[過去ログ] 現代数学の系譜 工学物理雑談 古典ガロア理論も読む79 (1002レス)
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(1): 現代数学の系譜 雑談 古典ガロア理論も読む ◆e.a0E5TtKE [] 2019/11/28(木) 14:41:52.11 ID:rRA3+Jnq(2/8) AAS
>>188
つづき

新たな枠組への道
Hodge-Arakelov 理論では、数論的な Kodaira-Spencer 射が構成されるなど、
ABC 予想との関連性を仄めかすような魅力的な側面があるが、そのまま「ABC 予
想の証明」に応用するには、根本的な障害があり不十分である。このような障害を克
服するためには、
通常の数論幾何のスキーム論的な枠組を超越した枠組
が必要であろうとの直感の下、2000 年夏から 2006 年夏に掛けて、そのような枠組を
構築するためには何が必要か模索し始め、またその枠組の土台となる様々な数学的イ
ンフラの整備に着手した。このような研究活動を支えた基本理念は、次のようなも
のである: 

注目すべき対象は、特定の数論幾何的設定に登場する個々のスキーム等ではな
く、それらのスキームを統制する抽象的な組合せ論的パターンないしはそのパ
ターンを記述した組合せ論的アルゴリズムである。 
このような考え方を基にした幾何のことを、「宇宙際(Inter-universal=IU)幾
何」と呼ぶことにした。念頭においていた現象の最も基本的な例として次の三つが
挙げられる:

・ログ・スキームの幾何におけるモノイド
・遠アーベル幾何における数論的基本群=ガロア圏
・退化な安定曲線の双対グラフ等、抽象的なグラフの構造
この三つの例に出てくる「モノイド」、「ガロア圏」、「グラフ」は、いずれも、「圏」
という概念の特別な場合に当たるものと見ることができる。(例えば、グラフの場合、
グラフ上のパスを考えることによって圏ができる。)従って、IU 幾何の(すべてでは
ないが)重要な側面の一つは、 
「圏の幾何」
で表されるということになる。特に、遠アーベル幾何の場合、この「圏の幾何」に対応するのは、
絶対遠アーベル幾何
(=基礎体の絶対ガロア群を、元々与えられたものとして見做さない設定での遠アーベル幾何)である。 

つづく
190
(1): 現代数学の系譜 雑談 古典ガロア理論も読む ◆e.a0E5TtKE [] 2019/11/28(木) 14:42:12.12 ID:rRA3+Jnq(3/8) AAS
>>189
つづき

この 6 年間(= 2000 年夏〜2006 年夏)の、
「圏の幾何」や絶対遠アーベル幾何
を主テーマとした研究の代表的な例として、次のようなものが挙げられる:
・The geometry of anabelioids (2001 年)
スリム(=任意の開部分群の中心が自明)な副有限群を幾何的な対象として扱い、
その有限次エタール被覆の圏の性質を調べる。特に、p 進体上の双曲曲線の数論的基
本群として生じる副有限群の場合、この圏は、上半平面の幾何を連想させるような
絶対的かつ標準的な「有界性」等、様々な興味深い性質を満たす。
・The absolute anabelian geometry of canonical curves (2001 年)
p 進 Teichm¨uller 理論に登場する標準曲線に対して、p 進体上のものとして初とな
る絶対遠アーベル幾何型の定理を示す。

・Categorical representation of locally noetherian log schemes (2002 年)
スキームやログ・スキームが、その上の有限型の(ログ)スキームの圏から自然
に復元されるという、1960 年代に発見されてもおかしくない基本的な結果を示す。
・Semi-graphs of anabelioids (2004 年)
古典的な「graph of groups」の延長線上にある「semi-graph of anabelioids」に対
して、様々なスキーム論的な「パターン」が忠実に反映されることや、それに関連し
た「遠アーベル幾何風」の結果を証明する。
・A combinatorial version of the Grothendieck conjecture (2004 年)
退化な安定曲線に付随する「semi-graph of anabelioids」を、スキーム論が明示的
に登場しない、抽象的な組合せ論的枠組で取り上げ、様々な「遠アーベル幾何風」の
「復元定理」を示す。
・Conformal and quasiconformal categorical representation of hyperbolic
Riemann surfaces (2004 年)
双曲的リーマン面の幾何を二通りのアプローチで圏論的に記述する。そのうちの
一つは、上半平面による一意化を出発点としたもので、もう一つは、リーマン面上の
「長方形」(=等角構造に対応)や「平行四辺形」(=疑等角構造に対応)によるもの
である。

つづく
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