[過去ログ] 【小説】スナック眞緒物語【けやき坂応援】 (1002レス)
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(1): (東京都) 2019/07/20(土)23:29 ID:eDgLVxjO0(3/8) AAS
子供のころに聞いた事件で似たようなものがあったという記憶がある。
アメリカかどこかで自分の小説を剽窃されたと思い込んだ男が殺人事件が起こったというものである。
放火するとか人を殺すとかまでに至るというのは、相当に頭のおかしな連中に限定はされる。
だが、自分がつくったオリジナルのものを盗まれたと思い込むというのは誰しも思い当たることがあるのではないのではないか?
473: (東京都) 2019/07/20(土)23:33 ID:eDgLVxjO0(4/8) AAS
メディアを共有している現代のような時代で、100%オリジナルというのは奇跡に近い。
ユーラシア大陸とアメリカ大陸とが海の底でつながっているように、我々の深層意識というのもお互いにつながっていて、似たようなことを考える。
だから、自分が以前に考えたことのあることが世の中に出ると「パクられた」と一瞬は思い込んでしまう。
むろん、その後すぐには、そのように思い上がった自分を恥ずかしいと思うはめになるが。
474: (東京都) 2019/07/20(土)23:37 ID:eDgLVxjO0(5/8) AAS
21世紀の初頭に、いくつかの小説雑誌社の新人賞にわたって、似たようなタイプの小説が受賞したと聞いたことがある。
現代日本小説はあまり読まないので、詳細は知らないが、そのタイプというのはセカイ系と呼ばれるものである。
セカイ系とは、たとえば「僕と彼女の恋の成就がこの世界に平和をもたらす」といったようなものである。
475: (東京都) 2019/07/20(土)23:40 ID:eDgLVxjO0(6/8) AAS
現代社会というのはあまりにも巨大で不透明である。
それを見通すためには政治とか経済を徹底して身に付けなければならないが、能力不足あるいは努力不足で誰にもできるというわけではない。
しかし、それでもこの世界にコネクトしたい。
そこで面倒な中間項をとばして、ごく身近に起きることが世界平和とか地球エコとか宇宙の調和とかに直接つながっていると考えることである。
476: (東京都) 2019/07/20(土)23:42 ID:eDgLVxjO0(7/8) AAS
いまでは現代人の抱える病理の一種というとらえ方をされているが、
その当時では、小説新人賞の年老いた審査員には新奇なものに映って高く評価されたようである。
ともあれ、一つの国、一つの時代を過ごしているなら、同じような考えに行き着くという典型例である。
477
(1): (東京都) 2019/07/20(土)23:47 ID:eDgLVxjO0(8/8) AAS
ついでに言っておくと、京アニが制作した「涼宮ハルヒの憂鬱」はいま言ったことに関係している。
学園ラブコメものかと思って観始めると、セカイ系をパロディ化しているものだとすぐに分かる。
あるいはメタ的、つまり、批評的にセカイ系を捕らえている。
なかなかの秀作だから、一見の価値あり。
亡くなった京アニの制作者に思いを馳せながら、もう一度観直したい、

亡くなられた方のご冥福をお祈りします。
478: (東京都) 2019/07/21(日)23:27 ID:T1lNjxzV0(1/4) AAS
アイデアを剽窃されたと思い込んで権利を無暗に主張するデムパとは正反対の謙虚すぎる人物の話を一つ。
ジョルジュ・ルメートルというベルギーの天文学者がいた。
一般相対性理論の膨張宇宙解をフリードマンとは独立に彼は導いていた。
だから、「ハーツ」の中にも書いたフリードマン方程式はフリードマン=ルメートル方程式と表記している専門書もある。
