福田恆存 (56レス)
上下前次1-新
1 2017/10/30(月) 01:39:31.72 ID:OYftdLJx(1)
なかったので
2 2017/10/30(月) 01:57:46.35 ID:ihvwa5w6(1)
>>1
乙です
3 2017/10/30(月) 02:43:07.05 ID:Q7AbpFov(1)
乙です
4 2017/10/30(月) 14:03:31.52 ID:1rOULlDJ(1)
チェーホフ論は秀逸
言いたいことはそれだけ
5 2017/11/18(土) 18:02:33.02 ID:KTXHZfey(1)
福田恆存だけは批評が生きていると言ったのは誰だっけ
6 2017/11/18(土) 20:29:41.01 ID:p5wdPtIq(1)
安吾
7 2017/11/30(木) 18:05:18.56 ID:m6GW4g+C(1)
「戀する女たち」を讀んでゐるが、自画自賛するだけあつて名譯だと思ふ。
飜譯家としてももつと評価されてもよいのではなからうか。
8 2018/03/29(木) 00:42:04.12 ID:qWvnYIs/(1)
保守とは何か (文春学藝ライブラリー)
福田 恆存 (著), 浜崎 洋介 (編集)
出版社: 文藝春秋 (2013/10/16)
国家とは何か (文春学藝ライブラリー)
福田 恆存 (著), 浜崎 洋介 (編集)
出版社: 文藝春秋 (2014/12/18)
人間とは何か (文春学藝ライブラリー)
福田 恆存 (著), 浜崎 洋介 (編集)
出版社: 文藝春秋 (2016/2/19)
9 2018/04/10(火) 22:28:36.08 ID:JN6WR8nv(1)
評論集、品切れや絶版が多くなってきた。
10 2019/06/26(水) 18:21:35.64 ID:Ls2zUvVD(1)
「私の國語教室」に震えた…。
11 2019/07/20(土) 19:51:35.70 ID:ELmN4CpG(1)
かきくけ16
12 2019/11/20(水) 18:24:49.65 ID:0sIdbkBm(1)
https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784168130847
「人間の生き方、ものの考え方」が文庫(文藝ライブラリー)化。
どうせなら「日本を思ふ」(文庫版)も文藝ライブラリーに入れてほしいな。
13 2020/03/04(水) 18:28:02.25 ID:avtH9fM6(1)
小林直樹氏が死去 東京大名誉教授
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO56332900T00C20A3000000/
当用憲法論で福田が大江をからかった(君、天皇を国民の象徴って思ってるの?)
NHKの座談会での司会の人か。
小林氏は「自衛隊は違憲合法」なんて現実離れした珍説を唱えた人で、当時はこれがまかり通ってたなんて
福田恆存の苦労が偲ばれる。
14 2020/09/14(月) 16:10:28.92 ID:ifqn3bck(1)
ロレンスのアポカリプス論の翻訳を読んで
訳文が見事にこなれた日本語なんで
ちょっと衝撃を受けた記憶がある
15 2020/09/26(土) 19:34:42.78 ID:SQCgBS/M(1)
私の人間観(仮)福田恆存(著/文)
発行:ビジネス社
四六判304ページ定価 1,800円+税
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784828422220
覚書の単行本化らしい。
16 2020/12/02(水) 11:06:41.34 ID:nAbFEp9E(1/2)
私の國語教室
難しすぎるから誰か解説してくれ
17 2020/12/02(水) 11:52:15.59 ID:nAbFEp9E(2/2)
私の國語教室を理解できた人間って文学好きの中でも少ないと思う
18 2020/12/16(水) 18:10:15.82 ID:Nb2ZEbc0(1)
全集2冊買った
19 2021/06/09(水) 01:18:04.81 ID:Unl2o1RJ(1)
死ねカタカナ語話者
20 2021/06/09(水) 01:31:18.03 ID:2Pu4BzTn(1)
新潮文庫のシェークスピアの翻訳ではお世話になりましたよ
21 2023/01/19(木) 20:15:37.06 ID:YgNms6pU(1)
規制解除されてる
22 2023/10/09(月) 11:24:49.85 ID:dt2yMv55(1)
月刊正論2023年11月号 創刊50周年〜不易の「正論」
●軍人とユーモア--国民である前に国際人たれ<昭和51年8月号掲載>/評論家 福田恆存
23 2024/04/27(土) 17:48:42.20 ID:qEiq3WLU(1)
脚本家・山田太一さんの「わが人生最高の10冊」
「人間」という手に負えない存在
1位:メイ・サートン『回復まで』
2位:フェルナンド・ペソア『新編 不穏の書、断章』
3位:グスタフ・ヤノーホ『カフカとの対話 手記と追想』
4位:宮本常一『忘れられた日本人』
5位:寺田寅彦『柿の種』
6位:吉本隆明『吉本隆明 最後の贈りもの』
7位:福田恆存『日本への遺言 福田恆存語録』
8位:鶴見俊輔『鶴見俊輔集』(全12巻)
