詩 (67レス)
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50: 茄子 ですが、何か 2017/06/03(土)04:33 ID:55kQLrYe(1) AAS
「ある犬のような人生」

犬のように生きるからと言って
ワタクシは、一度だって犬であったことなど、ない。
まるで犬同然に死ぬ運命とて、なお十中八九、犬ではない。

だから。俺は今日も立っている。
万札数枚握りしめて、
安心したみたいな顔で、立っている。

カネとは何か?

紙切れなどと言う人もいる。
カネとは何か…。
ああ、それは、毎日毎日新聞屋が持ってくるモノに似ている。
紙切れのようでいて、
決して紙切れであったことなどない。
今日も今日とて、あいも変わらず、
掟と刑罰がマックスパワーでフル稼働だ。
一面見出しから四コマ漫画の隅の隅まで、
コネと権力の秩序によって、
まるで世界が生き永らえているというのか!?
それでも俺は、
「ようやく昨日の世界に安心した」みたいな顔で、
今日も今日とて、立っている。
(冗談を言っちゃいけない。)
だから。俺は、
「こんな世界には興味などない。」
とか何とか言って、今度はバカみたいな顔で、
相も変わらず紙切れ握って、立ってみるんだ。
如何せん、この紙の上には、神様がいる。
「汝、見返りの期待できない者にパンを与えたか?」
俺が握りしめるモノは、この問いかけを紙一重でかわしてくれる。
一体この地上で誰が、俺の行いを四六時中見定めていると言うのか。
そして、いつだって人は、この証明書に書いてある純粋な、
余りにも純粋な記録を信じるがゆえに、
俺の差し出すコレの代わりに
食卓の食事を快く分けてくれる(…のか?)
…いずれにせよ、
俺は今日もバカみたいな顔で立っている。
もちろん、
この紙切れが証しする偉業に値する記憶など存在しない。
明日になっても、きっと今日と同じように
正当ではないかもしれない誉れにあずかって
世界の一部分みたいな顔して、
因縁も忘れてしまった敵のような敵と
特に理由もない争いを続けながら、
犬のように消えていくのを
心の中では、お断り申し上げるのだ。

だから俺は、断じて、
犬などではない。

(おわり)
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