【隔離スレ】 刑法の勉強法 02 【避難所】 (330レス)
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225: 元ヴェテ参上 ◆JEhW0nJ.FE [sage] 2015/01/01(木)15:21 ID:rbqjqrtc(1/4)
本スレ49が立たないようなので、中断していた各論の講義案を続けることにします。
刑法各論講義案 第8講 占有の概念(2)
2 事実上の支配
Fさん、【百選27】(昭和32年11月8日)の判旨を読んでください。
有難うございました。
このように、公共の場所に放置した場合であっても、一定の客観的状況のもとに占有者の支配が
場所的・時間的に延長されていることが推知しうる範囲内に置かれた物は、その物に対する支配力
が客観的に延長され、その物に対していつでも影響可能ですから、占有された物といえます。
ところが、スーパーの6階のベンチの上に財布を置き忘れたが、約10分後に地下1階で思い出し
引き返したが、盗まれていたという事案では「客観的にみて、被害者の本件札入れに対する支配力
が及んでいたとはたやすく断じ得ない」として占有は否定されました(東京高裁平成3年4月1日)
村役場の事務室内(大正2年8月18日)、電車・列車内(大正10年6月18日、大正15年
11月2日)等のように、一般人の出入りが自由であって排他的支配が十分に及んでいない場所に
置き忘れた物については、直ちにその管理者の占有に移るわけではありません。この場合、車掌の
支配が及ばないので、占有離脱物となります、
公衆電話機内に残された硬貨について電話局長の管理が認められるとする判例(東京高裁昭和33年
3月10日)には疑問があります(西田・山中)
3 占有の意思
占有の意思とは、財物を事実的に管理支配する意思です。自宅内にある財物、不在中に自宅の郵便箱
に配達された郵便物についても占有の意思は認められます。不断の意識を要せず、潜在的占有意思で
足りますから、就寝中や仕事に熱中しているときにも占有の意思は認められます。
226: 元ヴェテ参上 ◆JEhW0nJ.FE [sage] 2015/01/01(木)18:26 ID:rbqjqrtc(2/4)
刑法各論講義案 第9講 本権説と占有説(1)
1 学説の分布
窃盗罪の保護法益をめぐっては、以前から、所有権その他の本権とする?本権説と、財物を所持して
いる事実状態とする?占有説(前田・大谷)が対立してきましたが、最近では、?修正本権説(平川
・曽根・林幹人)、?一応合理的理由のある占有説(西田・山口・山中)、?平穏な占有説(平野)
などの中間説が有力となっています。
?修正本権説は、本権説を基礎としながら、私法上権利と認められていなくとも、占有を保持する
正当な権限が認められれば保護されるとする見解です。
?一応合理的理由のある占有説は、裁判時に正当な権限が認められなくとも、行為時に正当な権限が
あると一応合理的理由をもって認められる場合には保護されるとする見解です。
?平穏な占有説は、占有説を基礎としながら、窃盗犯人の占有のように平穏でない占有を除外する
見解です。
注意が必要なことは、上記のどの見解を採るにせよ、本権と占有の双方が窃盗罪の保護法益と解され
なければならないことです。
?本権説から本権だけが保護法益で、占有侵害は単なる行為態様にすぎないと解することjは、242条
の規定とそぐわず、横領罪との区別の点でも疑問があります(山口)
また、?占有説からも、占有の背後に存在している本権は、占有と並ぶ保護法益と解されなければなりません。
そうでなければ、窃盗犯人による盗品の事後処分が不可罰的事後行為と解されていることや、親族相盗例
(244条)における親族関係が所有者と占有者の双方と必要と解されていることが(平成6年7月19日)
説明できなくなるからです。
窃盗罪の保護法益をめぐる議論は、242条にいう「占有」の意義の解釈として現れてきます。
227: 元ヴェテ参上 ◆JEhW0nJ.FE [sage] 2015/01/01(木)20:07 ID:rbqjqrtc(3/4)
刑法各論講義案 第9講 本権説と占有説(2)
2 判例の変遷
戦前の判例は、242条の規定は、占有者が適法な占有権をもって所有者に対抗しうる場合に限り
適用があると判示して、?本権説的な立場に立っていました。その代表的判例である大正7年9月
25日は、法律に違反して担保に供した恩給証書を債務者が債権者から欺く手段を用いて取り戻した
という事案について、債券者は恩給証書を所持する権利を有していないから、債務者がこれを取り
戻しても窃盗罪・詐欺罪は成立しないと判示しました。
これに対して、戦後の判例は、?占有説的な立場に立っています、まず、判例は、盗品や隠匿物資を
所有者以外の者が奪取した事案について、社会の法的秩序を維持する必要から、物の所持という事実
上の状態それ自体が独立の法益として保護されると判示して奪取罪の成立を認めました(昭和24年
2月8日、昭和24年2月15日)
さらに、昭和34年8月28日は、法律に違反して担保に供した国鉄年金証書を債務者が欺く手段を
用いて取り戻した事案について、大正7年の上記大審院判例を変更して、詐欺罪の成立を認めました。
比較的最近の判例としては、平成元年7月7日が、買戻約款付自動車売買契約による金銭の貸付けを
行っていた貸主が、借主が占有する自動車を承諾なしに引き揚げた、という事案について、仮に借主
の買戻権喪失により貸主に自動車の所有権があったとしても、窃盗罪が成立すると判示しています。
もっとも、戦後の判例が窃盗罪等の奪取罪の成立を認めてきた事案は、?修正本権説や?一応合理的
理由のある占有説からもその結論を支持しうるものであることに注意が必要です。
228: 元ヴェテ参上 ◆JEhW0nJ.FE [sage] 2015/01/01(木)20:50 ID:rbqjqrtc(4/4)
刑法各論講義案 第9講 本権説と占有説(3)
3 占有説の問題点
占有説は、自力救済を禁止して社会秩序を維持しようとする見解だといえます。しかし、窃盗罪は、
社会の平穏を侵害する罪ではなく財産犯なのですから、保護に値する財産的利益のない占有まで
刑罰で保護すべきではありません。
占有説は、占有それ自体を保護に値する財産的利益と考えっているのかもしれませんが、
民事判例(昭和40年3月4日)が、占有回収の訴え(民法200条)に対して、本権に基づく反訴
を提起することを認めていることに示されているように、所有者との関係で占有それ自体が法的保護
に値する財産的利益といえるかは疑問です。
占有説の論者は、構成要件レベルで窃盗罪を認めても、実質的違法性判断のレベルで行為者側の事情を
考慮すれば、妥当な結論を得ることができると主張しますが(前田・香城元判事)、このような違法
レベルでの解決には以下のような疑問があります。
まず、自救行為による違法性阻却は、実務上きわめて限定された範囲でしか認められておらず、処罰
範囲を適切に限定できるか疑問があります。
仮に、占有説の論者が、所有者による物の取り返しに広く違法性阻却を認めるべきだと考えているので
あれば、そのような限定は、窃盗罪のの構成要件の解釈として行われるべきです(西田・林幹人)。
犯罪構成要件を実質的に解して、これを保護に値する利益の侵害類型に限定すべきことを強調する前田
教授が占有説を採るのは「奇妙なことである」という批判(中森)は、当たっていると思われます。
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