9位:吉野弘『吉野弘詩集』
10位:谷川俊太郎『谷川俊太郎詩集』
『週刊現代』2015年12月19日号
24 2024/04/30(火) 14:07:36.72 ID:VtkeetCQ(1)
AGE
25 2024/05/22(水) 00:57:25.69 ID:hnFlVqzx(1)
福田恆存 (ふくだ つねあり、1912年8月25日 - 1994年11月20日) は、日本の評論家、翻訳家、劇作家、演出家として、多岐にわたる分野で活躍した人物です。その業績は現代文化に大きな影響を与え、今日に至るまで多くの人々に愛され続けています。
26 2024/06/18(火) 01:44:42.23 ID:fhuFAuoq(1)
岩井秀一郎 新刊『軍務局長 武藤章』
福田恆存も在野だったな。ただし、私は学歴の点でも在野の学者という
と、森銑三を真っ先に思い浮かべる。
2024年6月3日
ESPRIMO侍@ 江戸回帰派
エドマンド•バーク、アレクシ•ド•トクビル、福田恆存、サミュエル•P•ハ
ンティントン、ジョン•ミアシャイマー、ジョン•ケネス•ガルブレイス、宇
沢弘文、森島通夫、マイケル•ハドソン、セルゲイ•カラガノフ
2024年6月7日
トラッパー
『保守反動思想家に学ぶ本』、日本保守の現実主義が結局のところ高坂正
堯ー吉田茂のラインを超えられないまんま長期の経済低迷を続けてる現状
を鑑みたときに同じような論を展開できるのかどうか
福田恆存ですら保守思想としては耐用年数過ぎたんじゃねえかとか思える
というと言い過ぎか
2024年6月15日
ミスター
今のイスラエルをみると福田恆存が擁護した朴正煕を思い出さずにはいら
れない。
2024年6月16日
福田恆存(思想・文学)
阪本昌成(憲法・政治)
高坂正堯(防衛・外交)
柳田國男(民俗・日本)
に蓮實重彦の映画が入ってる感じ。
2024年6月18日
27 2024/06/29(土) 03:16:12.87 ID:fKd8saYy(1)
金原微小播
素朴な疑問だが、柄谷行人って、1970年代前半、俗な布置においては、江
藤淳の弟子・後釜として見られていたこともあったわけで、ある旧世代に
とっては、保守派・右派として数えられていた例もあったのだろうか? そ
んな匿名批評をある雑誌で読んだのだが(かなり誤読の産物に思えた)。
2024年6月10日
28 2024/07/23(火) 21:10:20.15 ID:Q3l0d/At(1)
安田鋲太郎@楽しい蘊蓄
福田恆存は、政治=合理主義の役割は九十九匹のためにあって文学はどう
やってもそこからこぼれる一匹のためにあるというが、カウンターカルチ
ャーの興隆のように「政治は自分の領分じゃない」という人間ばかりやた
ら増えるとそれはそれで困る。大多数の人は合理的に思考してくれないと
なあ、と思った。
2024年6月27日
浪曼派bot(捌)
文学と生活、芸術と実行という関係のなかでいわゆる貴族主義者たちは芸
術一辺倒ですましていることを、私にはどうしてもできなかった。それは
下町で育つというところにも理由はあるかもしれない。
支配欲と権力欲への視角/福田恆存
2024年7月22日
私は貴族主義的だとみなされることが少なくないが、実は、私はそうでは
ないつもりなのです。ロレンスの中にも自我を克服する、あるいは自我を
越える過程で、謙遜と同時に傲慢が出てくる逆説的な面がある。
支配欲と権力欲への視角/福田恆存
2024年7月23日
〔福田の〕政治理論は、近代日本の前衛的知識人における、概念による自
己劇化の志向(私小説も小林多喜二も保田與重?カも武井昭夫もそのヴァリ
エーションにすぎない)がもたらす大衆との遊離を、大衆のエゴイズムと
いう基盤から批判し、そこから漸進的な改良主義を打出している
福田恆存/磯田光一
2024年7月23日
29 2024/09/02(月) 20:00:59.14 ID:DBhqVcFe(1/2)
ByBee.。.:*♡
私たちは認識のためにも、行動しなければならぬ。そして失敗するだろ
う。それが悲劇の型である。喜劇は、このいきちがいからの脱出を描く、
それだけのちがいだ。
─ 福田恆存
人間・この劇的なるもの(1956)
Aug 25 1912 🇯🇵 - Nov 20 1994
#LiteraryMan
思想家、評論家、作家、翻訳家
1935年に東京帝国大学文学部英吉利文学科卒業後(現・東京大学)、中学
教師、編集者などを経て、日本語教育振興会に勤める傍ら、芥川龍之介論
などの文芸評論や翻訳を手がけた。
戦後の著書
近代の宿命、私の幸福論、平和の理念、平和論にたいする疑問など。『私
の國語教室』では、国語問題について歴史的仮名遣い擁護の立場で論じて
いる。
翻訳多数
ロレンス『アポカリプス』
シェイクスピア全集
オスカーワイルド『ドリアングレイの肖像』
バーナードショー『聖女ジャンヌ・ダーク』
シェイクスピアのハムレット
翻訳 福田恆存
新潮文庫版の102刷146万部を超えたロングセラー
2024年8月31日
30 2024/09/02(月) 22:08:11.78 ID:DBhqVcFe(2/2)
渋谷遼典
なるほど、1993年に中央公論で「巻頭論文」の連載を嶋中鵬二に頼まれた
橋本治は、昭和の亡霊としての福田恆存を「擬く」ところから始めたの
か……と独り合点している
2024年8月7日
Tadashi T.
