【電波的な彼女】片山憲太郎作品【紅】 5冊目 (775レス)
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742: [sage saga] 2016/12/01(木)01:16 ID:qO1WsCuS(27/43) AAS
「もっと簡単にいきましょうか。私は、貴女のことが憎いです」
「好きか嫌いか、と聞かれれば...そうですね、やっぱり嫌いです」
曖昧に濁された質問の答えを、あえてはっきりと断言した夕乃の瞳には
情の一欠片も残されていなかった。
人間味を一切廃しながらも、半端でない程の強烈な怨みの感情が
紫の無防備な心を叩き潰そうと一斉に襲いかかる。
「後から出てきて、私が生涯の伴侶と決めた真九郎さんを掻っ攫い」
「関わらなくてもいい事にまで首を突っ込ませ、死なせかけた」
「貴女が奥ノ院にずっといれば、真九郎さんは私だけを見てくれた」
「これが私が貴女を憎む理由」
夕乃の放つ恐ろしい負の感情の前に、紫は恐怖の涙を流した。
だが、心の底では夕乃が自分を憎む理由も理解できていた。
真九郎が家を出て一人で暮らす前は、夕乃が真九郎にとっての
心の支えだったのだろう。家族を失った真九郎が在りし日のように
心からの笑顔を取り戻すのはとても困難な事だったはずだ。
それは、真九郎の心の闇に踏み込んだ自分が一番分かっている。
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