【Wizardry】ウィザードリィのエロパロ18【総合】 (134レス)
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112: 鑑定士 ◆RDYlohdf2Q [sage] 08/24(日)18:43 ID:IZDKWqyN(1/6)
私は道中ずっと自分の直感が正しいのか考え続けていた。あの部屋で
ドア越しに聞こえた音。気配。どこかで感じた覚えがある。一人の男の可能性が
突然頭にふっと思い浮かんだ。最初はありえないと思い直したが、
時間が立つほどに絶対にあの男だと強意見する頭の何処かの声が、無視できない
ほど大きくなっていった。
彼にそんな力がないことは理解している。でも私は自分の勘を信じてみることにした。
この第六の感覚には今まで何度も助けられてきた。こういう一大事で外れたことがない。
A Cotと書かれた看板が見える所まで来ると、遠目に、手の妙なところに剣が
吸い付いた小人とその介添が、二人で大きな桶をいくつも重ねて歩いている姿が見えた。
二人のうちの一人と目が合った。小人たちは自分を見ると、不自然なほど焦りながら姿を
消したように見えた。それは何の根拠もなかったが、自分の中で予感が確信に変わるのを
感じられた。
怒りに震える感覚は久しぶりだ。それでも頭の中は驚くほど冷静だった。
神経を集中させて、A Cotの看板が掲げられた突き当たりの通路を曲がった。
いつもの廊下は、不思議なほど静かだった。ドアはどこも開けっ放しで、簡易寝台の
どの部屋もベッドは空だった。奥の部屋に近づくにつれて騒がしい音が聞こえてきた。
鑑定屋の男の部屋は、彼の友人たちと思しき人々が集まっていた。こちらの姿を見た
人混みから歓声が上がった。廊下でいつもすれ違う飲んだくれのエルフが、酒瓶片手に
手を振って、艶めかしく手招きした。
「いらっしゃあい、素敵なお嬢さん。パーティへようこそ」
面食らってしまった。彼らの反応は思っていたものとは全く異なる。部屋の奥を見ると、
桶を抱えて体を小刻みに震わせている男の周りを、簡易寝台の住人たちが賑やかに
取り囲んでいる。床には沢山の酒瓶や何某かの薬瓶が散らばっていた。木桶を抱えた
男の背中を、ドワーフの僧侶がずっとさすっていた。
「やあ、どうしたんだ女主人様」
ドワーフは苦笑いをしながら、こちらを見上げた。
「すまないね。こいつに用があるんだろ。こいつがこうなっちまったのは
おれたちのせいなんだ」
右手に呪われたショートソードを握りしめたホビットが、棒きれのように剣ごと手を
振り回しながらお辞儀をして進み出た。
「貧民の祝賀会へようこそ、女王陛下! 悪いな。おれたちが飲ませすぎて旦那は
当分使い物にならんよ」
「天上のいひゃいなるご主人ひゃま、おれらになにか用? ねえ!」
歯のないノームが目を合わせないように、だがはっきりと自分に向けて言った。
ノームはお辞儀をするホビットの頭を叩いてげらげらと笑い出した。自分は場違いな
ところに来てしまったのではないかと後悔し始めた。
桶を抱え込んで俯いていた司教が、手を上げて、周囲に合図した。部屋にいた人々は
一斉に男を見た。男は青ざめた顔でこちらを向いた。男は割れたしゃがれ声で『はい』と
挨拶をした。戸惑いながら、私は男に話しかけた。
* * *
113: 鑑定士 ◆RDYlohdf2Q [sage] 08/24(日)18:45 ID:IZDKWqyN(2/6)
普段見慣れない町娘のような格好で、くノ一は俺を見下ろしていた。妹さんとお揃いの服だ。
顔を直視できない。抑えていても、気配から凄まじい怒りを感じる。
「どうして私がここに来たのか、ご存知かしら?」
はい。俺を殺すためですね。わかります。
「今しがた宿屋の警備が厳しくなったのは知ってるかしら。私の部屋に怪しい男が入ったせいよ」
なんて答えたらいいんだよ……程々に元気よく、しかし不審になりすぎない程度の絶妙な
音量によるシンプルな回答が一番だな。
『ばい』
ヤクの過剰摂取とゲロ吐きたての喉で声が出ねえ。
「宿屋の主人が発表した罪状はロイヤルスイートの窓ガラスの破損。彼に言わせれば大事件だそうよ」
『……ばい?』
……はい? 何言ってんのあの親父。馬鹿じゃないの。婦女暴行事件のほうがオオゴトだろがあ?!