最近とみに増えているのは、福田恆存の評論はたくさん読むのに、演劇随
筆や戯曲は読まない人ですね。劇作と演出が本領の人で、それを応用して
評論活動をした人だと思うのですが……『龍を撫でた男』『キティ颱風』
『解ってたまるか!』とか面白いのに……
2024年8月28日
國士と小津の関係ですか……わたしは小津を小学生時分に祖母によって観
せられてしまい、あの頃のような純粋な気持ちで観られないので、いまは
避けています。ただ……國士は国内の影響関係が薄い印象があります。國
士のあとには福田恆存や飯沢匡、木下順二の世代がいるわけです。
2024年9月1日
31 2024/09/07(土) 18:06:32.70 ID:09lFhYES(1/5)
「芸術を顕し、芸術家を覆い隠すことが芸術の目標である」(オスカー・
ワイルド『ドリアン・グレイの肖像』福田恆存訳、新潮社)
「或る芸術作品に関する意見がまちまちであることは、とりもなおさず、
その作品が斬新かつ複雑で、生命力に溢れていることを意味している。批
評家連の意見が一致しないとき、芸術家はまさしくおのれ自身と調和して
いる」(オスカー・ワイルド著、福田恆存訳『ドリアン・グレイの肖像』
新潮文庫)
「表面より下に至らんとするものは、危険を覚悟すべきである。象徴を読
みとろうとするものは、危険を覚悟すべきである。芸術が映しだすもの
は、人生を観る人間であって、人生そのものではない」(オスカー・ワイ
ルド著、福田恆存訳『ドリアン・グレイの肖像』新潮社)
32 2024/09/07(土) 18:14:01.09 ID:09lFhYES(2/5)
西尾 反社会的な事件が起きても、別な価値体系から祭り上げられて
(略)何もしない方がいい、すること自体間違っているのではないかと言
うような……
福田 間違っているかどうか、わからないにしても、しがいがない、徒労
だ、という感じがしますね
支配欲と権力欲への視角/福田恆存・西尾幹二
芸術と実行という問題は、まだまだ日本の文学では問題になっている。だ
けど、そのときに、私がいつも素人でいろ、素人を大事にするという考え
方と関連があるけれども、私は芸術よりも実行を大事にしてしまうんです
ね。
支配欲と権力欲への視角/福田恆存
自分だけ正しいという偽善的正義派を攻撃するときに、ロレンスのアポカ
リプス論くらい、便利なものはない。(略)だから、私はもっぱらロレン
スをやるようになったといえる。
支配欲と権力欲への視角/福田恆存
寄宿舎生活をやったことがない。(略)毎日、家に帰ると親父、お袋がい
る。いまでいう庶民ですね。だから、学校で友だちと話し合ってきたこと
は通じないんですよね。その落差の中に、いつも悩んでいた。(略)毎
日、毎日その落差に悩んでいた。
支配欲と権力欲への視角/福田恆存
33 2024/09/07(土) 18:15:04.90 ID:09lFhYES(3/5)
権力対反権力、体制対反体制というとき、反体制がそのまま反体制にとど
まっているのかどうか。また反権力を主張する人たちが権力なきものであ
るかどうかというと、すでにそうではなくなってきている。権力を持って
きているのです。
支配欲と権力欲への視角/福田恆存
民衆は皆権力に対する憧れを持っている。これをどうしたらいいか、それ
をロレンスは“古代異郷”の世界にもっていくのだが、これは彼のフィクシ
ョン、いまさら古代異郷の世界にかえってもどうにもならない。この問題
が解決できない限り、どうにもならない
支配欲と権力欲への視角/福田恆存
ロレンスのように現代人は愛し得ないのではないか、ということをいって
も始まらない。愛したらいいではないか、愛そうと努力したらいいのだ、
ということにならざるを得ない。
支配欲と権力欲への視角/福田恆存
弟子達の英雄崇拝に耐えられないのはイエスが貴族主義的だともいえます
が、寧ろ、それはイエスの弱さ、というより優しさによると言えるので
す。つまり、イエスにはあつかましさ、図々しさがない。だから、人がよ
く言う貴族主義とは逆の現象です
支配欲と権力欲への視角/福田恆存
34 2024/09/07(土) 18:16:07.28 ID:09lFhYES(4/5)
出来ることをするといふ。それはよい。が、やがてそのうちに、それで何
でも解決できると思ひあがりはじめたのが、現代における進歩主義の迷妄
ではないか。人と人との結びつき以外に信ずべきものはないといふ、この
単純な真理に、私達はもう一度、立ちかへるべきである
進歩主義の自己欺瞞/福田恆存
敗戦によつて得た自由は、日本の一般大衆にとつて重荷であつたばかりで
はなく〔略〕日本の進歩主義にとつて重荷だつた〔略〕「配給された自
