◆三島由紀夫の遺訓◆ (514レス)
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448: 名無しさん@お腹いっぱい。 [] 2011/07/19(火)20:18 ID:cPSUDHt5(1/5)
しかし、ぼくだって、ぼくなりに戦争を見ているんですよ。たとえば勤労動員に行って、仲間が艦載機の機関銃に
やられて、魚の血みたいなのがいっぱい吹きだしているのを見たり、まあ多少は知っているんです。そして
「平家物語」ほどではないけれども、人間はすぐに死ぬんだ、死ねばどうなるかということを認識したんです。
これは相対的な問題なんで、おれは死体を百も見たから、三つしか見ないお前より戦争体験が深刻なんだ、とは
言えないし、おれはお前より貧乏だったから、だから偉いんだぞとも言えないはずです。(中略)
殺された側の人間はどうだとか、テロリズムはいけないとか、そういう思考は戦後ずっとつづいてきているし、
ぼくはもう聞き飽きたんです。ロシア革命だってフランス革命だって、貴族はみんな殺されているんですよ。(中略)
二・二六事件で感心するのは、女や子供をひとりもやっていない点ですね。これは立派だと思います。女や子供を
殺すのはキタナイですよね。
三島由紀夫
古林尚との対談「三島由紀夫 最後の言葉」より
449: 名無しさん@お腹いっぱい。 [] 2011/07/19(火)20:20 ID:cPSUDHt5(2/5)
古林:現在の文壇にはセックス小説、姦通小説が氾濫していますよね。セックスがマイ・ホーム主義的な秩序の破壊、
つまり反体制なものとして各作家の意識にとらえられているわけです。三島さんにも「美徳のよろめき」のような
作品がありますが、しかしこれは背徳の美学の追求であって、セックス描写があるわけではない。(中略)
現体制の頽廃をののしり、新しい社会正義の樹立を目ざす三島さんが、この風潮に無関心であるのは不思議ですね。
三島:(中略)だけど、いまの相対主義的な世界におけるエロティシズムというのは、フリー・セックスでしょう。
なんにも抵抗がない。あんな絶対者にかかわりを持たぬセックスなど、ぼくはエロティシズムとは呼びたくないですね。
ぼくの考えでは、エロティシズムと名がつく以上は、人間が体をはって死に至るまで快楽を追求して、絶対者に
裏側から到達するようなものでなくちゃいけない。だから、もし神がなかったら、神を復活させなければならない。
神の復活がなかったら、エロティシズムは成就しないんですからね。
三島由紀夫
古林尚との対談「三島由紀夫 最後の言葉」より
450: 名無しさん@お腹いっぱい。 [] 2011/07/19(火)20:21 ID:cPSUDHt5(3/5)
三島:ぼくは吉本隆明の「共同幻想論」を筆者の意図とは逆な意味で非常におもしろく読んだんだけれど、
やっぱり穀物神だからね、天皇というのは。だから個人的な人格というのは二次的な問題で、すべてもとの
天照大神にたちかえってゆくべきなんです。今上天皇はいつでも今上天皇です。つまり、天皇の御子様が次の
天皇になるとかどうかという問題じゃなくて、大嘗会と同時にすべては天照大神と直結しちゃうんです。そういう
非個人的性格というものを天皇から失わせた、小泉信三がそれをやったということが、戦後の天皇制のつくり方に
おいて最大の誤謬だったと思うんです。そんなことをしたから、天皇制がだめになったとぼくは思っているんです。
それはあなたのおっしゃる政治的に利用された絶対君主制=天皇制というものと、ぜんぜん意味が違うんです。
小泉信三はぼくの、つまりインパーソナルな天皇というイメージをめちゃくちゃにしたやつなんです。
三島由紀夫
古林尚との対談「三島由紀夫 最後の言葉」より
451: 名無しさん@お腹いっぱい。 [] 2011/07/19(火)20:22 ID:cPSUDHt5(4/5)
三島:ぼくは死の問題について彼ら(全共闘)に期待していませんよ。つまり彼らが革命のために死ぬかどうか
という点を、ぼくはずっと注意して見てきたけれど、彼らは革命のためには死なないね。明治維新のときは、
次々に志士たちが死にましたよね。あのころの人間は単細胞だから、あるいは貧乏だから、あるいは武士だから、
それで死んだんだという考えは、ぼくは嫌いなんです。どんな時代だって、どんな階級に属していたって、
人間は命が惜しいですよ。それが人間の本来の姿でしょう。命の惜しくない人間がこの世にいるとは、ぼくは
思いませんね。だけど、男にはそこをふりきって、あえて命を捨てる覚悟も必要なんです。維新にしろ、革命にしろ、
その覚悟の見せどころだとぼくは思うんだが、全共闘には、やっぱり生命尊重主義というか、人命の価値が
至上のものだという戦後教育がしみついていますね。
三島由紀夫
古林尚との対談「三島由紀夫 最後の言葉」より
452: 名無しさん@お腹いっぱい。 [] 2011/07/19(火)20:23 ID:cPSUDHt5(5/5)
古林:マイ・ホーム主義の限界をウーマン・リブで衝き破ろうとする動きもあるのですが、これは……。
三島:バカの骨頂ですね。
女が女であることを否定したら損だということが理解できないんですね。ただバカな女どもですよ。
古林:(戦後は)やはり余生という意識がありますか。
三島:いまだにあります。(中略)天皇陛下バンザイというその遺書の主旨は、いまでもぼくの内部に生きて
いるんです。だから死ぬとき、もう遺書を書く必要はない。(中略)あれを書いたときのぼくは子供だったが、
もう二十にはなっていたんだから、あの時点で十分に自分のすべてを自覚的に注ぎこめたと思うんです。もちろん、
あの時代特有のふんい気、少年らしい気どりやミエ、それから世間体もあったでしょう。ですけど、遺書を
書いちゃったんですからね、自分の意志で。ぼくは、あれから逃れられない。いつでもそう思っています。
だから余生です。
三島由紀夫
古林尚との対談「三島由紀夫 最後の言葉」より
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