【隔離スレ】 刑法の勉強法 02 【避難所】 (330レス)
【隔離スレ】 刑法の勉強法 02 【避難所】 http://lavender.5ch.net/test/read.cgi/jurisp/1400312201/
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151: 元ヴェテ参上 ◆JEhW0nJ.FE [] 2014/07/13(日) 14:56:34.28 ID:Unkcvyox 刑法各論講義案 第1講 刑法における「人」の保護(1) はじめに 下期は刑法各論がテーマです。総論は議論が抽象的で、また、私が結果無価値論と行為無価値論の対立軸を中心として述べたため、やや分かりにくかった面も あったかと思いますが、各論は、例えば殺人罪、窃盗罪、放火罪、文書偽造罪、収賄罪といった各犯罪類型に即した法益の保護が中心論点となりため、理解 しやすいと思います。 総論と同様、毎回配布するレジュメと百選を素材として講義を進めたいと思います。 なお、総論においては、行為無価値論を代表する団藤=大塚説が重きをなしていましたが、各論においては、両先生の教科書がやや古く(団藤各論は1990年、 大塚各論は2005年)新しい論点に触れられておらず、その後の法改正に対応していないこともあって、重要性は低下し、代わって団藤=大塚説を基本的に継承する 大谷各論(2013年)、結果無価値論の立場から、西田各論(2012年)、前田各論(2011年)、山口各論(2011年)、山中各論(2009年)が重要です。 結果無価値論の基礎を築いたのは、平野博士の『刑法概説』(1977年)です。行為無価値論の中森各論(2011年)もその簡にして明な記述から根強い人気があります。 興味のある方は、どれか1つを選んで読んでみてください。 因みに司法試験受験生の間では西田各論がトップシェアを占めているようです。 1 問題の所在 刑法において「人」という場合、ます思い浮かぶのは殺人罪(199条)の客体としての「人」です。ここでは「人」の始期と終期が問題となります。 「人」以前の段階は「胎児」として堕胎罪(212条以下)のの対象となります。また、ヒト生命体の原初形態である体外受精卵=ヒト受精卵も議論の対象となりますが、 ここでは割愛します。 さらに「人」の死後は全く保護されないのかが問題となります。 次に、「人」には自然人のほかに法人も含まれ、法人が加害者となる場合と、法人が被害者となる場合があり、いずれもトピックな話題ですが、、 ここでは後者のみ取り上げます。 【続く】 http://lavender.5ch.net/test/read.cgi/jurisp/1400312201/151
152: 元ヴェテ参上 ◆JEhW0nJ.FE [] 2014/07/13(日) 15:39:42.20 ID:Unkcvyox 刑法各論講義案 第1講 刑法における「人」の保護(2) 2 人の始期 ?分娩(陣痛)開始説(ドイツ・オーストラリア・フランスの通説) ?一部露出説(判例・通説) ?全部露出説(民法の通説、平野) ?独立呼吸説 ?によれば、陣痛の開始後は、母体内においても人であり、早きに失します。 ?によれば、出産の後、独立呼吸までは堕胎罪・殺人罪による保護の間隙が生じます。 ?説は「胎児の身体の全部が母体から露出したとき」と定義しますが、いかにも遅きに失します。 胎児の身体の一部が母体から露出したときは、外部からの直接の攻撃が可能となりますので、?一部露出説が妥当です。 ?説によると、一部露出後に、「胎児」に、生命には危険のない傷害を加える行為については。傷害罪が成立せず、 胎児傷害は不可罰であるから堕胎罪も成立しないことになり、処罰の間隙が生じます。 【続く】 http://lavender.5ch.net/test/read.cgi/jurisp/1400312201/152
153: 元ヴェテ参上 ◆JEhW0nJ.FE [] 2014/07/13(日) 16:49:51.95 ID:Unkcvyox 刑法各論講義案 第1講 刑法における「人」の保護(3) 3 胎児性致死傷 胎児性致死傷とは、母体を通じて胎児に傷害を加えたところ、障害を負った人が出生し、あるいは、その傷害が原因となって、出生後、その人が死亡した場合をいいます。 昭和40年代後半、熊本水俣病事件で大きな社会的問題となりました。 この場合に、殺人罪ないし傷害罪が適用できるかが問題となります。現行法上、堕胎は故意犯に限って処罰されており、過失堕胎罪は不可罰です。 また、過失致死傷罪の客体は「人」に限られています。この点がネックなのです。 Aさん、【百選3】(昭和63年2月29日)を読んでください。 有難うございました。 この最高裁の理論に対しては、次のような批判がなされました。 ?胎児傷害が母体傷害であるとすると、妊婦が自己の身体の一部を傷害する自己堕胎(212条)は、自傷行為として不可罰のはずである。 ?その他の堕胎罪は、すべて母体に対する傷害罪となるはずであり、独立処罰の意味がなくなる。 ?