有仁義而已矣

振り仮名を振った文:孟子ガ 対エテ 曰ッタ 王 何ヲ 必ズ 曰イマショウカ 利ヲ 亦タ 有アル 仁義ガ 而已ダケデゴザイマス 矣

書き下し文:孟子がこたえていった。「王、何をかならず利をいいましょうか。また仁義があるだけでございます。」

孟子は説客の身分であるので恵王に対して敬語を用いる。而已は「〜だけ」または「〜のみ」と読む。
矣は現代語に訳しにくいため現行の訓読体と同じく不読にする。

王曰何以利吾国、大夫曰何以利吾家、士庶人曰何以利吾身、上下交征利而*1国危矣
省4
5: 2011/05/11(水)22:12 ID:e3cey5m9(3/4) AAS
万乗之国弑其君者、必千乗之家、千乗之国弑其君者、必百乗之家、万取千焉、千取百焉、不為不多矣*2、
苟為後義而先利、不奪不饜、未有仁而遺其親者也、未有義而後其君者也、王亦曰仁義而已矣、何必曰利*4

振り仮名をふった文:万乗 之ノ 国デ 弑ス 其ノ 君ヲ 者ハ、必ズ 千乗 之ノ 家デゴザイマス 、
千乗 之ノ 国デ 弑ス 其ノ 君ヲ 者ハ、必ズ 百乗 之ノ 家デゴザイマス、
万ニ 取リ 千ヲ 焉、千ニ 取ル 百ヲ 焉、不ン 為イタシマセ 不ナイトハ 多ク 矣
苟シ 為ルナラバ 後ニシ 義ヲ 而 先ニスルコトヲ 利ヲ、不ネバ 奪ワ 不ン 饜キマセ 未ダ/ン 有ゴザイマセ
仁デ 遺テル 其ノ 親ヲ 者ヲ 也、未ダ/ン 有ゴザイマセ 義デ 而 後ニスル 其ノ 君ヲ 者ハ 也、
王モ 亦タ 曰ウ 仁義ヲ 而已ダケデゴザイマス 矣、何ヲ 必ズ 曰イマショウカ 利ヲ

書き下し文:万乗の国*1でその君を弑す(ころす)ものは、かならず千乗の家であり、千乗の国でその君を弑すものは、かならず百乗の家でございます。
万に千をとり、千に百をとる。多くないとはいたしません。もし*2義をあとにして利を先にすることをするならば、奪わなねば饜きません。
省4
6: 2011/05/11(水)22:14 ID:e3cey5m9(4/4) AAS
不為不多矣のところに*2がついてるのはつけまちがいだわすまん。
*4も>>3の*4とのつけまちがい。
7: 2011/05/15(日)15:32 ID:/bKRcdCF(1/2) AAS
読み下し漢文が難しいと感じるのが、古文と現代文の差という日本語の問題だから発想は面白い
8: 2011/05/15(日)18:37 ID:oU4bjB+0(1/5) AAS
子曰、巧言令色、鮮矣仁

書き下し文:子はいった。「言(ことば)を巧(よ)くし 色(かおいろ)を令(よ)くする人は、鮮(すく)ないな。仁は。」
9: 2011/05/15(日)18:40 ID:oU4bjB+0(2/5) AAS
・巧言令色をそのまま「こうげんれいしょく」と音読みするのは芸がない。
そこで意訳する。言は「ことば」、色は「かおいろ」と読む。
「巧言令色」は意味的に人を指しているので「ひと」を補う。
・「すくない」の後に「な」をいれて孔子の一種の感嘆を表す。
10: 2011/05/15(日)18:44 ID:oU4bjB+0(3/5) AAS
子曰、学而時習之、不亦説乎、有朋自遠方来、不亦楽乎、人不知而不慍、不亦君子乎。(論語 学而編)