「それで」
言葉の途中で、くノ一は両手を組み合わせたまま腕を下ろした。俺の様子をずっと見ている。
どうする俺。どうする俺? どうすんだ俺! またゲロ吐きそう。もう胃の中何も残ってないのに
内臓まで全部吐きそう。薬なんて使うんじゃなかった。
ごめんなさい。なんてことしでかしたんだ俺。どうしよう、俺何回死んだら許される?
だめだ、もう持たん。もう自白するしかない。
* * *
「何かあったのですか?」
ドワーフの横で控えていたヒューマンの女僧侶が、怪訝な顔で尋ねてきた。
声に聞き覚えがあったが、すぐに誰だったのか思い出せなかった。
しばらく相手の顔を見つめて、やっと思い出した。三つ隣の部屋でひたすらDIOSを
唱え続けていた女の声だ。顎が曲がっていたと聞いていたが、見た目が綺麗だ。
顔に少し麻痺が残っているようで、隠そうとしているが発音が舌足らずに聞こえる。
「ごめんなさい、ベランとわたしがお祝いしようってみんなに声をかけたんです。
彼、今誰と話しているのかもわかってないですよ。彼が仕事から帰って来て
ずっと飲ませていました。思ったより人が集まったのもだから」
「彼には世話になったからな」
痩せこけた青白いヒューマンの司教が相槌を打った。
「同業者の転職祝いですよ旦那様。あなたのお陰でおれの恩人が司教に戻れそうなんですよね」
桶を抱えていた男がうめいた。かすれた声で『よしてくれ』と言ったのだとわかった。
肩に入っていた力が急に抜けた。恥ずかしい。ここぞというところで自分の勘が外れるなんて。
もう自分が信じられなくなった。どうして最初にこの男を疑ったのだろう?
この男は、最も尊敬するシーフの元同業者なのだ。彼女に言わせれば、彼女の元いた
頭のいかれたパーティの中で、最もまともな男のはずだ。彼はずっとこの部屋で古馴染み
たちと飲み明かしていたのだろう。
「ええ、お祝いを言いに来たのよ。おめでとうって彼に伝えて」
桶を抱えた司教はまだ呻いていた。代わりに女僧侶が、怪訝そうに聞いてきた。
「その、なにか大事があったのですか?」
「ええ」
もう声に力が入らなくなっていた。
「にゃぁひぃ盗まれひゃんで?」
甲高い声でノームが尋ねた。
「私の宝物、それと、色々。でも、犯人の目星はついてるわ」
女僧侶は息を呑んだ。騒がしくしていた簡易寝台の住民たちも、静まり返った。
私は壁に向かって言った。
「宿の主人が言っていたの。犯人はニンジャよ。腹が立つほどタフな男みたい」
集まった人々がざわめいた。私は振り向いて、もう一度、犯人と目星をつけた男を見た。
タフとは程遠い、くたびれた人間だ。集まった住民たちに
「彼に伝えておいてくれない。一週間後にここで会いましょうって。今はまだ心の整理がついてないの」
とだけ告げると、私は逃げるように男の部屋を去った。
114: 鑑定士 ◆RDYlohdf2Q [sage] 08/24(日)18:46 ID:IZDKWqyN(3/6)
ざわめきが遠のき、頭は呆然としていて足だけが動いていた。
無力感に押しつぶされそうだった。もう自分の勘は頼りにならない。
指はとっくの昔にガラクタだ。自分にはなにもない。
腕っぷしはある方だと思っていたのに、何の役にもたたなかった。
親友も仲間も肉親も、誰も守れなかった。
A Cotの看板を曲がると、そこには宿屋の主人が立っていた。
「やあ、お嬢さん」
主人は口を緩めて言った。笑顔だが、目には殺気がこもっている。
「収穫はあったかい?」
私は小さく首を振った。
「あてが外れちゃった」
言葉と同時に、自分の中から何か大切なものまで抜け落ちるような気がした。
「どいつだ?」
ぎらついた目で主人は言った。
「一番奥の部屋の人」
「へえ」
初老の男は口元をすこしだけ緩めた。
