[過去ログ] 【電波的な彼女】片山憲太郎作品【紅】 (771レス)
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699: 伊南屋 ◆WsILX6i4pM 2007/01/20(土)23:16 ID:Su7byAgy(3/7) AAS
答えようとした真九郎より先に紫が名乗る。九鳳院という単語を出した事に真九郎とジュウ。二人は冷や汗を流した。
まわりを眺めれば、紫の声は店内の喧騒に紛れたらしく、こちらを注視している者はいない。
銀子も一瞬、驚きの表情を見せたが騒ぐ事はせず、しゃがんで紫に視線を合わせると柔らかい笑みを浮かべた。
「よろしく、紫ちゃん」
ジュウはそれを見て意外に思う。冷徹そうだった表情から一転、慈母のような微笑みを浮かべる事が出来たのか。
それを見てなんとなく、短い時間ながら銀子という少女の少女の人となりが分かったような気がした。
冷静沈着、しかし情に厚く思いやり深い。それが銀子の本質であるように思う。
「じゃあ、アレってあなた達絡みなのかしら」
呟いた銀子の台詞に、ジュウと真九郎は疑問符を浮かべる。
「アレってなんだ?」
真九郎の質問に、銀子は若干声を落として答えた。
「街外れの森で、怪しい奴らが集まってるって話。“商売柄”そういう情報が入ってくるから。」
そこで銀子は溜め息を一つ漏らす。
「そこにこんな大物二人を――名乗らなくても紫ちゃんでない方が誰かは分かるわ。その二人を連れて真九郎が来たのよ。関係を疑っても仕方ないでしょ」
その答えにジュウは驚く。夕乃もそうではあったが、銀子の今の口振りからすると自分が誰であるか一目で看破したらしい。
「まあ周りは気付いてないけど、もう少し自分の身を隠す事を覚えたらどう?
ジュウ“様”」
確定だ。名乗っていないジュウの名と、それに様を付けた事実。それは言外に自分が国王・柔沢ジュウであると知っている事を物語っていた。
「まあ、そんな事はどうでも良いのだけれど。……真九郎」
瞳に真剣な光を宿して、銀子が言った。
「早く注文してくれる? 今、忙しいのよ」
続
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