[過去ログ] 【小説】スナック眞緒物語【けやき坂応援】 (1002レス)
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298: (東京都) 2019/04/12(金)21:53 ID:Vq1a8vgw0(7/13) AAS
青い薔薇の秘密(その5)
その薔薇は言った。
「あなたって本当は優しいんですね。私、きっとあなたとお友達になれると思うの」
呆気に取られた僕は黙っていた。
「もしお友達になれるなら、お願いしたいことがあるの。
もっと近くでお日様を見たいの。私を太陽の近くまで運んでくださいな」
僕はその薔薇の根元を土ごと優しく掘り起し、手に取り雲の頂に向かった。
太陽の強い放射を受けて、薔薇が言った。
「熱いし、眩しいわ。でも、とってもいい気持ち。私、生まれ変われそうな気がする」
雲の頂に来ると、嵐の王は僕に激しい怒りをぶつけた。
省2
299: (東京都) 2019/04/12(金)21:54 ID:Vq1a8vgw0(8/13) AAS
青い薔薇の秘密(その7)
「何だ、それは?こんなものを大切に運んできたのか! 」
嵐の王は薔薇を引きちぎり、花弁はちりぢりになり落下した。
一片でも集めようとして、急降下しようとしたとき、僕の翼を嵐の王は強靭な爪でつかんで言った。
「哀れみに犯されたお前はもう俺の息子ではない!」
翼は引き裂かれ、地上に落下した僕は気絶した。

数千年か?数万年か?長い時間が経過して僕は目が覚めた。
香しい薔薇の香りが漂ってきた。
辺りを見渡すと、目の覚めるような美しい青い薔薇がいた。
「君はいったい?」と尋ねると、薔薇は答えてくれた。
省3
300: (東京都) 2019/04/12(金)21:55 ID:Vq1a8vgw0(9/13) AAS
青い薔薇の秘密(その8)
でも、翼をもぎ取られ無力となった僕は惨めだった。
もう飛ぶこともできない。僕は大粒の涙を落した。
そのとき、光輝く妖精が現れた。
「薔薇をかわいそうに思ったとき、あなたは憐れみを知ったんですね。今度は私があなたを憐れんであげましょう。
嵐の王は破壊するけれど、私はありとあらゆるものを生み出す力を持っている。破壊する力よりも生み出す力は強いのよ」
そう言って、妖精は僕の肩にそっと触れた。すると、そこから蝶のような羽が生えた。
「さあ、その羽で飛び回ってみて。今からあなたはそよ風となったのです」
そして、妖精は薔薇にも語りかけた。
「薔薇よ、あなたの美しい姿と香しい香りによって、嵐の力を押さえることができました。
省4
301: (東京都) 2019/04/12(金)21:56 ID:Vq1a8vgw0(10/13) AAS
青い薔薇の秘密(その9)
中学校1年生の栽培委員になったとき、この話を私が同じ委員の子たちにしたら、厳しい言葉が次々に返ってきた。
「あなたって嘘つきね。サントリーが遺伝子組換えで青い薔薇を誕生させたのは2004年だけど、
流通したのは2009年のことだから、あなたが4歳になったときよりも後のこと。計算が合わないわ」
「まあ、人工的につくられる前に青い薔薇は存在していたという設定なんだろうが。いずれにしてもバッカじゃねえの」
「花やそよ風の話が聞こえるなんて、専門医に診せれば病名がつくんじゃないの?」
でも、日向坂に入って、メンバーのお姉様たちに話したら、優しい言葉が返ってきたの。
「私も、花のおしゃべりも風の語りも前には聞くことができたよ」
「薔薇の言うことを一度も聞いたことがないなんてその同級生たちはかわいそうね。私は薔薇に耳を傾けていたころが懐かしい」
「そうそう、それは子供にしかできないことなのよ。その不思議な力と病気とを取り違えないように気を付けないとね」(続く)
302: (東京都) 2019/04/12(金)21:57 ID:Vq1a8vgw0(11/13) AAS
青い薔薇の秘密(その10)
御姉様たちのお話はどんどん盛り上がっていた。
「不思議なお話ね。お日様、つまり、ファンの人たちによって緑色から青色にイメージカラーが変わった私たちのことを言っているみたい」
「『不可能』に『夢かなう』に『祝福』に『奇跡』か。私たちのこれからの物語にもきっとあてはまる!」
「うん、うん、『不可能』を打ち破って、『夢かなう』ように突き進んでいこう!」
「ファンの人たちから『祝福』され、変化を恐れず成長し続けていって『奇跡』を起こそう!」
「もちろん、それもそうだけど、私たちのほうもファンの人たちを『祝福』し、みんなが幸せになるとういう『奇跡』を起こそう!」
まだまだ御姉様たちのお話は尽きなかったけど、もうこのくらいにしておくわ。
これで、私のお話は終わりなの。(了)
303: (東京都) 2019/04/12(金)22:00 ID:Vq1a8vgw0(12/13) AAS
青い薔薇の秘密(後書き)
原案はジョルジュ・サンド「花たちのおしゃべり」。
いろんな翻訳で出ているようで、ネットで調べた限り次のような題名となっているものもあった。
「薔薇と嵐の王子」
「花のささやき」