「失礼だが、あなたがあの男を疑った根拠を伺いたいものですな」
「根拠もなにもないわ。でも……あの時、ドアの向こうから音が聞こえたの。
間延びして引きずっているみたいな足音だった。いつも聞いてた音とはちがうけど、
なんとなくあの人の顔が思い浮かんだの」
緩んでいた宿の主人の顔が険しくなった。
「それなら、十二分に謹聴に値する意見だ」
「でも彼、違ったわ。友達みんなでずっとここで飲んでたんだって」
「あれがそう言っているだけだろ?」
「彼が一人でそう言ってただけなら、私は笑顔で彼の首をぶら下げて来ているでしょうね。
この辺りの宿泊者全員に聞いてちょうだい。みんな彼の部屋にいたわ」
「そいつは妙だね」
「お祝いをしていたのよ。彼、随分慕われているみたい。あの人、私のパーティに入ることになったの」
「ほおう」
宿の主人は、意外そうに軽く開いたこぶしを唇の下に当てた。
「あのS.O.B(畜生野郎)をあなたのパーティにか?」
「レベルは低いけど、腕のたつ司教よ。怒鳴らないし、腹のたつ嫌味な言葉も使わないわ。
ちょうど、ものを教えられそうないい人を探していたの」
「あれはもう冒険者としては盛の過ぎた男だよ。あいつがあなたのパーティに
今更何を教えられるんだ?」
「妹のためだったの。だけどもう彼は必要ないわ。一週間後に、彼との契約は打ち切るつもり」
喉からは掠れた音しか出なかった。宿屋の主人は手を打ちならした。
「わかった。あなたがそう言うのなら、きっとそうなんだろう。ビラを刷らないといかんな。
犯人は、また一から探し直しだ」
それだけ言うと、主人は首を振り、踵を返して立ち去った。
* * *
115: 鑑定士 ◆RDYlohdf2Q [sage] 08/24(日)18:48 ID:IZDKWqyN(4/6)
くノ一がもう安全だという距離まで離れるのを確認する間、俺の共謀者たちは
ヤケクソでお祭りの演技を続けていた。彼女が本当に立ち去ったことを斥候役の
マイクが宣言すると、演技じゃない本当の歓声が湧き上がった。
それからなし崩し的に飲めや騒げやの突発的な祝賀会に発展し、やっと静かに
なったのは夜も更けきる頃になってだった。なんやかんや世話を焼こうとする
ご近所をなんとか丁重に追い返して、俺はベッドの上で意識朦朧としながら
相変わらずゲロ桶を抱えてぐったりとしていた。ベランの話では毒が抜けるまで、
とにかくどこからでも良いから出し続けることが治療だそうだ。
部屋には同業者連中の手によって大量の水瓶が届けられた。
深夜に差し掛かる頃に、俺の部屋をノックする音が聞こえた。
もうお見舞いはいいよ……頭痛がひどすぎて眠れない。頼む一人にしてくれ。
二回目のノックで、俺は目をかっぴろげた。A Cotの住民がやるようなノックじゃない。
くノ一でもない。なんとか体を起こして、俺はジジイのような足取りでドアに向かった。
ドアを開けると、そこにいたのは宿屋の主人だった。
俺の思考は完全に停止した。
やばい。ばれてた。今死ぬのか俺。
「ブック」
『ぐえぇあ? ぁばい』
「呪文書を用意しろと言ったんだ。あんた、久しぶりの授業の時間だ。
冒険に行ったんだろ、なあ坊や」
忘れてた。そうだったわ。俺、迷宮に潜ったんだったわ。
『ずいまぜん、ばい、ずぐにごびょういじまず』
「声でないのか?」
『ずびばぜん、飲みずぎで』
「困るねえ、あんた。まあいい。簡易寝台の“お客様”だ」
初老の男は『お客様』という言葉をことさら強調した。
「一週間以内なら構わん。講義の場所は覚えてるか?」
『ぐえぇ、ばい』
「賭けてもいい。あんたはきっと二日酔いじゃ済まされないだろう。
木曜のこの時間に講義堂に来い。いいな」
意外なことに初老の男は笑顔を浮かべていた。
『ばい』