由」といふ言葉の内容は、大衆の頼りなさに向けられたものであるより
は、その監視役の頼りなさに向けられたものであつた。
進歩主義の自己欺瞞/福田恆存
ユーモアとは〔略〕感情も知性と同じ資格と権利とを有することを、私た
ちの生全体をもつて容認することだ。過去も未来と同様の生存権を有し、
未来も過去と同様に無であることを、私たちの現在を通して知ることだ。
そこにしか私たちの「生き方」はない。
進歩主義の自己欺瞞/福田恆存
35 2024/09/07(土) 18:17:06.57 ID:09lFhYES(5/5)
自然は変化し進歩するものである。進歩は自然そのものである。〔略〕善
悪を越えた必然だといふことに過ぎない。さらに言へば、それは最も良き
場合においてさへ、それ自身に固有の必然悪を伴ふと同時に、最も悪しき
場合においてさへ、それ自身に固有の必然善を伴ふ。
進歩主義の自己欺瞞/福田恆存
どうして「すべてか無か」といふやうな、そしてつねに「無」に帰してき
た無謀な闘争を気楽にくりかへして来られたのか。が、彼等に向つてそれ
を言ふのは野暮であらう。むしろすべてを無に帰せしめたはうが、かへつ
てすべてを得る道だと、彼等は考へてゐるであらう。
進歩主義の自己欺瞞/福田恆存
現実や理論ではなく、気分に関するかぎり、そのつど絶望がやつてくる。
そのかはり、時期が過ぎれば、なんのことはない、忘れたやうにけろりと
してゐる。その点だけは、彼等の姿勢はつねに前向きであつた、次の絶望
にそなへて。
進歩主義の自己欺瞞/福田恆存
36 2024/09/08(日) 18:00:56.94 ID:OhTjeRhf(1/5)
たしかに獨歩は透谷=獨歩=藤村といふ文学史的必然によつて裁断されう
るであらう、が、同時に、透谷=藤村と手を握りあはさせておいて、彼の
み文学史の表面から姿を消し、十数年の潜行ののち芥川龍之介とつながる
なにものかをもつてゐたのである。
近代日本文学の系譜/福田恆存
獨歩の民衆の悲しみに対する同情が、その自然観と運命感とを貫いて、少
年や変質者に対する異常な関心にまで深まつていつたことは、やはり当時
の精神主義に対する逆説的な反抗と見なければならない。現実の暗面にぶ
つかつた自我の幻滅などでは決してなかつた。
近代日本文学の系譜/福田恆存
鷗外は偉大を“創造する”かはりに、平凡を“渉猟する”。心理の委曲を“臆測
する”よりは、一蘭学者が某月某日、某職の辞令を拝した“事実”のはうが、
はるかに大切なのである。このささやかな事実のうちに鷗外の自我はかへ
つて安定の場所を得る。
近代日本文学の系譜/福田恆存
藤村は、自我の必然に対して手を拱いてゐた――それゆゑにリアリズムの
代りに抒情と詠歎とがその作品を一貫して流れてゐる。それはまさしく陶
酔に似たものである。彼はあらゆるものを宿命と眺め、社会的な相互関係
や倫理すらも人為のよくしえぬものと諦観してゐる。
近代日本文学の系譜/福田恆存
37 2024/09/08(日) 18:01:52.66 ID:OhTjeRhf(2/5)
「ああ、自分のやうなものでも、どうにかして生きたい」といふ〔略〕藤
村のこの言葉ほど自然主義文学の現実に対するかかはりを端的に肉体化し
てゐるものはないが、〔略〕このやうにひねくれたいぢらしさは、それだ
けですでに悪ではなからうか。
近代日本文学の系譜/福田恆存
今日においても獨歩は〔略〕職業的文壇人や文学青年たちからは軽視され
てゐるが、その理由の大半は、彼の文学が近代日本文学の主流たる自然主
義的発想の外にあつたためにほかならない。〔略〕精神主義的風潮の現代
においてもいかに牢固として抜くべからざるものがある
近代日本文学の系譜/福田恆存
紅葉も、初期の作品においては明快な江戸風の恋愛感情にすつきりした人
柄を描いてゐたにもかかはらず、〔略〕近代的心理描写をこころみるに至
つて、この厭味からつひに免れることはできなかつた。一言にしていへ
ば、それはセンチメンタリズムの厭味である。
近代日本文学の系譜/福田恆存
獨歩は自己のうちに伸び上らうとする個我の独善を抑へて、もつと地道に
民衆の心の上に近代の芽ばえを育てようとしてゐる。そこに一見普遍的な
観念に逃避するかと見える彼の反動性、保守性、更に通俗性が生じた。
が、その底にあるものは〔略〕闘ひの孤独にほかならない
近代日本文学の系譜/福田恆存
38 2024/09/08(日) 18:03:07.09 ID:OhTjeRhf(3/5)
もつとも重要なことは、其のやうな興廃とまつたく無関係に、しかもこれ
にひきずりひんまはされてうごめいてゐた階級があつたといふ事実であ
る。大ブルジョワ対小ブルジョワの闘争も所詮、日本では狭い舞台の土俵