参照にしたのは、上村ひなのの「お花」というタイトルの2019年 3月14日のブログの次の箇所。
>実は私、小学生の時に栽培委員に2年連続立候補したのですが、2年とも栽培委員になれなくて、
>それでも諦めきれずに中学校1年生の時にようやく「植物係」になったっていうエピソードがあるほどお花が好きだったんです

>色とりどりのお花達!!
>なんだか春の訪れを感じました、、
省2
304: (東京都) 2019/04/12(金)22:02 ID:Vq1a8vgw0(13/13) AAS
青いバラについて
2004年6月30日に成功を発表。
2009年11月3日に販売を開始。

花言葉は複数ある。
・夢かなう
・不可能
・神の祝福.
・奇跡
305: (東京都) 2019/04/13(土)23:17 ID:QuZ6rSmT0(1) AAS
保守
当面、新作を書く気力はないので、また明日からは以前に書いたものを加筆修正して上げます。
306: (地震なし) 2019/04/14(日)12:04 ID:Z9jBBZoz0(1) AAS
>>292
源田は二日連続で四タコ
おまけにデッドボールくらって怪我
みさみさはサゲマン
307: (東京都) 2019/04/14(日)23:50 ID:Y4/g2siZ0(1) AAS
新人からの連続フルイニング出場記録が299試合でストップとなってしまった。
まあ、ケガはたいしたことはなさそうで、長いスパンで見れば、この程度の浮き沈みは誰にでもあるよ。