宿屋の主人は扉を閉めた。俺はしばらく扉の前で呆然としていた。
俺は夢遊病患者みたいにベッドに戻った。ゲロ桶をベッドの下にそっと蹴りこみ、
俺はベッドに転がった。今日は眠れるはずがないと思っていたのに、目をつぶった
途端に意識がなくなった。
* * *
116: 鑑定士 ◆RDYlohdf2Q [sage] 08/24(日)18:50 ID:IZDKWqyN(5/6)
それから数日間、俺のまともな記憶は無い。吐いたり下痢したり、
なんだかわからないスープのようなものを飲まされたり、それだけだ。
あの薬が完全に抜けるには、それだけかかった。ベランに言わせれば、
すぐにクレンジングオイルを使わなきゃこんなものじゃ済まなかったそうだ。
頭と金玉と財布がすっからかんになって、俺はようやく本当の正気になる
ことができた。
食事は同業者たちが代わる代わる運んできた。ありがたいより情けない
気持ちでいっぱいだ。二日目になって、俺は運んでくる連中の変化に気がついた。
「マイク?」
俺は一人でスープの盆を運んできたマイクに声をかけた。マイクの手には、
もはや体の一部と化していたあのショートソードがなかった。俺は右手を持ち上げて、
左手の人差しで何度も叩いて見せた。
「おや、今頃気づいたかい旦那」
マイクは自慢げに、指を広げて振ってみせた。掌は一面青黒い痣になっているが、
マイクの右手には何も付いていない。
「あんたのゲロを始末し続けたおかげさ」
マイクは肩に斜めがけに吊るした聖布の包を指さした。間違いない。
布に包まれているがマイクの手に吸い付いていたショートソードだ。
そうか、クレンジングオイルは本来そういう使い方をするもんだった。
「ホリーは感謝していたぜ。トビーやマズルもだ。A Cot中の鑑定士がみんなが
あんたのゲロでじゃぶじゃぶ洗う姿は、変わり種の地獄みたいな絵面だったけど」
俺はその図を想像しようとしたが、脳みそが働かない。むしろ働かなくて良かった。
「ダーは心底喜んでいた。最初に気づいたのはあいつだ。ゲロまみれの手袋をはずしたらずるんって」
マイクは右手で左手の掌をつかんで勢いよく滑らせた。
「気がおかしくなったんじゃないかって心配しちまったぐらいだ。みんなあんたに感謝している」
「俺のおかげじゃない」
「そうだな。あんたは勝手にそう思ってるだけでいい」
「ぐぅ」
急に吐き気が込み上げてきた。すっかり慣れた動きで、俺はベッドの下のゲロ桶を蹴り出して、
かがんだ。マイクは去り際に「返しきれない借りができちまったよ」という言葉を残して、
部屋を出ていった。
スープが冷めきるまで、俺はゲロ桶の前に膝をついて呆然とし続けた。
* * *
117: 鑑定士 ◆RDYlohdf2Q [sage] 08/24(日)18:52 ID:IZDKWqyN(6/6)
彼女との再開日の前夜は眠ることができなかった。
わかっている。おそらく、あの三人のうちの誰かは確実に俺を殺すためにくノ一には
真実を知らせるはずだ。あるいは本人が自らの手で俺にとどめを刺すつもりだろう。
眠れないまま、俺は横にもならずベットに腰掛けていた。
ここ数日間で体中の水分と栄養はほとんどケツとゲロから流れ出た。身体は重だるく、
脳みそは完全にガラクタに成り下がっている。俺は明け方前にうつらうつらしだした。
よりによって今眠気が来やがった。なんとか朝まで粘るために、俺は椅子に座り、
ぼんやりテーブルを眺めていた。
体を揺すられて、俺は目を覚ました。いつの間にか朝だった。
机に突っ伏したまま寝ていたらしい。横を見るとフラウドがいた。
「大丈夫ですか、先生?」
「起きなさい、お寝坊さん。朝食の時間よ」
正面にはくノ一がいる。二人とも笑顔だ。
あれ、なんだこれ、夢?