胎児を殺害した場合に適用される不同意堕胎罪(215条)の法定刑(懲役7年)と、胎児に傷害を与えたにとどまる場合に適用される傷害罪(204条)の 法定刑(懲役15年)では、傷害罪の方が重く均衡を失する。 ?胎児が傷害を負ったが出生の前に死亡した場合にも、出生前に治癒した場合でも、傷害罪が成立することになる。 学説のサイドにおいても、被害者を救済すべく、藤木博士を中心として様々な理論が提唱されました。 ?作用必要説(平野) 傷害行為の作用が出生した以後における人に継続して及んでいる場合に限り、人に対する罪を構成する。 ?母体一部傷害説(昭和63年2月29日) 胎児は母体の一部であるから胎児に傷害を加えることは人(母体)に対する傷害となる。 ?母体機能傷害説(藤木) 正常な子供を出産する母体の機能を害するという意味において母体に対する傷害を認める。 ?作用不問説(藤木・板倉) 人に傷害・死亡の危険を有する行為をなし、その結果として人に致死傷を生ぜしめた以上、その作用が胎児に及んだか人に及んだかとは関係なく、人に対する罪が成立する。 しかし、学説の大勢は、刑法は堕胎の罪によって胎児の生命を独立に保護しているから、実行行為の時に胎児であったものについては、堕胎の罪以外に成立する余地がない という否定説を採っています(大塚・大谷・中森・西田・前田・山口) 【続く】 http://lavender.5ch.net/test/read.cgi/jurisp/1400312201/153
154: 元ヴェテ参上 ◆JEhW0nJ.FE [] 2014/07/13(日) 16:59:35.74 ID:Unkcvyox 刑法各論講義案 第1講 刑法における「人」の保護(4) 4 人の終期 ?心臓死説 ?呼吸停止説 ?総合判定説(? http://lavender.5ch.net/test/read.cgi/jurisp/1400312201/154
155: 元ヴェテ参上 ◆JEhW0nJ.FE [] 2014/07/13(日) 17:35:25.14 ID:Unkcvyox 刑法各論講義案 第1講 刑法における「人」の保護(4) 4 人の終期 ?心臓死説 ?呼吸停止説 ?総合判定説(三兆候説)−大谷・中森・前田 心臓の鼓動と自発呼吸の不可逆的停止および瞳孔反応の消失の三兆候を総合して判断します。 ?脳死説(平野・西田) 従来は総合判定説が通説であり、心臓・肺・脳の機能停止の間には大きな時間的差異は生じなかったのですが、人工呼吸器によって心臓を鼓動させることが 技術的に可能となって、?説と?説の対立が生じることになりました。 解釈論としては、脳死状態に至った患者の人工呼吸器を取り外したとき、殺人罪が成立しうるのか、また、患者から臓器(とくに心臓)を移植のために摘出することが 殺人罪となるのか死体損壊罪が成立するのかという点に現われます。 その後、1997年に臓器移植法が施行され、詳論は避けますが、「玉虫色」の解決を図っており、決着をみていません。 したがって、臓器移植法施行後は 「心臓死を前提としつつ、臓器移植の場合に限って、臓器提供者(ドナー)の事前の自己決定と家族の同意を条件として脳死を死と認めたもの」(西田) あるいは「原則として総合判定説を採用し、臓器移植法の適用のある場合のみ脳死説を採用している」(山中) と云わざるを得ません。 【続く】 http://lavender.5ch.net/test/read.cgi/jurisp/1400312201/155
156: 元ヴェテ参上 ◆JEhW0nJ.FE [] 2014/07/13(日) 19:38:24.45 ID:Unkcvyox 刑法各論講義案 第1講 刑法における「人」の保護(5) 5 死 者 刑法典には、死者の名誉、身体、財産を客体とする規定があります。すなわち ?死者の名誉棄損を処罰する230条2項 ?死体損壊等を処罰する190条 ?墳墓を発掘して死体等の損壊を処罰する191条です。 その他、強盗殺人罪に関し「死者の占有」が問題とされることがあります。 (1)死者の名誉棄損 死者の名誉棄損については、保護法益について争いがあります。 ?死者自体の名著とする説(通説=大谷・山口・山中) ?遺族の名誉とする説 ?遺族が死者に対して抱く敬虔感情とする説(中森・前田) 法文に「死者の名誉を毀損した者」とある以上、?の通説が妥当でしょう。 (2)死者の占有? 死者の占有が問題となる事例として論じられる類型は、次の三つです。 ?@)最初から財物奪取の意思で殺害し、死者から財物を奪う場合 ?A)殺害後に初めて財物奪取の意思を生じ、死者から財物を奪取した場合 ?B)第三者によって殺害された被害者から財物を奪取する場合 ?@)については強盗殺人罪(240条)が、?B)については遺失物横領罪が成立するというのが通説・判例です。 問題は?A)の場合です。 ?遺失物横領罪が成立するとする説(平野・大谷・中森・西田・山口・山中) ?窃盗罪が成立するとする説(団藤・大塚・前田) ?強盗罪が成立するとする説(藤木) Bさん、【百選28】(昭和41年4月8日)を読んでください。 有難うございました。 このように、判例は死者の占有を認め、?窃盗罪説に立っています。 しかし、最初から殺害を手段とする場合との重要な相違は、本事例では、殺害 行為の故意に担われる行為とその後生じた盗取の故意に担われた行為とは別個 の行為であり、行為者の行為を全体として一連の行為とみなすことはできない 点であり、?遺失物横領罪説が妥当であると思われます。 【続く】 http://lavender.5ch.net/test/read.cgi/jurisp/1400312201/156