じゃあ、今日はこのレスで保守したことにします。
308: (東京都) 2019/04/15(月)23:46 ID:apoTLgTa0(1) AAS
若きアオイ(その1)
大学受験を終えた原田葵は家族旅行で南のリゾート地にやって来ている。
会員制の宿泊施設は小さな島にあり、常時島で生活する人はおらず、宿泊客のプライベート・アイランドである。
葵家だけの貸し切りとなった宿泊施設は周りが緑の森に囲まれ、森を抜けると真っ白な砂浜があり、青い海へとつながる。
せわしない都会での日常に疲れている者にとっては格好のオアシスと言った場所である。
解放的な気分になって葵は大はしゃぎしている。
一方的に喋るだけ喋ったかと思うと、すぐに室内を駆けまわる。
窓を開けては外をきょろきょろ見渡す。
その落ち着きのない様子を見て、葵の母親は浮かない顔をした。
「どうした、母さん」と葵の父親が言った。
省3
309: (東京都) 2019/04/16(火)23:06 ID:XO7djV420(1) AAS
若きアオイ(その2)
同学年で幼馴染の女の子が葵にはいた。
お互いの近所の家を気兼ねなくよく行き来していた。
葵が中学生のときだった。
その娘の家を訪ねて、ドアを開け玄関の中に入ったが、誰もいないことがあった。
玄関の外からその娘の声が聞こえてきたので、驚かそうと思って、脱いだ靴を持って、その娘の個室の押し入れに隠れた。
襖を少しだけ開け、部屋の様子をうかがった。
ところが部屋に入って来たのは、その子一人だけではなかった。
見知らぬ男と一緒に入って来たのだった。
葵は出るに出られなくなった。
省7
310: (東京都) 2019/04/17(水)23:29 ID:2lhC2XQs0(1) AAS
若きアオイ(その3)
「海を見に行くね」と告げて、葵は宿泊所から出た。
晴れ渡っているのに、森の中は薄暗く、一瞬たじろいだ。
一人で入るのはちょっと不気味だけど・・・、平気よ。
森の中をおそるおそる葵は歩いた。
ところが、歩き続けても砂浜には到着しない。
おかしいな?100メートルも歩けば砂浜に着くはずなのに?
こんな森で迷うはずもないのに?
いつの間にか森は深くなり。樹々の枝が空を完全に覆い隠し、昼間だというのに真っ暗になっていた。
心の深層に封じ込められていたあの光景を暗闇がフラッシュバックさせた。
省11
311: (東京都) 2019/04/18(木)23:49 ID:pLhmahRK0(1) AAS
若きアオイ(その4)
足を踏み入れると、突然、砂浜が荒れくるった。
白波は高く舞う。
風は凄まじく吹く。
白いニットワンピは強風で引き裂かれ細切れとなって吹き飛ばされた。
家族以外に誰もいないという安心感から下着も付けていなかった葵は丸裸となった。
「いやだ!」と大声で叫びながら、片方の手は胸をもう片方の手は股座を隠した。
戦慄している葵の前に波打ち際を走る女の子が現れた。
葵の目の前を右から左へ無邪気に駆け抜けていく。
この島には他には誰もいないはずなのに?あの子はだれ?
省4
312: (東京都) 2019/04/19(金)23:49 ID:yOihXO9U0(1) AAS
若きアオイ(その5)
白波はますます高く舞う。
風はますます凄まじく吹く。
海の中に何かがいる。
それは大きく宙に飛び跳ねて頭から着水した。
上半身は人間の男で下半身は魚の怪物だ。
その動きを繰り返す。
そのたびごとに波も風もさらに強くなる。
怪物の繰り返す動きそのものが葵にはおぞましい。
怪物が着水する度に体の真ん中が疼き、同時に得体のしれない快感が襲った。
省7
313: (東京都) 2019/04/20(土)23:48 ID:9srjlVMt0(1) AAS
若きアオイ(その6)
うずくまり体を小さくして、葵は恐怖におののく。
そこに、どこからともなく男が現れた。
顔だけを上げ、葵はその男を見る。
葵に気づき、男は声をかける。
「どうしたんだ?私になにかできることはあるか?」
「怖いんです。風が、波が、海が」
「怖い、海が?」
「お願いです、海を鎮めてください」
「乙女なんだね。純潔を犯されたくないんだね」と言いながら、男は葵の頭をなでる。
省5
314: (東京都) 2019/04/21(日)23:51 ID:RznVjtwz0(1) AAS
若きアオイ(その7)
波も風も微動だにせず、海は静かになった。
砂浜に座った男の隣に身を寄せ、男の片手に葵はしがみついた。「落ち着いたか?」と男は葵に言う。
「ええ」
葵は安心しきっていた。
しかし、しばらくすると空虚感に包まれ、疑念が生じてくる。
このままで本当にいいの?
取り返しのつかないことを私はしようとしているのではないの?
避けてはいけない運命から逃げようとしているんじゃないの?
その疑念は徐々に大きくなり、ついに我慢できず口にする。
省7
315: (東京都) 2019/04/22(月)23:24 ID:TjXb389K0(1) AAS
若きアオイ(その8)
「分からなかったの。ただ無性に怖くて」
「いまさらそんなことを言われても・・・」
「元に戻して。あの荒れくるう生き生きとした海に戻して」
悲しい表情で葵をしばし見つめ、男は立ち去ろうとする。
男の脚にしがみつき、「お願い」と葵は泣きながら懇願する。
しかし、「元にはもう戻せない」と言いながら、しがみつく葵の手を除けて、男は去ってしまった。
残された葵は肩を落とす。
後悔の念にさいなまれて、弱りいく怪物に恐る恐る目を向ける。
私が海に返すしかない。でも私にできるだろうか?
省6
316: (東京都) 2019/04/23(火)23:31 ID:jd8qNImw0(1) AAS
若きアオイ(その9)
瀕死の怪物に抱き着いて、泣きながら葵は言った。
「ごめんない、私が悪かったの!お願い生き返って!」
「・・・頼む、海に返してくれ・・・」と息絶え絶えの怪物はかろうじてつぶやく。
疲労困憊している葵だが、最後の力を振り絞り、怪物を抱きかかえ、海に向かって進む。
怪物の顔がもう少しで海水に浸るところまで運んだが、もう力は残っておらず葵は倒れ込んだ。
動かないままの怪物を沈痛な面持ちで見るが立つこともできない。
しかし、静かだった海にさざ波が起こり、怪物の顔にかすかに当たる。
怪物の目が見開くやいなや、波は強くなり、怪物の体全体に海水が当たる。
海水で包まれた怪物は生き返り、海の中に入った。
省6
317: (東京都) 2019/04/24(水)23:53 ID:74xrvM0X0(1) AAS
若きアオイ(その10)
伸ばした足先だけを海に浸して、葵は砂浜に座っていた。
何なの?先ほどの出来事は?
そうかこの白い砂浜に包まれて私は眠っていたのか。
それにしてもあの変な夢は?
なぜ、最初はあの怪物をあんなに嫌っていたんだろう?
そしてなぜ今はあの怪物が愛おしいんだろう?
あの怪物の正体は?
水平線に沈みいく夕日が葵の体を茜色に染めている。
足先だけでなく、体の真ん中あたりも湿っている感触があった。
省6
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