[過去ログ] 現代数学の系譜 工学物理雑談 古典ガロア理論も読む79 (1002レス)
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(1): 現代数学の系譜 雑談 古典ガロア理論も読む ◆e.a0E5TtKE [] 2019/11/28(木) 14:41:24.32 ID:rRA3+Jnq(1/8) AAS
>>187

内容引用&補足:これを見ると、IUTの意図がなんとなく程度分かるね
http://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/~motizuki/Kako%20to%20genzai%20no%20kenkyu.pdf
過去と現在の研究の報告 (2008-03-25 現在) 

初期の歩み
学位を取得した 1992 年夏から 2000 年夏までの私の研究の主なテーマは次の三つ
に分類することができます:

(a) p 進 Teichm¨uller 理論:(1993 年〜1996 年)
この理論は、複素数体上の双曲的リーマン面に対する Koebe の上半平面に
よる一意化や、そのモジュライに対する Bers の一意化の p 進的な類似と見る
こともでき、また Serre-Tate の通常アーベル多様体に対する標準座標の理論の
双曲曲線版と見ることもできる。詳しくは、
A Theory of Ordinary p-adic Curves

An Introduction to p-adic Teichm¨uller Theory をご参照下さい。 

(b) p 進遠アーベル幾何:(1995 年〜1996 年)
この理論の代表的な定理は、「劣 p 進体」(= p 進局所体上有限生成な体の部
分体)上の相対的な設定において、双曲的曲線への任意の多様体からの非定数
的な射と、それぞれの数論的基本群の間の開外準同型の間に自然な全単射が存
在するというものである。詳しくは、 
The Local Pro-p Anabelian Geometry of Curves
をご参照下さい。

(c) 楕円曲線の Hodge-Arakelov 理論:(1998 年〜2000 年)
この理論の目標は、複素数体や p 進体上で知られている Hodge 理論の類似
を、数体上の楕円曲線に対して Arakelov 理論的な設定で実現することにある。
代表的な定理は、数体上の楕円曲線の普遍拡大上のある種の関数空間と、楕円
曲線の等分点上の関数からなる空間の間の、数体のすべての素点において計量
と(ある誤差を除いて)両立的な全単射を主張するものである。この理論は、
古典的なガウス積分
∫ ∞ ?∞ e?x2 dx = √π
の「離散的スキーム論版」と見ることもできる。詳しくは、 
A Survey of the Hodge-Arakelov Theory of Elliptic Curves I, II
をご参照下さい。

つづく
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(1): 現代数学の系譜 雑談 古典ガロア理論も読む ◆e.a0E5TtKE [] 2019/11/28(木) 14:41:52.11 ID:rRA3+Jnq(2/8) AAS
>>188
つづき

新たな枠組への道
Hodge-Arakelov 理論では、数論的な Kodaira-Spencer 射が構成されるなど、
ABC 予想との関連性を仄めかすような魅力的な側面があるが、そのまま「ABC 予
想の証明」に応用するには、根本的な障害があり不十分である。このような障害を克
服するためには、
通常の数論幾何のスキーム論的な枠組を超越した枠組
が必要であろうとの直感の下、2000 年夏から 2006 年夏に掛けて、そのような枠組を
構築するためには何が必要か模索し始め、またその枠組の土台となる様々な数学的イ
ンフラの整備に着手した。このような研究活動を支えた基本理念は、次のようなも
のである: 

注目すべき対象は、特定の数論幾何的設定に登場する個々のスキーム等ではな
く、それらのスキームを統制する抽象的な組合せ論的パターンないしはそのパ
ターンを記述した組合せ論的アルゴリズムである。 
このような考え方を基にした幾何のことを、「宇宙際(Inter-universal=IU)幾
何」と呼ぶことにした。念頭においていた現象の最も基本的な例として次の三つが
挙げられる:

・ログ・スキームの幾何におけるモノイド
・遠アーベル幾何における数論的基本群=ガロア圏
・退化な安定曲線の双対グラフ等、抽象的なグラフの構造
この三つの例に出てくる「モノイド」、「ガロア圏」、「グラフ」は、いずれも、「圏」
という概念の特別な場合に当たるものと見ることができる。(例えば、グラフの場合、
グラフ上のパスを考えることによって圏ができる。)従って、IU 幾何の(すべてでは
ないが)重要な側面の一つは、 
「圏の幾何」
で表されるということになる。特に、遠アーベル幾何の場合、この「圏の幾何」に対応するのは、
絶対遠アーベル幾何
(=基礎体の絶対ガロア群を、元々与えられたものとして見做さない設定での遠アーベル幾何)である。 

つづく
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