俺の書いた小説を評価してくれ!! (13レス)
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1: 名無し物書き@推敲中? [] 2025/07/08(火) 21:40:29.96 AAS
【圭佑と女神の配信劇】

 いつか有名になりたい。そんな漠然とした夢を抱き、俺は動画投稿を始めた。だが現実は、製氷工場と自宅を往復するだけの、色のない毎日だ。自作の曲を「パクリだ」と炎上させられ、心がささくれ立っていた俺に、少しだけ登録者が多い同業者から、DMが届いた。「炎上して大変ですね。俺も経験あるので辛いですよね。良かったらコラボしませんか? 話聞きますよ」。俺は、藁にもすがる思いで、それを承諾した。

 職場の更衣室。端のロッカーで先輩の田中が、スマホで俺のチャンネルを見ながら「自作曲炎上したのにまだやってんの?」と粘つくような視線を向けてくる。彼のロッカーの内側には、地雷系アイドル『YORU』とのチェキ。「俺、YORUちゃんと繋がってんだぜ」と自慢げに囁く彼を無視し、俺は二つ隣のロッカーで作業服に着替える。休憩時、事務所の隅で事務員の女が冷たい目でこちらを観察していた。

 土曜のコラボ配信で、俺は完全に「道化」にされた。アンチコメントを拾って笑う配信者。追い詰められた俺は、虚勢を張ってこう言ってしまう。「アンチ? うちは『笑顔』で返すのがモットーなんで」。この不用意な一言が、地獄の釜の蓋を開けた。
2: 名無し物書き@推敲中? [] 2025/07/08(火) 21:41:14.25 AAS
【続き】
 週末、家族で外出した隙に、アンチが家に不法侵入し、その様子を生配信した。冷蔵庫の中身、庭に干した洗濯物、仏間の祖父母の遺影までリアルタイムで掲示板に晒された。帰り際、父のスマホに警察から電話がかかり、父は車を道路脇に停めた。視聴者からの通報で、帰宅した俺たちを待っていたのは、赤色灯を回すパトカーだった。リビングで、刑事から被害届の作成を求められる。父は、感情を殺した顔で、それにサインした。刑事が、ぽつりと漏らす。「…まあ、一番悪いのはやった奴ですが、息子さんにも、何か原因があったんじゃないですか?」その言葉が、父の心の最後の壁を破壊した。

 その翌日から、地獄が日常になった。毎朝、パトカーが家の前に迎えに来て、俺は一日中、警察署で事情聴取を受ける。昼食は、刑事に付き添われ、パトカーでコンビニに行き、パンとジュースを買い食いするだけ。会社には「事情聴取で休みます」と、震える声で電話を入れた。そんな日々が、一週間続いた。

 父は「ご近所には謝りに行くぞ」と、俺を連れて頭を下げて回った。近所のおばあさんが「うちのポストに、こんなものが…」と、俺を中傷する葉書を気まずそうに持ってくる。別のおばあさんは「あんたのせいかねぇ。最近、夜中に変な無言電話がかかってきて、怖くて電話に出られないんだよ…」と涙ぐんだ。昨日まで同情してくれていたおじさんは、「おい、お前のせいか! うちにも変な宗教の勧誘が毎日来るようになったぞ!」と、血相を変えて怒鳴り込んできた。

 地獄のような年末が過ぎ、年が明けた。元旦。俺たち家族は、重苦しい沈黙の中でおせちを囲んでいた。その静寂を破ったのは、郵便受けに投函された、数枚の「年賀状」だった。差出人の名前はない。『あけましておめでとう! 今年もKスケの炎上、楽しみにしてるぜ!』『おい!家族!息子がネットで大暴れしてやんよw』。これを見た母は、声もなく泣き崩れた。
3: 名無し物書き@推敲中? [] 2025/07/08(火) 21:41:56.96 AAS
【続き】
 正月休みが明け、俺は、鉛のように重い体を引きずって職場へと向かった。事務所に入ると、同僚たちの視線が、針のように突き刺さる。ロッカー室で、田中がニヤニヤしながら近づいてきた。「よう、圭佑。有名人は大変だなあ? うちの親戚にも、お前のこと中傷する葉書、届いたらしいぜ?」その顔は、明らかに俺の不幸を愉しんでいた。

