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海未「走れ園田」 (72レス)
海未「走れ園田」 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1415460314/
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5: ◆pjcAosyDG/fJ [saga] 2014/11/09(日) 00:27:40.76 ID:ZKVDH3CE0 いつしか園田の詩は、他人からも評価されるようになっていった。 園田にはそれがこの上ない悦びであった。だが同時に不満もあった。 「私の歌詞は私自信の経験の域を出ません。私の知覚が理性によって歪められ、詩的なものとして一応の形式に収まっているだけです」 園田の友人はこの言葉を優しくなだめ、やんわりと否定する。だが園田自身の心に嘘はつけない。 園田は、自分の詩に、これまでの自分になかった感情を込めてみたくなった。 それでも、園田には恐れがあった。ここに来て例の持ち前の臆病さである。 自分の胸の中に存在しない、赤の他人の感情を創りだす、それは園田にとっては最も苦手なことであった。 園田に他人を思いやる心が欠落していたわけではない。寧ろ親しい人間になら何の問題もなかった。 だが楽曲は不特定多数の聴衆に満足してもらわねば、意味がない。 彼ら有象無象の人生にシンパシーを与えられる詩は、作ろうとして作れるものではない。 なので自らの心情をぼやけた言葉で書き表すのが、同じ有象無象の一員として共感を勝ち取る最良の道であった。 創られた心情を、あたかも「真」の人間の心であるかのように偽装する。 そんなことが易々と出来るほど、園田は器用な女性でもなかった。 何より、そのような勇気もなかった。 故に、園田はこの不満の解消どころか、その直視さえもいつしか諦めるようになっていた。 園田は、恋の詩を書けなかった。 園田は、恋を知らなかった。 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1415460314/5
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