[過去ログ] ガロア第一論文と乗数イデアル他関連資料スレ13 (1002レス)
前次1-
抽出解除 レス栞

このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
次スレ検索 歴削→次スレ 栞削→次スレ 過去ログメニュー
160
(2): 現代数学の系譜 雑談 ◆yH25M02vWFhP [] 2025/02/04(火) 17:48:44.94 ID:+HgMDnV2(9/11) AAS
つづき

https://www.ms.u-tokyo.ac.jp/~yasuyuki/
河東泰之(かわひがしやすゆき) (Google Scholar Page)
https://www.ms.u-tokyo.ac.jp/~yasuyuki/surikagaku.htm
河東泰之の「数理科学」古い記事リスト
https://www.ms.u-tokyo.ac.jp/~yasuyuki/suri0806.pdf
6.河東泰之, 線形代数と関数解析学,「数理科学」 Vol.46-6, pp.39-43, サイエンス社,2008

1. はじめに
線形代数は線形空間とその上の線形作用素を取り扱う.
ごく基礎的な部分は線形空間が有限次元でも無限次元でも違いはないが,線形代数の中心的な話題,すなわち対角化,ジョルダン標準形,ランクの話などは,線形空間が有限次元でないと話がうまく進まない.
そもそも行列を具体的に書く話が線形代数の中心であり,無限サイズの行列は最初から話に入っていない.
この意味で通常の線形代数は有限次元の理論であると言ってもさしつかえない.
これを無限次元で考察するのが関数解析学である.
しかし,単に無限次元の線形空間やその上の線形作用素を考えたのでは,手がかりが少なすぎて,意味のある一般論はほとんど何も展開できない.
そこで新たな手法が必要になる.それが収束の概念である.
これを導入し,位相的な考察を加えた無限次元の線形代数が関数解析学である.
そもそもなぜ「関数」解析というのだろうか.それはさまざまな関数のなす無限次元空間が基本的な対象だからである.
関数解析学成立の重要な動機を与えたのは,微分(あるいは積分)方程式と量子力学である.
これら二つについては本号の特集でそれぞれ別に記事があるのでここでは詳しいことは書かないが,
前者については関数が出てくるのは当然であり,後者についてもさまざまな関数が物理的状態を表すものとして現れることに注意しておこう.
以下,線形代数が無限次元でどのような形を取るのか見ていくことにする.

2. ヒルベルト空間とバナッハ空間
まず線形作用素の前に線形空間がなければ話が始まらない.通常の線形代数では,基底の話は重要であるが,それ以外にはあまり中身のある話はない.たとえば線形空間の公理自体にたいして中身があるわけではない.通常の微分積分学では,数列の収束が基本的な概念である.

線形空間としての基底,すなわち任意のベクトルを有限個の基底ベクトルの線形結合で表せるものはいつでも存在するが,無限次元線形空間でそのようなものを考えてもほとんど役に立たない.
かわりに有用なのは,任意のベクトルを無限個のベクトルの線形結合で表すことである.ヒルベルト空間では,これを実現する正規直交基底を取ることがいつでもでき,有限次元空間とよく似た話が無限次元でも展開できる.フーリエ級数はその具体例として大変重要なものである.
これに対し,一般のバナッハ空間の設定では基底の一般論はやっかいであり,あまりはっきりした結果は得られない.
ノルムがうまく定められないが自然に位相の入る線形空間もあり,さまざまなクラスが研究されているが簡単のためここでは省略する.
以下略
(引用終り)
以上
180
(1): 現代数学の系譜 雑談 ◆yH25M02vWFhP [] 2025/02/05(水) 00:12:42.77 ID:Md2R2j9H(1/5) AAS
>>160
>任意のベクトルを無限個のベクトルの線形結合で表すことである.ヒルベルト空間では,これを実現する正規直交基底を取ることがいつでもでき,有限次元空間とよく似た話が無限次元でも展開できる.フーリエ級数はその具体例として大変重要なものである.