のうへのできごとにすぎなかつた。
近代日本文学の系譜/福田恆存
彼(芥川龍之介)の空しい夢は、自己喪失に徹することによつて、そのは
てに彼自身の信じられぬ、また彼自身のはつきり見きはめ掴みとることの
できぬ真実のわづかに残留するのを、死後観者の判定に委ねることにあつ
た。
近代日本文学の系譜/福田恆存
獨歩の立場は、決して知識階級、乃至はその代表者たる芸術家の自我確立
にあつたのではなく、むしろ彼等の威猛高な闘争にとまどひし慴伏してゐ
た大多数の封建の遺民のうへにあつたのである。
近代日本文学の系譜/福田恆存
心理的可能性の多岐にわたるといふ事は〔略〕自己喪失を意味するもので
あり、さういふ性格は常に単一な可能性の所有者との出会ひにおいて敗北
し〔略〕しかもこの敗退によつて自己の優越を証明する。ここに、僕達は
精神主義的功利主義とでもいふ奇妙な処世法にぶつかる
近代日本文学の系譜/福田恆存
39 2024/09/08(日) 18:04:21.48 ID:OhTjeRhf(4/5)
彼(國木田獨歩)の優情は封建の遺民のうちに少年の心細さや変質者の頑
なさをみごとに見ぬいてゐたにさういない。僕はこのやうな現実の見方に
廣津柳浪の作品と通ずるものを発見するのであるが、それはまた柳浪と荷
風との親近を理解する鍵でもあらう。
近代日本文学の系譜/福田恆存
フロオベエルの自我は他我への完璧な奉仕のかげに傷ついてゐるが、漱石
はその作品からいかに他我を追放し、自我を解体せんとはかつてゐようと
も、その背後では観念に対する絶対的な信頼に寄りかかつてゐる。
近代日本文学の系譜/福田恆存
40 2024/09/08(日) 18:08:05.61 ID:OhTjeRhf(5/5)
ハムレットの不安が想像力の過剰に起因してゐるとすれば、マクベスのそ
れはむしろ観念と意識との過剰にすぎぬ。前者の不安はまた同時に想像力
によつて救はれる。が、後者の不安を救ひとるものは何も無い。
解題(『マクベス』)/福田恆存
シェイクスピア作品中、もつとも近代的要素をもつてゐる〔略〕マクベス
のせりふの一つ一つが、自己破壊への隠れた意思を示してゐる。彼は破壊
によつてしか安心できない人間なのである。なぜなら、他人に対する彼の
不信感の根柢には徹底的な自己不信があるからだ。
解題(『マクベス』)/福田恆存
『ハムレット』はいかに危機を内に蔵してゐようとも断じて「失敗作」で
はない。が、『マクベス』は明らかに「失敗作」だ。なぜなら、マクベス
こそは想像力の源泉そのものを涸らす自意識であるからにほかならぬ。
解題(『マクベス』)/福田恆存
マクベスは王者たるの力なくして、自分が欠いてゐるすべてのものを運命
の力に借りようとしてゐる。〔略〕彼にもし勇気といふものがあるならば
〔略〕それは「義務」である。〔略〕どんな凡人でも、〔略〕甚だ事も無
げにこの諦念的な義務を身に附けるものなのだ。
解題(『マクベス』)/福田恆存
彼は行為の一つ一つに己れを失ひ、その生涯の記録は自己の宿命の血液を
もつてではなく、ただ偶然に満ちた事件の羅列をもつて埋められて行く。
マクベスの一生は自己の宿命と闘ふのではなく、ただ運命と駆引する事で
過されるのだ。
解題(『マクベス』)/福田恆存
41 2024/09/10(火) 21:42:24.36 ID:9DgodNGG(1/5)
「何か言うと「お前のは感情論だよ」という。感情論というとまるで悪い
ことででもあるように言う。しかしその人が理性の人であるならば、感情
というものはどうして悪いのかということを、それこそ理性的に証明して
貰いたい」(『人間の生き方、ものの考え方』)
「理性とか合理主義とかいうけれども、合理主義は非合理なものの存在を
常に自分の前に自覚していなければ成り立たないと思います。非合理なも
のを切り捨ててしまう合理主義などというものは存在し得ないのです」
(福田恆存『人間の生き方、ものの考え方』文藝春秋)
民主主義といふのは論争の政治である。それを「話合ひ」の政治などと微
温化するところに、日本人の人の好さ、事なかれ主義、生ぬるさ、そして
偽善があるのだ。和としての「話合ひ」ではない、勝負としての論争が必
要なのである。―福田恆存『論争のすすめ』
42 2024/09/10(火) 21:43:16.51 ID:9DgodNGG(2/5)
天長節といつてなぜ悪いか。天長は「天長地久」からきてをり、節といふ
のは折節、竹の節で、天長節といふ言葉を避けるいはれは全然ない。天皇
誕生日のはうが直接天皇の存在を強調し、天皇制と結びついてゐはしない
か。
紀元節について/福田恆存
運命は「両義語」でマクベスを操つて来て、最後の瞬間に彼を放り出す。
