◆三島由紀夫の遺訓◆ (514レス)
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218: 名無しさん@お腹いっぱい。 [] 2011/02/26(土)11:00:09.33 ID:ZzjT4LFl(2/6)
二・二六事件は昭和史上最大の政治事件であるのみでない。昭和史上最大の「精神と政治の衝突」事件であつた
のである。そして精神が敗れ、政治理念が勝つた。幕末以来つづいてきた「政治における精神的なるもの」の底流は、
ここに最もラディカルな昂揚を示し、そして根絶やしにされたのである。
勝つたのは、一時的に西欧的立憲君主政体であり、つづいて、これを利用した国家社会主義(多くの転向者を
含むところの)と軍国主義とのアマルガムであつた。私は皇道派と統制派の対立などといふ、言ひ古されたことを
言つてゐるのではない。血みどろの日本主義の刀折れ矢尽きた最期が、私の目に映る二・二六事件の姿であり、
北一輝の死は、このつひにコミットしえなかつた絶対否定主義の思想家の、巻添へにされた、アイロニカルな死に
すぎなかつた。

三島由紀夫「二・二六事件について」より
329: 名無しさん@お腹いっぱい。 [] 2011/04/08(金)20:19:15.33 ID:7bgK+PRV(2/2)
私の肉体はいはば私のマイ・カーだつた。この河は、マイ・カーのさまざまなドライヴへ私を誘ひ、今まで
見なかつた景色が私の体験を富ませた。しかし肉体には、機械と同じやうに、衰亡といふ宿命がある。私は
この宿命を容認しない。それは自然を容認しないのと同じことで、私の肉体はもつとも危険な道を歩かされて
ゐるのである。

三島由紀夫「無題(『三島由紀夫展』案内文 肉体の河)」より

この河と書物の河とは正面衝突する。いくら「文武両道」などと云つてみても、本当の文武両道が成立つのは、
死の瞬間にしかないだらう。しかし、この行動の河には、書物の河の知らぬ涙があり血があり汗がある。言葉を
介しない魂の触れ合ひがある。それだけにもつとも危険な河はこの河であり、人々が寄つて来ないのも尤もだ。
この河は農耕のための灌漑のやさしさも持たない。富も平和ももたらさない。安息も与へない。……ただ、
男である以上は、どうしてもこの河の誘惑に勝つことはできないのである。

三島由紀夫「無題(『三島由紀夫展』案内文 行動の河)」より
437: 名無しさん@お腹いっぱい。 [] 2011/07/12(火)10:38:03.33 ID:kYaIUYdr(4/5)
子供の雑誌なんかをみていますと、手塚治虫などがやはり神話を書いている。たとえば神武天皇など他民族を
侵略した蛮族の酋長にしている。日本に古代奴隷制なんてないんですが、奴隷たちが苦しめられて鞭で打たれて、
そこで金の鳥が弓の上にとまったりして、それで人民を威嚇して……と、全部そういう話です。
ぼくは大学生が白土三平のマンガを読むのはまだいいと思う。それは唯物論をかじってからマンガを読むんだから
まだいい。あるいはマンガで唯物論をかじるにしてもです。だけど小学生や子供が読むのは、大学生が読むのとは
違うでしょう。これがなんでもないような女の子向きのマンガの中に、支配階級を倒せとか、資本主義はいかんとか、
それがたくみにしみ込むように織りこんである。大人が神経をつかっても、いつのまにか侵入してきているんですよ。
(中略)とにかく厚顔無恥というのが彼らの特質ですね。

三島由紀夫
小汀利得との対談「天に代わりて」より
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