 夏。俺の元に、一枚の「暑中見舞い」が届いた。卑猥な水着アイドルの写真に、祖母の遺影の顔がコラージュされた、あの悪夢のような画像だった。

 ボロボロの俺は、最後の救いを求め、出会い系アプリで『かりん』と出会った。時を同じくして、SNSのDMでは古参ファンの『リナちゃん』だけが、俺を励まし続けてくれた。だが、『かりん』は、俺を待ち合わせ場所で放置し、その惨めな姿をネットに晒した、悪質な釣りアカウントだった。そのことを教えてくれたのは、『リナちゃん』だった。俺の中で、彼女は唯一の女神になった。

 そして、全てを終わらせる最後の一撃が、届いた。

 リビングのテーブルの上に、一通の封筒。中身は、『かりん』と交わした、みっともないDMの、全てのスクリーンショットだった。母は、これを見てしまったのだ。
「圭佑……これ、本当なの?」
 母の声は震えていた。俺を責める響きはない。ただ、深い、深い、悲しみだけがあった。
「馬鹿息子で悪かったな!」
4: 名無し物書き@推敲中? [] 2025/07/08(火) 21:42:40.26 AAS
【続き 最後】
 自暴自棄に叫び、俺は二階に駆け上がった。
 その日、俺の世界は、完全に死んだ。
 神谷圭佑という一人の人間が持つ、尊厳の、完全なる死だった。

 憎悪。屈辱。絶望。
 だが、その、どす黒い感情の底で、一つの、冷たい決意が生まれていた。
 ――俺の人生のすべてを懸けて、必ず、見つけ出し。
 この手で、地獄の底に、引きずり下ろしてやる。
5: 名無し物書き@推敲中? [] 2025/07/09(水) 21:13:40.22 AAS
浜崎順平乙
6: 名無し物書き@推敲中? [sage] 2025/07/12(土) 06:50:20.89 AAS
気持ち悪い
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(1): 名無し物書き@推敲中? [] 2025/07/13(日) 08:11:47.47 AAS
『最後のバス』1/2
夜も更け、霧が濃く立ち込める町はずれの古びたバス停に、一人のおばあさんが静かに腰を下ろしていた。
彼女はじっと動かず、遠くを見つめている。

そこへ、塾帰りの女子高生が通りかかった。薄暗がりの中に佇むおばあさんの姿が気になり、思わず声をかけた。

「おばあさん、バスを待ってるんですか?」

おばあさんはゆっくりと微笑んだ。

少女は首をかしげた。このバス停は、何年も前に廃止されたはずだった。
掲げられた時刻表もすっかり色褪せ、今はもう誰もここからバスに乗ることはない。

「バスはもう来ませんよ……」

そう言うと、おばあさんは懐かしそうに空を見上げ、再び微笑んだ。

「ここでね、最後の約束をしたの。あの人が、きっと戻ってくるって」

少女は言葉を失い、そっと耳を傾けた。
8
(1): 名無し物書き@推敲中? [] 2025/07/13(日) 08:15:07.39 AAS
2/2
昔、このバス停は隣町へ通じる唯一の交通手段だった。
若かりしおばあさんは、恋人とここで何度も会っていたという。
「“一緒にこのバスに乗って行こう”って、そう約束したの。でも……」
彼は約束の日に現れなかった。
召集令状が届き、戦地へと向かったのだ。
それ以来、おばあんは何十年もこの場所に通い続けている。
「バスが来るなら、きっと、あの人も帰ってくる気がしてね」
少女の胸が締めつけられるような思いで満たされた。
もうバスが来ることなどない。それでも、この人は……。
そのときだった。
遠くからかすかなエンジン音が響いてきた。
霧の中を、古びた一台のバスがゆっくりと現れた。
前方が突き出た、昔懐かしいボンネットバス。
ギシギシと軋む音を立てながら、バスは静かに停まり、ドアが開いた。
おばあさんは、微笑みながら立ち上がった。
「やっと来たわ」
少女が見守る中、ゆっくりとステップに足をかけるおばあさん。
その瞬間、少女の目に映ったのは──バスの奥に座る、軍服姿の若い男性だった。
彼はおばあさんと目を合わせ、静かに微笑んでいた。
おばあさんがバスの中へと進むと、その姿は――
時代遅れの白いワンピースに身を包んだ、若く美しい女性へと変わっていた。
少女が目をこすった瞬間、バスは静かに走り出した。
後部の窓から見えるのは、寄り添う二人の姿。
バスは音もなく、霧の中へと消えていった。
少女のまわりから、いつの間にか霧が晴れていた。
夜空には満月が静かに輝いていた。
頬を伝う、一筋の涙。
少女は、ただそこに立ち尽くしていた。──了
9
(1): 名無し物書き@推敲中? [] 2025/07/13(日) 08:25:21.86 AAS
『神の手がまだ触れない』1/2
宇宙飛行士のヤハウェイは、コールドスリープを繰り返し長い孤独な旅を経て、遠くの惑星に向かっていた。
彼女のミッションは広い宇宙のどこかに存在する生命を探すこと。
しかし、船のコンピュータはある時突然、故障した。
船内には通信装置も残っていたが、母星からの信号は届かない。
ヤハウェイは不安に駆られながらも希望を捨てるつもりはなかった。