さうなれば――一人になつたマクベスは一介の力なき凡人に過ぎない。
〔略〕死への苦悶と醜態とをすら、あくまでもプログラムどほりに演出せ
しめようといふ自己意識と自己主張と――まことに凄まじいものがある
解題/福田恆存
これは私の持論だが、人生においても、そのもつとも劇しい瞬間に置いて
は、人は演戯してゐる。生き甲斐とはさういふものではないか。自分自身
でありながら自分にあらざるものを掴みとることではないか。
解題(『ハムレット』)/福田恆存
ひとの耳を楽しませる鳥の声は、その肉体的なエゴイズムから発してゐる。
ぼくたちの目を喜ばせる花の美しさは、その根の強烈な生存慾の昇華
にすぎない。とすれば、人間の心理のみがこの自然の法則の例外であるは
ずはない。
民衆の心/福田恆存
43 2024/09/10(火) 21:44:17.71 ID:9DgodNGG(3/5)
戦時中、文化人の政治参与がはげしくなつたのが嫌でした。政治参与が嫌
なのではなくて、政治に参与した時代文化人の弱点や嫌味が一番よくわか
るのが嫌でした。佐藤先生にその頃お会ひした時にもその話が出ました
ね。千利休をさういふ所から取扱つて見たいと思つたのです。
歴史小説の出発/福田恆存
言葉は道具だと言切れるだらうか、いや、道具は心そのものでないと言切
れるだらうか。言葉道具説がいけないのではない、道具が生き物である事
を知らぬ事がいけないのである。
言葉は道具である/福田恆存
偽善は現実の自己を美化することによつて、社会に潜入し、社会と自己と
の紐帯を偽造しようとする。これに反して、偽悪は現実以下に自己を醜悪
化して見せることによつて、対象たる社会から離脱し、社会と自己との関
係の断絶を偽装しようとする。
『日本の文学 70』解説/福田恆存
44 2024/09/10(火) 21:45:39.35 ID:9DgodNGG(4/5)
国家意識や民族感情と国体とは全く別個のものである。前者を後者と混同
した為に、吾々は吾々の国体を失つた、或は失ひかけてゐるのではない
か。もう一度、明治の初心に立ち還らなければなるまい。
現代国家論/福田恆存
ナショナリズムといふ言葉は今のところ強者に対する弱者の反撥心、或は
劣等感の支へとしてしか作用しない。〔略〕民族感情と訳す方が良い。そ
れは国家的、民族的なエゴイズム以前のものであつて、その赴くままに随
へば、その国家や民族のエゴイズムとさへ抵触し兼ねない。
現代国家論/福田恆存
かれらは、自分たちの歩きぐせや気質を守つてゐます。それを捨てて、新
時代についてこられぬかれらを、知識階級は軽蔑する。〔略〕文化の混乱
の結果、いちばん辛い目にあつてゐるのは民衆です。それも、かれらのあ
ひだには、まだ文化感覚が生きてゐるからです。
文化とはなにか/福田恆存
文化感覚を失つたがゆゑに、文化の喪失に無関心でゐられる知識階級と、
文化感覚あるがゆゑに、文化の喪失に苦痛を感じてゐる民衆と、しかしな
がら、そのどちらが生きる楽しみをなほ保持してゐるか
文化とはなにか/福田恆存
45 2024/09/10(火) 21:46:24.57 ID:9DgodNGG(5/5)
たびたび見えすいた諧謔を弄してゐるばあひも、じつをいへば、結果が平
俗な常識に帰するほかはない啓蒙的な平衡運動のかげで、なほもその味気
ない作業をつゞけるべく自分自身を納得させる唯一のうさばらしにほかな
らなかつた。
あとがきにかへて/福田恆存
逆の過程を採つてみたまへ。レトリックの抒情に酔つてゐた読者は、自分
たちの眼のまへでみるみる神秘の陰翳が色あせ、平凡な常識の構図が露出
してくるのに幻滅をおぼえるにそういない。
あとがきにかへて/福田恆存
昭和四十七年(一九七二) 六十一歳
…
十一月 大和桜井の大神神社に参り、保田與重?カの「土舞台」顕彰の行
事に参加。
年譜/福田恆存
46 2024/09/13(金) 19:14:03.01 ID:ujRd+1Ec(1/5)
僕はなによりも老年に期待する。世の屈辱と辛酸をなめつくし、あらゆる
醜い我のせめぎあひのうちに住しながら、なほそれらを超えてなにものか
を造型し、後人に正しく自分の姿を語り伝へようといふ激しい意思に僕は
信頼したいのである。
年輪の美しさ/福田恆存
五百年前、世阿彌はこのことを知つてゐた――役に似せるといふ技術が演
能者の年歯と結びつく秘密を。ゆゑにかれは「花伝書」第一巻に「年来稽
古条条」をもつてしたのである。世阿彌もまた老年にすべての完成を賭け
るクラシシストであつた。
年輪の美しさ/福田恆存
モーパッサンは自己の若々しい才能をことごとく注いで、なほ一巻の「感
情教育」に遠く及ばなかつた。ランボオの彗星的な天才もボードレェルの