479: (東京都) 2019/07/21(日)23:29 ID:T1lNjxzV0(2/4) AAS
そのルメートルにはもう一つ隠された業績がある。
フリードマン=ルメートル方程式を発表した論文には、その二年後に発表された有名なハッブルの法則と同じ遠方銀河の速度・距離の関係式が書かれていた。
フランス語で書かれたマイナーな雑誌であったために注目されなかったので、ハッブルに手柄を横取りされるという形となった。
480: (東京都) 2019/07/21(日)23:33 ID:T1lNjxzV0(3/4) AAS
ハッブルの法則が発表された二年後(その論文からは四年後)、ルメートル自身の手でその論文は英語に翻訳される。
そのとき、ハッブルの法則に関するところがごっそり欠落していた。
ハッブルというのは人格的には問題の多かった人間のようで、ハッブルが圧力をかけたのではないのかという噂もあるが、そういう事実は確認されていない。
481: (東京都) 2019/07/21(日)23:37 ID:T1lNjxzV0(4/4) AAS
なぜ欠落しているのかというはっきりとした真相は分からないようだが、
カトリックの神父でもあったルメートルがハッブルにその業績を譲ったのではないかというのが有力なようだ。
なお、昨年の秋、国際天文学連合はハッブルの法則の新名称として「ハッブル=ルメートルの法則」を使用するのを推奨すると発表した。
ルメートルの業績が再確認されるのはいいことだが、
ルメートルのほうの発表が早かったので、「ルメートル=ハッブルの法則」とするほうがいいんじゃないかと個人的には思っている。
482: (東京都) 2019/07/22(月)23:15 ID:0m+wXHt30(1) AAS
保守
483: (東京都) 2019/07/23(火)22:21 ID:xvm5a5xY0(1) AAS
妖精の詩(その1)
2017年の夏は酷暑だった。
東京タワーの特別展望台の屋根の上に妖精ムーは座っている。
人が思っている心の声も妖精は聞くことができる。
東京タワーは改修作業中で、数人の作業人たちの心の声がムーには聞こえていた。
「なんて暑さだ!高所での作業の上にこの暑さじゃ目が回りそうだ」
「暑くて作業が進まん。この調子だと工期を守ることができんな」
「早く終えて涼みたい。こうも暑いとアイスクリームよりやっぱかき氷だな」
下界で騒々しい声がした。
下を見た作業人の一人が大声で叫ぶ。
省4
484: (東京都) 2019/07/24(水)22:36 ID:7bynllLi0(1) AAS
妖精の詩(その2)
嘆き悲しみ呆然と佇むムーを心配して、妖精ナガルがやってくる。
「ムーちゃん、気持ちはわかるけど、人間にかかわろうとし過ぎじゃない?」
「ナガルちゃん、ずっと考えていたことがあるの。私、人間になりたい」
「え?あんな悲惨な事故を見たばかりなのに、そう思うの?人間って限られた命しかないんだよ」
「人間って、色というものを見ることができるらしいね。私も色を感じてみたい」
「だから、その色を見るためには生身の体を持つしかないんだよ。そして、それはいつか滅んでしまうので、死ぬ運命から逃れられない」
「あの生身の肉体が私は羨ましい。永遠に漂うよりも自分の重みを感じてみたい。大地に立って、生きる者だと実感したい。寒さも暑さも感じてみたい。かき氷も食べてみたい」
「・・・・・」
「そして、あのコともお友だちになりたい」(続く)
485: (神奈川県) 2019/07/25(木)20:17 ID:ZlKlWVc40(1) AAS
続き〜
486: (東京都) 2019/07/25(木)23:36 ID:jhiQGeC20(1/2) AAS
どうもどうも。
でも、あんまり期待しないで。
487: (東京都) 2019/07/25(木)23:37 ID:jhiQGeC20(2/2) AAS
東京・妖精の詩(その3)
ムーは一人の少女をずっと見守り続けていた。