船のコンピュータを直してさらにコールドスリープを繰り返し、宇宙を彷徨い続けて数年後。
偶然にも宇宙の奥深くから、不明な信号を受信した。
それは規則的で、彼女の心臓と同じように生命が脈打っているかのように感じられた。

--この星には生命がいるわ!--

ヤハウェイは即座に解析を始める。
信号の周波数は母星のものとは異なり、その先に未知の存在がいる可能性に彼女は期待に胸躍らせた。
信号を追うために、ヤハウェイは船を調整した。
未知の星系へと向かう彼女の心中は高揚と不安が交錯していた。
信号を追跡するにつれ、彼女は少しずつ、強い何かしらの引力を感じ始めた。
不思議な現象だが、そこには逃れられぬ魅力があった。
惑星に近づくにつれ、言葉に表せない懐かしい何かを感じていた。やがて、ヤハウェイの乗った宇宙船はついに信号の発信源の惑星近くまでたどり着いた。
そこには青い美しい星があり、その表面には無数の光る点が輝いていた。
10
(1): 名無し物書き@推敲中? [] 2025/07/13(日) 08:26:45.59 AAS
2/2
ヤハウェイは目を見開いた。目前の惑星には生物がいる。
彼女は興奮して送信ボタンを押した。
「こんにちは!はるか遠い銀河の果てから来ました!」
すると信号は止まり、返事の代わりに、核ミサイルが飛んできた。
とっさの判断でヤハウェイは船を動かして危うく核ミサイルを回避した。
ヤハウェイは理解した。彼女はこの星には到達できないことを。
通信を解析して分かったことだが、この星では戦争という名の下で殺しあっていたからだ。
この星の生物たちは、自分たちの惑星を”地球”と呼んでいた。
地球から送られてくる通信内容の一部はこうだった。
「神様、私たちはどこから来てどこへ行くのでしょうか?神様……どうか答えてください、神様……」

彼女は母星を思い出し、孤独感が一層強まる。
ヤハウェイの乗る宇宙船は地球と呼ばれる惑星を離れ、さらなる生命を探しに進んでいくだろう。
今も絶えず、宇宙のあちらこちらからかすかに通信が入ってくる。
「神様……、神様……」
宇宙の深淵に太陽の光が届くことはなく、それでも彼女は信号を求めて旅を続ける。
神の声が、宇宙のどこかに届くまで。
生きている限り、希望は失われないと信じて。
通信機は彼女の最後の希望だったが、今は静寂だけが広がる。ーー了
11: 名無し物書き@推敲中? [sage] 2025/07/18(金) 08:56:37.32 AAS
>>7-8
>>9-10
上手いな
プロのショートショートアンソロジーに収録されていてもおかしくない出来だと思う
12: 名無し物書き@推敲中? [sage] 2025/08/01(金) 02:35:15.72 AAS
宗教団体ワールドメイトとそのグループによる被害が深刻だとして弁護士、元会員らが「ワールドメイト被害救済ネット」を設立し二十六日、東京で総会を開きました。

ワールドメイトはオウム真理教と同時期に旗揚げ(当時はコスモメイト)した団体で主催は半田晴久(深見東州)氏。除霊や救霊の“超能力”や、それを素材にしたイベントなどで勢力を伸ばしました。

たちばな出版、うらない喫茶、予備校などの関連団体があり、会員が「六千五百万円を詐取された」と訴えた事件や多額の所得隠しで三十億円追徴課税(係争中)などの事件でも知られています。

総会で紀藤正樹事務局長(弁護士)は、同会により精神被害、家族の被害や批判者への訴訟など外部攻撃による被害があると報告。

元会員の男性らは「会員は、悪霊を除かないと救われないと言われて救霊を受け、さらに霊はとれても業は払えないと不安をかきたてられ、より高額の玉ぐし料をはらうようにさせられる」「地下鉄サリン事件直後、オウムの仕業ではないと教えられていた」などと語りました。
しんぶん赤旗 2002年8月27日号14面1059
https://w.atwiki.jp/wmdata/pages/13.html
13: 名無し物書き@推敲中? [] 2025/08/31(日) 20:45:05.76 AAS
保 守
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