[過去ログ] 【小説】スナック眞緒物語【けやき坂応援】 (1002レス)
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612: (東京都) 2019/09/23(月)22:41 ID:A4Lf4Uj90(1/4) AAS
スナック眞緒物語♯7(その25)
「呆れた。みんなお芝居だったんですか?でも、あの嫌味なキャラは真に迫っていましたよ」と愛萌は拗ねた口調ながらも安堵した表情だ。
「僕もああいうキャラはけっして得意じゃなかった。でも、ここの常連さんの一人を真似したら、びっくりするほどうまくいったよ」
「その常連さんが誰かは分かりますよ。おかげで考えたくもない人を思い出しちゃったじゃないですか。
ところで、先ほど『人間を計量可能なものだと考えないのは宗教だけでなく文学もそうだ』といったようなことを仰いましたよね。
よかったら、そのことを詳しく教えてもらえませんか?」
613: (東京都) 2019/09/23(月)22:42 ID:A4Lf4Uj90(2/4) AAS
「そうだね、たとえば、与謝野晶子の『君死にたまふことなかれ』は知っているかな?」
「読んだことはないですが、知っています」
「誰?その人?」と明里が愛萌に耳打ちする。
「覚えていないの?『ひらがな推し』での学力試験で、写真の人物の名前と作品名を挙げよという問題にもなっていたでしょ」と愛萌は返す。
編集者のほうを向いて、「どうぞ続けてください」と愛萌は言う。(続く)
614: (東京都) 2019/09/23(月)22:46 ID:A4Lf4Uj90(3/4) AAS
スナック眞緒物語♯7(その26)
「君死にたまふことなかれ」というのは、日露戦争で旅順口包囲軍の中にある弟を嘆いてつくった歌なんだよね。
弟が助かるなら、旅順の城が滅んでもかまわないと晶子は書いた。
たとえ大きな責務を負って戦争に行く弟であっても死なないでほしいと思うのは本当の気持ちであると表明した」
「感動的なお話ですね」と愛萌は目を輝かす。
「でも、その言葉に対して、時の文壇の権威だった大町桂月が『世を害するのは実にかかる思想なり』と槍玉にあげた。
まあ、当然と言えば当然かな、当時の日本は軍国主義で、戦争に勝つことが至上命令だったから、
一人の命のほうが大切だという主張は国賊ものだったろうね」
「いま思うと、隔世の感がありますね」と愛萌は言う。
615: (東京都) 2019/09/23(月)22:47 ID:A4Lf4Uj90(4/4) AAS
「戦争の勝利を至上とするのか人間の命を至上とするのかというのも公理体系だね。
そして、どの公理体系を選ぶのかというのは時代によって違ってくることになる。
ある公理体系を選んだとしても、別の公理体系から光を当ててやるべきという先生の意図もそこにあるんだよね」(続く)
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