書き下し文:子はいった。「学んでときどき習う。またよろこばしくないか。ともが遠方から来る。また楽しくないか。人が知らずともうらまない。また君子ではないか」
11: 2011/05/15(日)18:47 ID:oU4bjB+0(4/5) AAS
・曰は「〜はいった」と読む
・時を「時に」と読んだとしても、時にというのがどういう意味か分かりにくいので直接に「ときどき」と読む。
・「之」は不読とする。
12: 忍法帖いってよし 2011/05/15(日)18:51 ID:oU4bjB+0(5/5) AAS
・「亦」は不読でもよいかもしれない。
・ここの「有」は訳しづらいので不読とする。だれしも「ともありえんぽうよりきたる」に違和感をもつことだろう。
・「来」は訓読では「きたる」と読むがこれを廃して基本的に「くる」と読むようにする。
13: 2011/05/15(日)18:54 ID:/bKRcdCF(2/2) AAS
時にをときどきまで行くと意訳になって、混乱するんでわ
14: 2011/05/16(月)01:01 ID:Qk8Uvb+d(1) AAS
文脈による例外が多すぎてシステム的には破綻しそうだな
15: 2011/05/16(月)20:23 ID:mmErfUXP(1) AAS
平安時代の訓読が参考になるよ。
16: 2011/05/17(火)02:00 ID:83yMvnSZ(1/6) AAS
韓非子 二柄編

明主之所導制其臣者、二柄而已矣。二柄者、刑徳也。何謂刑徳。

書き下し文:明主のその臣を導制するすべは、二柄のみである。二柄とは、刑徳である。何を刑徳というか。

・「〜者」はその前の語句を名詞化する働きをする。「所〜」も同じくその後の語句を名詞化する働きをする。
「導制其臣」に所がつき、その上に者もついて、所導制其臣者が一つの名詞として働いている。
現行の訓読体では、「所〜」を「〜するところ」と読み、「〜者」もよく「〜するもの」と読むが、
「〜するところのもの」は所と者の存在を示すだけで、原文の意味は「〜するところのもの」からは分からない。
この符丁のような読み方は弊害だと考える。
17: 2011/05/17(火)02:05 ID:83yMvnSZ(2/6) AAS
曰殺戮之謂刑、慶賞之謂徳。為人臣者畏誅罰而利慶賞、故人主自用其刑徳、則群臣畏其威而帰其利矣。

書き下し文:いうに、殺戮、これを刑といい、慶賞、これを徳という。人臣というものは、誅罰を畏れ慶賞を利む(このむ)。
このゆえに人主がみずからその刑徳を用いれば、群臣はその威をおそれ、その利に帰しよう。

・「曰」は、過去のだれかの言葉を表す場合は「いった」と過去形にする。
しかしここでは漠然と引用するはたらきをしており、過去のだれかの言葉ではないから、過去形にはせず「〜いう」とする。
18: 2011/05/17(火)02:08 ID:83yMvnSZ(3/6) AAS
・為人臣の「為」はコピュラの働きをしている。それに者がつき、「人臣であるもの」を表す。
ところでこの文脈では、ただの「人臣」と「為人臣者」との意味の違いはあまりなく、「為〜者」は語句をのばしているにすぎない。
現代の日本語でこれと同じようなはたらきをする言い回しは、「〜というもの」だろう。そこで「〜というもの」を意訳で用いるのはどうか。

・「故」は漢文で頻出の語で、前の文をうけて理由を表し、慣習的に「ゆえに」と読まれる。現代の文章語でも多用される。
「故」は本居宣長の批判にしたがって、「このゆえに」と「この」をつけるようにするのがよいと思う。
現代語で「〜した。そういうわけで〜」を「〜した、わけで〜」、「〜する。そのせいで」を「〜する。せいで〜」のようにいうことはないだろう。
理由を表す語を、指示語の修飾なしで文頭において使うのは現代語の基準では異様といわざるをえない。
19: 2011/05/17(火)02:10 ID:83yMvnSZ(4/6) AAS
・「則」は現行の訓読体では「〜すればすなわち」と読まれている。
しかしこの「すなわち」は単に則の存在を示しているだけで、何ら意味をもたない。
不読にして、前の文を「〜すれば」と仮定形にすれば用は足りる。
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(1): 2011/05/17(火)02:26 ID:83yMvnSZ(5/6) AAS
大道廃、有仁義。智恵出、有大偽。六親不和、有孝慈。国家昬乱、有忠臣。(老子俗薄)

書き下し文:大道が廃れて仁義がある。知恵が出て大偽がある。六臣が和せいで孝慈がある。国家が昬乱して忠臣がある。

・古文では用いられない「が」を補い、「あり」を「ある」に変えただけ。
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