【ファンタジー】ドラゴンズリング7【TRPG】 (251レス)
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198: ◆fc44hyd5ZI [sage] 2018/12/13(木) 04:33:10.73 ID:YJ3/5WmX(1) AAS
真っ白な花畑の中、虚無の竜が強い光の中に消えていく。
……虚無の竜の姿が薄れるほど、光はより一層眩さを増していきます。
私は両目を腕で覆い、目を閉じる。
……瞼の向こう側でふと光が消えたのが分かる。
それと同時に感じる、風の音と感触。
腕を下ろして目を開いてみると……私達はいつの間にか、イグニス山脈の山頂にいました。
周囲を見回せば、あの白く不気味な街並みがまるで雪が溶けるかのように、本来の姿……ただの山肌へと戻っていくのが見えます。
視線を前に戻す。
見えるのは、ティターニアさんの背中。
……本当に良かったんですか、とは聞けません。
それはつまり、あれは本当は良くない結末だったんじゃないかと、そう言っているのと同じだからです。
そんな苦い余韻を、この物語には残したくありません。
「まったく……全て元通りにして去っていくなんて、気が利かないですね。
彼らの世界の未知の技術……少しくらい残していってくれれば良かったものを。
魔力を伴わないのでは、流石の私も解析のしようがありまんでしたからね」
私は努めていつも通りの声音でそう言いました。
「あれほどの技術が未来永劫、どこか遠くの次元の彼方に消えてしまうだなんて、勿体なすぎます。
……軍用魔法の開発にはもう飽きました。次は……世界を渡る魔法の開発研究でも、してみましょうかね」
そう、彼らの物語に相応しいのは、きっとこんな台詞です。
私はティターニアさんの隣に立って、にやりと笑うと、彼女の顔を覗き込むように見上げる。
「ティターニアさんも、どうです?フィールドワークという名の国外旅行も楽しいんでしょうけど。
たまには真面目な研究をしてみるのも、悪くないかもしれませんよ」
……それから私は、山坂の下の方へと視線を向ける。
ローレンス卿やダグラス学長……あのアンノウンの群れを食い止めていた皆さんが、こちらへと登ってきています。
「……私、もう結構へとへとなんですけど、まさかこのまま祝勝会に洒落込もうだなんて言いませんよね?」
そう言うと私は……ディクショナルさんへと振り向きました。
そして彼のすぐ傍まで歩み寄ると、背伸びをして、左手を彼の右肩に。
「ご存知ないかもしれませんが……高位の魔法というものは、魔力は勿論ですが……頭脳が消耗するんです。
術式構築に脳を酷使しますからね。つまり……濫用すると、とても眠くなるんですよ」
右手は自分の口元に当てて……
「……私がもし寝てしまったら、その時はちゃんと介抱して下さいよ」
小さくそう囁いて、私はそのままディクショナルさんに寄りかかりました。
……へとへとに疲れているのも、眠くて堪らないのも、嘘じゃありません。
だからこれは、こうなっても何も不思議じゃない、自然な事です。
【ひとまずお疲れ様でした!
転移位置はカバンコウまで戻ってしまうと手助けしてくれた彼らが置き去りになってしまうので、山頂辺りにしておきました】
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