苦吟にはたして抗しえようか。僕はフランス語の韻律を解せずしてしかも
かたくなにこの疑ひを主張したいのである。
年輪の美しさ/福田恆存
47 2024/09/13(金) 19:15:18.38 ID:ujRd+1Ec(2/5)
「個性尊重」といふ合言葉も、今では一つのベルになつてゐるのではない
でせうか。「個性」といふ肉はないのに、「尊重」といふベルが機械的に
鳴りつづけ、万犬ことごとく劃一的な反応を呈するといふだけのことでせ
う。それが「個性」といふものでせうか。
教育・その本質/福田恆存
贋物の善より本物の悪の方が、ずつと教育的だといふことを、私たちは忘
れてはならない。人間を信じるといふのはさういふことです。私は単純な
性善説などを説いてゐるのではありません。
教育・その本質/福田恆存
民主主義も人権尊重も単なるハイカラな概念としてでなく、常識として、
即ち文化として空気の如く周囲に存在する様になれば、たとへ読み書き算
盤だけの知識でも近代人として立派に生きて行けるのです。〔略〕それが
文化といふものなのです。
教育改革に関し首相に訴ふ/福田恆存
学校(スクール)といふ言葉の語源はギリシア語で「暇」といふ事で、
〔略〕直ぐ何かの役に立つ様な事ばかり考へ、「暇」でゐる事への不安に
怯える様な貧乏性の文部官僚が、その「暇」を消す為に雨の日にも耕さう
として文化破壊の教育政策を次々に実現して来た
教育改革に関し首相に訴ふ/福田恆存
48 2024/09/13(金) 19:16:24.52 ID:ujRd+1Ec(3/5)
性は「生命のエネルギーの源泉」である〔略〕「生命のエネルギーの源
泉」を理解することはできない。だから、われわれは生きつづける。
〔略〕にもかかはらず、性の科学によつてそれを理解しえたと錯覚してし
まつた「ボヘミアンたち」は、いまや、完全な無気力に陥つてしまつた
恋愛と人生/福田恆存
「だまされた」といふことばは、新聞や雑誌の身上相談によく見うけられ
ますが、これほど恥辱に満ちたことばはない。すこし自尊心のあるひとな
ら、じつさいにだまされたばあひにも、それだけは口にできないはずのも
のです。
恋愛と人生/福田恆存
ロレンスがいつてゐるやうに、〔略〕周囲のひとたちが、その自分と同様
に考へ行動してくれるやうにならなければ、勇気のある正しい考へも、結
果としては傷手しか与へないといふことに終る。だが、またロレンスがい
つてゐるやうに、ただそれだけではなささうだ。
恋愛と人生/福田恆存
われわれは「アンナ・カレーニナ」と「源氏物語」とを、ひとしく恋愛文
学と呼んでゐるが、おそらくその両者の差を識別しえないところに、われ
われの恋愛感情の混乱があるのであらう。その混乱を分析しなければ、い
つまでたつてもわれわれ不当に悩み、不当に傷つかねばならない
恋愛と人生/福田恆存
49 2024/09/13(金) 19:17:22.81 ID:ujRd+1Ec(4/5)
七たび生れて国に報ずるといふのは単なる表現の綾ではあるまい、自分の
死をのりこえて動いて行くより大いなるものの存在を信じてはじめていへ
る言葉だとおもふ。
新しく学生と共に/福田恆存
法隆寺を有してゐるかいないかではない。またその美を理解しうるかいな
かでもない。僕達は法隆寺の美は追憶としてもたねばならないのだ――と
いふことは、現在とのかゝはりにおいてその美にうたれなくてはならぬと
いふことである。讃仰と享受ではなく、追憶と創造である
新しく学生と共に/福田恆存
ルーヴルの国宝を安全に守つて国土を敵の足下にゆだねたフランスの文化
意識を君たちはどう考へてゐるだらうか。僕はこのやうな文化至上主義、
芸術至上主義を極端に唾棄する。それは〔略〕もはや生み出すこと、造り
出すことを忘れた病める精神の所業である。
新しく学生と共に/福田恆存
50 2024/09/13(金) 19:18:15.37 ID:ujRd+1Ec(5/5)
伝統技術、及びそれに従事する者を一方で滅びるがままにして置きなが
ら、他方で愛国心、道徳感の鼓吹を叫んでも何の効果もありません。
〔略〕今は造れぬものに対する憧れが、今なほ造れるものに対する無関心
を助長する様な文化政策では困ります。
伝統技術保護に関し首相に訴ふ/福田恆存
物が単なる物にしか見えない様では、人もまた物にしか見えないのではな
いか。物に己れの心を通はせ得る人が、人との附合ひにおいて相手方に心
を通はせられぬ筈はありますまい。
伝統技術保護に関し首相に訴ふ/福田恆存
第三次戦争が起きても、原水爆が破裂しても、私は人間に絶望しません。
たとへ平和が崩れ去つたとしても、いや、明日、崩れることがわかつてゐ
ても、今日は生きなくてはならないのです
平和論に対する疑問/福田恆存
