【現代古典派経済学】塩沢由典【複雑系経済学】 (314レス)
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227: 元院生 2019/04/10(水)16:28 ID:BrPoo+Ci(8/8) AAS
世界の貿易を見渡してみれば分かるように、垂直的貿易(あるいはフラグメンテーション)は、
先進国と途上国(たとえば、米国と中国)の間で行なわれている。この基本的な要因は、米
国と中国とでその賃金率に大きな格差があることだが、蓬田の説明(例えば第1章)には、
「垂直的国際分業への関心が高まった背景にはもう一つの要因がある。それは、先進諸
国とりわけアメリカ国内での賃金格差の拡大である」(pp.2-3)とあるが、2国間の賃金格差
の問題には一言も触れられていない。

この点を問い詰められれば、蓬田は、それは資本・労働の賦存比率に依存して決まると
答えるだろう。理由は示されていないが、蓬田も

「衣類や靴の産業では、アメリカ国内でデザインされた製品が労働の豊富な途上国で
生産され、完成品は再びアメリカをはじめ他の先進国に輸出されている」(p.3)

と指摘している。

しかし、この例は、蓬田の第3章の設定とは合致しない。資本労働比率が違っていても、
少なくとも二国が要素価格均等化集合にあるがきり、資本も労働の同じ価格(つまり利潤
率と賃金率)をもっている。

要するに、蓬田(2006)は、世界経済に進行する国際貿易、とくに中間財貿易拡大の基本
的要因を捉えていない。
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