[過去ログ] 【電波的な彼女】片山憲太郎作品【紅】 (771レス)
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756: 伊南屋 ◆WsILX6i4pM 2007/02/05(月)00:10 ID:KoEzCqF9(2/4) AAS
まさか、自分の突進すら利用されるとは。《鉄腕》は己の勢いも乗せられた一撃を受け、そのダメージによろめく。
――しかし、それは相手も同じ。ただでは済んでいないはず。
ならば、今が好機。先に仕掛けた方が圧倒的有利だ。
《鉄腕》は腕を降りかぶり――それが出来なかった。
「なにぃ!?」
鋼の義手は、今や無様なブリキ細工の如くひしゃげていた。
先の一撃に耐えきれなかったらしく、関節部を中心に、大破している。
――バカな。
《鉄腕》が、破られた。その事実に驚愕を抑え切れず呻く。
「なんなんだ、貴様ぁっ!」
有り得ない。
自分の攻撃に耐え、あまつさえ《鉄腕》を砕く。
戦闘屋でもなければ、生粋の戦士ですらない。
その気迫は本物なれど、詰まるところは一人の国主。戦いが本業ではない。
では何故、戦闘屋の自分が追い詰められるのか。
有り得ない。有り得ない。有り得ない。
ぐるぐると混乱する思考。恐怖に囚われたそれは冷静を欠く。
「お、うぉおっ!」
腕は動かない。《鉄腕》はショルダータックルをかます。
しかし――
「ぅらあっ!」
ジュウは、それをタックルで迎え撃った。
投げ出された大剣は、先の激突の影響だろう。所々刃こぼれしていた。
肉体と肉体が激突する。
根本的な質量の違いに、ジュウは弾かれそうになるも、脚を踏ん張り耐える。
地を抉り、ジュウの足元が沈む。
ぎりぎりとせめぎ合う両者は互いに一歩も退かない。
「ふんっ!」
「おぉっ!」
力比べ。まるで極東の格闘技“相撲”の様に、二人は押し合う。
均衡は《鉄腕》から崩れた。
「はぁっ!」
四つに組んだ体を離し、脚を蹴り上げる。ジュウは側頭部を強打され、よろめく。
再びタックル。ジュウの体が、今度は弾き飛ばされる。
地を転がり、止まる。
――今度はどうだ。
頭部への打撃。それは致命傷になりうる必殺の一撃だった。
そのはずなのに――
「何故、立ち上がる……」
――金髪の少年は不適な笑みを浮かべ、ゆっくりと立ち上がる。
「何故、立ち上がる貴様ぁっ!」
「寝てる理由が無いからな」
血を流し、泥に塗れても。それでも少年は立ち上がる。
「……っ死ねぇ!」
絶叫。《鉄腕》が、再度ジュウに突撃する。
だが、それは届くことはなかった。
「がっ……!」
《鉄腕》がくぐもった悲鳴を上げる。その胸に咲くは、一輪の紅い花。
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