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71(1): 現代数学の系譜 雑談 ◆yH25M02vWFhP [] 2020/07/01(水) 17:58:24.08 ID:k+r32g6d(1/3) AAS
>>67 追加
星裕一の論文
宇宙際 Teichmuller 理論入門 PDF (2019) (Indexあり)https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/handle/2433/244783
(抜粋)
P81
本稿の構成は, おおまかには以下のようになっています:
? §1 から §3: 宇宙際 Teichm¨uller 理論において遠アーベル幾何学がどのような形で
用いられるか, という点についての説明.
? §4 から §12: ある Diophantus 幾何学的帰結 (§4 の冒頭を参照) を得るために, “何
をすれば良いか”, “どのようなアプローチがあり得るか”, “そのアプローチの枠組みで何
ができるか” という点についての考察. 特に, 宇宙際 Teichm¨uller 理論の主定理の大雑把
な形の説明.
? §13 から §20: テータ関数に関わる局所理論やその大域化の説明, 特に, 加法的/幾
何学的な対称性が重要な役割を果たす “加法的 Hodge 劇場” の構成の説明.
? §21 から §25: 数体の復元に関わる理論の説明, 特に, 乗法的/数論的な対称性が重
要な役割を果たす “乗法的 Hodge 劇場” の構成の説明.
? §26: 最終的な Hodge 劇場の構成の説明.
もう少しだけ理論の詳細に踏み込みましょう. (より詳しくは §27 を参照ください.)
§4 から §12 までで説明される “リンクによるアプローチ” によって, ある Diophantus 幾
何学的定理 (§4 の冒頭を参照) を証明するためには, ある適切な固定された数体上の楕円
曲線に対して,
(a) 対数殻 (§8 を参照)
(b) 楕円曲線の q パラメータの (1 より大きい) ある有理数による巾
(c) 数体
という 3 つの対象の (ある適切な設定における) 多輻的な表示 (§7 を参照) の存在を証明
すれば充分であるということになります. 一方, これらの対象の多輻的な表示を得るため
には, “設定の環構造を放棄する” ことによって必然的に発生してしまう不定性 (§10 を参
照) から, 上記の (b) と (c) を防護/隔離しなければなりません. そのために, (b) と (c)
を, “ただの数” としてではなく “ある適切な関数の特殊値” として扱う必要が生じます.
そのような関数として, (b) に対してテータ関数 (§13 を参照), (c) に対して “κ 系関数”
(§24 を参照) が用いられることになります. (§11 の議論を参照.)
つづく
72(1): 現代数学の系譜 雑談 ◆yH25M02vWFhP [] 2020/07/01(水) 18:00:22.29 ID:k+r32g6d(2/3) AAS
>>71
つづき
テータ関数に代入するべき点は, LabCusp±K〜= Fl という集合の元たちで自然にラベ
ル付けされます. Fl の各元での特殊値に関する考察から, F×l = Fl \ {0} でラベル付けさ
れた点での特殊値によって (b) が得られ, そして, 0 ∈ Fl でラベル付けされた点での代入
によって, (テータ関数が登場する) “テータモノイド” の分裂が得られることがわかりま
す. また, 0 ∈ Fl での代入によるこの分裂は, 後に, 対数写像を通じて, (b) や (c) に対す
る適切な “入れ物” としての (a) と結びつきます. (§19 や §20 の議論や §8 や §9 の議論
の一部を参照.) そして, 非常に大雑把なレベルでは, §13 から §20 までで構成される “加
法的 Hodge 劇場” (つまり, D-Θ±ell Hodge 劇場や Θ±ell Hodge 劇場) は, テータ関数, そ
の代入点のラベルの管理, 及び, その特殊値 (つまり, (b)) のための “入れ物” (つまり, 最
終的には (a) となるもの) のための設定だと考えられます.
また, (c) の多輻的な表示は, その “加法的 Hodge 劇場” による加法的対称性を用い
たラベルの管理を破壊してしまわないようなラベルの管理のもとで実現されなければなり
ません. その上, “加法的 Hodge 劇場” に現れる大域的な対称性と多輻的に表示されるべ
き (c) の非両立性に, ラベルの管理を対応させなければなりません. (§21 の議論を参照.)
LabCuspK〜= F×l/{±1} という集合は, テータ関数の非単数的特殊値に対する自然なラベ
ルの集合であり, この集合に対する乗法的対称性は上述のラベルの管理に関連します. こ
の乗法的/数論的な対称性をもとにした, 数体やその上の数論的直線束たちと, テータ関数
の代入点との間の適切な関連付けが, §21 から §25 までで構成される “乗法的 Hodge 劇
場” という概念によって実現されます. (§18 や §21 の議論を参照.) つまり, 非常に大雑把
なレベルでは, “乗法的 Hodge 劇場” (つまり, D-ΘNF Hodge 劇場や ΘNF Hodge 劇場)
は, (c) の多輻的な表示, 及び, その (c) と (“加法的 Hodge 劇場” におけるテータ関数へ
の “代入” という操作を行うことによって得られる) (a) や (b) との間の関連付けのため
の設定だと考えられます.
つづく
73: 現代数学の系譜 雑談 ◆yH25M02vWFhP [] 2020/07/01(水) 18:00:59.83 ID:k+r32g6d(3/3) AAS
>>72
つづき
加法的/幾何学的な対称性をもとに構成された “加法的 Hodge 劇場” と, 乗法的/数論
的な対称性をもとに構成された “乗法的 Hodge 劇場” を (対称性の出自の観点からは “非
従来的な形” で) 貼り合わせることで得られる概念が, D-Θ±ellNF Hodge 劇場や Θ±ellNF
Hodge 劇場です. (§26 の議論を参照.) そして, 2 つの Θ±ellNF Hodge 劇場を対数リンク
(§9 や §26 を参照) によって結び付けることで, ある単数的乗法的加群を, (a) というコン
パクトな加法的加群に変換することができます. しかも, それは (b) や (c) の “入れ物”
となります. (§8 や §9 の議論を参照.) 一方, “対数写像は設定の環構造に依存する” とい
う事実によって, (単一の) 対数リンクによる (a) という “入れ物” は, Θ リンクと呼ばれ
る設定の環構造と両立しないリンクに対する両立性を持ちません. この問題を回避するた
めに, 対数リンクの無限列から生じる “Frobenius 的対数殻の対数写像による関係の無限
列とそれぞれ Frobenius 的対数殻とエタール的対数殻の間の Kummer 同型” の総体であ
る, 対数 Kummer 対応を考えなければなりません. (§9 や §10 の議論を参照.)
エタール的部分の不定性や対数殻の Kummer 同型に付加されてしまう不定性によっ
て, (a) の多輻的な表示を得るためには, (a) に対するそれぞれ (Ind1), (Ind2) という不定
性 (§10 を参照) を許容しなければなりません. また, 上述の対数 Kummer 対応が上半両
立性を満たすことしか確認することができないという事実によって, (a) の多輻的な表示
を得るためには, (a) に対する (Ind3) という不定性 (§10 を参照) を許容しなければなり
ません. 一方, これまでの説明に登場してきた様々な概念を用いることで, (Ind1), (Ind2),
(Ind3) という比較的 “軽微な不定性” のもと, (ある適切な設定において) (a), (b), (c) を
多輻的に表示することができるのです.
(引用終り)
以上
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