157: 元ヴェテ参上 ◆JEhW0nJ.FE [] 2014/07/13(日) 21:15:38.06 ID:Unkcvyox 刑法各論講義案 第1講 刑法における「人」の保護(6・完) 6 法 人 。 総論では「法人に犯罪能力はあるか」という議論がありましたが、ここで述べるのは被害者としての法人です。 (1)脅迫罪・強要罪 脅迫罪の被害者は自然人に限り、法人は含まれないというのが通説・裁判例です(大谷・中森・山口。東京高裁昭和50年7月1日など) しかし、西田博士は次の理由で法人に対する脅迫罪を肯定します。 ?本罪の保護法益を私生活の平穏・安全感とするのであれば、被害者は自然人に限るのが素直であろう。しかし、 意思決定の自由に対する危険犯とするのであれば、法人も機関を媒介として意思決定をなしうる。 ?両罰規定の解釈として、法人の犯罪能力を肯定し、法人の機関の過失が法人の過失たりうることを認めるのであれば 脅迫罪に関しても同様の理論構成により法人に対する脅迫を肯定する余地がある。 また、強要罪については次のように述べています。 ?脅迫罪と異なり、強要罪の保護法益は明らかに意思決定の自由である。法人もその社会的実態において 財産権や社会的名誉の主体たりうることは認められている。 ?法人にも、その機関や代表者を介して、法人の意思決定およびそれに基づく法人の行動が観念しうる以上、 脅迫罪の主体たりうる。 山口教授は、脅迫罪については否定するものの、強要罪については肯定しています。 (2)名誉棄損罪・侮辱罪 名誉棄損罪・侮辱罪の「人」とは自然人のほか法人等の団体を含むとするのが通説・判例です。 (名誉棄損罪については大正15年3月24日、侮辱罪については昭和58年11月1日) 団藤博士は、法人に対する侮辱罪を否定されます。侮辱罪の保護法益を名誉感情ととらえ、 法人に名誉「感情」は存在し得ないから、法人に対する侮辱罪は成立しないとするのです。 しかし、後で述べるように、侮辱罪の保護法益も名誉感情ではなく外部的名誉と捉えるべきであり、 博士の見解に賛成することはできません。 【終わり】 次講は「遺棄とふ http://lavender.5ch.net/test/read.cgi/jurisp/1400312201/157
158: 元ヴェテ参上 ◆JEhW0nJ.FE [] 2014/07/13(日) 21:24:20.94 ID:Unkcvyox 刑法各論講義案 第1講 刑法における「人」の保護(6・完) 6 法 人 。 総論では「法人に犯罪能力はあるか」という議論がありましたが、ここで述べるのは被害者としての法人です。 (1)脅迫罪・強要罪 脅迫罪の被害者は自然人に限り、法人は含まれないというのが通説・裁判例です(大谷・中森・山口。東京高裁昭和50年7月1日など) しかし、西田博士は次の理由で法人に対する脅迫罪を肯定します。 ?本罪の保護法益を私生活の平穏・安全感とするのであれば、被害者は自然人に限るのが素直であろう。しかし、 意思決定の自由に対する危険犯とするのであれば、法人も機関を媒介として意思決定をなしうる。 ?両罰規定の解釈として、法人の犯罪能力を肯定し、法人の機関の過失が法人の過失たりうることを認めるのであれば 脅迫罪に関しても同様の理論構成により法人に対する脅迫を肯定する余地がある。 また、強要罪については次のように述べています。 ?脅迫罪と異なり、強要罪の保護法益は明らかに意思決定の自由である。法人もその社会的実態において 財産権や社会的名誉の主体たりうることは認められている。 ?法人にも、その機関や代表者を介して、法人の意思決定およびそれに基づく法人の行動が観念しうる以上、 脅迫罪の主体たりうる。 山口教授は、脅迫罪については否定するものの、強要罪については肯定しています。 (2)名誉棄損罪・侮辱罪 名誉棄損罪・侮辱罪の「人」とは自然人のほか法人等の団体を含むとするのが通説・判例です。 (名誉棄損罪については大正15年3月24日、侮辱罪については昭和58年11月1日) 団藤博士は、法人に対する侮辱罪を否定されます。侮辱罪の保護法益を名誉感情ととらえ、 法人に名誉「感情」は存在し得ないから、法人に対する侮辱罪は成立しないとするのです。 しかし、後で述べるように、侮辱罪の保護法益も名誉感情ではなく外部的名誉と捉えるべきであり、 博士の見解に賛成することはできません。 【終わり】 次講は「遺棄と不保護」です。 http://lavender.5ch.net/test/read.cgi/jurisp/1400312201/158
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