走馬灯って実際に起ったことだけじゃなくて都合の良い妄想も見ることができんの?
ガシャンという音とともに俺を乗せたまま椅子が引かれた。のけぞった俺の両肩に
ずっしりした何かが乗った。
恐怖にかられて横目で見る。
Gloves of Silver、売値30000ゴールド、オーケイ。
「おはよう」
頭上から柔らかい声が振ってきた。あーそうですよねぇ、世の中そんな都合の良いこと
あるわけ無いっすよね、振り向きたくないがもう仕方がない。三人はくノ一の手を汚させず
自分の手で始末するつもりだ。
両手をなにやらちっこい手とシャイアらしき手に引っ張られ俺は椅子から引き剥がされた。
つんのめりながら、俺はテーブルに突っ伏しそうになりうっかり後ろを振り向いた。
三人ともそこにいた。
シャイアとフローレンスさんは笑顔だった。チビだけは前回見たような迷宮と同じ装備で、
フードを目深に被っているせいでわからんが。シャイアは探索用の服じゃなかったし、
妹さんも小手だけで、街を歩くような服装だ。
「ちゃんとベッドで寝ろよ。体に悪いぞ」
「外、天気いい。空気吸うの、体にとてもいい」
二人がテーブルまで来て俺に言った。にこやかで明るい声だ。
あれ? どういうこと? 俺殺されるんじゃなかったの? ひょっとして、ひょっとしてだが、
もしかすると、あの三人に飲ませた媚薬だけは効果が永続的だったのか?
え、うそぉ?! いいの? 俺生きてて良いの?!
ふと正面をみるとくノ一が俺に笑いかけている。いや、違った。妹さんの顔をみて笑っていた。
つまり、これが最終審判だったってことか。なるほど、三人を俺のところにつれてきて確かめたのか。
ハハッ、まじで今日生き延びて良いのか?
「それじゃあ酒場に行きましょう」
くノ一と妹さんが、二人がかりでテーブルに腹ばいになってる俺を起こしてくれた。
ああ、いい。ずっとこうしていたい。いやしかし、本当に大丈夫なのか?
幸せすぎてだんだん不安になってきた。
「ありがとうございます。その、着替えたいので、少しだけ一人にさせてもらえますか」
頭の整理がつかない。これよりマシな服などないが、とにかく一瞬でも一人にしてもらいたくて、
俺は言った。
「酒場でドレスコードなんて気にしちゃいないよ」
シャイアが俺の手を掴んだ。初めてのことだ。シャイアは手袋をしていなかった。
チビが俺の反対の手を握り、妹さんが俺の肩に手を優しく置いた。シャイアは鼻歌すら歌っている。
後ろからは妹さんのハミングまで聞こえてきた。まさか、本当に、信じられないことだが、
あの媚薬はやはり永続効果があるのか。
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