神は個人を通じて、その意思の実現を計る。個人は〔略〕神の意思を探
り、それに合致する自由を保有する。さうする事によつて、人間は人格に
なり、自分自身になりうるのだ。また〔略〕他人が個人として完結してを
り、彼のみの知る神との契約がある事を認めなければならない。
自由と平和/福田恆存
51 2024/09/15(日) 18:48:16.21 ID:sN3g70Lr(1/2)
たとへば自分の勤め先で、その企業全体の為に働いてゐるといふ事と、自
分一個の立身の為に働いてゐるといふのと、その差を人はどうして見分け
る事が出来るか。〔略〕動機などといふ曖昧なものを相手にしてゐると、
人間は気違ひになる。
偽善と感傷の国/福田恆存
或る国が民主主義国であるかどうかは、そこで暗殺が起るか起らないかに
よつて判断すべき事ではなく、暗殺が起つた時、それを法的にどう処理す
るか、その結果が社会秩序をどの程度まで撹乱するかによつて判断すべき
なのである。
偽善と感傷の国/福田恆存
当然、民主主義は蜂起した大衆、即ち新時代の強者に対しても、その悪を
抑制すべき役割を引受けねばならぬ訳だが、〔略〕弱者が如何に多数と集
団を頼んでも、それが飽くまで弱者である限り、これを抑へる事は出来な
い、少くとも本質的にはその能力は無い。
偽善と感傷の国/福田恆存
52 2024/09/15(日) 19:37:06.75 ID:sN3g70Lr(2/2)
07月18日
質問者さん
福田恆存の文化・政治評論に影響を与えた文学者?エリオット?チェスタトン?小林秀雄?ロレンス あと一人
は?
07月22日
ミスターさん
シェイクスピア
53 2024/09/23(月) 10:34:09.80 ID:0M+IT5LX(1)
Sakuraba❄
「麻薬追放国土浄化同盟」自体は、三代目田岡一雄組長が立ち上げた団
体。麻薬追放を目的と謳っている一方で山口組東京進出の橋頭保の一つと
して作られた団体でもあった。関係者は田中清玄、松下正寿、菅原通済、
市川房枝、山岡荘八、福田恆存。昭和38年(1963年)結成。
2024年9月16日
土屋顕史
福田恆存は運命論=宿命論の作家。
井上靖は運命論の作家。
宮本輝は宿命転換を信じた作家。
山田太一は「宿命を宝と思え」と信じようとした作家・ 一遍上人は宿命
論者の鎌倉時代の放浪仏僧。
みんな根っこは一緒よ。
2024年9月19日
54 2024/09/24(火) 19:29:57.76 ID:dnuvl02c(1/2)
僕も伝記物を書きたいと思つたことがあります。〔略〕日本では千利休、
田能村竹田、乃木希典、フランスではオーギユスト・コントでした。私は
小説家ではないのですから、さういふ意味から普通の小説ではあきたらな
い。たゞの人間を書いてもつまらないんですね。
歴史小説の出発/福田恆存
親戚は、お袋系も親父系も全部職人ですから、もちろん話が通じない。そ
ういうことから純粋自我だけでは生きられない、個人的自我だけでは生き
られない。集団的自我というものに目を向けずにいられない状況にはあっ
たとは思う。
支配欲と権力欲への視角/福田恆存
全学連の諸君は日本人の幸福と世界の平和の為に闘つてゐるのであつて、
その点は純粋であると言ふが、本当にさうなのか。私は全学連やその支持
者を疑つてゐるのではない、私が疑つてゐるのは動機といふ怪物その物な
のだ。
偽善と感傷の国/福田恆存
55 2024/09/24(火) 19:31:51.23 ID:dnuvl02c(2/2)
最近ジョン・デューイの「自由主義と社会的行動」を翻訳する機会を得た
が、ぼくはその間たえずかれの文章に現代日本の文化的風景を照応させて
想はざるをえなかつた。〔略〕ぼくはこの翻訳になみなみならぬ実感をこ
めえたのである。
民衆の心/福田恆存
相手の腹が見えぬ振りをして話を進めるといふのは、悪く言へば、自分の
利益のためである。が、良く言へば、それは、他人には自分の窺ひ知れぬ
心の領域があり、自分の思ひどほりに動かさうと思つても動せぬ自由と可
能性を相手に許容する謙虚な心構へである。
言葉は道具である/福田恆存
漱石も鷗外も、実生活の場で解決すべき問題は実生活において処理し、そ
れを作品のうちに持ちこむやうな錯覚を犯さずにすんだのである。〔略〕
その結果、彼等の作品はあらゆる夾雑物を濾過し去り、最後に文学をもつ
てしか解決しえぬ問題〔略〕が純粋な形で残りえた
近代日本文学の系譜/福田恆存
56 2024/11/01(金) 18:42:38.83 ID:t82vpKXt(1)
戦後最高にして孤高の知識人
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