これ、選択公理を使うだろうと思って調べていた
下記 山上滋先生 名大 関数解析入門 『命題4.5.ヒルベルト空間の正規直交基底は必ず存在する。(全然一意的ではないが。)
Proof.基本的なアイデアはの直交化であるが、正式にはのZorn補題を使う。各自、確かめよ』
ですね (^^

(参考)
https://www.math.nagoya-u.ac.jp/~yamagami/teaching/teaching.html
授業記録 山上滋 名大
https://www.math.nagoya-u.ac.jp/~yamagami/teaching/functional/zokuron2017.html
解析学 2017
テキストである 関数解析入門2017 の三分の二程を、 進度予定表に沿って行う
https://www.math.nagoya-u.ac.jp/~yamagami/teaching/functional/hilbert2017.pdf
関数解析入門 山上滋 2017
目次
略す

作用素解析とのつながりを意識した関数解析入門である。予備知識としては、フーリエ解析とルベーグ積分の初歩を仮定する。例えば、次の講義ノート程度のことを知っていれば十分であろう
(URL二つ略す)
予備知識以上に大事なのが利用のしかたである。これは、知識とか技能を習得するためのものではない。数学を実践するための題材提供が主たる目的なので、各自の問題意識に応じて、緩急自在にいくつかある課題に取り組んで欲しい。他は、それに至る準備に過ぎない

1.道の糧など
このように、関数の間に「距離」を設定すると、ベクトル空間における内積から導入されるそれと形式上よく似たものであることがわかってくる。このことをより組織的に行うと、微積分の線型代数化、あるいは無限次元線型代数としての解析学、といった側面が見えてくる。これが、関数解析学の基本的なアイデアである。さて、ユークリッド空間の位相については知っていることであろうが、そもそもユークリッド空間とは何か説明できるだろうか

これは、いうなれば、高校以来慣れ親しんできた幾何ベクトルとその内積を逆算的に用いて定義としたもので、卑怯といえば卑怯な方法である。しかし、こう割り切ることで、ユークリッド空間およびその幾何学が実数の性質に帰着するものであることが容易に把握できるようになる。悪くない定義だと思うのだがどうだろうか。なお、こういった形式的な定義が、物理現象(主に光)に由来する空間認識と一致すべき先験的な理由は何もないのだが、非常に良く幾何学的直感となじんでいるのも事実

P26
略 をみたすとき、正規直交基底と呼ぶ
すぐ後でみるように、この逆も成り立つ

命題4.5.ヒルベルト空間の正規直交基底は必ず存在する(全然一意的ではないが)
Proof.基本的なアイデアはの直交化であるが、正式にはのZorn補題を使う。各自、確かめよ

正規直交基底の濃度を考えているヒルベルト空間Hの次元といい、dim Hで表す
正規直交基底の濃度は正規直交基底のとり方によらないのであるが、その確認には多少の議論を要する
以下ではとくに断らない限り可算次元のヒルベルト空間を扱うものとする

つづく
182
(4): 現代数学の系譜 雑談 ◆yH25M02vWFhP [] 2025/02/05(水) 07:51:08.42 ID:Md2R2j9H(3/5) AAS
>>180
>>任意のベクトルを無限個のベクトルの線形結合で表すことである.ヒルベルト空間では,これを実現する正規直交基底を取ることがいつでもでき,有限次元空間とよく似た話が無限次元でも展開できる.フーリエ級数はその具体例として大変重要なものである.
>これ、選択公理を使うだろうと思って調べていた
>下記 山上滋先生 名大 関数解析入門 『命題4.5.ヒルベルト空間の正規直交基底は必ず存在する。(全然一意的ではないが。)
>Proof.基本的なアイデアはの直交化であるが、正式にはのZorn補題を使う。各自、確かめよ』
>ですね (^^

<補足>
1)Zorn補題は、選択公理と同値
2)Zorn補題(選択公理)で、通常のベクトル空間(基底の有限和)から
 基底の無限個のベクトルの線形結合を使う ヒルベルト空間まで
 その空間の基底の存在と、次元(ベクトル空間の場合 基底の集合の濃度を意味する。可算にする場合が多いらしい)が決められる
3)『全然一意的ではないが』 by 山上滋先生 名大
 存在のみのZorn補題(選択公理)で、言える
4)その存在定理の典型的な、使い方が>>110だね
 同様に、例えば、ヒルベルト空間で ある特別な基底候補を使いたいとき
 まず、上記 命題4.5 に照らしてみれば良い
 そうすれば、その基底候補が、実際に基底として使えることが分る
 フーリエ級数が、典型例>>160

"Zorn補題(選択公理)は、存在しか言えないから 具体的なこと言えない"と思った あなた それ勘違いですよ
存在の公理(定理)だから、適用範囲が広い
そして、ある空間の 基底の存在定理、次元定理から 具体的な 基底候補が、実際の基底として採用できることが分る
 
前次1-
スレ情報 赤レス抽出 画像レス抽出 歴の未読スレ AAサムネイル

ぬこの手 ぬこTOP 0.035s