◆三島由紀夫の遺訓◆ (514レス)
前次1-
抽出解除 必死チェッカー(本家) (べ) 自ID レス栞 あぼーん

リロード規制です。10分ほどで解除するので、他のブラウザへ避難してください。
50: 名無しさん@お腹いっぱい。 [] 2011/02/05(土)15:47 ID:Z0PuMpFe(1/4)
Q――若い人に対して、自由と規律について。

三島:十代二十代といふのは、身体の中に力がいつぱい余つてをりますからね。これを外へ爆発させたいといふ
気持があります。しかし、その力がどつちへ行くかわからないから、それに方向を与へてやらなければならないのです。
そのためには、剣道なりスポーツなりをやらせるのは非常に有効なんです。彼等は自分でもどうしたらいいのか
解らないのですから、どうしても必要ですね。
僕はいつも思ふんだけど、みんな青年に達したら団体訓練をやらせるといいと思ふんです。なにも戦争をやれと
いふのではないのですが……。それも義務的に一度団体訓練を経験させるといいと思ひます。
むかし、村落共同体には「宿」といふものがあつて、そこで団体訓練をうけてきました。もつと古くは、
成年式みたいなものがあつて非常に厳しい訓練を受け、辛ひ思ひをしてやつと一人前の男と認められたのです。

三島由紀夫「三島由紀夫先生を訪ねて――希望はうもん」より
51: 名無しさん@お腹いっぱい。 [] 2011/02/05(土)15:49 ID:Z0PuMpFe(2/4)
ところが現代社会は技術の社会ですから、団体訓練が全くいらなくなつて、技術的知識が一人前であれば、一人前の
人間として認められる社会ですから、訓練ができてゐません。人間は技術的ないしは行政的知識だけでは絶対に
足りないと思ひます。人間には身体があるんだから、身体からしみこむものが必要です。

Q――「剣」のなかに「強く正しい者になるか、自殺するか、二つに一つなのだ」といふ文章がありますが……。

三島:この世の中で強く正しく生きるといふことは不可能なことです。みんな少しづつ汚れてゐます。生きてゐると
いふことは汚れてゐることですからね。

三島由紀夫「三島由紀夫先生を訪ねて――希望はうもん」より
52: 名無しさん@お腹いっぱい。 [] 2011/02/05(土)15:52 ID:Z0PuMpFe(3/4)
Q――先生の皇室観について。

三島:僕は、天皇制といふものは、制度上の問題でもなく、皇居だけの問題でもない。日本人の奥底の血の中に
あるもので、しかもみんな気付いてゐないものだと思ひます。だからどんな過激なことをいつてゐる人でも、
その心の奥をどんどん掘りかへしていくと、日本人の天皇との結びつき、つまり天皇制といふものの考へが
ひそんでゐると思ひます。我々は殆(ほと)んど無意識のうちに暮してゐますけど、心の奥底で、天皇制と国民は
連なつてゐるのだと思ひます。それを形に表はしたのが皇室なんです。
ですから皇室で一番大切なのはお祭りだと思ひます。“お祭り”を皇室がずつと維持していただく、これが一番
大切なことです。歴代の天皇が心をこめて守つて来られた日本のお祭りを、将来にわたつて守つていただきたいと
思ひます。

三島由紀夫「三島由紀夫先生を訪ねて――希望はうもん」より
53: 名無しさん@お腹いっぱい。 [] 2011/02/05(土)15:58 ID:Z0PuMpFe(4/4)
Q――現代かなづかひについて。

三島:僕は今の若い人は現代かなづかひでなければ小説など読まないと思つてゐたんですけど、かならずしも
さうではないやうです。
言葉をいぢるといふことは、言葉の魂をいぢることで、日本人の歴代を人為的にいぢるのと同じことです。
僕は大嫌ひですね。言葉を大切にしない民族は、三流ですよ。

Q――先生は「文章読本」の中で、プロとしての文章家を一般と区別してをられますが……。

三島:プロといふのは僕達のことです。文章といふのは、誰れにも書けるやうで書けないものなんです。音楽でしたら
勉強しなければ出来ないとはつきりしてゐるが、文章は誰れでも書けると思つてゐるんです。そこに錯覚があると
思ひます。
しかしプロといつても、何でも書けるか、といつたらさうでもない。私が大蔵省に入つたとき大臣の演説文を
書かされましたがね、(中略)僕達の文章では大臣の演説文は書けない。そのかはり大臣の演説を書かしたら
素晴らしい名文を書く人がゐます。そのかはり小説は書けない。

三島由紀夫「三島由紀夫先生を訪ねて――希望はうもん」より
前次1-
スレ情報 赤レス抽出 画像レス抽出 歴の未読スレ AAサムネイル

ぬこの手 ぬこTOP 0.021s