あるアイドルグループに所属していて、名前を今泉佑唯といった。
ムーが佑唯を初めて見たのは、そのアイドルグループの握手会場にたまたま舞い降りたときだった。
何千人もの話し声が聞こえたが、心の声だけを聞くことにムーは集中した。
「今日が初めての握手だ。緊張するなあ」
「運営のボケカス。いつまで待たせてんだ。もうちょっと要領よく列を整理しろよ」
「おい、人の体に気やすく触るんじゃねえぞ。剥がそうとしなくても、離れようとしていることくらい気づけ!」
その中に今までに出会ったことのない心の波形を感知した。
その主が佑唯だった。
省2
488: (東京都) 2019/07/26(金)22:44 ID:NWHmd2kV0(1) AAS
妖精の詩(その4)
その後、佑唯を観察し続けて、佑唯がどのような状況であるのかをムーは知った。
佑唯にはグループのセンターに立ちたいという強い願望はたしかにあった。
だが、自分ではない別のメンバーをセンターに固定していくという運営の固い方針にも一定の理解を示していた、
その願望を押し殺し、問題なく日常を過ごしていたようだった。
ところが、思慮の足らないあるいは悪意のある一部のファンの変な働きかけのせいでその安定が崩された。
そして、案の定、4thシングルでもセンターは今まで通りで、佑唯ではなかった。
部屋の中で一人でいると、「ずーみん、フォース、センター、おめでとう」という声が聞こえてきて、
何度も頭の中で繰り返され、その度ごとに大きくなっていった。
センターへの渇望が刺激され、現状との乖離に苦しみ、やがてはシンバルのような大きな音が頭の中でガンガン響くのだった。
省4
489: (東京都) 2019/07/27(土)23:23 ID:qeOoh17b0(1) AAS
妖精の詩(その5)
この日もムーは佑唯の部屋に舞い降りた。
相変わらず気持ちが沈んだままの佑唯の心の声をムーは聞く。
何も考えないようにしよう・・
でもあの声はまた忍び寄ってくる・・・
今日もまた夜が怖い・・・
耐えられない・・・
アイドルはもう辞めよう・・・
その苦しみを自分のことかのようにムーは受け取った。
救いを与えるように佑唯を強く抱擁しても、やはりムーの手は佑唯の体を通り抜けるだけだった。
省6
490: (東京都) 2019/07/28(日)23:00 ID:yeWXq8BG0(1) AAS
妖精の詩(その6)
佑唯は全快し、幕張メッセでのライブで復帰することとなった。
バックヤードでは佑唯には特別に個室が与えられた。
見守り続けていたムーは安心しきっていた。
ところが、テーブルの上にあったコップを佑唯は落としてしまい、その破壊音によってフラッシュバックが起こった。
頭の中でシンバルが鳴る。
恐怖のあまり佑唯はぎゅっと目をつむり、膝から崩れ落ち、頭を抱えた。
今までの苦しかったことが佑唯の脳裏には次から次に去来した。
「大丈夫、大丈夫」と言いながら、ムーは佑唯をぎゅっと抱きしめる。
苦しかった出来事を見えない誰かと一緒に佑唯は向き合った。
省6
491: (東京都) 2019/07/29(月)22:32 ID:+3b2FOVl0NIKU(1) AAS
妖精の詩(その7)
佑唯を見守っているムーの様子を見に来ていたナガルは、ムーが出て行った後に部屋に舞い降りた。
なぜムーちゃんがあれだけ人間に関わろうとしているのかが今なら分かる気がする。
死という絶対的なゴールが人間には待ち受けている。
だけど、限りある人生だからこそ必死に生きて、その短い生涯の中で泣き笑いのドラマが濃密に詰め込まれている。
その中で苦しみや不幸にも見舞われるんだ。
でも、喜びに満たされるときもやって来る。
その時間はどれだけ大切でかけがえのないことか。
それに引き換え、私たちは単調なことの繰り返し。
苦しみもなく喜びもなく終わりなき日常を過ごすだけ。
省11
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